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最期まで
最期まできっちり描かれた。
ラストバトルに川原節が少し。
あとは黄石の解釈に。
やはり原作への思いが強くて川原流の味付けが
少なかった印象だけど無事完結。
お疲れ様でした。
Posted by ブクログ
龍帥の翼完結の25巻。
待ちに待った項羽と窮奇の戦い。一騎討ち。余人を交えない森の中での戦いとなりました。人を超えし怪物と、人を越えし覇王。
結果は知っての通り。いや、そういうと窮奇の存在がフィクションではないのか、という感じになってしまうな。まあ、そこはお馴染みの「これは僕にとって史実である。あなたにとってもそうでもあったなら嬉しいなぁ」という『修羅の刻』スタンスで。項羽の人生最後のこの場面でボロボロな見た目なのがとてもいい。そんな見た目でありながらも、他を圧倒するほどの覇気を纏い続ける強さ。これぞ覇王。人というか、個としての強さが極まっている。その強さが失われた反動があっての、死体を凌辱だったのかではないだろうか。褒美云々もあれど。人であるものの浅ましさ。
物語の最初から常に共にあった張良・黄石・窮奇の三人。その最後をみとる役目は黄石になるのかな、と思っていたのですが、窮奇が他の二人を送り出しました。人外の存在の名を冠する彼は、違う時間軸に存在しているかのような立ち位置だったのか。ちょっと感傷的な気分になってしまったのは、この『龍帥の翼』が大河物語でありながら、その実、張良と黄石のロマンスだったということに気付かされたからです。
人を超えた項羽を倒すために、人であることをやめた張良。その資質はないがゆえに心身を削り続けた彼を、信じて支え続けた彼女の思いの強さ。
自分の心の思いに純粋に愚直に貫き続けた二人。
人の長所と短所は魅力の根源であるということを見せつけてくれたのが劉邦でした。
項羽に強さに憧れを覚えるのであれば、劉邦の人誑しには不快感を覚えてしまいます。どうしても、物語としての劉邦には苦手が付きまとう。
カミーユと共鳴してしまったハマーンが激昂した時の気分です。なぜに引かれてしまうかわからない、という怖さ。
憧れで身を滅ぼしてしまうのだなあ、きっと。