【感想・ネタバレ】カシオペアの丘で(上)のレビュー

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Posted by ブクログ

テーマは「ゆるす」こと「ゆるされる」こと。
友情、家族愛、背負ったもの、そして生と死。
本書は電車の中では読んではいけません。

上巻です。

過去に炭鉱の町として栄えていた北海道の北都という町で育った小学生の幼馴染の4人「トシ」、「シュン」、「ミッチョ」、「ユウちゃん」
ストーリは、この4人が名付けた「カシオペアの丘」に遊園地を作りたいと夢を語るところから始まります。

30年後、トシとミッチョは夫婦となり、トシは市役所の職員としてカシオペアの丘の赤字遊園地の園長。
ミッチョは小学校の先生ながら、遊園地の手伝い。
さらにトシは車椅子の生活です。
車椅子生活になった背景は前半では語られず、何かあったと思わせる展開。
シュンは東京で家庭を持ち、奥さんと小学生の息子と暮らしていますが、ガンと診断され余命宣告。
ユウちゃんは東京でテレビの仕事。幼女殺害事件の取材でこの遊園地を訪れるところから、この4人が再びからみあっていきます。

炭鉱の町だった北都を今も牛耳るシュンの祖父の会社「倉田」
過去、炭鉱事故で下された決断と悲劇。
炭鉱事故の犠牲者を見殺しにした祖父をゆるせなかったシュン
シュンが突然転校していった理由。
シュンとミッチョの大学時代の関係。
と、4人の過去、背景が徐々に明らかになっていきます。

いろいろ重い過去が、ガンの進行とともに語られていきます。
幼女殺害事件の取材でしりあった「ミユ」さんがとてもいい味出しています。
そして、やはり何か過去を持つ女性です。

下巻に続きます。

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2024年04月27日

Posted by ブクログ

上巻を読み終えた感想は、「すごい」でした。

正直、第七章までは、「あれ?これ散々風呂敷広げてるけどちゃんと収集つくのか?ちゃんと盛り上がるの?」って不安に駆られましたが、第八章から重松清さんが本領を発揮し始めます。(第八章まで300ページくらいかかります笑)

主人公シュンの幼馴染、雄司が優しくて、作品の良心だなって思います。

特に雄司が悲しみについて、語るシーンがストンと落ちてきて、ここを読むだけでもこの作品に出会えて良かったなと感じました。
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悲しみは、二人いれば何とか耐えられるんじゃないか。
悲しみを分かち合うとか、半分にするってことではなく。同じ悲しみを背負ってる人がそばにもう一人いれば、押しつぶされるぎりぎりのところでも耐えられそうな気がするんだ。
絶望とは希望をなくすことじゃない。もう誰ともつながれなくなること。
誰かのためにとか、誰かと一緒にとか、そういうのを全部奪われちゃうことなんだ。
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非常にいい場面で下巻に続いていて、この先がものすごく楽しみです。

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2024年04月17日

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私にとって大事な一冊。何度も読み返して毎回同じところで号泣。切ないな〜。でも温かさもあって、登場人物それぞれの幸せを願わずにはいられません。

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2021年02月23日

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主人公のシュンが今まで、辛い過去、罪滅ぼしから断ち切ってきた糸を残り少ない人生と知り、カシオペアの丘で繋がった様々な人達によって、繋がりを持つことの大切さを教えてもらい絶った繋がりをつむぎ直していく。

そして、少年時代の楽しかった思い出の地
糸を断ち切った原因となった地
「カシオペアの丘」へ向かう

残された人の為に生きていくと心を決めてからは
心奮うものを感じた。

皆んなが救われるそんな終わり方になって欲しい。

下巻が楽しみ。

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2021年02月18日

Posted by ブクログ

上・下巻の感想

初めて読んだのは高校生のときだった気がする。
そのときは、どちらかというと子供の心情の方が入ってきた覚えがある。
自分がこの子の立場だったら何を思うのかなと考えたりもした。

でも、大学4年でもう一度読み返したとき、また違う視点で、違う心情が湧いた。
自分が余命宣告をされて、守らなければいけないものがあったとしたら何を思うんだろう、と考えてみたが分からなかった。

きっと5年後、10年後に読み返したらまた違うのかなと思う。
重松先生の作品は、情景や心情がリアルで、追体験をしている気持ちになる。
どのタイミングで、何回読んでも泣ける作品です。

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2020年04月18日

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1977年10月9日。
舞台は北海道北都市。
炭鉱の町として発展をとげてきた都市である。


惑星探査機ボイジャーを見つけようと
小学生4人(シュン、トシ、ミッチョ、ユウ)は家を抜け出し町外れの丘に集まった。
その場所を『カシオペアの丘』と名付け、大人になったら遊園地を作ろうと約束をする。



して時は過ぎ…

39歳になった4人は、子供の頃とは全く異なる環境、関係にあった。
トシは車イスで生活を送り、ミッチョと結婚し、北都で遊園地『カシオペアの丘』の園長になっていた。
シュンは結婚し、息子は小学4年生。
肺癌の末期で余命宣告を受けていた。
ユウは東京でテレビのディレクターになっていた。


東京で起きた女の子の殺人事件をきっかけに、再び4人の人生が交わり始める…


昭和四十二年の炭鉱での事故や、トシが車椅子生活となった経緯、幼馴染み4人の関係性など、読み勧めていくと少しずつ明かされていく。

一体どういうことなんだ、と次に次にページをめくりたくなる。




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2019年11月22日

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ネタバレ

子供に先立たれ妻に裏切られた男性と、子供と妻を遺して死ななければならない男性と、複雑な事情を抱えた4人の幼なじみの話。

中学生の頃に1度読んだことがあり、今回は2回目。
看護学生になってから読み返すと中学生の頃とは違った視点と想いで読むことができた。

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2019年11月20日

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北海道の炭鉱町で生まれ育った同級生の4人。その一人が、主人公。39歳で東京在住のサラリーマンで妻と小学4年生の息子あり。ある日、がん告知され余命数ヶ月。一方、北海道の炭鉱町で閉園間近の遊園地を旅行で訪れた親子の娘が、東京で殺害される。

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2019年01月13日

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北海道で生まれ育った幼なじみのシュン、トシ、ユウちゃん、ミッチョ。4人は大人になり、それぞれの道を歩んでいたが、ある痛ましい殺人事件をきっかけに、再び故郷の地へと集まることになる……。出会いと別れ、生と死、許す者と許される者。いくつもの運命が交錯し、シゲマツ文学の真髄を味わわせる。テーマ・内容ともにヘヴィ極まる作品だが、読みものとしての技巧も優れている。主役4人の「過去」に関する情報を少しづつ明しながら進行するため、先の展開が気になり、読む手がストップしない。絶妙な語り口である。

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2018年01月08日

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昔は炭鉱でさかえていたが、今は過疎化が進む北海道北都市。
30年前、その町には、トシ、シュン、ミッチョ、ユウちゃんの仲良い小学生4人がいた。

4人は日本上空を通るというボイジャー1号2号を見に、炭鉱跡の丘に来ていた。
ボイジャーは見えなかったが、数々の星・星座を眺め、「カシオペアの丘」と名付けたこの場所に遊園地を作りたいと話をした。

30年後、39歳となった4人。
ユウちゃんは東京でテレビロケの仕事を。
トシは子供の頃に追った障碍で車いす生活だが、ミッチョと結婚し、遊園地「カシオペアの丘」の園長に。
ミッチョはトシと生活しながら小学校の教師。
そして、シュンは「倉田」の家、北都という町、友人から逃れるため、東京で都市開発の仕事をしていた。

物語は、「カシオペアの丘」に来ていた家族の娘・真由ちゃんが、1年後、ショッピングセンターで殺される事件と、シュンに余命短い病がみつかることから始まっていく。

重松清さんの本は、「かあちゃん」「エイジ」を読んだことがあった。
この本は、「人生の終末への道のり」と、それぞれが抱えた罪への「許し」が描かれており、様々な人生・立場に思いを巡らせながら読み進められる。

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2017年12月23日

購入済み

苦しくて切なくて涙無しには…

私、今年40歳になったんですけど…偶然この作品に出会いました。運命感じますよね。
重松清さんの作品には、度々、私の人生の岐路でお世話になっていますが、今回も人生を考えさせられる作品となりそうです。
アラフォー世代は職場の地位や責任、子育てや親との関係など、タダでさえ何かしらの悩みの種を抱えています。
主人公は僕なんだろうけど、登場人物それぞれの人生が見え隠れする。イロイロと謎を抱えてストーリーが展開する所、実際に「最近知り合った人たち」の事みたいで目が離せなくなる。読み進めると、その人達と付き合いが深くなっていくかのように、少しずつ紐解かれていく。もう、自分が小説の中に居るのか現実なのか分からなくなる。苦しくて切なくて…それほど心揺さぶられるのです。早く下巻を読みたい!
今は苦しくても、皆、幸せな人生を送って欲しい。「良い人生だった」と言えるように願います。

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2017年07月16日

Posted by ブクログ

悪く言えばメロドラマです。クドクドと長いとも、お涙頂戴の物語とも、出来すぎの奇麗事とも言われるかもしれません。
でも私は好きです。
読み始めたときは、むしろ先に書いた欠点の方が目に付きました。なんだか上滑りします。しかも説教口調も有って、鼻に付く感じでした。しかし読み進めるうちに気にならなくなりました。
最後の頃には、どうも重松さん自身が奇麗事を承知で、それでも書き込んで行ってるのではないかと思い始めました。何だか一生懸命な感じが伝わって来るのです。
重松さん渾身の一作と言う気がします。

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2016年07月31日

Posted by ブクログ

「ゆるしたい相手を決してゆるせずに生きていくひとと、ゆるされたい相手に決してゆるしてもらえずに生きていくひとは、どちらかが悲しいのだろう」

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2024年01月17日

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赤字続きで閉園間際の遊園地の園長トシとその妻ミッチョン。がんで余命幾許もないシュン。妻の不倫相手に愛娘を殺された川原さんと関わる雑誌記者のユウ。幼馴染の4人が再び生まれ故郷に集い、友人の死に向き合う。暗い内容に嫌気が差しそうになったが、一方で家族や友人たちへの愛がしっかりと描かれており、下巻でどう決着するのかが楽しみになった。

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2021年11月30日

Posted by ブクログ

癌ので亡くなる設定と、出てくる女性達にあまり共感出来ず。ただ、やっぱりどんどん読み勧めたくなる。行った事の無い知らない場所でも、読んでいるだけでそこに自分もいるような気持ちになる。

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2021年10月24日

購入済み

シビアで暗いが引き込まれる・・

暗く重くて深く。真面目に会社勤めをして、妻と他愛ない会話を交わし、汗だくで帰宅した息子と風呂に入る。平凡な日常だが愛しい日々。40歳前にガンを発病し、余命幾ばくかを告げられた俊介の残された人生。遺される家族のこれから。忘却の果てに残していた『カシオペアの丘』の想い。振り切った過去が人生の終末で優しく甦る。残りわずかな未来だからこそ、さまざまな感情が愛まみえる。さすが重松ワールド。素晴らしい。

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2019年07月21日

Posted by ブクログ

評価は4.

内容(BOOKデーターベースより)
丘の上の遊園地は、俺たちの夢だった―。肺の悪性腫瘍を告知された三十九歳の秋、俊介は二度と帰らないと決めていたふるさとへ向かう。そこには、かつて傷つけてしまった友がいる。初恋の人がいる。「王」と呼ばれた祖父がいる。満天の星がまたたくカシオペアの丘で、再会と贖罪の物語が、静かに始まる。

昔話が小出しなのでつい「どうしてこうなったんだ?」と知りたくてページをめくってしまう。

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2018年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

北海道に立つ謎の巨大観音像にまつわるお話。日本各地にある謎の巨大宗教建造物ってそそるよね。黒い歴史の象徴ぽさが。

この物語はフィクションです。登場する人物や団体、地名や建造物は現実のものとは一切関係ありません。が、モデルになった場所とかあるっぽくて、北海道観音像行ってみたくなる。

 重松清らしい道徳的なお話である。死生観を題材にして、心の葛藤が追体験できる。

 まさか2パターンの「あなたならこんな悲劇に直面したらどうする?」人物をぶつけてくる腕力のある悲劇だけれど、そのおかげで客観的に物事をとらえられて、重苦しいはずなのに、そんなの感じない。
 単純に続きが気になる、魅力ある小説である。


 p379で雄司が言ってたセりフが好き
「シュンも覚えておいたほうが良いぞ。キツイときには体を温めることと、目に見える風景をシンプルにすること、この二つだ。風呂がなかったら熱いお茶を飲むでも、酒を飲むでも、なんでもいい。家の中にいれば部屋を片付けて、外にいるんだったら、だだっ広いものを見るんだ。空でも海でも、展望台の夜景でも、何だったら砂漠でもいいから、、、」

 これすごく大事だな。一時的にせよ、人体への影響をコントロールするのが大事なんだよな。

 そして後に続く言葉が切ない。
「でも、体や心がシャンとするってことは、悲しみとか苦しみもくっきりしてくるってことだろ。麻酔が切れるようなもんなんだから…。」
 
 そうなんだよなぁ…茫然自失ってのは逃げてるだけだから、意識が戻ると現実に立ち向かわなくなるから、、、
 現実に立ち向かう時、人はどうなるのか。君にもその覚悟はできているか?そう問われている。

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2018年05月21日

Posted by ブクログ

シュンは故郷、特に祖父と確執があり、また幼馴染との行き違いもあり、しばらく北都に帰っていなかった。

婿に入り、苗字も変えた。

働き盛りの39歳、肺ガンを発症し、過去に向き合おうとする。

北都に帰ろうと思ったきっかけは、真由ちゃんという女の子が無残にも殺害された事件がきっかけ。

真由ちゃんによって、ばらばらだった幼馴染も引き寄せられる。

もう運命としかいいようがないかも。

シュンは冷静に見えるけど、やっぱり妻や息子を残して先立つことに悔しさも感じているし、実際怖いとも思っているのに、なんかあんまりそういう感情を出さないから、逆に不安かな。

もっと取り乱すものじゃないのか。
でも実際宣告されたらどうなんだろう。

一人で告知を受けて、そのあと妻の恵理が話を聞くのは、なんだかシュンらしいなとも思った。
二人で聞いたらどんな顔していいのか、わからないし逆に一人なら思う存分なにも気にせず泣けるかもしれないから。

上巻は、シュンがカシオペアの丘へ来たところで終了。

シュンがこれからどうなるのか、祖父との和解はあるのか…

そしてミッチョやトシとはどうなるのか。

色々気になる終わり方。

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2016年07月19日

Posted by ブクログ

幼馴染の仲間が集まり、それぞれの人生が絡み合いながら進んでいく物語。
重いし、暗いし、哀しくて、でも読みたくて仕方ない。

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2016年07月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

よかった。
結構大容量の小説。
登場人物はそんなに多い訳ではないし、そんなにすごく複雑な物語を書いているのでもないはずなのに、長い。
でも、「長い」という感じはしません。
なんていうか、すごく、丁寧で優しい感じがします。

一部、ほんのすこし、やらせ感がない訳ではないけれど、でも、基本的に、すごく自然で、すごく優しくて、やわらかい。

ガンでなくなっていく友人・家族の話を中心に描いた物語なんだけど、なんていうか、重松さんも、どなたか近しい人を、ガンの形で失ったこと、あるのかもしれないな。そんな風に思えるお話でした。
静かにやさしくて、現実的なんだよね。

上に書いた、「やらせ感」は(笑)。
もうえぇわ!と言いたくなるところがゼロではなかったと言う話なのですが、(そこまで敢えて洗いざらい人にシェアしたいものなのか??とか)でも、これを読むと、なんというか、今までの人生で起こったこと、何か悔やむようなことがあったとしても、素直に謝る気持ちに慣れて、素直に、その分人にやさしくなろう、なんて思える本だったな。

しかし、小4で父を病気でなくしてしまう哲生くんの気持ちは…うまく想像できない。



以下、備忘ストーリーメモ
哲生、恵里、ミッチョ、シュン、トシ、ユウちゃん、河原さん、ミウさん、ケンさん、倉田。病気による早逝と、炭鉱で多くの命を救うために少数を犠牲にせざるを得なかった苦悩と、殺人による幼子の喪失と、流産、事故から始まる老婆の死、そして、喧嘩を発端とするけがによる車いす生活。
こうして考えてみると、今更だけれども、命の問いのオンパレードだったことに気付く。

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2016年02月18日

Posted by ブクログ

かなり泣けます。架空の北海道の都市を舞台にしてはいるが、描かれている街はいくつかの実在のもと炭坑の街を思い浮かべさせる。はやく下巻を読まなきゃ。

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2015年11月02日

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幼馴染の話。
小学生の頃は、とても仲の良い四人組男3️⃣女1️⃣、事故があり、その幼馴染は、バラバラになる。
年をとり、その中の1人が癌に…。
自分の人生を許すために、故郷に戻り、幼馴染と再開し、…。

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2015年08月19日

Posted by ブクログ

楽しく幸せな人生があるからこそ、一段と悲しさと苦しさが押し寄せてくる。
色に例えるならば「鈍色」な上巻。
そんな鈍色の中に一筋の光明が指すことを期待しつつ下巻へ行って参ります。
おっと、ハンカチとティッシュの準備もしとかなきゃw

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2015年08月08日

Posted by ブクログ

かつて炭鉱で栄えた北海道の街、北都。夜中に家を抜け出し星を見に行った4人の少年少女は、この丘をカシオペアの丘と名付け、将来遊園地を建てることを約束する。

そして少年たちは大人になった。


う~ん、泣ける。特にラストちょい前の誕生パーティのシーンはたまらない。
やっぱりこの人の連載モノはいいねぇ。

いい作品に巡り合えた勢いでちょっと重松論を書いてみる。


実はこの著者、長編が苦手というか長いものを書くと必ず中盤がダレる。
そのせいもあってデビュー後しばらくはまったく評価されていなかった。個人的にはビフォア・ランはもっと評価されてもよかったと思うけど。

その後「見張り塔から、ずっと」等の短編集を発表して、キレのある短編を書く筆力の高い作家として認知されはじめたが、長編はというと「舞姫通信」や「四十回目のまばたき」等のやっぱり中盤がダレる作品。

とはいえ短編のクオリティの高さと圧倒的な筆力で評価は着実に上がっていった。当時の書評や解説では、上手い上手いばっかり言われていて、内容に踏み込んだものは少なかったように思う。

そんな中、著者が連載を持つことになる。連載時の作品名は「マジカル・ミステリー・ワゴン」。これが見事にはまる。

連載という性質上、次回へのヒキを作らなければならず、そのヒキにより中盤がダレることがなくなった。
元々ストーリーや設定には人を引きつけるものがあったし、ストーリーテリングでは当代随一の作家。中だるみさえしなければ面白くないはずがない。この作品は加筆、改題の後単行本化され、著者の出世作となる。改題後のタイトルは「流星ワゴン」。

個人的には関根勤がTV番組で紹介していたことが印象深い。女子アナの好きな作家を聞かれた時の回答が、村上春樹から重松清に変わっていったのもこの頃。

女子アナはさておき、実はいまでも重松清は長編の苦手な作家だと思っている。映画になった「疾走」も中盤はダレてしまっている。
やはり連載→改稿→単行本化がこの人にとってはベストじゃないだろうか。


話をカシオペアの丘に戻す。
上手・下手で言えば本作は改稿は流星ワゴンより上手い。相当丁寧に加筆、改稿をしたのだろう、連載モノのぶつ切り感をあまり感じさせない。またストーリーの面白さ、筆力の高さについては前述の通り当代随一。
ただしプロットに関しては流星ワゴンとの類似性を感じる、というか非常に悪い言い方をすれば二番煎じ。そのため評価は星4つ。

いや、それでも充分面白いんだけどね。

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2019年04月03日

Posted by ブクログ

悲しい過去をもつ北の大地で繰り広げられる、愛と贖罪の物語。小学校の同級生だった男女4人が大人になって再会。子どものころに抱いた将来への夢と現実とのはざまで、それぞれの心の傷が浮き彫りになっていく。

人生ってなんだろう、人を許すってなんだろう。罪、病気、死……扱っているテーマは重い。しかし、重松さんの描く登場人物たちはみな優しく、彼らの心の軌跡をたどっていくうちに読み手自身も癒される。

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2016年01月19日

Posted by ブクログ

(上下合わせてのレビューです)
仲よし幼馴染4人組。ふるさとの夜空がよく見える丘の上で、
星を見ながら語った夢は「ここに遊園地ができたらいいのに」。
そして、30年近い年月がたち、夢は実現しましたが…。
幼馴染の4人は成長とともに、その関係もばらばらになっていました。
ある事件がきっかけで故郷に帰れなくなった俊介は東京で結婚。
平凡なサラリーマンになっていましたが末期ガンの宣告を受けます。
死ぬまでにやらなければならないこと、あやまらなければならないことが俊介を故郷へ追い立てます…。
死を控えて苦悩する俊介とそれを見守る幼馴染たち。若いころの過ちも苦しみも、全てがやさしい文章で書かれた長編傑作です。

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2017年11月09日

Posted by ブクログ

そうだったな。僕だってそうだった。学生時代は、おとなの存在など目に入らなかった。背広にネクタイ姿で会社に通うことが、ちょっと考えればなによりもリアルなはずの未来だったのに、それを自分と結びつけることはなかった。身勝手なものだった。人より図抜けた才能や強烈な野心があるわけでもないのに、ひととは違う人生を歩むんだと決めつけていた。ずうずうしかった。甘かった。若かった。すべてをまとめて、要するに、生きることに対して傲慢でいられたのだと思う。

まだたっぷりと残っている手付かずの未来を前に、今日をむだづかいしているような恋人同士の笑顔は、いつの時代の、どこの街でも変わらないのだと思う。
そんな日々は、いつか終わる。僕はそれを知っている。だが、いつか終わってしまうんだと知らないからこそ、いまがいとおしくなるんだということも、おとなになればわかる。

ゆるしたい相手を決してゆるせずに生きていくひとと、ゆるされたい相手に決してゆるしてもらえずに生きていくひとは、どちらが悲しいのだろう。

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2008年(第5回)。10位。
また北海道wの真ん中あたりにある北都(架空の町かな)。仲良し小学生4人がカシオペアの丘で星を見るところから始まる。北都の近くの都市は、札幌や旭川。
大人になり、北都の残った者、東京で頑張ってる者。北都の大企業の孫だったシュンは、炭鉱事故の祖父の対応がイヤで、北都を離れ、東京へ。ガン告知される。北都に残ったトシとミッチョは結婚、カシオペアの丘で遊園地店長。でも今年でつぶれそう。トシは小学生の時のけががもとで車いす生活。そしてユウちゃん。この4人と、娘を妻の浮気相手に殺された川原さんが、カシオペアの丘でまた出会う。彼らそれぞれの事情があるのはわかるが、なんか冗長。ま、下巻へ続く。

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2023年03月28日

Posted by ブクログ

幼馴染の四人の始まりとその後。
この小説を読んでいたら、北海道の大きな空と丘とあの長い冬と永遠に続く雪、、、
そんなことを思い描けた。

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2017年10月31日

Posted by ブクログ

肺の悪性腫瘍を告知された、
小学4年の息子を持つ父の話。

目を背けたい出来事が読んでいてどれも重々しい。

下巻へ続く最後のシーンもそんな感じなんだけど、
とても鮮やかな情景で幕を閉じて、
さすが重松さんといった感じ。

とりあえず新年早々読むような本ではない気がする(笑)

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2016年01月02日

Posted by ブクログ

まだ上巻だけだけど、面白いと思う。
重松清っぽく、少しずつ事実が露わになる感じやっぱり好き。
寂しくて、悲しいはずなのに暖かい。
自分の命と向き合えるかな、、

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2015年11月28日

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