【感想・ネタバレ】ウイルスは生きているのレビュー

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Posted by ブクログ 2021年09月19日

ウイルスの基本的な構造や性質を紹介すると同時に、ウイルスを含んだ新たな生命観について考察した本。

ウイルスは時に人類とは対立する存在となってしまいます。しかし、本書で紹介されている胎盤形成の例のように、長い目で見れば、ヒトを含む生命は多くのウイルスからの恩恵を受けて進化してきている事を理解しまし...続きを読むた。

生命はそれぞれ独立した存在ではなく、長い年月をかけて他の生物との合体や遺伝子の交換を経て進化し、育まれてきたことを教えてくれる良書でした。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年10月02日

めっちゃ面白い。地味な表紙に反して、惹き込まれた。

どこからどこまでが、生命か。

これは結局キメの問題なので、百人居たら百通りの線引きがある。

が、ウィルスが割と移ろいゆくもので、我々も結構自由にいろんな機能を持ってなかったり、他者に依存してたり。

そんな事例がてんこ盛りで、本当に興味深い。...続きを読む
(しかも、知らない事が多かった!ポップサイエンス系の本はかなり読んでるけど)

本棚でたまたま目について、コロナウイルスについての理解を深めようと手にとったけどこんなに面白いとは。

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Posted by ブクログ 2020年08月10日

面白い!
新型コロナウイルスがこうも人間を翻弄しているのはウイルス自身に何等かの意志があるのでは、という疑問から本書にたどり着いた。

ウイルスは生きているのか 生物か物質か
専門的な解説ではあるものの、分かりやすく、論点が整理されている。

少なからず、ウイルスは生きていると思った。



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Posted by ブクログ 2020年07月15日

専門的でありながら具体例が非常に分かりやすくて良い本。
自分が大学生の頃に読みたかった。
生物系の大学生、院生にぜひ読んで欲しい。
加えて話題のコロナウイルスについても
敵を知らず騒ぐのではなくまずは知ることも大切。

本書を読んで最も衝撃を受けたこと。
ウイルスは敵じゃないということ。

むしろ生...続きを読む物、そしてヒトの進化にも大きな影響を及ぼしている。

以下の具体例が特に素晴らしいと思った。
細胞は部屋、細胞膜が壁、タンパク質を作るリボソームは3Dプリンター、そして住人はDNA。
なんともわかりやすい。

守られた快適な部屋に住んで好きなもの作り放題の3Dプリンターを持ったDNAに対してウイルスはレインコートだけをまとった家なき子。
自己複製ができないから寄生して生きていくしかない。宿主を殺したら自分も死ぬ。

今回のコロナウイルスのように危険なウイルスというのは宿主との関係性がわからずに大暴れしている状態。
感染しても無症状の人がたくさんいるのはむしろウイルスとして正しい状態ということ。

むしろヘルペスウイルスなんかは人を守る働きまでしている。

また、インフルやコロナは手洗いの効果がある理由はエンベロープに包まれているからというのも初めて知った。脂質膜だから石鹸で溶ける。
つまり石鹸で洗わないと水でいくら洗っても意味がない。
ノロウイルスはエンベロープを持たないから手を洗っても意味がない。

へー!と思うことがたくさんで面白かった。




 

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Posted by ブクログ 2020年05月18日

【「ウイルスは生きている」・・・と僕は思う】(文中より引用)

身近な存在でありながら一口では捉えがたい性質を持つウイルス。最新の研究を丁寧に紹介しながら、ウイルスとは、そして「生命」の定義とは何かについて思考を巡らせた作品。著者は、細胞構造機能学を専門とする中屋敷均。

知っているようで知らないウ...続きを読むイルスに関する知識を得つつ、つくづく自然界って摩訶不思議だなと痛感させられる一冊。特に代謝に関する著者の俯瞰的な指摘には思わず唸らざるを得ませんでした。薄いですが一気読み間違いなしの作品です。

こういうご時世なので手にとってみましたが☆5つ

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Posted by ブクログ 2020年05月06日

昨今の状況から、ウィルスは人類にとって単なる敵と見てしまっていた。ところがそれはウィルスの1つの側面であり、胎盤の進化等人への恩恵もある事がわかった。また、最新の研究から生物と見做せるとの考えやその不思議な振舞いは興味深く思った。簡潔な良書。‬

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Posted by ブクログ 2020年03月09日

コロナウイルスの猛威に怯える今だからこそ、
あえて「ウイルスってそもそも何だっけ?」に
立ち戻ってみた。

ウイルスと共存し、ともに進化する動物など
生命とは?個とは?自明性を掘り崩される。

ベイエリンクや、バーバラ・マクリントックなど
優れた生物学者に共通する
どんなにとんでもない実験結果も常識...続きを読むで判断しない
姿勢なども示唆に富む。

また読みたい。

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Posted by ブクログ 2017年08月09日

細胞をもたない単純な姿のため非生物とされがちなウイルス。しかし「細胞」をもつとは言い難い共生細菌や遺伝子数が千を超える巨大ウイルスの発見で境界はぐらついてるとか。
ウイルスとは何か,生命とは何かを問いかけるために提出された極めて重要な概念を「丸刈りのパラドックス」と呼んだり,なかなか親しみやすく書か...続きを読むれてる。なぜ「禿頭のパラドックス」にしなかったのかがちょっとだけ気になるけど(笑)
“「ある中学生の髪がどこまで伸びたら丸刈りでなくなるのか」という問題を、本書では「丸刈りのパラドックス」と呼ぶことにする”p.56

タンパク質を作るリボソームを高性能3Dプリンターに喩えたり,導入部分での比喩も分かりやすくて親切。
そして部屋(細胞膜)の住人(DNA)は分身の術を会得していて,部屋にあるすべてのものの設計図も記憶している。この住人は分身の術を使うたびに部屋を2倍の大きさにして,二部屋に区切る。
ウイルスは部屋も家財も持たない家なき子。
不憫であるが実は逞しく,他人が住む部屋に侵入すると,自らの分身の術と設計図と,その部屋にある3Dプリンターを駆使してどんどん増えていき,あっという間に乗っ取ってしまう。
最終的には作ったレインコートを羽織って部屋を壊して出ていく。

スタンリーらによるTMVの結晶化の発見に絡めて問いかけられたテーマ,
“ウイルスは純化するとただのタンパク質と核酸という分子になってしまう。しかし一方、生きた宿主の細胞に入るとあたかも生命体のように増殖し、進化する存在となる。…どちらにウイルスの本当の顔があるのか…本書の底流となるテーマでもある”p.50
最後のあたりの力説で,著者なりの結論となってるんだけど,読んでて「ウイルスは生きてる,なるほど!」と感化されてしまった。いろんな境界生物がいるんだなあ。世界は奥が深い。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年10月03日

2016/5/19 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2017/9/27〜10/3

これは面白い。帯に「新たな科学ミステリーの傑作が誕生」とあるが、看板に偽りなし。生物と無生物の間は本当に混沌としてきた。こういうったことに少しは関係ある仕事をしているが、不勉強で知らなかった。いやいや、生物(ある...続きを読むいはその周辺)は本当に思い白いなぁ。

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Posted by ブクログ 2021年05月24日

人間は新型コロナを駆逐しようと躍起になりコントロールしようとしているが、新たな変異という「ジャンプ」を引き起こすだけで、もしかしたら余計なことをしているのかもしれない。

生命はゆらぎのようなもので独立している生物という物はない。混じり合って存在しているカオス。
これは仏教にも通じる概念だと思った。...続きを読む

だから他人を病原体とみなして攻撃したり恐怖に駆られて人の夢を奪う社会は、ひとときのゆらぎに生きている私たちにとって健全であるとはいえないですね。

生命を一段高いところから俯瞰して見せてくれる本。

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Posted by ブクログ 2021年04月14日

ウィルスは自己増殖しないので生命ではない、と言われているが、生命とは何かを改めてよく考えると、実はウィルスも生命ではないのか、と問いかける本。
蛾の幼虫に卵を産んで寄生する蜂(カリヤコマユバチ)の、寄生幼虫が寄主を巧に操るようすは、実はウィルスが関係しているとは、なんということか!
生命進化は伽藍(...続きを読む整理され主導された環境)かバザール(種々雑多なものが入り交じっている環境)かなんていうのも、興味深い内容であった。

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Posted by ブクログ 2020年04月11日

ウイルスとは何か、今まさに世の中を惨禍に巻き込んでいる新型コロナとは何か、なぜ生まれたのか、何者なのか、、よくわかる。

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Posted by ブクログ 2018年09月26日

どちらかというと生物ではないという意見が主流なウイルスであるが、生物の進化はもちろん、さまざまな生命活動に密接に関わっており、それ自体も生命につながる存在であるからウイルスは生きているんだ!という主張と思われます。

なんとも言えないけど、ウイルスに関する様々な話がとても興味深く、この宇宙は何でこん...続きを読むな複雑な仕組みを矛盾なく作りあげたんだろうと空恐ろしくなります。

この世界は人間には解けない謎が多過ぎる。

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Posted by ブクログ 2016年10月14日

ウィルスは結晶化もするが、寄生主の環境を使って自己生産も出来るし、進化もできる「生物」である。

生物のあり方は非常に幅広く、共棲や寄生、環境依存まで含めれば個体という定義すらあいまいとなる。
昨今流行りの腸内環境を見れば、体内に寄生する微生物のDNAは寄生主の人体が持つDNAよりも多いし、細胞内に...続きを読む寄生するミトコンドリアがなければ生体活動が成り立たないのだから。

奥深い内容が興味深く、かつ簡潔にまとめられている良書である。

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Posted by ブクログ 2016年07月05日

ウイルスは生物ではないと言われるが、本書では、ウイルスの構造や特徴を紹介するとともに、生物とは何か、ウイルスを生物と定義することの可能性など、生物の要件といった問題に説明を広げている。
著者が主張するように、生物と生物もどきとの境界は曖昧で、これという「生物」の必須要素はなさそうだし、仮に境界線を引...続きを読むいてみても、それをまたいでしまうようなものの発見は今後も続くかもしれない。

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Posted by ブクログ 2016年06月04日

これまでウイルスと生物の間には様々な二項対立的境界が引かれてきた。エネルギー代謝を行うか否か、独立した自己複製能や進化能を有するか否か…。本書は様々な事例を挙げながら、これらの分類の科学的根拠が極めて怪しいことを指摘してゆく。紹介されているウイルスや他の生物の振る舞いは意外性に満ち、これまで一般的と...続きを読むされてきた生物観がいかに特定の価値観に縛られていたかを驚きを持って知らしめてくれる。またそれにも増して、生物学的な意味での「自己」と「外部環境=他者」の境界のあやふやさについても興味深い示唆が得られるのが本書の醍醐味。ウイルスについて考えることは、「自分とは何か」について考えることでもあるのだ。なお、終章で著者のウイルス、ひいては生物、人間に対する思いが語られるが、僕はこういう特定の科学的分野にどっぷり浸った人のセンチメンタリズムはかなり信頼できると考えている。

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Posted by ブクログ 2016年05月10日

恐ろしい病気の元と思っていたが、こおん本を読むと昔から生物はウイルスと共生してきたらしい。人間もウイルスによって進化したという。現在も体内にウイルスは住んでいて生命活動の手助けをしている。もちろん、人を殺すウイルスもいるがそれは絶対数からいうと少ない。
ウイルスという漠然として持っていた概念を崩す一...続きを読む冊だ。

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Posted by ブクログ 2023年02月19日

ウイルスが生物の進化にかなり関わっているというむちゃくちゃ興味深い事実

腸内細菌も人にとって重要であることはよく知られてるけど、ウイルスは細菌に感染して細菌のDNAを変えているなんて知らんかった

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Posted by ブクログ 2020年03月23日

新型コロナウィルスの感染騒ぎにつられて本書を読んだ。
肝心なウィルスの説明はなかなか難解だが、ウィルスとは何か、細菌との違いは何かが分かった気がする。特に私には序章と終章が大変味わい深かった。「ヒトとしての生」と「人としての生」なるほど。

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Posted by ブクログ 2018年11月01日

●ウイルスが、人間をはじめとした様々な生物を進化させてきたのだといった話は、それほど突飛なことではないのだと感じた。

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Posted by ブクログ 2016年09月20日

細菌とウイルスの違いは細胞を持っているか否かである、細胞を持たないウイルスは自己複製が出来ないため、いまのところの常識では生物と無生物の中間的な存在とされている。

ウイルスと言えばスペイン風邪やエボラ出血熱の様に、大量に人間を殺す恐ろしい存在というイメージが強い。しかし感染を繰り返すうちに毒性は徐...続きを読む々に弱まるそうだ、なぜなら宿主が絶滅してしまってはウイルス自身も死滅してしまうからだ。

またヘルペスウイルスは、宿主の免疫力が落ちると口唇ヘルペスを発症させてしまうが、リステリア菌やペスト菌に対しては、天然のワクチンの役割も果たしているらしい。実はウイルスたちも生き残るため、宿主のご機嫌を伺いながら苦労しているのだ。

冒頭の自己複製という意味では、必須アミノ酸を体外から摂取している我々人間も、完全なる生物とは言えないのかもしれない。ついでに言うならば、食糧の大半を輸入している我が国も、完全なる国家と呼ぶには危うい存在なのかも…

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Posted by ブクログ 2016年08月29日

 以前「生物と無生物のあいだ」を読んだとき、細胞の振舞は人間社会に似ていると感じた。

 本作の帯には「『生物と無生物のあいだ』から9年、新たなる科学ミステリーの傑作が誕生!」という文句が気になって買ってしまった。


 本作の主役は「ウイルス」だ。ウイルスは生物ではないというのが通説だが、著者はウ...続きを読むィルスは生きているとしか思えないと考える。

 ウィルスの95%はタンパク質、残り5%がRNAである。

 生物とは言えない分子構造だが、生物が生きていくのになくてはならないものである。

 そもそもまず、生物とは何なのか、という定義に疑問を呈している。


 細胞の振舞は人間社会に似ていると書いたが、細胞に作用するウィルスは人間社会に当てはめると何になるのか、考えてみた。

 俺が思うに、人間社会におけるウィルスはテクノロジーではないのか。

 例えばスマートフォン。人間の生活を大いに変えてきた。
 人間がスマートフォンを利用しているのか、スマートフォンが人間を支配しているのか。
 スマホ中毒なる言葉は、その主従関係が倒錯していることを示している。

 人間とスマートフォンの関係はウィルスが細胞に与える影響に似ている、と思う。

 ゆえに、人間社会におけるウィルスはテクノロジーではないのかと考えた。

 テクノロジーは自己発展し、それが毒にも薬にもなる。
 高度に発展したAIは生物と無生物のあいだを超えるのか?

 細胞と社会の相似性を考える。

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Posted by ブクログ 2016年06月18日

ヒトゲノムのうち、タンパク質をコードしている部分は1.5%に過ぎない。一方、ウイルスや転移因子はヒトゲノムで増殖を繰りかえし、45%もの領域を占めている。ヒトのゲノムとは一体誰のものなのか?
また、キャプシドを持たないウイルスというものも最近は報告されており、ウイルスと他の生命との境界もゆらぎつつあ...続きを読む
パンドラウイルスなどは2556個の遺伝子中2370個が他の生物との類似性がなく、全く新たな生物にあたるという見解もある

・一般にウイルスの毒性は徐々に弱まる。スペイン風邪の毒性もパンデミックの発生から数年で大きく低下したことが知られている。弱毒化によって感染した宿主が行動する時間が長くなればそれだけ感染の機会が増えるというウイルス側の適応進化

・ウイルスは細胞構造を持たないが、その核酸はキャプシドで囲まれている。多くのウイルスは細胞の外に出るときにはさらにエンベロープに囲まれる。エンベロープはリン脂質からできているので石鹸に弱い。インフルエンザは石鹸で予防できるがエンベロープを持たないノロウイルスには効果がない。

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Posted by ブクログ 2016年05月05日

 本書はその名の通り、ウイルスは「生きている」と主張しています。そのため、著者はまず生命の特徴は何かを明確にしています。
 著者は生命の特徴として「ダーウィン進化」をするか否かを挙げています。DNA等の突然変異により、他の個体と少しの変化を持たせて、自然淘汰により、環境に適用する個体のみが残っていく...続きを読むことを指し、ウイルスも当てはまるため、生きているのではと主張しています。
 ただ、DNA等の変化は外的要因等により起こるものだと思うのですが、基本的には元通りに修復されるもので、間違った修復は確率的にしか起こらないので、この定義だと、生命は神にサイコロを振られている存在なのかと考えてしまいました。
 浅学の身ゆえ、これらの主張について他の書籍等で学んでみようと思いました。

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