私は生粋の文系人間で、理数系の書籍はことごとく避けてきたが、生命の起源とか原理に興味が湧いたので覚悟を決めて本書を手に取ってみた。
本書の趣旨はシンプルで、生命の設計図に当たるDNAは自己情報の保存と変革の相反する性質を内包しており、それゆえ弁証法的に生物が今日の姿まで発展してきたというものである
...続きを読む。後半では人間の文明の発展も同様で、過去の偉人の知見を元に各時代の天才達が新しい1ページを書き足して来た歴史に触れている。
生命の起源については軽く触れられているのみだが、最新の有力な説としては、海底の熱水噴出孔から始まったのでは無いかということだ。なお、核戦争が起きて地上の生物が全滅しても、まだ海底には古細菌が脈々と生きているのでいずれ再生するだろうという、謎にポジティブな主張が面白かった笑
科学的な事例のみではなく、哲学や歴史など文系的な事象と絡めながら説明されているので、文系人間にも分かりやすいだけではなく、科学のロマンみたいなものまで感じられた。読みごたえのある文章展開がしっくりきたので、別の著書も読みたくなった。