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面白かった
聖女召喚に巻き込まれ、異世界に転移。
チート能力もなく、ましてや転移した空気が合わなくて死んじゃいそうな主人公。
周りの迷惑顧みず、淡々と仕事をする誠一郎があっぱれです。
過保護通り越して、過干渉気味のアレシュがかわいい。
ネット版も良いが…
ネット版も全部読ませていただきましたが、書籍版はさらに良いなと思いました。
理不尽な異世界の扱いをものともせず、自分の流れを作り出すコンドゥさん。気に食わないけどなんだか気になって世話してしまうアレシュ様。
嫌いだけど放っておけない。この時点で恋が始まっているのでは!?と序盤からニヤニヤしてしまいしました。
恋は盲目というのか、コンドゥさんを瘴気現場に連れて行く王子様。異世界人召喚の時から視野が狭くなっていたことを感じることはできたのでしょうか…。
でも、1番変わったのはアレシュ様かなと思います。他人には関心がなく、なんだかんだで貴族なので良い生活をしていたアレシュ様はコンドゥさんとの差を埋めようと自信を変えました。
最初も最後もキラキラなアレシュ様でしたが、最後の方はスパダリのようでした。手のひらの中で転がされるコンドゥさんが面白いです。
面白い!!
異世界に社畜を持ってくるあたり、斬新。長年染み付いたものは早々に無くなるものではないのだなぁとしみじみ思う。魔力酔いの馴染ませに身体を重ねる事、という突拍子もない所にBL要素を入れてくるのも、斬新で面白い。これからの2人の関係が楽しみ。
騎士団長の機嫌も社畜次第
出逢いは治療目的。異世界の栄養剤(ここまで効くとは、もはやヤバいクスリでは…)を飲み過ぎて中毒を起こした主人公・誠一郎をたまたま拾った第三騎士団団長・アレシュ。誠一郎に回復魔法を施すが、魔力に耐性のない彼は魔力酔いをしてしまったので、魔法を「馴染ませる」必要があり、そのために最も手っ取り早い方法が「致す」ことだという。情緒の欠片もない。しかし、なぜか美貌の騎士団長様は、目の下に隈をつくり死んだ魚のような目をした誠一郎にご執心で…
現代日本社会で勤労する身としては、誠一郎の社畜根性を嗤うことなどデキナイ。しかし、アレシュの言うことは人間として正しい。誠一郎の健康を気遣い、あれこれ世話を焼きたがるアレシュが可愛すぎる。庇護欲が恋心に変わったのか?その辺りの心の機微が書かれていないのは、誠一郎目線だから、ということで正解?同じ場面をアレシュ目線で書いたものを読みたいです先生。アレシュ可愛い!美形で黒髪、仏頂面、天才、寡黙と、どこをとっても私の好みのど真ん中。誠一郎を他人が面倒見ようとすると玩具を取られた子供みたいになるところも萌えポイントです!
対する誠一郎はというと、ハジメテの翌朝も急いで出勤するような仕事中毒だから、アレシュの気持ちに気づいていないのかな~と思ったら、気づいていた。気づいていながら、目の前の仕事を優先して恋愛感情は横に置いてしまうのである。ヒドイ。いやでも、彼は真面目だから仕事の片手間にしてはいけないと思っているのだろう、きっと。魔力及び魔素(という物質がかの地ではそこらじゅうにあるらしい)耐性が皆無で異世界ではすぐに死にそうになるくせに、精神は鋼鉄製で腹黒いので、官僚にものすごく適性があると思われる。そういえば、宰相カミルに勧誘されていた。さもありなん。
こんな主人公の目線で語られる本作は、BL としてはかなりの異色ですが、軽妙なタッチで私は嫌いじゃない。恋愛ものを読みたい人には不向き(BL なのに)だけど、恋愛を絡ませたコメディとしては充分面白い。そういう意味の星4つ。今後、どのように恋愛要素が増えていくのか気になります。アレシュ頑張れ。