【感想・ネタバレ】王様の仕立て屋~下町テーラー~ 6のレビュー

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Posted by ブクログ

 仕立て屋物語シリーズ日本編、6巻では前半にやや変則的な仕立てが続き、後半で典型的な「男の勝負所を盛り立てる仕立て」が描かれている。

 特徴的なのはやはり前半だろう。
 スマートウォッチをどう取り入れるかを問われて「そりゃ無理ですねえ」(P.18)と身も蓋も無い返答をした order#31「学研の科学」に、ネット経由で砲丸投げ選手の仕立てを行う難事に取り組んだ order#32「ポパイのホウレン草」、映像業界を支えた裏方(大道具)のご隠居の花道を飾るためにボトムスだけ仕立てた order#33「土曜8時の生放送」。
 #32ではナポリ仕立ての発注の今時事情などにも触れて、仕立て物語としてよりも、より広範に物語を組んでいる印象の前半だった。

 スーツを仕立てる後半の内容とバランスを取って一巻を組み立てている印象の強い、そんな一巻だった。
 物語巧みさは安定していて、巻末のナポリ日記もネクタイの遊び心ある締め方を紹介した一話として良い掌編。
 質の高い巻だった。星五つで評価したい。

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2020年09月12日

購入済み

いつも楽しく読ませて頂いてます

斬新な小ネタが盛り込まれ新たな発見がありとても楽しいです。最後はエレナ嬢の登場で本作を読んだだけで文化人になった様な気になれます♡

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2020年07月23日

Posted by ブクログ

大河原遁『王様の仕立て屋 下町テーラー 6』(集英社、2020年)主人公を邪道と毛嫌いする人物が登場する。『王様の仕立て屋』はオーダーメイドの良さを教えてくれる作品であるが、現実のオーダーメイドと異なる点がある。主人公が超特急で仕立てる点である。これは現実にはあり得ない。
いくらオーダーメイドが素晴らしいと言っても、現実にはレディメイドが普及している。これはオーダーメイドが時間をかかるからである。オーダーメイドがオーダーメイドである以上、必然的な制約である。
ところが、超特急で仕立てる主人公はオーダーメイドの欠点をなくしてしまった。オーダーメイドとレディメイドの良い点を兼ね備えていると言える。オーダーメイドの良さを一方的に押し付けている訳ではない。
この意味で伝統的な立場から主人公を邪道と毛嫌いするキャラクターの登場も適切になる。そのような伝統的な立場がIT業界など新しい需要に応えられないことも、これまた適切である。
古い立場のキャラクターも憎めない存在である。それは彼が個人で戦っているからである。現実の日本の業界は集団で新しい取り組みをする個人を潰しにかかるだろう。昭和の村社会は陰湿で卑怯である。

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2020年08月16日

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