【感想・ネタバレ】ほんとうの花を見せにきたのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

生きているとは何か。
日々をこなすのに精一杯で、ついおざなりになっていた生き方について優しく説いてくれる作品だった。
「心が動くこと。
誰かを愛したり、なにかを美しいと思ったり、成長したいと願ったり、自分をひどく恥じたり。
そしてなにかを強く感じること……。」
忘れずに心に留めておきたい。

全体を通して、未来へ進む、ということを3編異なる視点から描いている作品だと感じた。『ちいさな焦げた顔』は進む側の物語、『ほんとうの花を見せにきた』は置いていかれる側の物語、『あなたが未来の国に行く』は託す側の物語。ムスタァの「人間は、火だ」という台詞で分かった気になっていたけれど、最後の1編を読んで、バンブーも未来へ進むことができるのならば、人間とバンブーとの違いは何だろう?と改めて考えさせられた。

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2024年03月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これまでの桜庭さんの作品を色々読んだけれど、
「私は作家としてこれからも、なにかをみつけては、指をさし、あなたがたに小声で名前をつけていきたいと考えています」がとてもしっくりきた。
「....誰にも単語にされていないけれども今を生きる人みんなが本当はわかっていること、きづいていること、それを小説にして、名前をつけていくようかことをしたい、....」
あー、桜庭さんだーって それだーって。妙にリアルで言葉にできないなあと感じていたけれど、そゆうことだったんだって。 それがしたかったのかって!!!!
すごくすごく素敵です。よかったです

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2022年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「誰にだってさ、子供のころには仲良しのオバケの一匹や二匹、いるもんだ。だけど、みんな忘れて大人になる。」
人間の子どもと、吸血鬼。
その設定だけですでに、終わりがくることが分かっているのが醍醐味?ではあるけれど、歳をとったからかこの展開にめっきり弱くなった。

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2020年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

金原瑞人いわく、ニール・ゲイマン「墓場の少年」、キプリング「ジャングル・ブック」。
人ならざる者に成長を助けられた少年が、社会に戻るという話型。
萩尾望都「ポーの一族」あるいはアン・ライス「夜明けのヴァンパイア」すなわち「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」。
出だしだけはリュック・ベッソン「レオン」。
バディのイメージとしては吉田秋生「バナナフィッシュ」くらいの青年。
(ちなみに後日談「ほんとうの花を見せにきた」は映画「ロリータ」を連想するところあり。)

そもそも「パンパイア」→「パンブー」という、語感の連想の発想の勝利。

バンブーは冷たい。生者は熱い、火を持っている。
バンブーは掟により、生者ではなく死者の血しか飲めない。
ムスタァと洋治は夜勤の看護師として働きパックの血を購入している。
東日本のこの町は国籍が入り乱れているのでバンブーも住みやすい。200人くらいいる。
バンブーにはバンブーの法律がある。生者の血を吸ったら60年の樽詰め土埋めの刑、とか。他、集会の場所を教えること、人間と一緒に暮らすこと、が罪。
バンブーは空を飛ぶ。傷は治るが腕を切り落とされるとそのまま。
バンブーは鏡に映らないので、単独でいると薄汚くなっていく。だから身だしなみを整えるためにも相棒が必要なのだ。デジタルではなく8ミリになら映る。
法律に従わず満月の夜の集会にも出ない、はぐれバンブーという存在。
不死ではない。年を取らないが、120年の寿命を迎えると花になって散る。
日の光に当たると溶けてしまう。

半島における、金持ちの町=上の町→貧民街の端っこの海辺の小屋。トポス移動による見え方の違い。
上の町の高校に進学し、スクーターで通う。かつての学校仲間は娼婦などになる。
列車で町の外へ。大人になり老成し、小屋に帰ってくる。

ひどく甘ったれた台詞回し、ひどく感傷的な地の文、を使って描き出される、ハードで陰惨な状況、
といった作者の持つギャップの妙味が、いいほうに働くこともあれば十分に効果的でないこともある。
今回はやや後者かなー……。
現代のちょっとだけ先にファンタジーも狙って設定されているのだろうけれど、そのぶん入り込みづらいところも。
そんな状況でどれだけ呑気にお喋りしてるの、とこちらがやきもきしてしまう。

「ちいさな焦げた顔」がメインで、「ほんとうの花を見せにきた」が後日談、「あなたが未来の国に行く」が前日談。
カバー絵はハードカバーのほうが断然素敵。

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2017年11月23日

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