【感想・ネタバレ】密林の語り部のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ひとつの文化に魅せられ、回心してその内部へと踏み込み"語り部"となるサウルと、文化を外側から物語にしようと試みる筆者(?)の2人の物語が交互に折り重ねられている。

初め語り部の物語が始まった時、なれない情景や言葉に戸惑いつつも引き込まれている自分がいた。

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2022年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

語り部のことを小説にしたいと思う「私」と、(1・2・4・6・8章)
マチゲンガ族に飛び込んで語り手になる「私」。(3・5・7章)

頬に痣のあるサウル・スターラスが語り手に転身したことは謎でもなんでもない自明の筋だが、
語り手になろうと思った彼の内面が徐々に明らかになるのが凄い。
流浪のユダヤ人である(ペルーの白人社会の中ではマイノリティ)こと。
頬に痣のある畸形的な外見であること。
マチゲンガ族では畸形の嬰児を川に流すという風習。
どれだけの驚愕と怒りを自分自身の実感として受け止めなければならなかったことか。
自分のトーテムであるオウム、足が不完全に産まれた子を母オウムから奪い、肩に載せて旅をする、しかもかつての自分のあだ名「マスカリータ」(マ・ス・カ・リ・タ)を授けるなんて、感動なしには読めない。

もちろんマチゲンガの世界観(なんと悪魔の種類の多いこと! 神が身近であることよ!)にもくらくら。
むしろ上記した自己実現を重視する読み方は「小説の読み方」であって、
いくつもの制約や了解を内包しながらも語られる、異合文化の人が世界をどう認識しているのかという語りに恍惚と身を任せるべきなのかもしれない。

語り部によるカフカ「変身」や、タスリンチーエホバの息を吹き込まれた男(キリスト)の受難劇などの「語り直し」も興味深い。

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2016年06月05日

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