【感想・ネタバレ】夢も定かにのレビュー

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Posted by ブクログ

奈良の女官のお仕事小説でした。澤田瞳子さんの専門知識で練り上げられたシチュエーションがリアリティある。女性たち、可愛い。

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2022年01月06日

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ネタバレ

奈良時代、三人の采女たちの青春群像劇であり、難しく弱い立場で生きねばならない彼女たちの、意思と強さの物語。

宮人である彼女たちの、現代の会社勤めに通じるような人間関係や様々な縛り、男女の差、その中でもがきながら友情を育む様がよく、終盤での大きな権力にしたたかに舌を出して守るべきものを守る姿に感動した。というか、素直におもしろいし泣ける!

そして古代史専攻の作者のこと、時代考証もしっかりしていて勉強になる。特に彼女たちのモデルがいて、その記録に触れ、作品がまた広がる感じがよい。
(その後の大事件や疫病を思うと……な部分もあるけどそれも含めて)

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2020年05月23日

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歴史の表舞台に立つ人たちの話ではないけど、ちゃんと実在のモデルがいるところが、単なる物語(作り話)に思えなくてワクワクした。奈良時代って、平安時代よりも帝や妃との距離が近いのかな?

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2018年09月02日

Posted by ブクログ

奈良時代、しかも聖武天皇の時代を描こうと思えば、藤原四兄弟と長屋王との権力争いや彼が大仏建立に至った気持ちの小説になるのだろう、ふ・つ・うは!

だが、この作品で描かれているのは宮中で働く菜女と呼ばれる女性たちである。幾分、ライトノベルズのように描かれているのが不満だが、そこにあるのは現代の働く女性にも通じる結婚、仕事、同僚への不満や嫉妬だ。

権力争いをする男たちの向こう側で女性もまた同じように戦っている。それは現代でも奈良時代でも変わらない。

読み終えて思う、女はいつも戦い続けてるんだなぁ。でも負けてもへこたれないから、女って強い!

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2016年10月30日

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平安初期の後宮に仕える女官たち。
平安中期の、道長の時代辺りに材をとった小説はたくさんあるが、奈良時代を舞台にするものは初めて読む。

へえ、こんなもの食べてたんだ。
油飯って、割とおいしそう。
年老いた女官は光永寺という寺で隠居したのか。
女官の官舎に舎監がいるなんて、何か学校の女子寮みたいだなあ
地方豪族の娘たちである采女たちと、都の豪族の娘たる氏女の対立なんて、いかにもありそうな…。
描かれる生活のディテールがやはり興味深い。

藤原家系譜でしか見たことのない藤原麻呂や房前。
ただの名前が、人に見えた瞬間を味わった。

本当は見目麗しい妹が采女になるはずだったのに、妊娠により「繰り上げ当選」されてしまった十九歳の若子。
官舎で笠女、春世という二人の采女と同室になる。
笠女は、能筆で、男性と張り合える知性の持ち主。
一方春世は美貌に恵まれ、大勢の男性と浮名を流している。

若子は新参で彼女たちと比べても「何もない」。
けれど、実直な勤務ぶりと持ち前の人情の厚さで、さまざまな困難を切り抜ける。
やがて、権力者である藤原房前を恋人にし、さらに彼を利用するしたたかささえ身に着けていく。

春世という人物が面白かった。
いわゆる「女の武器」を使って世渡りする女性だ。
自分の魅力に自覚的で、どう価値を最大化するかを知っている。
そのため、彼女に言い寄る男は引きも切らず、女たちは彼女を「浮かれ女」扱いし、毛嫌いする。
こんな人が身近にいたら、私も偏見を持って対するのかもしれない。
でも、この作品を読んでいると、この人のことが嫌いになれないのだ。
しかし、大貴族である藤原麻呂に生んだ息子を取り上げられ、権門に育つ幼い息子自身にも切り捨てられる。
彼女の孤独さ、悲しみにもクローズアップしているからか?

この本、本当に読むのが楽しかったのだが、最後に僭越ながら苦言を。
帝の子を宿した志斐弖を、長屋王からも藤原家からも守っていかに宮中から逃がすか。
物語は緊迫し、若子は恋人の房前さえも手玉に取ることとなる。
これから、若子はどんな女性になっていくのかが楽しみになってきたところで、物語が終わってしまうのだ。

この終わり方、どこかで見たようなー。
あっ、同じ澤田さんの『泣くな道真』か!

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2022年03月20日

Posted by ブクログ

奈良時代の女官たちの働きぶり。
キャラ設定がわかりやすい歴史小説です。

1300年前の平城京、聖武天皇の御世。
宮廷を支える後宮には、多くの女性たちが働いていた。
表紙のイラストのようなキャラ設定で、読みやすい。
おっとりした若子が上京し、しっかり者の笠女、色っぽく可愛い春世と同室に。
3人とも10代後半で、地方の出身。
若子は出仕するはずだった妹の代わりに急遽仕事に就いたため、覚悟も準備も出来ていなかったが…

後宮には12の司(部署)があり、13歳から30歳までの女性が登用される。
地方の豪族出身だと采女(うねめ)になり、畿内の貴族出身の氏女(うじめ)とは身分の差があった。
総合職と一般職みたいな感じ?
氏女からのいじめみたいなこともあったり(笑)

若子は膳司という職場に配属され、食事の世話をする、といっても料理ではなく主に貴人に食事を運ぶのが仕事。
仕事があまり向いていないと感じ、将来も思い浮かばない。
春世に相談したところ、結婚相手を見つけてもいいと勧められるが…?

笠女は、書司に勤めていて優秀、忙しい時期に男性のする仕事を頼まれて立派にこなすが…
縫司に勤める春世はもてまくり、浮名を流す目立つ存在で、貴族の愛人となって子供も生んだが、子供は本妻に育てられている。
春世の本心は…?

藤原家の有力者である四兄弟と長屋王の権力争いが続いている時代。
どの妃が先に男子を生むかどうかが、勢力図を大きく変える。
3人の娘たちは妃に仕えているわけではないので、直接は関わらないが、やはり影響は出てくるようです。
後に疫病がはやった時代を「火定」で骨太に力強く描き切った作者。
これはまだ、そういう事態になる前、ある意味では平和な時期の物語ということもあり、雰囲気は全く違います。振れ幅大きいですね。
時代考証が詳しい分、最初はわかりにくい部分も、しっかりした背景の裏付けで、読みごたえにつながっています。

藤原四兄弟はのちに疫病で死んでしまうのだが…
娘たちは藤原家とも関わりながらも、働き続け、生き延びる。
それぞれに生き方を探してあがく娘たち。
実はちゃんとモデルがいるというのが面白く、笠女のモデルなどは高位にまで出世し、長生きしたこともわかっていたり。
全く違うようで、現代にも通じるような、女性のつらさ、いやむしろ、たくましさ。
あっぱれです☆

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2020年10月08日

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平安時代の小説はよくあるけど、奈良時代のお話ってあんま見ないな?とおもいまして、発売してからずっと気になってた本。やっと読めた。
専門用語が意外と多いし、人名も覚えにくいかもですが、内容はわかりやすいのでサクサク読めました。
いつの時代も女は強い!
男に頼らずに生きれる強さ、うちも身に付けたい。

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2018年06月28日

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奈良時代の後宮女官のお話。とても興味深く読んだ。性に奔放というか寛大な時代…というのが面白い。へえ。読み終わった感想としては、強かに生きる女と女の友情と、悲哀。甘く華やかな話ではないですが、ただ振り回されるだけでもない感じが、いい。成長の話だった。

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2018年06月07日

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聖武天皇の御代、つまり奈良時代を舞台にした本作。
珍しいところに題材を取ったものだ。
それもそのはず、著者は日本古代史を専攻していたというではないか!
始めに慣れない読み方の登場人物や女官の位、皇族の名前などが一覧になっている。
これは親切に、ありがとう、たすかります。
これがないと読めないのだ。
馴染みのない、采女やナントカの司(職場名)など、慣れてしまえば物語の面白さに気にならなくなるが、慣れるまではこの箇所に何度も戻る。

18歳でもはや行き遅れ、10代で子を成すのは当たり前、愛人にだってなる。
しかし処女信仰はまだなく、皆が性に奔放。
かと思えば、男性も女性もキャリアを積めるのに、女性にはガラス(このころは玻璃かな?)の天井があり、生まれによってさらに二重三重に重なって行く手を阻んでいる。
それがわかるのが、笠女が主人公になる章。
現代女性も、残念ながら、頷けてしまうかもしれない。

春世の物語は、政争に巻き込まれ、自らの子を本妻に取られ、息子自身も実の母より今の高貴な暮らしを望むというある意味悲惨なものだ。
しかし、志斐弖と海上女王の姿に救いを見出せた。

女性は男性になろうとしなくていい。
それをしなければ自己実現できない事だってあるだろう。
だが、なぜ二つの性があるのか。
それは、互いが互いを認め合い、補い合うためだ。
古と今。
この共通点から学べることは何か。
本書は古に言葉と姿を借りた、現代に生きる人々へのエールなのだ。

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2017年08月14日

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いつの時代も女はすべてと闘っている。
友のために、家族のために、愛する人のために、なにより自分のために。

ラストまで読んでタイトルの意味がすっと落ちてくるところもまた良い◎

1300年前の彼女達もがんばっていた。
残念なのは1300年経っても同じ理由で泣かなければならない女がいることかしら。

嘆いてばかりはいられないから、せめて1300年後の後輩達のために、私達はまだ闘わなくては。

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2016年12月25日

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平城京のワーキングガールなんて軽く一言で済まされてるなんてもったいない。
若子、笠女、春世とそれぞれモデルがいるようだし、当時の女性は堅苦しく生きにくい面もありつつ、それでも生き生きと己の道を模索する姿が読みやすく共感しやすく描かれており面白かった。

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2016年11月01日

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世は聖武天皇の御代。若子、笠女、春世の3人のワーキングガールが、それぞれの思いをもって後宮に身を寄せ、組織の中で居場所を見つけ、自分なりの生き方を見つけ
ようとする。 
昨年直木賞を受賞した澤田瞳子さんの昔の作品。珍しく軽い現代的な表現であっという間に読める。

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2022年03月15日

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202201/奈良時代の宮廷女性お仕事モノ。なかなかないジャンルで興味深く読めたし、登場人物達やエピソードも凝ってて面白かった。

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2022年03月04日

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1300年前の奈良時代に後宮があって当たり前、なのに今更ながらの認識で恥ずかしい。政治の頂点が聖武天皇にあり、その生活を円滑に進めるための官僚集団みたいな部署が後宮には12司あった。そこで働くワーキングガール3人の女官の物語だ。女官は地方豪族出身の采女(うねめ)と中央貴族の子女である氏女(うじめ)で構成されていて役職も付いた。主人公となる3人は采女で地方出身者。畿内を中心にして形成された古代国家は各地域を征服していく中で、地方の豪族たちからその子女を差し出させている。女性は采女、男性は兵衛として天皇に仕えた。武芸に巧みな兵衛に対し、采女の推薦条件は13歳以上30歳未満で形容端正の容貌が重視された。若子たち3人の采女には実在のモデルがいると解説にあり、身近に感じられる。
3人の内、若子は帝の食事を司る膳司、笠女は書司、春世は縫司。後宮では、首天皇(聖武天皇)を中心に、長屋王を中心とした皇族派と4兄弟を中心とした藤原氏の権力争いが絶えない。この2派に属するそれぞれ帝の妃のどちらが先に皇太子を産むかで権力構造が変化する。
後宮を舞台にした物語だが、帝の寵を競う貴妃たちの小説ではない。その後宮の中で官吏として生きる采女たちのお話である。華やかな後宮のただ中で、夢も定かに見られぬ身だからこそなお、自分たちは各々の生き方を全うするため、あがき続けずにおられぬ。いつか夢を掴むその時まで。

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2020年10月05日

Posted by ブクログ

読みやすいライトノベル風。
若い人に平安時代のドロドロの入り口に
なればいいね。楽しいよ。
藤原4兄弟の粛清の嵐スタンバイ時代。
あのオチは優し過ぎないか?

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2020年08月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

少女たちのお仕事青春小説かと思っていたが、内容はもうちょっと大人だった。
地方豪族の娘は郷里においては名家のご令嬢でも、中央に出てくれば田舎娘。
畿内豪族の娘との格差もあり、女性が職を持つといってもひとりで生きていくことは難しい。

若子は妹の代わりに急遽出仕が決まり、何の覚悟もろくな準備もないまま出てきたために仕事にも慣れずどこかふわふわしている。
それが現実を知ることにより自分の生きる道を見つける。

能力も高く男性に交じって仕事をしたいと思う笠女も、いざ男性官僚の能力を超えられると知られれば女だからとはじかれる。

恋愛に奔放な春世はそうしなければ生きていけなかった。
誘いを断っても受けても何か言われ、女からはやっかまれる。
子供だけが支えだが、ともに暮らせなくても仕事を続けるのは彼女なりの矜持だ。
最後に本当の愛を見つけられたようだがそれも長く続かず、一番世間に翻弄されたように見えた。

夢も未来も定まらなった少女たちが、己の道を見つけて成長していく物語に、当時の宮廷の様子や権力争いなどの政治的な話も加わってとても面白かった。
解説には主人公たちのモデルらしい人物の話もあり、そちらも読みごたえがあって良かった。

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2020年05月23日

Posted by ブクログ

表紙は苅田ほんとは違いますが、作品のイメージをうまく表しています
田舎豪族の娘が宮中で生きていくさまですが、気分はクララ白書(氷室冴子)みたいに、若い女子の本音あふれる展開が面白いのですが・・・ラストが唐突すぎるなあ
あと二話くらいあった方が・・・続編あるかな?

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2019年07月17日

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