【感想・ネタバレ】異人たちの館のレビュー

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ネタバレ

1番の驚きは、伏線の多さかなと思いました。

最初に
「かあさん たすけて こまつばらじゅん」の
文字を見つけた警察が
「書いている途中で枝が折れたんでしょう」と
言っているんですね。
書ききってるじゃん?と漠然と思ってましたが、
確かに途中だったし、

珍しく、作中に勉という名前の人が3人も
出てきて、
名前に何かあると思わせるところとか、
2人とも「じゅん」ってことにもっと
注目すべきだったなぁ。

永い文章の中で数多くの伏線があり、
しっかりとつながるところは、さすがでした。

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2023年04月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ブックカバーかけて読書するもので、作品の読みごたえに満足しつつカバー外して改めて表紙見たら、表紙でもなんとなくネタバレしててまた震えた。

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2023年03月02日

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ネタバレ

 半年程前に富士の樹海に消えた作家志望の男「小松原」、かつて神童とまで呼ばれた才能の持ち主であった彼に何が起こっていたのか? 同じく作家志望の「島崎」は彼の母親から依頼を受け彼の伝記を書くことに、調べるうち明かされていく小松原家の歪んだ過去と彼の周りに巣食う謎の「異人」。  そして島崎の周りにも「異人」の影が現れ・・・。 過去、現在、手記、インタビュー、数多の断章で構成された謎の記録。

 多重視点ながらインタビューと現在の視点はきっちり交互に展開されむしろ読みやすかったです。 序盤は主人公と共に過去の詮索を行っていき、徐々に主人公は事件の渦中に巻き込まれ、終盤は読者に大きな謎を投げかける。 全容の見えないホラーでもあり、主人公が災禍に追われるサスペンスであり、ラストに衝撃を控えるミステリーに仕上がっています。
 折原さんの作品では古い部類に入るのですが、集大成と言って良いと思います。 技巧はもちろんですが、樹海に作家主人公に現実の事件をモチーフにしたり得意な事を詰め込んでみた感じ、それでいてストーリーの破綻もなく600pの大作ながら綺麗にまとまっています。 読み終わると「異人たちの館」を書いた作者の想いがぐっと伝わる。 文句無しで折原氏の傑作と呼べますね!!

小松原淳が生きている可能性、一度死んだ幽霊のようなライターとゴーストライターのダブルミーニングは自分も思い至って愉快な推理だなぁと満足したのですが、まさかもう一人幽霊作家になれる人間が残っていたとは!!
 「潤一」と「淳」の名前被りは気にかかっていましたがどこにも隙がない、と思ったらまさかのモノローグ。 潤一が島崎姓を捨てるまでの伏線と言うか展開が最初の方から始まってるのでこれは相当上手いと思う。
 読み終わると「異人たちの館」を書いた作者、息子の名誉を守らんとする母親の想いがぐっと伝わる。 やっぱり叙述物って面白い。

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2023年01月18日

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これはまたすごい作品を読んでしまいました。
ストーリーは単純で、1年前に富士の樹海で行方不明になった作家志望の青年の伝記を、彼の母親の依頼で書くことになったゴーストライターが取材をしていくにつれ、徐々に明らかになる青年の周囲にある過去の闇と、ライター自身が巻き込まれていく現在が混じり合い…。
あれ?全然単純じゃないね。

まず、天才少年だった過去を持つ作家志望の小松原淳というのが、幼年期から内向的で虚弱体質で、だけど自尊心が強くて生意気で、お坊ちゃん育ちだから余計に鼻持ちならなくて。
天才の自分が書いた小説が認められないのは、見る目がない編集者や読者たちのせいだと信じ、自らを省みることがない。
貧しい母子家庭に育った淳は、その後母の再婚により新しく父親と妹ができる。

ゴーストライターの島崎は、実業家の父と大学教授の母の間に生まれたものの、親の期待に応えることができず、家を出て作家を目指している。
純文学とミステリで2回新人賞を取ったものの、原稿の依頼は小説ではなくゴーストライターとしてのもの。

作家を目指しながら結果を出せていないという点では、島崎もまた淳と同じ鬱屈を抱えている。

ミステリなので詳しくは書けないけれども、何に圧倒されたかというと、一つ一つの謎は割と簡単に解けるのに、全体像が全く見えてこないところ。
地の文の外に、淳が書いた小説、島崎の書く伝記など何種類もの文章が錯綜し、現在と過去が捻じれていく。

例えば、淳が学生時代に書いたミステリが作中に出て来るが、その後さらに十数行をラストに追加したバージョンが出てくると、見えていた世界が一変してしまうのだ。

淳をはじめとして、小松原家の誰一人として好感を持てる人物がいないんだよね。
っていうか、異常。
異人じゃなくて、異常。
さらに島崎とあともう一人もやっぱり異常。

何かにとりつかれるというか、妄執って、人を異常にするのね。
ミステリだけど、サスペンスホラー寄り。
そして子離れのできない親は、害毒であるということ。

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2022年09月17日

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最初のページから叙述トリックが使われていたとは恐れ入りました。

物語の序盤から伏線を忍ばせ、途中に何度か挟まるモノローグ。このモノローグにもやられました!

終盤の怒涛の伏線回収、真実解明は気持ちの良いものでした。

島崎が死んでしまったのが悲しい。

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2021年10月24日

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著者の作品は初読みとなりましたが、2018年発掘部門「超発掘本!」、いやいや読み応えありました。

1993年に発刊された作品の為、昭和を彷彿させる雰囲気がプンプンする中、600Pに及ぶ大作の中には多重文体、現実にあったB級事件、叙述トリックにサスペンス...いやぁ〜これでもか〜って感じで詰め込まれていました。

本作の特徴は多重文体だと思いますが、それがハンパなく盛り込まれてどんどん本筋の間に差し込まれて(遭難者のモノローグ、島崎潤一がまとめた小松原淳の年譜、淳の関係者へのインタビュー、淳が書いた短編小説…)おり、見事に混乱させられます^^;

本作の主人公はゴーストライターの島崎潤一。

富士の樹海で見つかった白骨遺体、近くの洞窟から見つかった小松原淳という若者の免許証、こんな感じで本作の幕は上がります。

小松原淳は疾走しており、母親は島崎に淳の伝記をまとめるように依頼をし、島崎が淳の生い立ちからどんな人物だったのかを淳が残した物と関係者への取材でまとめていくのが大筋のストーリー。

淳の幼少期に起こった誘拐事件に父親譲治の疾走、それぞれの事件にかかわる謎の背の高い不審な男の影...

淳の妹ユキ。

謎が謎を呼び、過去と現在がクロスする中、物語は思いもよらない結末をむかえる。


説明
内容紹介
富士の樹海で失踪した息子・小松原淳の伝記を書いて欲しい。
売れない作家・島崎に舞いこんだゴーストライターの仕事。女依頼人の広大な館で、資料の山と格闘するうちに島崎の周囲で不穏な出来事が起こり始める。
この一家には、まだまだ秘密がありそうだ――。
五つの文体で書き分けられた著者の初期最高傑作が甦る!
メディア掲載レビューほか
折原一のマイベストは、サスペンス小説の歴史の集大成だ

読み出したら途中でやめられず、最後まで読み通してしまうサスペンス小説は多々あるが、それらの中に、時代が経過しても古びた印象を受けない作品は果たしてどのくらい存在するだろう。折原一が1993年に発表した長篇ミステリー『異人たちの館』が、そんな貴重な1冊であることは確かだ。

作家志望の島崎潤一は、前年9月に失踪した小松原淳の伝記の執筆を、淳の母・妙子からの依頼で開始した。淳は8歳で児童文学賞を受賞した天才少年だったものの、その後は大成しなかったらしい。島崎は淳の過去を知る人々を取材して廻るが、彼の半生には誘拐未遂・失踪・殺人など、数々の不穏な事件が起きており、そのたびに謎の“異人"の姿が見え隠れしていた。そして島崎自身も何者かにつきまとわれる。

淳の過去を調査するうちに次々と意外な事実が発覚し、冒頭から漂っていた不気味な雰囲気は次第に濃密なものとなってゆく(BGMのように作中を流れる童謡「赤い靴」も効果的)。作中には取材対象者の証言、淳が執筆した小説、何者かのモノローグなどが入り乱れ、読者を奥深い迷宮へと誘う。極度に技巧的な構成、さまざまな文体の使い分け、登場人物の造型に滲む異常心理、巧妙かつ大胆な伏線など、海外サスペンス小説を愛好してきた著者がそこから学んだ数多くの美点を一作に凝縮したような小説に仕上がっている。その意味で本作は、サスペンス小説の歴史の集大成であるとも言えるだろう。

著者本人が自作のマイベストと評価している本作は、2016年に刊行された文春文庫版を含め3度も文庫化されている。まさに不朽のサスペンス小説なのだ。(百)

評者:徹夜本研究会

(週刊文春 2017.3.30号掲載)

内容(「BOOK」データベースより)
8歳で児童文学賞を受賞し天才少年と呼ばれた小松原淳は、なぜ富士の樹海に消えたのか?母親の依頼で淳の伝記を書くことになった作家志望の島崎は、膨大な資料を読み、関係者に取材して淳の人生に迫るが、やがて不気味な“異人”の影が彼の周辺に出没するようになり…。著者畢生の傑作がここに復活!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
折原/一
1951(昭和26)年生まれ。早稲田大学卒業後、編集者を経て88年に『五つの棺』(後に改作して『七つの棺』)でデビュー。95年には『沈黙の教室』で第48回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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2021年05月10日

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以前、著者の『失踪者』を読んだら、面白くて。
そのすぐ後、本屋に行ったら、これの講談社文庫版が並んでいたので買って読んだことがある。
その時は、『失踪者』と比べたらイマイチかなーと思っていたのだが、この本、なんでも著者のマイ・ベストだとかで。
えぇー、そんなに面白かったかなぁーと、あらためて読んでみようと思ったら、とっくに絶版。
古本も、著者が「マイ・ベスト」なんて言うもんだから、猫も杓子も読んでみようと思うのか、えらく高いと。
その後の文春文庫版が出て、さらに数年。やっと古本の値段も下がったのと、久々に折原一モードになったので、読むころ合いはよしと読んでみた次第w

そんなこんなで読んだ感想は、あれ?こんな話だったっけ!?みたいなw
いや、大筋は合っていたんだけど、根本的な部分で記憶がごっちゃになっていたみたいで。
例の「お受験殺人事件」を題材にした話だと思っていたんだけど、「あれぇ、な~んか違う!?」とw
とはいうものの、「うーん。イマイチ、かなぁ…」という最初に読んだ時の印象は変わらなかったかなぁ…。

すごく凝った話になっていて、その辺は確かに面白いんだけど、悪役?犯人?敵役?がオールマイティーすぎるんだよね。
ま、物語の敵役というのは大概オールマイティーなもの、と言っちゃうなら、確かにそうなだけどさーw
でも、敵役のオールマイティーさに比べ、主人公(?)があまりに無力で。別に、そんなに入れ込んじゃうような主人公でもないwんだけど、それでも、読んでいてストレス溜まる!みたいなところがあるなーと思った。

つまりは、書く側の思い入れ=読者の面白さではない、ということなんだろう。
ただ、思い返してみても、大した展開があるわけでもないのに、約600ページを次々とめくらせちゃう不思議な面白さはあるように思った。


折原一は、最初に『失踪者』を読んだ時、すごく面白くって。
上にも書いたように、そのすぐ後にこの『異人たちの館』を読んだり、『~者』シリーズは出ると必ず読むんだけど、どれも『失踪者』を読んだ時ほどのコーフンを得られないんだよなー。
『失踪者』は、祭りのシーンも絡めたラストの緊迫感からくる興奮がよかったんだけど、折原一って、実はそういう作風ではないんだよね。
『~者』シリーズはほぼ全冊、その他も数冊(有名な『倒錯のロンド』はたぶん好みじゃないので読んでない)読んで、やっとそれに気づくって遅すぎだろ!と自分にツッコミを入れた(爆)

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2020年04月27日

Posted by ブクログ

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【一言で評価】
 折原一の作品らしく,読んでいるときのサスペンス感は抜群。しかし,オチが釣り合っていない。竜頭蛇尾というイメージの作品
【感想】
1993年に出版されたが,あまり売れず2002年に講談社文庫版が出版されたが,これもあまり売れず。2018年に本屋大賞の発掘部門で「超発掘本」となり,文春文庫で3度目の文庫化。あとがきでは,著者の折原一自らが,マイベストに挙げている作品
 あとがきによると「倒錯の死角」や「倒錯のロンド」のような叙述トリックの創出に汲々とするようになっていたところで,複数の太いスト―リーを並行して書いていき,途中で混ぜ合わせ,叙述トリックはサスペンスを盛り上げる要素とするという作風を確立させた作品とのこと。確かに,今後に書かれた「○○者」シリーズに通ずる作品のように思えた。
 個人的な感想をいうと,折原一は,やはり初期の作風が好みであり,多数のストーリーや作中作などの様々な文体を併せ,叙述トリックはサスペンスを盛り上げる要素とするようになってからの折原一の作風はあまり好きでない。読んでいる途中は面白いのだが,オチがそれほど面白くなく,読み終わってからがっかりする作品が多い。
 異人たちの館もそうで,読んでいる途中は面白いのだが,オチの部分がイマイチ
 この作品のメインプロットは「小松原淳」と「島崎潤一」を誤認させる叙述トリックだろう。小松原淳も島崎潤一も富士山麓の樹海で遭難しており,母親から「じゅんちゃん」と呼ばれている。島崎潤一の母親も,やや病的な人物で小松原潤一のアパートに忍び込んで原稿に手を入れるなどの奇行をしている。
 小松原淳の父親が「ジョージ」という外国人で連続幼女殺人事件の犯人。小松原淳をイジメていた少年なども殺害しており,小松原淳に殺害されているというスジは折原一らしいというか,かなり無茶なスジ。その後,ユキとの関係を責められ自殺しようとした小松原淳が,実は生きており,小松原家に帰ってきて地下室で生活をしているという展開も,折原一らしいと思うけど,かなり無茶なスジである。
 最後に小松原淳が島崎潤一の作品を乗っ取ろうとして,島崎葵(島崎潤一の母)とユキの逆襲に会うというオチがなんとも弱い。小松原淳の父が外国人のジョージで,謎の異人が小松原淳だということが,ラストに至るまでの段階で分かっているので、最後の終わり方がさっぱり意外性がない。
 トータルで感じることは,冗長だということ。読んでいるときは,サスペンス感があるのでそれほど感じないが,読んでから振り返ると冗長さを感じる。作品を支えるプロットが小松原淳と島崎潤一を誤認させる叙述トリックと,小松原淳の父がジョージという外国人で連続幼女殺人事件などの犯人だったということ。ジョージが外国人だったので,小松原淳もハーフで異人だとして登場していた人物が小松原淳だったというところ
 いくつかの作中作もあり,それらも若干スジに絡んでいるが,さほど効果的でない。作中作はなくても全体に影響がない。これも冗長さを感じさせる。読んでいるときは,もっと大きな伏線があるのかと思って読んでいるので,最後で作中作にあまり意味がなかったと分かると拍子抜けしてしまう。
 トータルの評価としては,ギリギリ及第点というイメージの★3。

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2020年02月07日

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