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Posted by ブクログ
ドイツロマン派の代表作。
フケーの水の精は、アンデルセンの人魚姫などにも影響を与えているらしい。
三島由紀夫の小説や、若草物語でも出てくる。
フルトブラントはひどい男だと思うけど、心変わりはするものだし、人間でない得体のしれないものを一生愛し続けるって難しいのは確か。
そしてウンディーネはいきなり素行の良いかつ悲劇的な人間になったけど、かえって人間じゃない感が生まれた。人間ってもっと自己的だし、変わっていくものだよなぁと。
でも、泣いたしとても素敵な小説だった。
水の精を題材にした、映画『水を抱く女』も観てきた。バッハのAdagio, BWV 974が美しい。
これは、ウンディーネがフルトブラントにあたる男性を殺し、水に帰るまでに、もう一人心優しい男性に出会い恋をする話。人生でたった一人しか愛せない、それが間違いでも運命を引き受けなくてはいけないって酷だなぁ。
だって、出会うタイミングに左右されるし、愛するって感覚がわからないまま人生がスタートしてゴールまでいってしまう。
Posted by ブクログ
若い頃読んだことがあったような、知ってるようなつもりで読み始めたところ、
知ってるつもりの物語の、何倍も面白かった。
年老いた漁夫ののもとへ、緋色のマントを肩にかけ、白馬にまたがった騎士がやってくるところからはじまる。
若く美しい騎士フルブラントは、森の中で迷い、ここに辿り着いた。森の中には妖しげな白装束の男や、醜い小人や子鬼たちが…馬を鎮めながら、白装束の男に追い立てられたるようにして森を抜け出た。
そしてこの親切な老夫婦のもとで、
"この世のものとも思われぬほど美しい金髪の少女”
ウンディーネと 宿命のようにであうのだった。。
この物語は、魂(こころ)とは無縁に育ってきた水の精の子ウンディーネが、フルブラントと出会い、愛を知り、魂を得てしまうが故に、不幸を知ってしまう物語。。
ウンディーネの生まれたての純粋な魂と、人生の波の中をだだよってきた、フルブラントとベルタルダの魂との対比が、物語を深く悲しくしていた。。
Posted by ブクログ
古典作品だけど訳の良さで読みやすかった。映画「水を抱く女」を観たので元ネタが気になり読んだ。フルトブラントを殺したくないのに殺さなければならなかったウンディーネ、愛する人を2人とも失くしたベルタルダ、どちらのヒロインも悲しくて何とも言えない後味でした。
Posted by ブクログ
水の精であるウンディーネが、騎士フルトブラントと結婚して魂を得た後、友人のベルタルダとの三角関係や川を支配する精霊である伯父からの妨害に悩まされつつも、夫となったフルトブラントとの愛を貫き通そうとする話。
ベルタルダはひょっこり出の存在ではなく、ウンディーネがフルトブラントと婚約する以前から養われていた漁師の夫婦の実子であり、ウンディーネとフルトブラントが居城に帰還するまでは大公家の養子であった。またウンディーネと出会う前からフルトブラントとは知り合っており、ウンディーネがいなければ結婚していたであろうところが三角関係を複雑なものとしている。ウンディーネが出自や親戚との関係上、人間たちとすれ違いを起こしやすい立場にあったのも、破局につながってしまったと考える。
しかし人間関係で上手く行かないながらも、精霊界からの圧力に屈することなく、愛する夫であるフルトブラントの命を最後まで助けようとしていたウンディーネの真心と行動は素晴らしいと思う。
Posted by ブクログ
涙で殺めて甘い痛み、浪漫だあ〜
作者の恋愛経験がもう劇的で小説だなと解説読んで思った。天真爛漫な初恋→騎士、貴族らしい戦略結婚→離婚、初恋への未練→文学に理解ある歳上貴族とデキ婚→暮らし捨ててスーパー歳下庶民と再々婚→妻に愛人、初恋の死、アル中…
好きになるって自分への誓いであるはずなのに、それを貫き通す強さは先天的なものではなく、常に愛情に揺らぐ。魂があるからこそ弱くて、寄り添い合うけど、そういう弱みを精霊は揶揄するとも受け取れるなぁ。
悍しい森、勇敢な騎士、美しいプリンセスなど、西洋の世界観に久しぶりに触れてなんか懐かしい気分。