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ソマリア、サッチ・ア・スウィートハートが好きすぎて。相変わらずとんでもないことが起きてるのに、人の気持ちはリアル。杣里亜に諦めんなって言いながら、徳永が「こんなのポーズだ」って思うところからもうボロ泣き。
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【スクールアタック・シンドローム】題名からしてもっとどうしようもない話だと思っていたのですが至極まっとうな話でした。親子愛にほっこり。好き。【我が家のトトロ】りえがいい女すぎる。これも家族愛が感じられて良かったです。りえと主人公のやりとりでなんか泣きそうになってしまった。こういう風に生きていけたらいいんだろうなと思う【ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート】グロいってか痛い。正直知りたくなかったことが書いてあったりしたけど主人公がアドレナリン全開になるさまとかすごく面白かった。色んなことを考察してまた読む必要がありそう。
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舞城王太郎という作家を好きになりました。
すべての作品に流れる非日常とは言えないが、決して日常とは呼べない風景に酔いました。
最初は「ちょっとおかしいんじゃない?」と思うような主人公の言動とかにも、そういう見方もあるのか、と思うようになる会話術というか読ませ方というか。
大津でいろいろ騒いでるときに読んだのも大きいですね。
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単行本『みんな元気。』より、「スクールアタック・シンドローム」「我が家のトトロ」を収録。に、加えて書き下ろしの「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」。
数年振りに読み直したら初読の時より10倍くらい面白く感じた。
自分が作品に追いついたようで嬉しい。
「スクールアタック…」の暴力性、「トトロ」の観念的な雰囲気は、どちらも舞城入門としてうってつけ。まだ舞城読んだことないんだけど私舞城好きになれるかなー?という人にオススメしています。
コレ読んでグロすぎ!とか意味わかんねー!って感じるんだったら多分体質的に舞城向いてないよ無理して読まない方がいいと思うよっていう。
「ソマリア…」は私の中で”読んだだけなのに傷付けられたような感覚に陥る作品”として分類されています。大ダメージ。
他の方のレビュー見て思ったんですが、舞城好きな人が舞城に大興奮して文章書くと、もれなく文体が舞城舞城しちゃってるのが興味深い。
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やっぱり舞城氏さいこう!!
文章のテンポがたまんなくて電車の乗り換え中すら読み続けた。
この人の文章がすきでスキで読んでる時ずばばばばってなってギャーってなって楽しすぎてそれだけで個人的には満点なんだけどね、ストーリーもぐっとくる。
グロくてもエロくても
やっぱせつなくて、泣きそうになる。
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『《手負いの熊》って俺ら全員そうだよ。皆何かに傷付いて怒って危険な状態なんだよ』
『部屋も人生もゆっくり悪くなるからどこまで酷くなってるんだか判断がつきにくい。』
『お前はお前で、《学校襲撃イメクラ》楽しんでたんだろ?コスプレだったんだろ?猫殺しも小説もあの包丁も、単なる衣装だよな』
『レスカが太陽でりえが地球なら、月は僕なのだ。永遠にりえと一緒に運動を続けるのは僕なのだ。』
『別にいいんだよ。自分のこと好きな男の人なんて、私他にいらないもん。慎平だけでいいよ』
『証明なんてどうでもいいよ。ホントに俺はりえのこと好きだし、好きなふりでも何でも、りえが俺に優しいなら何でもいいよ』
『ゆっくりでいいんだよ。これ以上勉強したら、人生じゃなくなっちゃうもん。』
『戦争のない世界。汚職のない政治。薄れない愛情。いつか必ず叶う恋。馬鹿馬鹿しいけど、そういうものってやっぱりホントは皆欲しいのだ。』
『でも、今ちゃんと生きることを考えて、そのまま明日、明後日のことを考えていたら、いつか死んじゃうなんてこと自然と考えないだろ?…ね?それでいいんだよ。大事なのは今をちゃんと生きることと、その次のことをしっかりと考えること、そうしていれば、いつか誰かが死んじゃうなんてこと、考えなくても問題ないからね。』
『愛している人間の言う、自分にとって「正しい」ことを目指して生きていけば、そして、そういうふうに今、今、今を生きて、明日、明後日、来年のことを考えていけば、それで僕は人生満足だ。』
『いいやろ最後に本当のことくらい!あんたには私の身体あげるんや!心もちょっとくらいはそん中に入ってるわ!言葉くらいいいやろ他の人にあげても!』
『杣里亜。ありがとうはいいよ…友達なんだから、できることをしたかっただけや。それができんくて、本当にごめん。それだけや、俺は』
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ソマリア、サッチ・ア・スウィートハートだけで★5つです。
ヤバい。これはヤバい。
特に主人公がボッコボコにされるのをソマリアが庇う場面、主人公がソマリアにほとんど愛情に近い感情を持ったあたりがたまらーん!
「キスしようか」「バカ」とか、泣きながら言ってんじゃないよう、こっちも泣きそうになるじゃないですか、ううう。
世界の痛みを背負う少女、ヒロインを救えない少年、衝動に素直なせいで板ばさみの彼女。
なんてセンチメンタルなんだ、と思わせそうで絶対悪の淳一に対して憎悪を感じさせるところが舞城。
エロくてグロくてスカトロジーでカニバリズムなのにホロッとさせるのが舞城。
タイトルに「スウィートハート」とか入れてくるところが舞城。
ソマリア、助けて欲しかったな。でも17歳なんて非力なものですよね。
世界を守るために食われ続けて増え続けるソマリアを、この話では救うことが出来ないけど、それを救済する話がディスコ探偵水曜日なんでしょうね。
どちらにせよ名作です。
09.03.29
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元々は『みんな元気。』という単行本で出版されたのが、文庫化にあたって『みんな元気。』と『スクールアタック・シンドローム』に分冊されている。『みんな元気。』の収録作は「みんな元気。」「Dead for Good」「矢を止める五羽の梔鳥」。『スクールアタック・シンドローム』は「我が家のトトロ」「スクールアタック・シンドローム」に書き下ろしの「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」だ。
電子書籍で全部読もうとすると『みんな元気。』は単行本版で電子書籍化してしまっているので『スクールアタック・シンドローム』(文庫)は「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を読むためだけに買うことになる。もう少しどうにかならなかったのかと思うが、この「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」がかなりの良作で、この一編を読むためだけに買っても後悔はないと思う。人によっては「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」をベスト舞城に挙げる人もいるとか。
以下「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」についての感想(ネタバレあり)。
「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」が舞城作品の中でも際立った作品であることは間違いない。どこが際立っているかというと、この短編では主人公に純粋さ(自分の感情に正直で屈託のないこと)があるにも関わらず、ことが解決せず終わる。私は舞城作品をようやく半分くらい読んだところだが、少なくとも「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」までの作品で、このような結論をとった作品はなかった。舞城作品では共通して、自分の感情に正直であることが重要視される。自分の偽りなき感情や、ときに偽らざるを得ないという心情を、受容することで主人公は問題を乗り越えていく。ときには殺人事件などの不可逆的破壊によって、一般的に平和と呼ばれるような理想的な状況に回復しないまま終わることもある。それでも、舞城作品の主人公たちは、どうしようもないことを受容することで、ニュートラルに、自分の人生を生きるすべを見つけていく。「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」は今までのそういった純粋性至上主義に対するアンチテーゼのような作品だ。そもそもが死の悲しみやままならないことへの足掻きに対するアンチテーゼとして舞城王太郎作品はあったけれど、今作はそのさらに揺り返しをやろうとしている。「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」では主人公はステレオタイプ的な恋愛や友情を脱して、ただ相手を大切にする想いを「友情」として再定義して、杣里亜を壊そうとする家族から彼女を救い出そうとする。しかし力及ばず、諦めざるをえない。そこで諦めるしかできないことにも真剣に向き合おうとする。ここまでは舞城作品的主人公のあり方なのだが、そこからこの作品では、主人公と杣里亜の関係が自然消滅してしまう。そして、主人公は、どこかそのように関係が遠ざかってしまったことを受け止めきれていないように読める。「杣里亜が俺の真の友達だったことって一度でもあっただろうか?」とまで言ってしまう。その後に、真の友達なんてなくて友達は友達で、自分から遠いところにいても幸せになって欲しいと『好き好き大好き超愛してる。』の冒頭の独白に通じる"祈り"の文章へと繋がっていくのだが、「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」の"祈り"は儚い感じがする。冒頭のソマリアについての解説を回収する形で紡がれるラストの言葉は、短編小説の構造としてはとても美しいけれど、同時に諦観を帯びているように感じた。
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デスメタルで演奏されるマタイ受難曲のような、3つの短編。どれも死が過ったり、直面したりもするけれどトイレをするように軽い。
好きじゃないけど、凄い熱量で一気に読んでしまった。
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10年ぶりくらいだろうか。再読
「スクールアタック・シンドローム」
15歳の時に生まれた別居中の息子。その息子がノートに学校襲撃計画を立てているという話。一応父と息子の関係、それから「暴力は伝染する」、「過剰防衛、マタギ(攻撃者)と獲物(被害者)?」といったことがテーマなんだろうか?舞城の主人公たちは考えていることを直接的に表現するから、普通は物語の進行とか、ストーリーを通して間接的に表現するんじゃないのかな?ってことまで何だか解説してくれているみたい。
他の作家だと説明しすぎて嫌になるようでも、舞城の作品であればそれほど気にならない。また見開き全ページ軽い調子の会話文だけで構成されているようなのも懐かしいおなじみ。
ただ、舞城の主人公たちはいつも自分が正しいかのように振る舞う。もちろん間違っていると自覚していることもある。でも、この話でも息子は結局猫を殺しているわけだし、自分が無職であって酒に溺れてたことを、そういう時期もあるとして片付けているようにも読めないだろうか。全体を通して、なんやかんやで看過できない一線は超えてない、これでいいんだ、みたいになっているけど、結局のところ「ソマリア」の話もそうだけど倫理的にアウトなものもある。どうかなと思うものもある。スクラップの過程もないし、ビルドも他力というより自力で気づける主人公。
「我が家のトトロ」
本来の生活からの逃避なのか、救いなのか、そうしたものを「トトロ」と呼び、表現している小説。これも自分自身で、短編のテーマを解説しちゃっている。それとも何か別のテーマがあるのかもしれない。読後感は一番良かった。
「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」
暴力をさらっと描いている。救いのない話だった。ただ、「ソマリア」は何度も蘇っているし、どんな残酷さもさらさらと日常に同化していく。
そういえばディスコ探偵でも、ある「想い」が具現化して作り出される「分身」のモチーフはあった。
これぞ初期の舞城という感じ。主人公は本書中一番素直だったかもしれない。
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三編収録の短編集。
最初の二編はもっと凄い展開になるのかと思いながら読んだのだけれども、意外とまともに完結。
それはそれで面白かったのだが、「ズボンを穿いたまま便座に座ってパンツの中にプリプリプリ~とやった」人間が主人公の割にはその後の展開は普通すぎて、ちょっと肩すかし。
「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」は凄いなと思った。
この作品だけであれば間違いなく満点。
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この本収録の、「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を読んで、おおいに頭を抱えた。この後味の悪さ。優しさ。無力感。
自分の生きている世界こそが現実なのに、その現実はなんとグロテスクで即物的なのだろう。私達はこの現実に対して、どうやって立ち向かえばよいのだろう?
「でね、あんたが言うの。どんなに綺麗な夕日よりも私の人生は美しいんだから、そんなちっちゃい夕焼け空なんて拝んでないで生きようぜって」
でも、どうして守りたいものを守れないの? どうして助けたい人のことを誰もが助けたいと思わないの? 私のこの気持ちも嘘で、ただの偽善=ポーズなの?
なぜ物語が必要なのか、どうして私達は物語るのか、それは想像ということそのものが一種の救いであるからかもしれない。このお話の恐ろしい事実はただ事実として繰り返される。何度も繰り返されて、主人公はそれを止めることができない。
けれどなぜこんなにグロテスクでめちゃくちゃな物語が切ないのか、それはイメージの美しさがあるからだ。この短編の「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」という素敵なタイトル、ソマリアという紛争の絶えない地域の国旗になぞらえて終わるラスト、杣里亜が語る死後のソマリア(?)で見る夕日の情景……それらは現実には存在しない。みんなイメージで、実際に「起こった」とされていることではない。作中人物が想像上で思ったり見たり体験したこと、あるいは読者である私達が受け取ったイメージである。
けれどもそれがこの陰惨な物語を美しくする。事実とは無関係であっても、無関係であるからこそ。そしてそれが想像力の力であり、救いなのではないかと思う。
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【本の内容】
崇史は、俺が十五ん時の子供だ。
今は別々に暮らしている。
奴がノートに殺害計画を記していると聞いた俺は、崇史に会いに中学校を訪れた。
恐るべき学校襲撃事件から始まった暴力の伝染―。
ついにその波は、ここまでおし寄せてきたのだ(表題作)。
混沌が支配する世界に捧げられた、書下ろし問題作「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を併録したダーク&ポップな作品集。
[ 目次 ]
[ POP ]
わけわかんねえ、でもなんか、心の芯に突き刺さってくるんだよなぁ、という感じがとっても気に入っている舞城王太郎さんの文庫最新刊。
「スクールアタック・シンドローム」「我が家のトトロ」「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」からなる短編集。
全部大好きだけれど、私は表題作が一番好きだな。
というわけで表題作について触れると、とにかく自宅ソファが気に入ってしまってそこから動けない主人公の話なのである。
そこになぜか知らない人が乗り込んできて、なんだかわからないうちにそいつの耳を食いちぎって、そして飲み込んでしまう。
もうこれだけでも私は爆笑してしまってでもちょっと物哀しくて泣けてしまった。
そして耳をくいちぎられたやつはとっとと出て行って、川原まで行ったところで、そのへんにいた人間に対して暴力をふるう。
暴力は伝染するのだ。
そんな主人公が15のときにその子どもとして生まれてきた崇史。
こいつはこいつで、学校を襲撃する計画をノートにびっしり書いている。
これも暴力の伝染のうちのひとつ。
破天荒な主人公とそのまわりの人々、そのありえない世界の中で、私たちが抱えているつらさとか切なさとかよくわからない気分みたいなものがめいっぱい書き込まれている作品。
ほんとうにもう、私はこの作品を読めただけで、今後まともに生きていけなくてもいいか、ととても励まされました。
絶対に読んでおくべき舞城作品です。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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短編集。
単行本の『みんな元気。』に収録されていた、「スクールアタック・シンドローム」と「我が家のトトロ」の2編に加え、書き下ろし「ソマリア・サッチ・ア・スウィートハート」1編。
3つの中であたしが一番気に入っているのは「スクールアタック・シンドローム」です。
なんか、よくわかんないんだけど、わかる気がする。
ん〜…。
たとえば、帯にも書いてる「暴力は、伝染する」というワード。
基本的には、そんなわけないだろう、と思うのだけど、でも、そういうこともありうるかも、みたいな。
話は少し飛ぶのだけど、江國香織の『すいかの匂い』の解説で、川上弘美(←あたしはこの作家も好きです)が、江國香織の文章を読むと、「今まで一度も思ったことがなくても、いつの間にかそう思っている。大昔から、そう思っていたような気分になっている。」と述べています。
そういう感じ。
舞城王太郎の文章も、江國香織の文章とはスタイルは全く違えども、なんか、そんな感じ。
実際にはありえないような状況でも、あ〜、ありえるかも、みたいな気分になって、そういうことが起きたらあたしもそうしちゃうかも、あたしもそう考えるかも、みたいな。
ペテンちっく。
でも、そういうとこが、すごいなぁと。
で、舞城王太郎の文章が、読んだ人にも登場人物と同じように考えさせ、感じさせる力があるのだとすれば、それはやっぱりスピード感のせいかなぁ、と思ったり。
舞城王太郎の文章は、いきなりすごい話が飛ぶんだけど、その飛び具合、あるいはその飛んだ先での思考の増殖(?)具合が、まさに思考そのもの、って感じ。
意識のオートポイエーシス?
…って、ここまで書いて、てか、これ、舞城王太郎の文章全般についての話であって、「スクールアタック・シンドローム」に限った話じゃないじゃん、と思ったり。
ん〜、そうすると、あたしは「スクールアタック・シンドローム」の何が気に入ってるんだろう?
よくわかんない。
雰囲気?
ま、いっか。
Posted by ブクログ
自宅に闖入してきた犯罪者の耳をいきなり食べちゃうような、
最悪な父親なんだけど、息子達にはしっかり善悪の指導をしてくれる。
そして、息子のために学校の先生とも対決をしてくれる。
良い選手は必ずしも良いコーチとは限らず、良い導き手は必ずしも聖人である必要は無い。
良い選手に越したことはないのだろうけど…
いつも舞城作品は、一人の人物に対して人格を二重にも三重にも被せてくる。
それが逆に登場人物をリアルに感じさせているのかもしれない。
Posted by ブクログ
雰囲気の違う短編が3つ入った話
【スクールアタック・シンドローム】
世界観が舞城だなぁ、と思いました。
事実として起こったことはやっぱり変態的なんだけど
父子愛というか信頼というか、ポップだけど暖かくなる話でした。
【我が家のトトロ】
すごい好きだ。
暖かい。
もしかしたら全部妄想の中の小説なのかもしれないけど
皆が素直で真っ直ぐで、レスカの描写も可愛かった。
【ソマリア、サッチアスイートハート】
…短いながらも、物凄く重い。
トトロの後なので、びっくりしちゃいました。
読んでて辛くなるけど、さすが面白かったです。
いや、面白いっていう描写よりも何だろ〜
それこそ「最後まで読んじゃう」に近いのかな
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どれも良かったんだけど、特に「これが好きだー!!」っていうものも無かったかも。相変わらず舞城王太郎は凄いなぁ好きだなぁって感じで、特に新しい驚きや衝撃はなかった。
トトロ好きなこともあって「我が家のトトロ」が1番印象に残る。
飼い猫をトトロだと言いはる娘。その父親の“僕”は脳外科医にならなければならないという夢を持っていて、元同僚の濱田は小説家を目指して≪面白い小説≫を求めている。
いつか幻滅しないために「トトロなんていない」って現実を思い知るのも必要かもしれない。でも、いつか先の自分の夢を潰しておくことなんかより、今できる他のことを精一杯するべきだってこと。そうすれば、叶わない夢を叶えることはできなくても、自分で昇華することはできる。
トトロの考察にはなるほどーと思う。トトロ好きは必見と言いたいところだけど、この冒頭に耐えられるかどうか。
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短編三作品を収録しています。
「スクールアタック・シンドローム」は、30歳の父親と15歳の息子の物語。精神を病んでしまったことを理由に、ソファで日がな一日すごしている三田村は、家のなかに入ってきた知らない男と乱闘になり、彼の耳をかみ切ってしまいます。その事件は、暴力の連鎖のなかの一コマを占めていたことが明かされます。一方、別居中の元妻の恭子から、息子の崇史が学校を襲撃する計画のノートを記していたことがわかります。三田村は、親として崇史との心のつながりを得ることができないものの、崇史の振る舞いもまた、暴力の連鎖の一コマであったことがわかり、親子のきずなとはべつの共感が生まれたことが示唆されます。
「我が家のトトロ」は、太陽のように輝く美しい毛並みをしている猫のレスカと、家族の物語です。脳の研究者にならなければならないという天啓を受けて、勤めていた広告代理店を辞め、受験勉強をつづけている慎平は、娘の千秋が、トトロのように大きくなったレスカに乗って、空の旅をたのしんだという話を聞きます。さらに妻のりえも、千秋の「トトロごっこ」をいっしょにたのしんでいるようすで、慎平は自分たちが希望をもっている「ふり」をしながら生きていることに思いをめぐらせます。
「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」は、家族やクラスメイトたちの暴力を一身に受けつづけている杣里亜という少女をめぐる物語。徳永と交際している智春は、世界のゴミをゴミ箱に入れるように、杣里亜に暴力を振るい彼女を殺害しますが、死んだはずの杣里亜はなぜか蘇生して、徳永の前にすがたを現わします。
「スクールアタック」と「ソマリア」は、著者らしいテイストの作品です。「トトロ」は、伊坂幸太郎を思わせる内容で、著者はこういう作品も書けるのかと、すこし意外に感じました。
Posted by ブクログ
ひきこもりのダメ親父と、学校襲撃を妄想する息子
暴力は伝播する
医学部受験を目指して何年も何年も落ち続ける夫と
支える妻、娘
何回でも生き返る力を持った少女と
虐待する家族
疾走する文体、救いがあるようなないような文章
好きな人はものすごく好きかもしれないけれど
私には無理でした(汗
Posted by ブクログ
初の舞城作品。
設定とか人物とかめちゃくちゃなのに、言ってることとか、テーマが真っ当だったりするのが面白い。
ソマリア~はなんじゃこりゃな話なのに、鮮烈な印象。
不思議な作家。
Posted by ブクログ
―――崇史は、俺が十五ん時の子供だ。
奴がノートに殺害計画を記していると聞いた俺は、崇史に会いに中学校を訪れた。
恐るべき学校襲撃事件から始まった暴力の伝染―。ついにその波は、ここまでおし寄せてきたのだ(表題作)。
混沌が支配する世界に捧げられたダーク&ポップな作品集
慣れてくるとめちゃくちゃ楽しい舞城作品
表題作では『暴力・狂気の伝染』に少し納得させられ
「我が家のトトロ」では
トトロ考察の新境地を見て
「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」では変態と女子割礼の話で背筋が凍る
マジで女子割礼のくだりは勘弁していただきたい痛すぎる