【感想・ネタバレ】遠足型消費の時代 なぜ妻はコストコに行きたがるのか?のレビュー

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Posted by ブクログ

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○中澤氏と古市氏の共作。
○身近な商品を例に、ビジネスとは違った観点から、消費者の行動を分析した、社会学に関する著作。
○表現が分かりやすい一方で、緻密な分析で時代を捉えている印象。

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2014年01月06日

Posted by ブクログ

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世代論が書かれていると読んでみたが,どちらかといえばマーケティングよりの話.さらに,雑誌「マート」と「リー」について絶賛しているあたりがマーケティング領域の事実解釈なのかなと思った.

世代意識については,「ギラギラ」と「きらきら」で対比させて紹介.
海外旅行型消費と遠足型消費で対比させて紹介していた.

遠足型消費:ささやかだけど,楽しく生きていくのに十分な幸せをもたらしてくれる.ちょこ楽しい生活.
日常の中でちょっとした幸せを見つけ,それなりに「きらきら」したショップが軒を連ねるショッピングモールやアウトレットやスーパー温泉で家族と過ごし,たまに六本木に出かける生活.

遠足型消費は「今日のように明日も生きるための知恵」と言ってもいい.ただ繰り返していくだけの毎日には耐えられない.いっそ何もかもを投げ出したくなる時もある.だけど,仕事がある.家族がいる.子供がいる.すべての日常を捨て去って,一人旅に出るなんてことは,なかなか出来ません.そんな時に出番となるのが遠足型消費.

キーワードとしては『非日常感』これは納得.

読み物としては読みやすくおもしろかった.


消費社会論が言うように,人が絶え間なく「差異」を求めてモノを買い求めるとするならば,「どこにでもあるもの」「あたらしくないもの」に価値はない.時間的に「ここにしかない」(新しい),空間的に「ここにしかない」(珍しい)時に,モノは輝く(きらきら)


第一章のまとめ
・生活必需品ではないし,安くもないものが売れている
・19世紀の百貨店と同じくらい21世紀初頭のコストコは輝いている
・お父さんも駒沢ママもコストコが大好き
・日常と地続きの「日帰り遠足」のような消費が人気
・「小さな非日常の種」を探して,モノを売れ
第二章のまとめ
・日常の延長として消費やレジャーを楽しむ「遠足型消費」の時代
・自動車が十分すぎるほど普及した「豊かな」日本社会
・装飾用のマスキングテープがまさかのバカ売れ
・綿密かつスピーディーな仕掛けで売れた「ルクエ」
・日常を楽しくしてくれるモノにヒットの芽がある
・東京ミッドタウンとイオンモール川口キャラは同じ
第三章のまとめ
・「格差社会」や「マス崩壊」というのはモノが売れない言い訳
・「格差社会」や「マス崩壊」は宣伝されるほど進行していない
・いつの時代も「モノが売れない」と言われてきた
・現代でも,質実剛健な実用品だけが売れている訳ではない
第四章のまとめ
・女性誌「リー」が選ぶモノには間違いがない,とみんなが信じている
・ヒット商品の裏に女性誌「マート」あり
・伊勢丹新宿店は「食まわり」もファッショナブル
・「雑貨」という一言では言い表せない多様な世界がある
第五章のまとめ
・「共感マーケティング」を制する企業が市場も制する
・重要なのは,いかに「感度が良い人」を囲い込めるか
・消費者は想像以上に移ろいやすくて気まぐれ
・アメリカでは「死のショッピングモール」が問題になっている
・絶対的貧困の暮らしをする人の数は減っている
第六章のまとめ
・「キラキラ・チャリティ」がすべての人を巻き込む新たなトレンドに
・北米を支える強烈な同胞意識は,日本が一朝一夕で真似できるものじゃない
・マーケティング担当者は埼玉県に行け!
・男性中心の官僚主義の限界が様々な局面で露呈している
・日本社会は徐々に「女こども」化しつつある

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2012年02月17日

Posted by ブクログ

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「キラキラ」「非日常感」がキーワード。遠足型消費は「今日のように明日も生きるための知恵」というまとめの言葉が効いた。確かに、特に用もないのにショッピングモールに出かけるとアガる。

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2012年02月26日

Posted by ブクログ

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「不況でモノが売れない」、「若者の〜離れでモノが売れない」、世間のお父さんたちがつい口走ってしまうこの言葉。しかし、この言葉は本当に社会の本質を捉えているのだろうか。世間をぼやくお父さんたちに「今どきの消費」を説く社会学的マーケティング本。

消費行動が必要性と密接な関係にあった高度経済成長期は、今のように記号的付加価値=キラキラ感をつけなくてもモノは売れた。車・冷蔵庫・洗濯機etc、生活を便利に、豊かにするために機能性を重視してモノを選んでいた時代だ。しかし、やがてそうした生活必需品が飽和状態になると、次に消費者は「キラキラ感」を求めるようになる。

「デフレ」や「経済格差」や「マス崩壊」と言った、モノが売れない言い訳に対する批判も社会学的見地からなされている。どの時代でもモノが売れない理由というのは常に発見されて続けているのだ。また、「若者の〜離れ」に対しては「飽和状態だから売れなくて当然」とバッサリ。常にやり玉にあげられる若者の一人としては大変心強い。

記号的消費など、消費社会学の中では語り尽くされてきた内容が多いが、口上にて「これはお父さんのためのレクチャー本」と前置きしているからこれで良いのだと思う。語り口が軽快で分かりやすく、普段こうした本になじみのない人でもすっきりと読めるだろう。


余談だが、古市さんの語り口、章まとめ書き方などは明らかに『反社会学講座』を彷彿とさせる。同い年で、同じ社会学の道を通ったものとして、その本の影響があるのかどうか、どこかの機会に聞いてみたい。(どこで?)

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2012年01月24日

Posted by ブクログ

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<内容>
生活に必要なものは一通り揃い、モノが売れない「嫌消費時代」とも言われる現在において、なお売れているものにはどのような共通点があるのか。女性や子ども(若者)を中心にヒットした商品を分析し、近年の消費の在り方を紹介した一冊。

<感想>
「不況でモノが売れない」というのは、いい加減聞き飽きたフレーズである。若者の車離れで車が売れない、最近の若者は遊びを知らない、だからますます景気が悪くなる。そういう言説を聞くと辟易するのは自分が若者だからかもしれないが、安易にそういう言葉を口走りがちな「お父さん」たちに向けて(ちょっと挑発的に)「今どきの消費」についてレクチャーしてくれるのが本書である。

「キラキラ」が必要性と密接に関係していた時代には、車・洗濯機・冷蔵庫などがバンバン売れた。さらにその後、消費がアイコンとなった時代には「キラキラ」はステイタスと結びつき、ヴィトンなどのブランドや海外旅行などが消費の中心となった。このように、モノを消費するにあたって「キラキラ」したものが必要だというのは昔も今も変わらないのではないかと思う。では現代の女こどもはその「キラキラ」を何に求めているのか。

ハワイで豪遊したり、ヴィトンのバッグを揃えたりするようなバブル期の浮ついた消費を「海外旅行型消費」と呼ぶとすれば、ちょっとした非日常感を味わえる程度の現代の消費志向は「遠足型消費」と名付けられる。日常の延長にちょっとワクワクを見出す消費のあり方について、その最たる例としてコストコやIKEA、さらには郊外型の大型ショッピングモールにときめく主婦たちの姿が示される。

また、第3章では「デフレ」「経済格差」「マス崩壊」など、モノが売れない言い訳にされがちな言説に対する批判がなされる。全体を通してかなり好みが分かれる文章(なんだこのふざけた文章は、と怒る人もいるかも)ではあるが、個人的にはなかなか小気味良いものだった。

高度経済成長の時代をとうに終え、「成熟」のステージに立っている日本において、こういう遠足型消費はますます浸透していくのではないか。非常に興味のある話が網羅されていて、個人的にはかなり参考になる一冊だったように思う。

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2011年12月31日

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