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Posted by ブクログ
すがたの見えない「お兄ちゃん」と彼に取り残された月夜。
苺味のキスはお兄ちゃんにとってはアーモンド味のキスだったという残酷すぎる同時に訪れる恋のはじまりとおわり。
お兄ちゃんの描写は月夜の美化された記憶の中でのものだったけれど、私も気づいたらイチゴのようにお兄ちゃんのことが好きになるお話だった
Posted by ブクログ
キスをした直後に義理の兄、奈落が死んだ。パープルアイを持つ«もらわれっこ»の月夜は突然の悲劇から目を背け続ける。おとうさんは月夜を現実に引き戻そうとする。そして«天才的現実主義者»の長男、一郎は非現実的なことを言う月夜を厳しく避難する。この小説はページを捲りながら、ただただ息が詰まりそうだった。私は苦しくてたまらなくなるような小説が好きで、桜庭一樹さんの文章が大好き。月夜は奈落に向けて「えいえんに大好きだからね」と言う。永遠をえいえん、と平仮名にして言葉にするところが個人的にすごくお気に入り。だって柔らかくて、丸くて、綺麗で、夢みたいな響きだと思う。おとうさんは奈落が亡くなってからの日々をどうにか«正常»に戻そうと必死だったように思える。激しすぎる悲しみに沈む月夜に怯えながら、たくさんのものを守ろうと。最後の、さよなら、ぼくのパープル・アイ。生きて、元気に暮らせ。もう逢うことはないだろう。をもう一度書くところが大好きです。