感情タグBEST3
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すがたの見えない「お兄ちゃん」と彼に取り残された月夜。
苺味のキスはお兄ちゃんにとってはアーモンド味のキスだったという残酷すぎる同時に訪れる恋のはじまりとおわり。
お兄ちゃんの描写は月夜の美化された記憶の中でのものだったけれど、私も気づいたらイチゴのようにお兄ちゃんのことが好きになるお話だった
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キスをした直後に義理の兄、奈落が死んだ。パープルアイを持つ«もらわれっこ»の月夜は突然の悲劇から目を背け続ける。おとうさんは月夜を現実に引き戻そうとする。そして«天才的現実主義者»の長男、一郎は非現実的なことを言う月夜を厳しく避難する。この小説はページを捲りながら、ただただ息が詰まりそうだった。私は苦しくてたまらなくなるような小説が好きで、桜庭一樹さんの文章が大好き。月夜は奈落に向けて「えいえんに大好きだからね」と言う。永遠をえいえん、と平仮名にして言葉にするところが個人的にすごくお気に入り。だって柔らかくて、丸くて、綺麗で、夢みたいな響きだと思う。おとうさんは奈落が亡くなってからの日々をどうにか«正常»に戻そうと必死だったように思える。激しすぎる悲しみに沈む月夜に怯えながら、たくさんのものを守ろうと。最後の、さよなら、ぼくのパープル・アイ。生きて、元気に暮らせ。もう逢うことはないだろう。をもう一度書くところが大好きです。
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ありがちなストーリーも、謎の世界観やら、不思議な語り口やら、妙なキャラクター設定やら、で新しい感じになるんだから不思議だ。
いやまぁ言うほど目新しいわけでもないんだけど、身近な人の死を乗り越えるのに時間がかかってやっと死に向き合って周りの人たちも死を忘れようとしていたけどそれじゃダメなんだと気がついて新しい旅立ちである。
と、略し過ぎだけど、一番辛いのはなみちゃんで、頑張って無理して話しかけたけど酷い扱いを受けて、でもって主人公はまぁ友達を傷つけたけどしょうがないかー、的な。いやこれはなみちゃんの将来が危ぶまれるが、しょせんはメガネの地味な子なのでこの扱いもやむなし。なにしろ美男美女ばかりでてくるこのお話、下手に思春期に読むとやばそうよ。
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表紙とタイトルに惹かれて借りた、もらわれっ子で紫
の瞳をした月夜とだいすきな奈落のお話。結末で驚い
てあって声出ちゃった。少し泣いた。
#さよならぼくのパープルアイ
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桜庭一樹が中堅作家としての地位を確立した後に、初期作品群を思わせるような"地方都市と少女"を書いた作品
初期作品群の雰囲気を残しつつ、円熟した筆致で語られるストーリーは見事
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喧嘩と仲直りを繰り返す、女子特有の交友関係をなぜこんなにうまく描けるんだろうと思ったら女流作家さんでした。GOSICKの原作者さんだったとは、知りませなんだ。
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桜庭一樹さん!「砂糖菓子~」の時も思ったけど、読み終えた後の不思議な感じ(でも、爽やか)好きだな。最初は、月夜の幼い感じや変な一人称が鼻についたけど、後半は逆に、アンバランスな文章が凄く心に響いた。この人の書く人物、凄く魅力的。お父さんや、兄貴、お兄ちゃん、イチゴ先輩、密、約…みんな。桜庭さん、好きな作家さんに追加!
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パープル・アイと尖った犬歯の女の子の月夜。
貰われっ子と自分の外見がコンプレックスな月夜はお兄ちゃんを突然なくしてしまう。
お兄ちゃんの死に関する秘密と罪悪感、喪失感を抱きながら過ごすうち、死んだはずのお兄ちゃんを感じ出す。
大好きだった人の死から始まるので涙腺崩壊。
そりゃ、乗り越えられないだろう。
思春期だぜ?目の前で大切な人が死んじゃうんだぜ?
仕方ないよ。
ボロクソ言われてる主人公の性格も私はいるよこんな子いるよ。
こじらせちゃったンだけど仕方ねーよ、環境とかさ。
あと、能を参考にして思いついたって後書き仰ってたのでヒロイン像は多少は仕方ないんじゃない?
能とか文楽とか狂言とかの若い娘達は割と自己中心的で突っ走てて、自分に酔う感じなので。
それに月夜はそれによって親友を一人無くしたわけだからね。
ちゃんと割食ってるよ。
月夜を救うシーンでイチゴや家族が月夜を引っ張るのがまさに死の世界との境界から呼び戻す行為に思えてまたこれにボロボロ泣いた。
イチゴ、あんたいい事言うよ。
口悪いけど言ってることは月夜のこと思って言ってるだもんな。
あの2人組や月夜の外見は本当の花を見せにきたに繋がるんじゃないかなーと個人的に思ってるので読み比べもしたい。
まあ、外見を特殊にすることによって月夜の疎外感や異質なのを強調するだけかもしれんが。
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桜庭さんの作品は久しぶりに読んだかもしれないです。
死者が絡む物語は、胸が締め付けられてしまいます。
わかっているのに涙腺崩壊寸前でした。
他の家族と血の繋がりがない主人公が、兄を喪ったことで自分を追い込んでいるような辛い空気が感じられた。
兄の死の真相が吐露される場面は辛くて切なかった。
終盤で救われたような展開になってホッとした反面、完璧にハッピーエンドではないホロ苦さも感じました。
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ある一家に引き取られた女の子の大好きなお兄ちゃんが死んでしまった。
そこから、彼女、月夜と死者であるお兄ちゃんの奈落の物語が始まる。
能を観た時に思いついたというこの物語。死者と正者の交流は能の世界では当り前ですが、この物語で描かれる死者と正者の交流は胸が押しつぶされるように苦しくて切ない。
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独特の文体、リズム感、あぁ〜桜庭一樹さん全開だ〜って本でしたね。
主人公の月夜が確かに芝居染みててイライラするの、わかるぞ!と思いつつ、お兄ちゃんの“奈落”って名前の付け方どうなのよと思ったり…
とっ散らかってるような話に見えて、最終的には支社と向き合う生者の話という一貫したテーマがあって興味深かったです。
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主人公の女子高生月夜は、もらわれっ子でパープルアイ。紫の瞳の人は、世界人口の2パーセントだと聞くから、本当に希有なシチュエーションです。
本人を含む兄弟全員がものごころついてからの養子で、容姿の違いがあるから、家でも地域社会でも血縁で結ばれた家族であるふりはできません。
思い切り共感しずらいシチュエーションの主人公です。
しかし、自分にとって悲しくてたまらないことを「もう悲しむな」と言われる時のやりきれなさは、多くの人経思い当たることがあるのではないかと思います。
月夜は喪失の悲しみの他に秘密にも苦しんでいて、ついつい面倒な娘を見守る家族に同情しながら読みました。
小説を読むのに主人公の気持ちになる必要はないんだなと思い出しました。
展開には飽きさせないスピードがあり、「腑に落ちる」ラストです。