【感想・ネタバレ】何者のレビュー

就職活動に奮闘する大学生の青春群像劇だと思ったら、最後ものすごいスピードで私の期待を裏切っていった作品(いい意味で)。
就活自体もリアルで重い感じなのに、より話のコアとなるモラトリアムや自我や自意識についての語りがとにかく心をえぐってくるので、心当たりのある方はご注意ください。

「俺は企業に入るんじゃなくて個人として生きていく」と宣言しておきながら隠れて広告代理店を受けていた友達、平凡な日常をキラキラ&ポジティブに変換してSNSへ投稿する友人、夢を追いかけて芝居の道に生きる決断をしたもののネットで叩かれまくっている仲間。
理想の「何者」かになろうと必死な友人の姿は、冷静で客観的な主人公からするとどこか痛々しい。それは巷でよく言われる「意識高い」という悪口にも似ている。
でも本当に痛々しいのは、本当に仲間たちのほうなんだろうか。

誰かの行動に批評ばかりしていても、本人は一生「何者」にもなれない。理想に近づきたければカッコ悪くても、がむしゃらに行動するしかないのだ。
クライマックスでの友人との口論が、心をえぐりつつもとても心に沁みる。年明け1冊目としてはなかなか良い、今年も頑張ろうと思う作品だった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年05月12日

何者という言葉はよく自分の中で回顧してしまいます。というのも、ある曲の歌詞で、
「何者にもなりたかった、何者にもなれないから」
という歌詞があって、自分のことを言っているようで突き刺さってたからです。関係ない話か。

登場人物たちはそれぞれの理想かつ心の安らぎとなる何者を演じていたのかな?瑞月はあま...続きを読むりわからなかったけど。良いやり方とは言えないだろうけど、それぞれなりたいものがあるだけ良いなとも思った。

あと拓人がギンジに対して思うことが、過去の自分に重なりすぎて、朝井さん僕の心読んでたんですかって言いたくなる。ある意味恐怖。

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Posted by ブクログ 2024年05月11日

大学生の頃就活に苦戦してた自分と重なってものすごく共感できた。
ラストは胸が締め付けられるような感覚になる。

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Posted by ブクログ 2024年05月02日

自分と照らし合わせてなんか虚しい気持ちになった。自分性格悪いんだなって
現代人はみんな刺さると信じたい

途中まで主人公に自己投影して読んでたら最後どんでん返し。説教されてる気分になった。
友達と就活してたらこうなってたのかなー

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Posted by ブクログ 2024年04月28日

『自分は何者であるか』に向きあうことを避け、代わりに他者を分析し批判することで、充足感を得る主人公。虚しいけど現代人の心の闇にハっとさせられました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月04日

こういう意識高そうな振る舞い、SNSでもよく見かけるよな〜と思って読み進めていたら、後半で心臓がキュッとなりました
なりふり構わず全力投球でいいんだと思えた

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Posted by ブクログ 2024年03月28日

解説の通り
主人公に共感しつつ
いつのまにか芯を突かれる感じ!
めっちゃおもしろい!
光太郎みたいになりたい。

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Posted by ブクログ 2024年03月27日

主人公と読者の関係を上手くついた後半には、衝撃を隠さずにはいられなかった。

就活におけるあるあるをリアルに描いていて、主人公のように達観していたこともあったなと過去の自分に対して嫌悪感を抱いてしまった。

何者にもなれずに終わるか、カッコ悪く何者かになるのか。
そういう生き様が問いかけられてるよう...続きを読むな気がした。

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Posted by ブクログ 2024年03月20日

人間の本質が見えてる感じが好き。
主人公の視点で描かれてて、自分を客観的に見れてない感じもリアルで面白かった。

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購入済み

ありのままで頑張ろ

c
2022年07月05日

格好悪いとしても、そのままの自分で頑張るしかないと、格好つけようとしても自分以外にはなれないんだと、突きつけられた。頑張るしかない、頑張ろ

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購入済み

リアル

2019年04月06日

現代の若者のリアルな姿。
SNSと就活。とても読みやすかった!多分、sns世代の私だからかな?
受かる受からないに囚われすぎて、自分を見失うのは恐ろしい

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購入済み

急展開

2019年04月02日

読みやすく面白い内容でした。就活を題材としたものです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年05月11日

自分の就活時代を思い出し、苦しくなった。
内定出た友人に対して、「きっとあの企業はブラックだから」と私も思っていた気がするし、なかなか内定が出なくてカッコ悪い自分をさらけ出したくなくて、友人からアドバイスを貰うとかすごく嫌だった。
あの頃と比べたら自分自身、成長できたかなとは思う。人は「何者」かには...続きを読むなれない。とにかく今をがむしゃらに生きる!そんな気持ちになれた本です。

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Posted by ブクログ 2024年05月02日

人間模様とどんでん返しに痺れました。ストーリーはもちろん、鋭い観点が盛り込まれた作品で、前のめりになって読みました。朝井リョウさんの他の作品ももっと読んでみたいです。

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Posted by ブクログ 2024年04月27日

主人公である就職活動中の拓人の語りで物語は進む。同居人で親友の光太郎、拓人が密かに思いを寄せる光太郎の元彼女瑞月、瑞月が留学中に出会った理香、理香と同棲して間もない隆良。友人達それぞれが就職活動をする中、何者でもない自分を着飾り背伸びしてなりふり構わずアピールに励む姿を達観した様に冷めた目でバカにす...続きを読むる一面と仲良く助け合う表向き友情の一面と、SNSとリアルの二面性で描く。どちらも真実であり全員が一生懸命だからこそ、それぞれの想いや行動が熱くもあり切なくもあり。
承認欲求であったり、自分を正当化したり、他人と比べて相対的な幸せを感じたり…誰しもが持つ部分だろうが、なんだか心にチクチクと差し込んできて自分も見透かされた気持ちになる。
登場人物の心情が行間に詰められ読み手が膨らませるよう描く天才。読み手を選ぶ作品かと。

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Posted by ブクログ 2024年04月24日

朝井リョウさんは、現代の、人の、感じ方や、ん?というところを題材にするのがうまいと思った。「今の小説家」といった感じがする。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月22日

主人公が周りの友達を自分の物差しで見下したりツイッターにつぶやくの、ツイッターにはつぶやくまではしないとしても、自分もちょっとそういう風に心の中では思うかも…
素直に切磋琢磨することって難しい。

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Posted by ブクログ 2024年04月22日

とにかく読んでいて苦しかった。こういう人いるよなと共感を誘うかと思えば、貴方もそうなんじゃないのと急に刺してくるような鋭さがある。何者かになりたいなんて欲望、誰だって一度は抱いた事はあると思うし、否定は出来ない。だからこそ余計に辛かった。

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Posted by ブクログ 2024年04月12日

胸にチクチクと刺さるような、自分にも思い当たる節があるようなそんな話だった。何者かになりたい誰かを陰ながら笑う自分、そんな醜さを就活を助け合う仲間4人という設定でさらけ出したような話だった。朝井リョウさんは誰もが心の中で微かに思っているけど、それをこっそりと隠していたり、或いは自分でも気付いていない...続きを読むようなことを文章に起こすのが本当に上手い作家さんだなと思う。

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Posted by ブクログ 2024年04月09日

一気に読んでしまった。作者と同年代で就活経験あり。当時の気持ちが懐かしかった。と同時にSNSの情報ばかり見てしまう自分に嫌気がさしたり(これは今にも通じる…)人を見下したり馬鹿にしたり、そういう感情って誰しも少しはあると思う。。でも拓人のようにはなりたくないな。

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Posted by ブクログ 2024年04月08日

くらった。。
就活から全力で逃げた自分の当時を思い出した。世代も近いからよりリアルで、本当に何者でもない、何も持っていない自分が世に放り出されること、そもそも何も成していない自分が自分を精一杯売り出さなくては世にすら出られないことが怖かったんだよなぁ。
いろんな登場人物に自分のかけらを見出したような...続きを読む気がしたし、当時の自分がこの本に出会えていたら、勇気を持てたと思うし、今の自分と違う人生を歩んでたかもしれないなぁ。今読めてよかった。次の道を進む勇気になった。
カロリーが高いのでしばらく読まなくていいけど、またいつか読みたいかもしれない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月07日

就活は『人の価値』を明示する。
運動会のかけっこで1番になりましたとか、大学受験で第一志望合格しました、とかそういうのはあったけど、社会の一員として大人に認められる、そういうものに受け入れられるというのは、何者でもない学生たちにとってかなり大きな価値になるのだと思う。
『人の価値』を明示する、とは言...続きを読むったけど、本当はそんなことなくて、就活なんかじゃ人の価値なんて測れっこない。今になって考えれば分かるけど、あの時はそんなふうに思えなくて、それが絶対なんだって錯覚してしまう。
自分の全てを否定されたような、ある種の異常事態の中で、人間の嫌なところがあらわになる。そして本作では、それらが若者のSNS事情と絶妙に絡み合う。
元就活生として、あの時の気持ちとか空気とかを思い出した。

読み進めるほどに主人公・拓人の目線になって、痛い大学生たちを冷ややかな目線で見ていくわけで、最後の理香の畳みかけはまるで自分に言われてるように食らってしまった。あとで数えてみたら20ページくらいひたすら言われてて笑った。

あとは生活の中で起こる些細な事象を言語化する上手さ。
例えば、『あんまり大きくない会社で、という最後の言葉が、冷めた紅茶の中で溶け切らなかった角砂糖のように、この部屋のどこかに残ってしまっている。』
こんなふうにちょっと気まずいなって瞬間あるけど、言葉にするならまさにこうだなって感心する文章がたくさんあった。

全然関係ないけど電車で読んでる時、時期的にリクルートスーツを着た就活生をよく見かけた。
みんなが良い未来を掴めますように。

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Posted by ブクログ 2024年03月31日

スッと読める内容でした。
他人の行動を俯瞰視して批評家を気取る主人公の気持ちには、共感してしまう面も多かったです。

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Posted by ブクログ 2024年03月27日

初めての朝井さんの作品。
当時映画化されて、若い作家さんと言う事で大人気だったのを覚えてます。

直木賞を取ったくらいなので作品にのめり込め読めました。最後の最後で、えーーーー!そう来る!?という展開や、リカの心情のぶちまける感じが自分にとっての正論をぶつけ続けているんだな…と。
就活してない身から...続きを読むするとあの期間は本当みんな可哀想だったな思う。就活の闇や、何よりSNSの使い方も良かった!

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Posted by ブクログ 2024年03月22日

浅井リョウの小説を書くに当たっての性格の悪さが前面に出ていた。個人的に現代大衆文学作家でも頭ひとつ抜けている作家だと思う。

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Posted by ブクログ 2024年05月13日

途中まで主人公に感情移入させといて最後に突き放すというどんでん返しには驚いたが、少し説教じみいてあまり好きではなかった。

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Posted by ブクログ 2024年05月12日

持久走一緒に走ろうなとか、テスト勉強全然してないわとか謎アピールあったなぁ笑と回想しながら、ギンジや隆良の様な人脈大事、自己啓発受け売りの権化みたいやヤツも、リアルやなーちょっと痛いな。と読み進めると、ハッとさせられる。達観者ヅラで評論していた拓人と重なり、若干顔が引きつる笑
最後ぶった斬られる拓人...続きを読むのいたたまれない感はエグかったが、何者かになろうともがく理香やギンジへの見る目が変わったのは確か。

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Posted by ブクログ 2024年05月03日

就職試験を受ける中で見え隠れする、本音と建前。そのハゲ口がSNSであるという匿名性を利用したやり方!!
そうやって自分以外を下げないとやっていけないぐらい不安定な状態なんだと伝わりました!!

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Posted by ブクログ 2024年04月22日

最後のところがもう自分に返ってきて、とにかく朝井リョウさんの本は読んだ後嫌な汗かきます
好みでないけどすごい作家さんだなといつも思う

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月20日

朝井リョウさんの小説は『桐島、部活やめるってよ』『正欲』『死にがいを求めて生きているの』を読んだことがあり、いずれも人間心理の描き方が好きだったので現在就職活動中ということもあり本作を読むに至った。いつも思うが、朝井リョウさんの小説は特に読後どんな感想を述べても浅いものとなってしまいそうで、登場人物...続きを読むたちになにか言われそうで、妙な気分になる。しかし敢えて述べるとするならば、本作は非常に居心地の悪い作品だった。それは私が就職活動中だからということに他ならないだろう。私もこの時期でまだ内定が出ておらず、友人に内定が出たと知るとアプリでその内定先を検索し、年収が低かったり、ブラックと噂されるようなところだと少し安心する。最後の理香のシーンは自分に言われているようで本当に胸が苦しかった。私も心の中でずっと理香を馬鹿にしながら読み進めていたし、実際こういう子いるよな〜と、嫌悪感すら抱いていた。朝井リョウさんの小説は、そのように登場人物と読者をまるで一体化させて胸に刺さるような表現をしてくるといつも思う。非常に居心地の悪い作品だったが、読んで後悔はしていない。就職活動中に読めてよかったと思う。私もカッコ悪く泥臭く頑張ろうと思える本だった。

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Posted by ブクログ 2024年04月16日

ずるい!と思ってしまう!
自分の小ささや「想像力のなさ」を、思わぬ形でガツンと自覚させられる一冊でした。

前〜中盤まで主人公の「観察」に共感しながら読み進めて、最後に「あなたのこういうところ、どうなの?」と突きつけられる。痛快。

最後に、「かっこ悪いところに気付けた」という形で成長を描くところに...続きを読む、朝井リョウさんの物語がもつ爽やかさを感じました。

登場人物の描写については、よくもこんなに些細でリアルな人々の姿を拾い出せるなぁ…。と感動です。

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Posted by ブクログ 2024年03月25日

映画で見た。何者かになりたいのに、何者にもなれなくてもがいている大学生の物語。それでも一生懸命生きているのにとせつない気持ちになった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月13日

他人を客観視してしまう主人公が自分の重なる。
他人から1歩引いて俯瞰的に見ることで"自分はこの人達と違う"と自ら呪いをかける。
でも、大事なのはカッコ悪い自分を受け入れ、カッコ悪く生きることなのではないか。

就活になると一人一人の人間性が出てくるのだと思う。隆良やギンジのように...続きを読む信念を持って生きる者、瑞月のように取り巻く環境を受け入れながら自分のゆく道を信じる者、光太郎のように"らしさ"全開で生きる者、理香や拓人のように背伸びした自分を見せようとする者。どの生き方も間違いではないし、正解でもない。

どの人物も、実際に生きる者全員の心の中に潜む性だと感じた。正直に生きることは難しいこと。でも自分を受け入れないと前に進めない。カッコよく生きるのは時に自分を苦しめ、時に自分の中で壁を作り可能性を狭めてしまうと感じた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月16日

何者かになりたくて必死な人、それを見下して嗤う人、格好悪いのが嫌な私たち。人間であるが故に逃れられない醜さと対峙した気分でした。
どんな人間も誰かの価値観を否定することで、相対的に正しく思える自分に陶酔してるなとも思います。漏れなく私のそのうちの1人で、そうしていないと自分を保っていられないような不...続きを読む安に常に苛まれているんだと感じました。
序盤はとにかく吐き気がしましたが、終盤はもっと吐き気がしました。読者を巻き込み、想像力の限界を突きつけられたような作品でした。

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購入済み

匿名 2023年08月25日

内定出ないと、自分が周りから拒絶されてる
自分はそんなに魅力のない人間なのかと怖くなりますよね。
人の表と裏をSNSを使って描かれている。昔より今の方が簡単に発信できるからこそ怖いものがあるなと感じました。

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購入済み

全く面白くない

2019年01月10日

 他の方の評価は、総じて高いのですが、私個人は全く面白くありませんでした。
 単なる、就職活動でありがちな「自分を勘違いしている学生」の小説でしかありません。

 自分は他人とは違う。
 自分は特別な人間。

 上記のようなことを思っている学生は、多数いると思います。

 ただ、真面...続きを読む目に学業に励めば分かると思いますが、多くの場合「上には上がいる」ことを思い知らされ、現実を理解していく学生がほとんどだと思います。

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