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どの話も印象的で、読みやすく面白いです。
最後の話、2008年に書かれているので驚きました。まるで今のコロナ禍を予見しているかのような話です。この話のように、いつか朝が来ることを信じたいですね。
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近未来を舞台にした作品5編収録のSF短編集。
近未来といっても10年、20年先というわけではなく、場合によっては数年先にはこうなっているのではないか、という作品ばかりです。
そのためか出てくる登場人物たちも身近に感じられるキャラが多いです。表題作の「煙突の上にハイヒール」は結婚詐欺師に騙されかけたOLさんが主人公。
「カムキャットアドベンチャー」では近所の猫に餌をやる男子大学生、「イブのオープンカフェ」では彼氏と別れたばかりの女性が主人公です。
SFのイメージで強いのは宇宙人、宇宙開発、アンドロイド、科学による人間の変容などなのですが、この短編集はそうした大げさなものでなく、
普通の人たちが、ほんの数年先の未来で実現されていそうな技術に触れることで、少しいい風に自分の世界を変えていくのです。
その短編集全体につらぬかれたテーマは、最終話「白鳥熱の朝に」でも変わりません。この短編の舞台はパンデミックによって多くの日本人が死んだあとの日本が舞台です。
そんな厳しい現実に登場人物たちは置かれながらも、それでも彼らは前を向いて歩き続けます。
小川さんはたとえどんな未来が訪れても、それでも人間は前を向き進み続けられる、というメッセージを作品に込めているのではないでしょうか。
だからこの短編集の中で少し異質の「白鳥熱の朝に」も含めたどの短編にも、ほんの少し先の未来への希望と、人間への温かな視点を感じながら読むことができました。
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>人とテクノロジーの関わりを、温かくも理知的な眼差しで描く、ちょっぴり未来の五つの物語。
小川一水の短篇集の中で一番好きかもしれない.
SF色は比較的薄めで、裏表紙の紹介通り「ちょっぴり未来」くらいの話.
宇宙とか異星生命体とかは出てきません.出てこないがゆえの想像の容易さ.
たとえ技術が進歩しようと人間の根本は変わらないんだろうな,と思える作品でした.
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小川一水にしては割と近い未来を扱った短編集。相変わらず提示する製品や技術に現実味があるため、どの話も違和感がない。巻末のパンデミックの話は少しどきりとしました。まったくもってあり得ない未来ではないですし。
難しいところはなく、さらっと読める話ばかりなので、SF初心者にもオススメです。
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近未来テクノロジーと、現在と地続きの人間と社会(そして、経済)の関係を描写する、小川一水の真骨頂とも言える作品集。一遍一遍の完成度はすさまじい。特にどれ、ということも言えないくらいに全部素晴らしい。
でも、たぶん、作者は既にここにはいなくて、もっと先を目指していると思いました。
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煙突の上のにハイヒール
一人用ヘリコプター
カムキャット・アドベンチャー
猫が太った理由
イブのオープン・カフェ
失恋したあと出会った人型ロボット
おれたちのピュグマリオン
家庭用人型ロボットの開発者
白鳥熱の朝に
パンデミックのあと
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小川氏と言えばSF。
今回は身近にありそうなSFの短編で、いろいろ興味深かった。
小型の背負って飛べる飛行機や、ロボットなど、
本当に近い未来に実現しそうな話でワクワク。
どんな未来になるのか、考えるだけで楽しい気持ちにさせてくれます。
そんな気分でいたところに最後の短編は
重たいテーマで隕石が落ちてきたよう感じなんですが、
でも、一番最後のウイルス感染の話がリアリティある。
というか、本当に起きるんでないかい?
いろんな未来を考えておくって、必要なことなのかもしれない。
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近未来の社会が舞台で個人飛行用プロペラやロボットが登場するのですが、SFという言葉を使ってしまうには良い意味で現実味があり過ぎる。
テクノロジーが生活の中に自然に溶け込んでいるからか、登場人物が素敵だからか。
いずれにせよ、他に類のない魅力的な作風です。
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書店広告で「《天冥の標》を読書中の皆さん、お疲れ様です」というのが面白かった。ほんとに疲れてるよ!!笑
シリーズで展開中の《天冥の標》よりも以前に書かれた短編5作が纏まっています。《天冥の標》の元ネタのようなストーリーもあったので、あぁ前から温めていたテーマなんだなーと思った。
どの話も好きでしたが、煙突の上にハイヒールがじんわりとした気分。
『誰かが癒してくれるまで、私はがんばって自分を救うことにした』という後から探したら中々見つからなかったさり気ない一文が、清々しく切実に健気だなと。感慨深く思ってしまう。
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小川一水の作品は必ず人間が中心に据えられており、SFとしてはもちろん、ジャンルを超えて"物語"として面白い。逆に、例えば野尻抱介は人間よりテクノロジーに重きを置いているように思われ、アイデアは面白いが、物語としては今ひとつなように思う。
今回の短篇集の中では「俺たちのピュグマリオン」「白鳥熱の朝に」が好み。前者は、来るロボット化社会のイメージが描かれており、下世話なところも含め、リアリティがある(はやく実現して欲しい)。後者は、『天冥の標』の冥王班(仮面熱)の原型となる話のようにも思え、いちファンとしてなかなか興味深かった。小川一水はパンデミックの書き方がうまい。
『煙突の上にハイヒール』は小川一水のエッセンスが詰まった良い短篇集だった。
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人間とテクノロジーの関わりを通じて、人の気持ちや生き様に温かな眼差しを注ぐ短編集です。
ジャンルは勿論SFですが、主軸はあくまで人間とその営みであり、SF的要素がそれらを絶妙なバランスで惹き立てています。
現代より少し先の未来――それは数十年先か、はたまた明日か――という現実と地続きの時代設定も読者に親近感を与えます。
短編全5作が収録されていますが、個人的に少年ロボットとの雪夜の邂逅を描く「イブのオープン・カフェ」が好みでした。
また最後に収録されている「白鳥熱の夜に」の、それまでの作品とはトーンが少々異なるある種の厳しさも必見です。
軽い読み口と誠実な登場人物達の愛おしさから、きっとSF初心者の方にも楽しめる作品だと思います。
Posted by ブクログ
SF短編集。全5編で、おおむね、人と技術の関わり合いを描いている。未来の技術が魅力的に描かれていて、単純に、読んでいてワクワクする。女性主人公の話は、私が男性だからということもあろうが、ちょっととっつきにくい
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ちょっぴり未来のお話。
煙突の上にハイヒール
カムキャット・アドベンチャー
イブのオープン・カフェ
おれたちのピュグマリオン
白鳥熱の朝に
小川一水さんをおすすめされて読んでみました。
まず一言、上手い!ひとつひとつのシーンが、こうくるのか!って。
スラスラ読み切ってしまいました。
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小川一水らしさのたっぷり詰まった近未来日常系SF。
あとちょっとで届きそう&実際にありそうで、違和感なく読めるところが絶妙。
Mew、欲しいなぁ。
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一人乗りの空飛ぶ機械、首輪にカメラ、介護ロボット、人間型ロボット、パンデミック
空想なんだから自由でいいはずなのに、無意識に、ありえないって除外してしまっていたんですね。それがもし、普通にあったなら、普通の生活のなかに普通にあったらの世界。いいなぁ。
Posted by ブクログ
すごく近いうちにありそうな感じの未来のお話が5つ。
1人乗りのヘリコプターや猫目線カメラ、
さまざまなロボット、鳥型インフルエンザ白鳥熱。
どれも、ありそうでなさそうで、
心温まるようなお話。
Posted by ブクログ
短編5作。
コバルト文庫を読んでた頃を思い出す、どこかしら懐かしい感じ。
日常の線上にあるちょっとした未来は強ち遠い世界の話でもなく、ほどよくキャッチー、だけどいい加減さはない。
Mewあったらほしいな。
Posted by ブクログ
近未来を舞台にした短編集。
現在では適わない科学技術や設定が軸となっているものの、登場人物や物語は普遍的なので違和感なく読めた。
奇数話は結構よかった。
『煙突の上にハイヒール』
結婚詐欺に引っかかりそうになった主人公が一人乗りヘリコプターを衝動買いする話。
OLの悲哀が根底に流れている。
『カムキャット・アドベンチャー』
誰かが勝手にえさを与えているせいで太ってしまった飼い猫。
犯人を突き止めるために猫の首輪にカメラを取り付けたら、相手は近くのコンビニで働く店員だった。
ちょっと青臭い感じの恋愛交じり。
『イブのオープンカフェ』
恋人に捨てられた主人公が雪の降るクリスマスイブに、オープンカフェでロボットと出会う。
展開としても凝っていて、主人公とロボットの悲しみや後悔も上手に絡まっており、一番面白い話だった。
『おれたちのピュグマリオン』
家事用アンドロイドを作る技術者の物語。
オチがどストレートで陳腐。。
もう一段ひねりがないのかなと肩透かし。
『白鳥熱の朝に』
パンデミック後の日本を舞台に、家族を亡くした男と少女の再生の物語。
一番ドラマチックな展開。
少し安っぽい感じはしたものの、最後にもってくるのにはぴったりな話だったかなと感じた。
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現実に起りそうな出来事が起きているちょっと先の未来を描いた5本の短編
1番目の冒頭だけ読むと、恋愛ものかと思うがそうでもなかった。
3番目と4番目のロボットの物語は、ロボットの在り方に一石を投じてるようにも思える。
5番目の真相に、ちょっとずつ迫っていくのがよかった。
全体的に.文章が優しい。そのおかげで、5番目の物語の重さがちょっと和らいでいる。
Posted by ブクログ
中村佑介さんのイラストを見てジャケ買い。
近未来的な発想がおもしろく、またロボットの感情表現がとても豊かに描かれていて、こんなロボットがホントにできれば、人間らしい感情を忘れずに明るく幸せな未来が開ける気がした。
また、ロボットや機械を通して、良くも悪くも「人間らしさ」が際立っていた。
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設定が近未来ではあるものの、SF色は強くなく、むしろ人間味を際立たせるための一要素になっています。でもその匙加減が絶妙。こういった感じのSF小説はいいですね。『天冥の標』シリーズを手に取るのは躊躇しますが、この人の他の作品も読んでみたいです。
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小川一水『煙突の上にハイヒール』
(2009年8月・光文社 / 2012年6月・光文社文庫)
恋人にだまされた織香は、大きな衝動買いをした。一人乗りのヘリコプターMewだ。心躍る飛行体験が、彼女の前に新しい世界を拓いてゆく(表題作)。猫の首輪に付けた超軽量カメラ。猫目線の隠し撮り映像には、思いもかけないものが映っていて…(「カムキャット・アドベンチャー」)。人とテクノロジーの関わりを、温くも理知的な眼差しで描く、ちょっぴり未来の五つの物語。
最後の一編にあんな話を持ってくるところが小川一水らしい、かな。
小川一水の小説が持つ清潔感は、際だっている。
SFというジャンルに取り組む真摯な気持ちゆえなのだろう。
お手軽で読みやすい短編集ではあったが、感じるところは同じであった。
75点(100点満点)。
Posted by ブクログ
うん、こういうの嫌いじゃない。
ちょっと異次元なような、でも現実にも起こりそうな、夢のある話。救いのある話。
空から目線、猫目線など、いつもと支店が異なるところも面白い。
Posted by ブクログ
ちょっぴりだけSFだけど、今との地続き感のある、違和感のないかんじ。最初の2つが結果オーライな話だったので、結局うまくいっちゃう話ばかりかとつまらなく思っていたら、中盤からそうでもなくてよかった。4つめなんかはおいおいおいってオチでびっくりした…
Posted by ブクログ
面白かったです。どれも傷ついた人の再生の話。最初の方はまだ軽いのですが、終わりは・・・最後の一編はパンデミックの話。死傷者が膨大為、でた里親制度。狩野のもとにきた少女の秘密がそしてその耐える姿が痛々しい。
Posted by ブクログ
確か単行本を買った気がするのですが読んだ覚えが無いしどこかにまぎれてしまったのでしょう。と言う訳で短編集、面白かったです。
私もお空の散歩はしてみたいなあ…。そして猫カメラは是非私もやってみたい。彼らはどこで何をしているのだろう、といつも不思議だったので。そして個人的にはピグマリオンな話は面白かったです。なるほど愛されるために世界を、自分を変えてしまうとは。なかなか出てこない発想だと思います。
伝染病の話は薄ら寒い感じです。いつ、どこでこれほど強力なウィルスが発生してもおかしくない。発症後致死率の高い伝染病が空気感染で人から人、動物から人へとうつったら。少し前の口蹄疫病でもあれほどの大パニックになったのだから人だったら…と考えるとあながち絵空事でも他人事でもないよな、と思うのです。
そして私が小川さんの作品が好きなのもそこなんだなあとしみじみ思います。何の規制もない、荒唐無稽な世界を描くのではなく、実際ありえそうな未来であったりありえそうな技術であったり、実際そうなりそうな未来を描くので読んでいて考えさせられたり身につまされたりするのだな、と。