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Posted by ブクログ
同様に再読。初見では開幕までに随分時間をかけるなあと思った記憶がある。ここくらいで、劇が1エピソードというより中核なんだと気づいたんだったかなあ。遅いかな、もうあんまり覚えてない。
ゆっくり進んだとしても、それはテンポが悪いと言う訳ではなく、高い密度で心のやりとりが行われているので、時間が進まないことへのもどかしさはない。前巻では、ジレンマからはっきり気持ちを言葉にできない侑へのもどかしさを感じた人も、きっとここですっきりするはず。
「誰かを好きである気持ち」を確かめることで、望んで演じたはずの人格の中に、自分を感じて安心する燈子。そして当初はその矛盾を受け入れつつも、やがて燈子に向けられた好意は、あくまで彼女に向けられたものなんだと断じる侑。少しずつ頑なさをほぐしてゆくような丁寧な話作りが心地良い。
Posted by ブクログ
初読。燈子に対する侑・沙弥香両名の立ち位置は未だ基本的には同じであったが、この巻と前巻ラストを境に明確に分かれたと言えるのではないだろうか。燈子に積極的に干渉することを恐れる者と、そうでない者である。燈子に対しての生徒会と劇は、いわずもがな彼女が敬愛してやまなかった姉のメタファーであり、それに干渉することは燈子を知る者にとってはタブーであった。そこに踏み入ることは、リスクを孕む行為である。聡明な沙弥香はそれを十分に理解し、「燈子の意思を尊重」した。つまり、結果的にではあるが、今の関係性を保つことに甘んじたということになる。一方侑は勇気を持って燈子の内面に進んでゆく。燈子の一番の理解者としての人物ではなく、対等なカップルとしての振る舞いを見せるのだ。前巻ラストの『わたしの[検閲により削除]もののこと嫌いって言わないでよ』という侑のセリフから、燈子に対しての姿勢が以前と比べて変化したのは明らかである。姉の体現者としての自分に存在理由を見出していた燈子に、今まで他人から向けられた感情は燈子を媒介した姉に向けられていたのではなく、燈子自身に向けられていたのだと説く侑。続けて燈子自身の今までを認める。この一連の侑の行動に拒絶を示さなかった燈子。このシーンに私は胸を打たれた。
また本巻は「自分にとっての過去と、現在の自分の意思の重要性」が大きなテーマである。これについて思うところを記すと記すと更に延びてしまうため止めておくが、燈子のみならず、こよみやサブキャラにも通底していたように感じる。次巻以降は精算と前進がテーマになるのだろうか?
ストーリー上では侑と燈子間における思考の一致が多くみられた。良好な人間関係を築けていることの表れであるといえよう。弥栄弥栄。私もこんな風に他人と心や人格の輪の交流が積極的になされる高校生活を送りたかった。
メンダコを知らない燈子さんかわいい。ねこ吸引する沙弥香さんかわいい。次巻も楽しみ。