【感想・ネタバレ】迷走する帝国──ローマ人の物語[電子版]XIIのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2009年12月12日

まさに迷走。なぜ皇帝を殺害するかすらあやふや。立ち直れるんだろうか、と思うが、すでに歴史なので、結末は知っている。それなのになお読ませる塩野さんに拍手。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

紀元211年、皇帝カラカラから紀元284年、皇帝カリヌスまで。

ローマ帝国「3世紀の危機」次から次へと皇帝が謀殺される危機の時代、筆者の調査力・筆力に感嘆するばかり、「塩野ローマ」に引き込まれている。

「属州民へのローマ市民権・・・人間はタダで得た権利だと大切に思わなくなる」
「人間は所詮、全員...続きを読む平等でいることには耐えられず、何かで差別しなければ生きていけないのかもしれない」
「ローマ市民権・・・誰でも持っているということは、誰も持っていないことと同じ、ブランドは死んだ」
「「人間とは、事実だから信ずるのではなく、事実であって欲しいと思う気持ちさえあれば信じてしまうもの」
「人々を一つの運動に巻き込むには、合理を唱えていては成功は難しいのが人間性の一面でもある。ユダヤ民族は1800年前の自分たちの土地に帰ることに固執したからこそ、国家イスラエルは誕生できた」
「健全な国家と不健全な国家の違いは、その国が持っている軍事力が国の外を対象にしているか、それとも国内を向いていらかを見れば分かる」
「なぜ宗教には金が集まるのかと言う、古今東西普遍の原理」
「宗教は純粋な信仰のみでは組織としては成り立たない。純粋な信仰と冷徹な組織力と言う二つの車輪が不可欠であり、そしてその両輪をまわすのに必要な油も欠くことは許されない」
「ローマ皇帝ペルシャに捕らわる・・・権威失墜の後に訪れるのは、残された者同士の団結ではなく、分裂である場合が圧倒的に多い」
「実力主義化か貴種主義か・・・生まれや育ちが自分とはかけ離れている人に対して、下層の人々が説明のしようのない敬意を感ずるのは、それが非合理だからである。多くの人にとってより素直に胸に入ってくるのは、合理的な理性よりも非合理的な感性のほうなのだ」
「ローマ帝国に対するキリスト教徒の罪とは、何を信じていたかではなく、それを信ずることを通して反国家的な組織を形成している、ということのほうにあった」

キリスト教の台頭の要因
 ギボン「ローマ帝国衰亡史」
 ドッズ「不安の時代の異教徒とキリ     スト教徒」
  キリスト教に帰依することが、現  実の生活でも利益をもたらしてい  たこと。多くの人がそれなくして  は生きることが難しい帰属心を与  えるのに成功した。

「不安の時代にはかえって不寛容な教えのほうが力強く見える」
「ユダヤ教とローマ帝国は正面から激突したが、キリスト教はローマ帝国内にいつのまにか浸透していた。キリスト教会がローマ帝国に歩み寄ったのではないか」
「キリスト教への入信の儀式として洗礼を考えた人は、天才であったと私は思っている」
「人間とは、明確な白から明確な黒に移る場合、ためらいを感じて立ち止まってしまうものだ。中間に広いグレーゾーンを持たせ、変わるといってもたいした変化ではないかと思わせることくらい、善男善女を動かすのに有効な戦術もない」
「キリストの神は人間に、生きる道を示す神である。一方ローマの神々は、生きる道を自分で見つける人間を、かたわらにあって助ける神々である」
「ローマの神々は全力をつくす人間を守護する、繁栄の時代に適した宗教。キリスト教の神は、悲惨な現状も神の与えた試練になり、苦悩も人間の魂の浄化に役立ち、死後の平安も保証してくれる」
「キリスト教徒は、ローマ帝国の打倒は意図していなかった。あえて言えば、乗っ取りを意図していたのだ」

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ネタバレ購入済み

アイデンティティクライシス

mac
2022年09月30日

一部ご紹介します。
・歴史は現象としては繰り返さない。だが、この現象に際して露になる人間心理ならば繰り返す。それ故、人間の心理への深く鋭い洞察と、自分の体験していないことでも理解するのに欠かせない想像力と感受性、このうちの一つでも欠ければ、かつては成功した例も、失敗例となり得る。
・三世紀のロー...続きを読むマの特質の一つは、政略面での継続性を失ったことにある。最早、ローマ帝国は、持てる力の無駄遣いに神経を払わないようになってしまった。ローマ人が、大帝国を築き上げ、しかも長期にわたって、その維持に成功できた最大の理由は、持てる力の合理的で徹底した活用への執着にあったのだ。「継続は力なり」は、やはり真理なのである。持てる力の有効な活用に利する、という一点においても。
・かつてのローマ人には、アイデンティティクライシスは存在しなかった。自分たちローマ人は、世のため人のために役に立つものを作っている、という自負があったからだ。
・それが、三世紀になると、ローマ人は自分たちの存在意義に自信が持てなくなってしまった。度重なる蛮族の来襲による、殺戮と略奪と焼き討ち。その結果としての農耕地帯の荒廃と過疎化。生産力が落ちているにもかかわらず、防衛費の増大を理由にした度重なる増税。それらを避けようとして、住み慣れた土地を捨て、都市に流れてきたものの、過密化した都市では仕事も見つからず、家族を抱えて途方にくれる毎日。これらに加えて、社会福祉政策の弱体化。結果としての希望の喪失。
・「神々はローマを見放した」
・ローマ帝国の弱体化と疲弊化が、キリスト教のローマ乗っ取りに成功した要因であった。ローマ帝国は、自分自身への信頼という、活力を維持するには最も重要な要素である気概までも失ってしまったのである。

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Posted by ブクログ 2018年10月27日

著者の文章からなる歴史物語が楽しいのはもちろん、そこに書いていないことにも思いを馳せたくなる。知的刺激を受けるとは、こういうことなんだろうな。読む幸せを感じさせてくれる本だ。

あれこれマーカーをつけたり、抜き書きしたくなる部分があった。

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Posted by ブクログ 2018年10月23日

ローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。ローマの迷走振りは、現在の日本とかぶる?

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Posted by ブクログ 2010年06月16日

2010/06/14 なんかもう見てられなくなってきた。めまぐるしすぎる時代なのに、明晰な文章で呑み込めることに感服。

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Posted by ブクログ 2017年01月29日

ユリウス・カエサルが暗殺されてしまった。領土拡張、市民権を与え征服民の人気も獲得、政治改革断行、結果を残したのにも関わらず・・・カエサルを殺害した張本人は内々のローマ市民。既得権益が損なわれる反発からの犯行。カエサルが持っていた先を見据えたアイデアは素晴らしく、一生の中でここまで変化を具現化した/具...続きを読む現化しようとした人物はそうはいないだろう。が覆さるのはお膝元からということが皮肉に感じる。仕事でも家庭でもいいが、足元をしっかりしないと痛い目に合うことを示唆してくれる歴史本。

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Posted by ブクログ 2013年02月14日

皇帝が次々と変わり、滅亡への道をたどる。よそ事とは、感じられない。
阿部政権は、踏みとどまれるかと思いつつ読み終えた。
やはり、ユリウス・カエサルのような英雄の話に比べると、面白味に欠けてしまう。

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Posted by ブクログ 2012年10月06日

ローマの衰退が書かれる。ただただ衰退していくだけ。ある意味単調だが、ある意味展開がめまぐるしく、記憶には残らなかった。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

3世紀の危機を描いている。
元老院は力を失い、軍団から支持されて皇帝になってもすぐに殺され、
蛮族の侵入は激化し、まさに満身創痍といった雰囲気。
拡大期と衰退期では国民性から違ってきてしまうんかなぁ。
今の日本も衰退期にある気がするから、この先心配。

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