感情タグBEST3
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児童文学のような文体であり、非現実的なストーリーはまさに童話でありファンタジーである。ただその中にはさまざまな社会批判や人生の矛盾が描かれているのが面白い。
濃厚なアイロニーを通して描かれる短編小説集だ。ファンタジーのフレームに入っているので平気でリアルを超えることができる。たとえば猫になったり、魚になったり、神々や宇宙人と交流することも可能なのだ。
ただ、そういう不思議な世界を描いているように見えて、実は現実社会が抱えている様々な問題を描いているといえる。社会の描き方は微細さを追求するだけではなく、虚構を使ってその本質を照射する方法もあるということを再認識した。
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御伽噺・イタリア風味。シュールリアリズム系の短編集かと思ったら、予想よりずっと優しい世界だった。根っからの悪人はほとんどいないし、多少意地悪な人間も死ぬことはなく災難に逢う程度。そして善人は必ずささやかな幸福を掴むことができる。ロダーリは確かに児童文学作家ではあったが、それ故に彼の作品はただの子供騙しでは終わらない。彼は戦前からファシズムを批判し、戦時中もレジスタンスとしての地下活動を続けてきた。自国が過ちを犯していると理解する、社会への優れた先見性を持つ作家だったのだ。そんな彼が書く、やさしくユーモアに溢れた文章の中に込められた現代社会への痛烈なアイロニーは、確かに現代を生きる私たちの胸にも強く響いてくる。
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感想は、「たのしい!おもしろい!変!」
そんな短編集です。
ユーモアがあって、ついにやにやしながら読んじゃう。
一気にだいすきな本になりました。
また数年後に読み返したい。
とにかく突拍子もない本なんです。
設定も、展開も、キャラクターが考えることも、台詞も。
予想もつかないことが起きる。
作者のロダーリは、とっても想像力豊かで、発想が自由で、人と違う視点から物事を見られる才能を持っていたんだなあと感じます。
何事も、決まった形に収まらない。
そんなところが夢があって、
わくわくして、
各所に散りばめられたユーモアに笑っちゃって、
でもぴりりと風刺も効いた本です。
とっても素敵。世界を楽しくさせてくれる本に出逢いたい人にオススメします。
今、わたしの最上級の褒め言葉をこのレビューに詰め込んでます。
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鼻持ちならぬヤツでさえも、
何故だかだんだん可愛らしく思えてきてしまう不思議。
ファンタジーは現実逃避などではなく、
むしろ現実と向き合う為の、知恵なりパワーなりを与えてくれるものなのだと、
本書を読み終え、しみじみつくづく、感じたのでした。
「ファンタジーは人間の精神・人格を形成する大切なもの」と考え、
教訓におちいる事なく、人類愛、反差別、自由の概念を、上質な笑いと共に表現。
この感性、是非ともあやかりたい。
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読みながら、意味もなく楽しくなってしまう。そんな短編集。不思議で、可愛くて、悪意がなくて、ほんの短編なのにどのお話の登場人物もたまらなく魅力的。特にレギュラー化してるあの社長が出て来ると、妙にテンションあがる。
どのお話も素晴らしい。ファンタジーでSFで、ブラックだけど童話。読み始めたら、この魅力のとりこになること間違いなし。まずは読んでみれば絶対にはまる。そしてあっという間にこの世界から離れたくなくなる。
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奇想天外な展開に冴え渡るユーモアセンス!多分母国語じゃないと半分ぐらいは理解できていないだろうと薄々感じながらも、読み進める内にノリが理解できてきました。久しぶりに純粋に「お話」を楽しむ本を読んだなと思います。
翻訳も読みやすいですし、題名がいちいちステキですね。
読みやすい長さの短編で構成されているので、枕元に置いて寝る前にちょこちょこ読むのに丁度良かったです。個人的にピサの斜塔の話がドタバタしてて楽しくてお気に入りです。
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こういう風刺がバッチリ効いたちょっぴり
刺激の強い作品は大好きです。
まさに大人のための童話。
本当に予想もつかないことがよく起こります。
表題作はまあありえないけれども
ある種の自由への渇望が
彼らを「猫」へと変化させてしまうのでしょうね。
だけれども幸いにも主人公の男には
「自由」を渇望することはしたけれども
頼ってくる人がありました。
そして…人のせいにする人を
徹底的にあざけっている作品もあります。
そして嫉妬心の浅ましさも同時にその作品は
伝えているのです。
つまり原因が分からないのなら
それなりに努力をしろ、ということかと。
こんな面白い作家がいたことに
驚きでした。
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イタリアの児童文学作家によるファンタジー短篇集。
ユーモアたっぷりで不思議な世界観の中に
アイロニーとナンセンスが散りばめられています。
表題作の「猫とともに去りぬ」がお気に入り。
読後に心がフッと軽くなります。
こういう素敵なお話にはもっと若い頃に出会っていたかったな。
長新太さんの絵本が好きな方ならきっとはまります。
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児童文学ってことになってるが、現代社会や教育に対する皮肉が満載。詰め込みや押し付けまがいの教育への批判を子供にも伝えられるっていうのがファンタジーの魅力のひとつなんかな。面白かった。
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ああ、やっぱりロダーニさんの作品は好きだなぁ・・・・。 この年齢になるまで出会えなかったのがホント残念だけど、逆に今の KiKi だから彼の作品の良さがわかるという部分も多いような気がします。 どのお話も言ってみればナンセンスの塊なんだけど、そこに風刺とか皮肉が含まれているので思わずクスクス笑いながら読めちゃうんですよね~。 短編集だから1編1編が短くて、気軽に読めちゃうわりにはどの1作にもピリリと利いた刺激(毒?)がある。 こういうユーモアセンス、KiKi は憧れちゃうんだよな~。
どの1編もとっても気に入って面白かったんだけど、特に KiKi にとってお気に入りだったのは「ヴェネツィアを救え あるいは 魚になるのが一番だ」 「箱入りの世界」 「ベファーナ論」 の3作です。
(全文はブログにて)
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自由だなあ、好きだなあ!
ロアルド・ダール的なものも感じるけど、
もっともっとすかっと自由な気がする・・・
ロアルド・ダールがイギリスの霧を感じさせるとしたら、
こちらは、イタリアのからっとした空気を思わせる。
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ファンタジー短編集。表題作は、飼い猫として暮らせる道があることを羨むべきか、猫でなければ家に居場所もないことを嘆くべきか、どうにも悩ましい。非現実をさも当然のようにすらすら描かれ、頭の柔軟性が試された。とっぴな空想の中に現実社会への皮肉も読み取れ、執筆された当時のイタリア社会が気になるところ。もはや児童文学の枠を越えていると思うが、どの話もロダーリのユーモアに溢れ、最後まで楽しく読めた。
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なんだか不思議な世界に誘われる短編集。
家族共々魚になってベネチアの運河を泳ぎ回ったり、ヤマハのバイクと結婚したり。。
一見キテレツな短編だが、皮肉や風刺がきいていて、イタリアってこんな土壌もあるんだと。
ロダーリは、イタリアでは教科書にも載っているぐらい有名な作家。
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読むとクスッと笑えて、誰かに優しくされたみたいな気持ちになる。
優しさに満ちたユーモアとナンセンスさに星新一を思い出した。星新一よりもこっちのほうがずっと前のものだけど。いい本です。
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はじめて名前を聞くイタリアの作家。
シュールな作品集だが、イタロ・カルヴィーノよりも穏健的、かな?
カルヴィーノの作品はずいぶん昔に読んだことがあるけど、忘れてしまったな。
こういう作品こそ、作家の創造力がはっきり現れると思うのだが、なかなかそういうものにはお目にかかれない。
好きな作品集だ。
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”12歳の~”から。ブラックユーモア短編集。あとがきで書かれていたけど、日本人で思い浮かぶのは星新一。かつて中学生時代、星新一作品にどハマリして片端から読み漁った経験ありだけど、正直、ロダーリ作品にはそんな魅力を感じないです。国民性の問題もあるし(訳者は文化背景的に分かりにくいのは端折ったって書いてるけど)、自分が年取ったせいもあるんだろうけど、本作に関しては、ページを繰る手が重かったです。という訳で、今の目線で星新一作品を読み直してみる必要ありです。
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読みながら、あっちでくすくすこっちでくすくす。なんともいえないおかしみがあった。
人がかんたんに猫になったり魚になったり、ピアノをかかえていたり、奇想中の奇想みたいな短編集なんだけど、思いのほか、つきはなされたような、ほうりだされるような感覚にはならず。なんとなくほっとする余韻にひたれるものが多かった気がする。
こういう謎なお話って、ただ面白がって読むだけじゃだめなのかな? あまり意味とか考えずに。なんだかそのほうが面白いような気もするんだけど。
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地に足の着いたファンタジー小品集。優しいローファンタジーではなく皮肉入りの!妙な!変な!世界にも人にも優しくない!(ブラック)ユーモア満載の!話ばかりですごく私得。魔法のバックミラーやシンデレラ宇宙ver.とだけ聞いたらガチファンタジーっぽいのに実際はそうでないんだから面白い。何となく短編モーパッサン+ハルムス(シュルレアリスム感)的に感じた。
初読時は「ヴェネチアの水位上昇を懸念して魚になった家族の話」が印象的だったのだけれど、今回は「バイクと結婚したくて家出する男の話」と「釣りの下手な男が何とかして魚を釣ろうと奮闘する話」が気に入った。後者は特に、喜劇→悲劇の転換がすばらしく巧い。前者は出オチなのにオチも付くというどこまでもおいしい作品。無機物への執着愛ってだけで個人的には大良作。カルロの話も徹頭徹尾純粋な皮肉だけで占められていてかなり好き。
ユーモアセンスがほんとに素晴らしくて、例えば
「将来の計画を話し合ううちに、また日が暮れた。日というのは、そういうものなのだ。暮れることしか知らない日の気持ちも、わかってあげてほしい。」
はくつくつ笑いが止まらなくなるくらいにツボに入った。ニューヨーカーのサーバーとはまた違った種類のユーモアで、こちらの方が若干お上品で軽やかなのもまた面白い。
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ファンタジーですが、こどものみならず大人も楽しめる内容。ウイットに富んだ小気味いい作品でした。映画『チェブラーシュカ』にツボった方は、この作品もおススメです。
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不条理。しかし面白い。どこか皮肉っぽいのに登場人物で本当にバッドエンドになる人はいない幸せな感じ。たしかにイタリアっぽい。不思議な話っ不思議とおもしろい。よかった。
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ファンタジー系小説が好きな人には楽しめる作品なのだと思う。ちょっぴり風刺も効いていていやらしくない感じが好感を持って読むことができる作品。
個人的にあまり風刺小説やファンタジー小説は好きではないので星3つだけれど、これは好みの問題。光文社古典新訳文庫で同じ訳者の関口さんが訳されている作品もあるので、もう一冊読んでみようと思う。
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イタリアのファンタジー作家ロダーリの短編集。表題作「猫とともに去りぬ」はかつて人間だった猫たちの話。巻末の解説によると、もしおじいさんが猫になったら、という仮定を子供たちに提示して子供たちにやりとりさせて生まれた話だという。ラストも子供たちの意向を反映させている。子供向けの童話のような優しさと大人向けの風刺小説のような味わいを併せ持つ。とはいえ裏面に書かれているような社会への痛烈なアイロニーは全く感じられない。
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話がある程度進んでから「じつは◯◯だったのだ」と明かされて「おいおい」。
けれど「おいおい込みで受け入れてしまえばいいのだ」のわかったら、やたらおかしくなってきた。
そっかそっか。
そのままケタケタしたり、皮肉だか風刺だかにも気づけばそれはそれでニヤリとしたり。
基本子ども、時々おとな。自然、そんな読み方となり、私にはそれがよかった。
イタリアのユーモアあふれる一冊。
絵本のページをめくるのに似た感覚も。
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途中やや飽きるも面白く読んだ。
イタリア人と働いてる時に読んでたら
ロダーリについて話せたかな〜
簡単に猫や魚になれるイタリア人、
うらやましす‼︎
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ようこそ、陽気で不思議なロダーリ・ワールドへ。
ロダーリのファンタジーは懐かしい。小さい頃にきいたお話のようなイメージ。それでいて、痛烈な皮肉が効いている。何かがずれている登場人物と、何かがずれているような事件。それが楽しい。度々出てくるマンブレッティ社長が、典型的やな奴で、こういう人がいるのもファンタジーの醍醐味。
「猫とともに去りぬ」家族に相手にされないから猫になる老人。そんな元人間の猫が起こす運動。猫になる、というのは人類共通の夢かもしれない。
「ピサの斜塔をめぐるおかしな出来事」宇宙人が勝手に地球の名所をくじの商品にしているとか、まるで星新一にありそうな。機転のきく行商のおじさんというのも、ファンタジー的。
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教訓話。風刺小説。なんて堅苦しく考えず、物語を楽しめば良いと思う。少々古臭いのは否めないけれど。「ピサの斜塔をめぐるおかしな出来事」なんてショートショートSFとしても十分に読めるし、「三人の女神が紡ぐのは、誰の糸?」は立派なリドル・ストーリィだし。不条理な展開もままあるけれど、訳文もとっても読みやすい。
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読んでいる時に頭の中で「おそ松くん」や「天才バカボン」などの赤塚不二夫作品のキャラクターたちがイメージされ、ついつい台詞の語尾に「~ザンス」や「~ダス」などと勝手につけてしまう。そんな雰囲気を持つ作品集でした。とあるお話を聞かされても「なんでトラがぐるぐる回るだけでバターになるんだよ?」と納得できないタイプの人にはちょっと厳しい奇想天外さですが、それを豊かな想像力と受け入れられる人ならばクスッとできると思います。
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現代社会へのアイロニーが織りなされているファンタジー短編集となっております。
ピアノを武器にするカウボーイやピサの斜塔を略奪しようとする宇宙陣、捨てられた容器が家を支配するなど奇抜なアイデアに魅力を感じました。社会への風刺を入れながらも児童文学者であるロダーリのユーモアで暖かみがある話に時々笑みが浮かんでしまいました。
古典新訳文庫の作品であるためとても読みやすく、小学生の知り合いにでも勧めてみたい一冊になっております。
16編の短編の中でも表題にもなっている猫とともに去りぬがお気に入りです。猫星が何故存在しないのかとコロッセオを占拠する猫たちに心が躍りました。
Posted by ブクログ
イタリー版星新一、という感じだ。いや、星新一+谷川俊太郎という感じかな。ふわっとした児童向けの文体の中に、鋭い社会批判の視点が入っている。アカ上がりの作家だけあって(こういう見方はよくないとはわかっているが)、その現実を風刺する語り口は独特で魅力的なものだ。
とても読みやすい訳。