【感想・ネタバレ】トーマの心臓のレビュー

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珠玉のような名作

「彼(トーマ)がぼくの罪を知っているか否かが問題なのではなく…
 ただいっさいを何があろうと許していたのだと」

終盤のこのユリスモールのトーマの愛を理解した瞬間の科白が全てだと思う。

とても美しい科白、シーン。
この瞬間に主要な登場人物が全て救われたと思っている。

秀逸。この一言に尽きる。
何度読んでも色褪せない珠玉のような名作。

1
2021年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

神様みたいな本だった。

なにかを愛することってどうしても自己愛の裏返しになってしまうけど、トーマの愛は違う。
冒頭の彼の遺書が、本編を読む前と後とでこんなにも意味合いが変わってくるとは思わなかった。
「彼はぼくを死んでも忘れない」ということ、「彼の目の上にぼくがずっと生きている」ということ、そのおかげでユーリはこれからどれだけ心安らかに生きていけるか、トーマは全部分かったうえで彼に翼を捧げたんだ。

代わりのいない人間なんていないってずっと思ってた。
確かに「物質」的にいえば人間の代わりなんていくらでもいるかもしれない。私と似た顔、似た声、きっといくらでもいる。
唯一代わりのきかないものは「思い」なんだ。
オスカーにしか、エーリクにしか、ユーリにしか、そしてトーマにしか抱けない思いの形があって、その思いが人に向うことで、その人でしか満たされない「思い」がまた生まれていく。そうやって人はゆっくりと自分が存在する意味をみつけていくんじゃないかと思う。

真実の愛なんて存在しないってここ最近ずっと思ってたけど、すくなくともここには、この本の中だけにはあった。
現実にもあってくれ〜

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2023年12月09日

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人生のバイブル

天使の羽根を失ったとユリスモールに告白されたエーリクが「僕の羽根を片方あげる。両方でも良い、僕はいらないから」と答えた場面は今読んでも涙が流れる。あの頃私は何も知らないティーン・エイジャーだったのに。私の人生を語るときに欠かせない一冊。

#感動する #深い #泣ける

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2021年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1974
何度も読んだはずだが今回ようやく気付いたのが、キリスト教でいうユダとイエスの関係が重ねられているのだということ。
今までは少年愛、ギムナジウム、という意匠に、あっけなく惑わされ、いわば気軽に耽溺していたのだ。
なぜトーマは死んだのか。
ユーリが暴力に屈して信仰を捨て(かけ)たからこそ。
八角形眼鏡のサイフリートは終盤突然差し挟まれた人物では決してなく、創世記でいう蛇的存在だった。
トーマはいわば身を徹してユーリを「正しい道」に引き戻したのだ。
いってみればユーリおまえ全員から愛されているんだぞ、と、作品の外から言ってやりたい。何度でも。
プレ作品である「11月のギムナジウム」と比べるとエーリクがコミカルな活躍をするのも、息抜きになって、よい。
が、個人的には少しスレた感じのオスカーが、ほんっとうによくてよくて。
思わず続けて「訪問者」を読んでしまった。

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2021年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

13歳のトーマ・ヴェルナーが陸橋から転落死し、1学年上のユーリに対し遺書が送られていた「これがぼくの愛 これがぼくの心臓の音」。半年前、トーマは学校一の優等生のユーリに好意を寄せていたが全校生徒の前できっぱりと拒絶されていた。彼の死の真相に苦しむユーリと見守る友人のオスカー。そんな時トーマとそっくりなエーリクが転入してくる。

ドイツのギムナジウムを舞台に少年たちの愛と死、信仰と赦し、そして再生を描く。心に耐え難い傷を抱え完全に心を閉ざした少年、ただ見守り待っている少年、自己犠牲により愛を示す少年、事態を読み解く鍵となり核心に触れる少年、それぞれの無垢な純粋さが尊い。

「今 彼は死んでいるも同然だ。そして彼を生かすために、ぼくはぼくの体が打ちくずれるのなんか なんとも思わない 」
「どうして神様はそんなさびしいものに人間をおつくりになったの?ひとりではいきていけないように」
「彼がぼくの罪を知っていたかいなかが問題ではなく、ただいっさいをなにがあろうと赦していたのだと、それがわかった時ぼくはもう一度主のみまえで心から語りたいと思い。。。」

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2021年07月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんなんだ
こんな少女漫画は読んだことがない

段々と引き込まれてページをめくる手が止まらなかった
異性愛をタブーとしない流れ、
ショックを受けた時の描き方が今と比べると態とらしく感じてしまいシュールな心地、
花や木々のロマンティックな描写、
共感せずにはいられない悲しみを背負った少年たち

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2018年06月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

お名前は随所で見かけていたけれど読んだのは初めての萩尾望都作品。

ギムナジウム的な少年愛。
元々世代が違うけど、でも昨今の「BL」というジャンルの枠には収まらない、あまりに文学的な作品だった。

オスカーが格好良い。

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2017年11月13日

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