【感想・ネタバレ】セトウツミ 8のレビュー

「この川で暇をつぶすだけの青春があってもええんちゃうんか」―。イケメン眼鏡・内海くんとちょっと残念系男子・瀬戸くん。タイプの違う二人の男子高校生が放課後の河原でひたすらだべるだけの日常マンガ。

このマンガの何がすごいかって、大きなドラマが何一つないことだ。女子へのメールの文面や、ネクタイの結び方、ムカつく先輩への愚痴などなどをテーマに語り合うだけで、彼らの時間は過ぎてゆく。まさに「リアル」!
特に部活に打ち込んだ思い出もなければ、恋愛に熱をあげた覚えもない私の中高生時代でも、日常を彩っていたのは、友達との会話や、ほの淡い恋慕だけだった。(卒業前にどうしても欲しくて、大好きだった生物の先生の白衣をもらいに実験室を訪れたこと、皆覚えてくれているだろうか?)

『セトウツミ』で描かれる夕暮れの風景はモノクロなのに、目に痛いくらい鮮やかだ。放課後の河原に心が飛んでゆく。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

随所で「衝撃の展開」って言われててワクワクして待ってた最終巻。読んだ。たしかに衝撃の展開。
でも様々な伏線が張り巡らされていたんだね。
私は「想くんに罰を」らへんでやっと、これ…シリアスにもっていくんかな…?ってなったアレやけど。だってネグレクト感強めの親って割とどこにでもおるから…。

そんで内海はASD(自閉スペクトラム症)やった。
私は福祉関係の仕事についてることもあって、自閉とかアスペルガーの子と話すことも多い。アスペルガーの子は確かに色んな言葉を吸収してて、色んなこと知ってる。喋るの大好きな子が多い。その喋りに独特のセンスが加わったりするから、話聞いてるとめっちゃ楽しい。
規則性もそう。自分の中に決まったルール、ルーティーンみたいなものがあって、それが崩れると何もできなくなったりする。折り合いをつけるのが苦手。でもみんなそれぞれに規則性なんてあったりするんちゃうかなと思うけど。折り合いをつけるのが上手いだけで。
あと感想文とかも苦手やったりするから、内海も自分の気持ちを上手に言葉にできへんかったのはそれなんかなって。
人の気持ちくみ取るのも苦手な子多い(人が傷つくことも傷つくと思わずスルッと言っちゃったりする)から、瀬戸が自分の気持ちをバンバン言ってくれて助かったやろうな。そしたら気持ちくみとる必要ないし、傷ついたことさえも言ってくれるし。
なーんてぐだぐだ言うてますけど、私は内海のこと気付きませんでした。
これっぽっちも分からんかった。最終巻でそれ告げられるまでぜーんぜん気付かんかった。そういう仕事してんのに。

でもそれは瀬戸のせいやと言い訳したい。
瀬戸が、内海に違和感を抱くことなく、普通に会話してたから。だからおもろいなぁ、って、ただそれだけやった。
ていうかそれだけやねん。ほんまに。実際は。
人間なんて性格それぞれやし。自閉とかアスペルガーを病気やって押し付けて理解してくれへん内海の家族みたいな人間も一定数おるけど、それは基本的に知識と理解が足りてないのに偏見だけが強いパターン。
別に普通やのにな。あれが苦手これは得意って誰でもあるのにな。
でも、そう思わないで「あいつは自分達とは違う」って線引きする人はたしかにおるねん。
でもこのセトウツミには、最終巻までそんな人は出てこーへんかった。あいつは病気やからって線引きする人はおらんかった。
一巻から内海がASDやってことを知ってたら、たぶん読者がそうなっていた。読みながら、ああ内海はASDやからこんな考えになるねんな、って線引きしてた。私もそう思ってたかもしれん。今こんだけぐだぐだ語ってるしな。知識があるぶん、たぶん素直に読まれへんくなってたと思う。

だからこその最終巻。最終巻での発覚。
ほらな、別に普通やったやろ、って作者に言われたような気分。
だってあんだけ楽しかってんから。それが全て。

これは内海を救う物語のように思うけど、瀬戸を救う物語でもある。
それはもちろん色んな部分で。でも今巻では、内海の異変に気付いて、助けたこと。
気付いて、自分のできることを全力でやったこと。自分の行動で内海が救われたこと。内海が事件を起こさなかったこと。友達に罪悪感を背負わせなかったこと。内海の存在を肯定できたこと。
この、一見すると内海のために思える全てが、実は瀬戸のためでもあると思う。
次男は大変やから。基本人に頼られへんし、期待されへんし、生まれたときから兄貴の大吉と名前で差ぁつけられてるし。
そんな自分が友達を救った。
友達と一緒におれる未来を自分らで作った。
それは成功体験として素晴らしいんじゃないかな。自分には何もないと思ってた瀬戸には余計に。

そんでしれっと内海、最後にラインのアイコンもらった写真に変えてるしな。あーーもーーー!!最高やー!!!好きーーー!!!

これは完璧なエゴやけど、内海が東京に行ってもああやってラインとかで会話しててほしい。たまに会って、東京案内とかもしてもらって、いつかはお酒を飲みながら、またあの場所で。

5
2017年12月11日

ネタバレ 購入済み

驚愕

瀬戸はスーパースター。だけど影のスーパースターはハツミちゃんかもしれない。半端ない理解力と的確な行動力があったからこそ、内海が何をしようとしているか、予測できたんだから…。それにしてもウツミの今までの行動や言動の伏線回収、切ないことばかり。父親、母親から受けた仕打ちは計り知れない深い傷となって、ウツミを蝕んでいた。それを溶かすことのできたという意味では、やはり真のスーパースターは瀬戸なのか。内海にはどうか大学で自由になってほしい。本当の意味で自由になって、生きてほしい。
素晴らしいマンガだった。

3
2017年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

笑いのツボ、作品の構成、キャラクターの良さ、物語の深み、全て大好きな漫画。

毎回笑いのレベルが高い瀬戸と内海の会話だけれども、同じ大阪出身者としては、とてもリアルでほんまにこんな高校生おるなぁ〜と言う親近感。
普通の大阪弁、河内弁、ドラマの金融屋が使うような関西弁なんて言う、関西弁の違いが触れられている部分、細か〜っと感動。使い分けたくなる感覚や、イントネーションが分かることが、嬉しかったり。
最終章で種明かしがあることは知っていたので、ある程度結末を予想はしていたけれども、やはりびっくり。瀬戸を儲け話で陥れようとしていた、ヤクザなおっちゃんまでも、仕込まれてたんかーっと。そして、そのおっちゃんの発言にもちょっぴり感動。

漫画を読んだ後、映画を見てみたが、再現率高し。ただ、映画は漫画の最終回までをカバーしておらず、あくまでも瀬戸と内海の日常を見せているだけ。短時間に全て押し込むのは無理なので、時間配分的には正解。ドラマには最後のネタばらしまで組み込んでいる様で、映画の続編と言う位置づけなのだと思う。機会があれば見てもいいなと言う感じだけれど、漫画と言うメディアがやはり一番いい様な気がする。映画とドラマ、違う俳優を使っているけれども、配役については特に異議なし。瀬戸好きの私としては、どちらの瀬戸も好みの役者なのでこの二人で良かったなと。

1
2018年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

セトウツミ舞台が最高だったので、原作も気になって一気読みしました。
会話のテンポ感と伏線の回収の仕方が気持ち良い。
男子高校生に絵を描かせる面白さの表現とか、秀逸だった。
瀬戸のあっけらかんとした人となりが内海の鬱屈とした心を解していったのが見てとれて、あったかい気持ちになった。
家族の呪縛から解き放ってくれていたから、スーパーヒーローという言葉が出たのかな。
怒涛のラスト+ニダイメが起き上がってくれ…という気持ちでページ捲る手が止まらなかった。
作者さんの造詣が深く、わからない言葉を飛ばして読んだので、次は調べながら読み返します。
続きが気になってスマホを開く気にならなかった。それくらい夢中で読める、笑って感動する、面白い漫画でした。

0
2024年02月07日

ネタバレ 購入済み

大どんでん返しの最終巻

最終巻ということで
内海の家庭事情が明らかになる!

と、期待していたのですが…
まさかの大どんでん返し

内海が瀬戸に出会ったのは誤算だったのか?
いや、賢すぎて堅すぎる内海には
むしろ正解だったのではないか!!

登場人物全ての出会いが必然であったとすら
錯覚してしまうほどの緻密な話の構成

自分は内海のようにかしこくも
瀬戸のようなスター性も兼ね備えていないただの凡人

それでもこの漫画を読んでいると
そんな自分でも生きていていいんだ
と肯定してあげたくなる!そんな漫画でした

#泣ける #感動する #エモい

0
2022年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

予想外の泣き笑いの最終巻。
このラストは想定内だったのかな?
一見どうでもよさそうなお喋りはどうでもいいわけじゃなかった。
サッカー部を辞めさせられた瀬戸の辛さが隠れてたり、家庭事情が複雑な内海の心の闇が潜んでたりしていた。
会話のくだらなさに救われることってあるかもなぁ。
最後のふたりのLINEのやり取りに涙する。

0
2017年12月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何も考えずに気楽に読めた。
それもこれも、最終回のためのマエフリだったってのが驚きと共に素晴らしい。

0
2019年03月20日

匿名

ネタバレ 購入済み

残念な最終巻

これまでほっこり温まる内容のお話だっただけに、最終巻における展開のがらっと変わりようが激しく、違和感を覚えた。
最後はひとまずハッピーエンドになっているが、そこに至るまでが後味悪すぎる。
前の巻までは楽しく読んでいたが、今後は読み返すたびに、「こんな楽しい内容だけど、裏で内海が考えていたのは……」と思えてきて、明るい気分で読み返すことができない。
また、内海の病気がほぼ特定できる形で登場しているが、この病気の人間への偏見を招きそうで、その点も嫌だった。

0
2024年04月19日

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