【感想・ネタバレ】山椒魚のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年03月13日

なぜいま井伏鱒二を読もうと思ったのか、それが全然思い出せない。
2、3ヶ月まえに青木南八との交流をテーマにした「鯉」を読んだけれど、この『山椒魚』はそれより随分前から積読されていたから、「鯉」を読む前から何かが気になっていたのだろうと思う。それが一体何だったのか。

ただ何となく思うのは、何か「手触...続きを読むり」のある小説を読みたかったのではないかということだ。
歳をとって小説が読めなくなってきた。
原因はよく分からないけれど「世界を立ち上げる力」が弱くなってきたんじゃないかという気がする。
物語を読んでも昔のように世界が現れてこない。だから最初から確かな世界が描かれている、そんな小説を読みたかったのではないだろうか。

井伏鱒二の小説はその点で非常に優れているように思う。山椒魚にせよ、鯉にせよ、サワンにせよ、あるいは朽助にせよ、彼が住んでいる谷間にせよ、そこに描かれているものが、何か固形の重みを持って感じることができる気がする
だから書かれていることが分からなくても読むことができるのではないか。

そんな気がした。

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Posted by ブクログ 2023年06月23日

井伏鱒二の懐の大きな文章が堪能できる短編集。ストーリーとか小説の意味とか関係ないというのは乱暴すぎるかもしれないけどとある視点で絵画的に世界を優しく切り取るというようなふうに感じる。その結果「これは何を言いたいんだろう」という感想を持ってしまうものもあるけど、それが世界というものかもしれない。
代表...続きを読む作とされる山椒魚はそんな観察が浮き出る印象。朽助のいる谷間はストーリー感が強めに出る印象。屋根の上のサワンは全体的なバランスのよさを感じた。そのほか、へんろう宿、掛け持ち、女人来訪が印象に残った。女人来訪の文章は面白すぎる。大空の鷲はすごく実験的な作りの小説のようにも思えるけど語り口は井伏鱒二的で不思議な感触。

女人来訪の一番印象に残った部分。
「あなたも岡アイコさんも、どちらも愚劣です。不自然なロマンスはむしろ猥褻です。あなたは榛名山の譬え話で、ふんわりしてしまったんでしょう?」彼女はそれから笛の音に似た声でピイという声をあげて泣き出した。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年06月05日

この短編集の中ではへんろう宿が一番好きです。淡々とした冷めたような文体で不幸な生い立ちながら明るく日々を生きている人々を描写しているのですが、私は作家にとても共感します。作家の感情表現が極力省かれているのにそれでも共感できるんです。読んでいると落ち着きます。

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Posted by ブクログ 2018年02月28日

今更ですが…。若い時読んだことなかったので。初期作品12作の短編集。個人的に「夜ふけと梅の花」が一番好きです。このユーモアとヒヤリ感が…。

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Posted by ブクログ 2016年06月05日

理由はうまく説明できないが今まで読んだ短編の中では一番好きかもしれない。山椒魚と蛙の関係、何を意味してるのか今一不明ですが....

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Posted by ブクログ 2015年08月29日

言わずと知れた、超有名な作品。
教科書にも採用されたらしいが、多分習っていないので読む機会がなかった。
表題作『山椒魚』は、改変前のもの。
蛙の気持ちになってみると、いよいよ自分の命が尽きようとしているとき、怒りの感情が沸いてこないのも頷ける気がする。
ずっと二人で岩屋の中にいて、悪態ついて過ごして...続きを読むはいたけど、自分がいなくなった後、1人取り残される山椒魚の哀れさを思うと、自分の境遇よりもなお悪いのではないかと思ってしまう。
閉じ込められて初めて、その孤独や不安を痛感し、いたずらに飛び回って見せて煽るのではなかったと後悔もしたかも知れない。
いずれにしても、面白かった。

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Posted by ブクログ 2024年02月06日

滑稽な
ほのぼの
朗らか
ユーモア
庶民的な
生き生き
可笑しみ
飄々

↑読んでいて思い付いた言葉
文章に愛嬌があって
本人の性格が出てる気がする

古本トワサンにて購入

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Posted by ブクログ 2024年02月04日

近代文学って慣れてないと読みにくいイメージだけど井伏の文章はスラスラ読めた。掛持ち、寒山拾得、夜ふけと梅の花、女人来訪、辺りが面白かった。主人公の語尾が「〜だぜ」なのもシャレてて好きだな。全体的にフワフワしてる感じとかも他の作家とは違った魅力の一つなのかも。

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Posted by ブクログ 2024年01月08日

12の短編集であり、一気に読めた。
方言や見慣れない表現に難しさもあるものの、それぞれ描かれる風景や心情に惹き込まれた。
共通して動植物が印象を深め、各編に一貫性を感じさせる。

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Posted by ブクログ 2023年01月25日

作品の出来不出来が激しいように思えた。旅する主人公と、その旅先の人々との交流を描いた話が多かったが、同じ型の作品を並べるとこうなってしまうのかもしれない。
似た作家として、漫画家のつげ義春を思い出した。特に「言葉について」などは彼の「紅い花」とよく似ている気がする。比較して読んでみるのも面白いかもし...続きを読むれない。(じぶんはやらないが)

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年06月06日

読む態度について反省している。
僕は集中力がつづくほうではないので、ちょこちょこ読んでは一度SNSを開いたりと、そうやって本を読んでいくことがおおい。しかし井伏鱒二のこの小説はそうやって読もうとしても、続きが頭に入ってこない。前半の何作か、そうやって意味を取りこぼしたまま、物語を終わらせてしまった。...続きを読む

五作目の『掛け持ち』から、一作品読み終わるまでは本を離さないと決めて取り掛かった。
今回、読書をちゃんとし終えられたのは後半の四作だけだったと思う。
しかしちゃんと読めた自信のある作品はどれもこれも、読み終えて作品世界から抜け出したときの自分のいる場所がなんだかおもしろいような気がした。

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Posted by ブクログ 2018年11月05日

処女作と思えない老成した感じの「山椒魚」
設定が面白い「掛持ち」
ひねくれたユーモアの「言葉について」
幻想的ですらある「朽助のいる谷間」「へんろう宿」「シグレ島叙景」
女性との関係を滑稽に描く「岬の風景」「女人来訪」
いっぽうこちらは男同士「寒山拾得」「夜ふけと梅の花」
鳥シリーズ「屋根の上のサワ...続きを読むン」「大空の鷲」

肩の力がぬけた独特の読み味。

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Posted by ブクログ 2016年12月08日

言わずと知れた名作。

特に山椒魚と屋根の上のサワンは国語の教科書でもお馴染みで懐かしく読んだ。

不思議な感じのする小説で、
小説というより詩のような印象を受けた。

とにかく感情を揺さぶられない。
例えば、電車から窓の外を見ているような。
気にしなければ何も思わないが、注目すれば確かに感じるもの...続きを読むがある。

現代小説には、この趣きのある著者は少ない。

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Posted by ブクログ 2024年03月23日

目が滑って読めたもんじゃない。
初井伏鱒二だったのだけれど、特色も魅力も掴むことができず。小説の中に突然2コマ漫画が乱入してくるような。意味のあることを言ってるんだけど意味がまるでないような。もう少し私の経験値が必要なのは明らかなので、それまで積読。

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Posted by ブクログ 2024年01月29日

時代物の文学作品を読むのは厳しいな

表題作を含めて12の短編集だが、山椒魚を読んだあとは1番少ないページ数の「へんろう宿」を読んで終わりにした

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Posted by ブクログ 2023年09月28日

18年ぶりくらいに読んだ。

最後の蛙の台詞の「てにをは」が気になって仕方がない。

「今でもべつにおまえのことを怒ってはいないんだ。」

「今で『は』」じゃなくて?
現在の蛙の心境として『は』よりも『も』の方が適当なのだろうか、としばらく考えていた。

完全なるフィクションなのに、心に期する感情は...続きを読む誰もが共感できるほどの圧倒的なリアリティー。

この作品が名作として伝わっていくなら、僕はこの国が好きだ。

2016.5.11

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Posted by ブクログ 2022年09月07日

初めての伊伏鱒二でした。表題作の「山椒魚」が一番好きかな。これ彼のデビュー作なんですね。天才だ...。

全体通しては、大きな山が何もないのに文章が上手いから話が先に進んでいく...という印象。いや、勿論山はあるんですけど、いつの間にか文章が終わっている。結構突然ラストが来るので余計そう感じるのかも...続きを読む。後書きでも評されてましたが「ストイック」「大袈裟を嫌う」というのがこの人の文章を言い表しているかな、と思いました。
割と初期の作品が多そう?なので、中期、後期の作品も読んでみたいです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年08月20日

夜ふけと梅の花に出てくるセリフで、
「僕は、酔えば酔うほどしっかりする。」
というセリフがあるんだけど、このセリフが個人的には1番好き。酔っ払った時に言ってみようと思う。
あとは山椒魚グッズが欲しくなった。

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Posted by ブクログ 2020年09月18日

詩を読んでいるかのような文章。
ユーモアのセンスの良さ。
心地よい文体。
また、読み返そうと思う作品。

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Posted by ブクログ 2020年06月13日

奇妙な短編集。

表題の山椒魚をひさかたぶりに読みたく、手に取る。

山椒魚とはまさにひきこもりである。
やがて無為自閉へ至るが。

主人公は誰もが、「常識人」風である。(『山椒魚』は除く)

自然描写の精緻さは言わずもがな、だけれども、自然描写の影に、心性の描写は限定的だ。

従って、「察する」と...続きを読むいう作業を読書に強いる文体なのかもしれない。

これが、精緻なバランスというものだろうか。

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Posted by ブクログ 2020年05月04日

井伏鱒二の代表作だが、自然描写が何とも美しい。
川端康成も自然描写が非常に美しい作家だが、井伏鱒二もまた美しいと感じた。

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Posted by ブクログ 2020年05月02日

人物や風景の細かい描写に長けてる。その場面場面における感情を上手く表現しきっているのが良いです。

個人的には朽助のいる谷間がおすすめ。老人の悲哀や少女の生半熟を上手く書いている。なんとなく美術絵の描写を文章化したような印象です。

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Posted by ブクログ 2018年12月04日

おこがましいから書評なんかできないし。

ところで表紙のせいでずっとオオサンショウウオをイメージしてたけど、よく考えたらモデルは普通のサンショウウオだよね?

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Posted by ブクログ 2018年10月11日

最初の3篇くらいを読むのにめちゃくちゃ時間がかかったのでそこでやめて、ずーっと読まずに置いていたのを最近続き読んだらすんなり読めたので、以前手に取った時は読む時期じゃなかったんだなあとか思った。
表題作がやっぱりいちばん面白かった。
ちょびっとせつない読後感になる短編が多い。
へんろう宿と掛持ちが印...続きを読む象に残っている。

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Posted by ブクログ 2018年03月26日

著者の初期の頃の短編集。
人間って愚かさという意味で面白いなぁ、と思わずには得られないユーモアあふれる話。人間って、と述べたが表題作の主人公は山椒魚。それでも、人間のおかしさが存分に表現されているのだから。
細かく言えば、話の随所随所ではっとする。「へんろう宿」で主人公が二人の子供の名札を確認するの...続きを読むを、自分も同じ行動をしていると錯覚する(同じタイミングでそういえばこの子たちの名前は、と振り返りたくなった)。「シグレ島叙景」ではオタツが戻ってきて伊作へお土産を渡したときの、伊作の反応がわかってしまう。話自体は勿論フィクションだろうが、随所随所で既視感を感じる。よくある日常系に陥らない、この作風は新鮮で読みやすく面白い。

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Posted by ブクログ 2017年10月14日

『シグレ島叙景』『へんろう宿』辺りを読んでる最中、なんだか『不思議の国のアリス』を読んでる時と似た感覚に陥ったんですが、これは作品に漂うユーモアと、主人公とその周囲にある疎通できない壁みたいなのを感じるところから来てるのかな。
主に初期の作品を集めたモノですが、どれも読みやすく飄々としたユーモアで面...続きを読む白かった。

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Posted by ブクログ 2017年07月02日

辻原登の本の中で、井伏とコルタサル二つの「山椒魚」の読み比べを進めていたので再読。まだ、コルタサルな読んでないが。

今では、井伏氏の描く日常がピンとこないので作品を理解するのに苦労するものもあったが、この短編集はバラエティもあり、サスペンス風のもの、掛け合い漫才風のもの、動物もの色々あり楽しめまし...続きを読むた。あまり名作だからと構えて読まないほうがいい。

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Posted by ブクログ 2016年10月24日

どこまでもイメージや象徴の世界に生きていたひとなんだと思う。なるたけ言わずに眼前に示したい、そんなことを目指していたように感じられる。
だから、書くということにかけて、非常にタイトで、文章に無駄がない。ヘミングウェイのそれと同じ匂いがする。そういう点で、太宰が絶賛したのは十分にわかるし、大家であると...続きを読む思う。
けれど、どうしても精神に欠けているように思えてしまう。ことばからイメージを抽出しようしようと、うーんとうなっている姿は見えるが、生きてことばで考えてみようとは考えていない。ことばの存在を前提にしているため、彼は、それを不思議に思ったり、存在に思いを馳せる性質のひとではないのだと知った。
別にそれが悪い訳ではないし、物語を書くということで必ずしも必要だとも限らない。
けれど、非常に不自由だと感じてしまう。何を表現するかで頭を悩ますより、何が表現されているのか考える方がよっぽど生産的だと思う。
ただ、彼ほどの大御所にもなってくると、何を述べるかで、多大な影響を及ぼしてしまうというのもあったのだろう。

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Posted by ブクログ 2016年09月11日

20190611 名作に関しては、中学生の頃読み漁っていたが結局、何にも残っていない。読み直しの時期もあるのかも知れないが印象に残るように感じる。次は誰にしようか。

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Posted by ブクログ 2016年08月10日

「何たる失策であることか!」が滑稽で可愛らしい、山椒魚が主人公の表題を含む短編集。超生き生きとした老人、若しくは動物が異常に登場する。
がっつり心に残る話がある訳ではないけれど、読んでいる内に共感を覚える場面がとても多い。

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