「私の名を残せ 王の名だ」
1450年代のイギリスでは、ランカスター家とヨーク家が王位継承をめぐる「薔薇戦争」を繰り広げていた。ヨーク公爵リチャードの息子として生まれたリチャードは、実の母に「悪魔の子」と呼ばれながらも、父や兄たちと王冠をヨークのものにするため戦っていた。一方ランカスター朝ヘンリー6世は、戦いで血が流れることに苦しみ精神を病んでいた。そんな2人がただのリチャードとヘンリーとして出会い、友情とも愛情とも言えるものが育っていく。互いの運命を知ったとき、2人は何を思うのか。30年に渡る戦いの中を生きる2人から、一時たりとも目が離せない…！
「他の人と違う」リチャードにとって「父の名をもらった」ということが、心の支えになっていたのは間違いありません。しかしそれと同時に枷にもなっていたのだと思います。父を自分の光であり、生きる意味だと考える彼が、その父の亡骸に対面し口づけたシーンには鳥肌が立ちました。王の名を継いだ者は、必ずしも王冠を求めなければいけないのか、一人の人間としてただ生きていくことはできないのか、リチャードの幸せは何なのか、多くのことを考えさせられる作品です。
感情タグBEST3
素晴らしい
アニメ配信が始まったので知った作品です。三冊無料キャンペーンでしたので読んでみたところ、画風があまりにも素敵で夢中になってしまいました。
王家の主権争いは血生臭いものですが、ファンタジーと実在する人物の融合が絶妙、非業の死も解放という形で描かれているところに感心してしまいました。その法則からいうとリチャードを苦しみから解き放つのは生きながらえたあの人ではないかと。いずれにせよ大詰めに来ていますね。
何巻だったか、春を告げるスノードロップの花が描かれていました。ヨーロッパの厳しい寒さがほころびかけるときに咲くこの花がとても印象的でした。
最終巻、どうか悲しみから救われますように。
王冠と引き換えに
リチャードの大切な人たちが次々と去っていく巻なので、ひたすらしんどいです。かつて幼いリチャードは、王冠の光の中にはあらゆる幸福があると夢見ていたけれど、王冠を手にするまでの道のりも、王になってからも失ってばかりで、その手に最後に残るものは一体なんなのだろうと考えさせられました。本誌では完結したそうなので、最終巻を楽しみにしています。
Posted by ブクログ
いよいよ破滅へのカウントダウンが始まるんですね。
シェークスピアの作り上げたリチャード三世からこうした名作が生まれるのは大歓迎。（最近の発見で、彼はとても美形で、悪政を行っていなかったことも分かっていますしね）
大衆文学の恐ろしさを感じるのは、筋違いかもですけれどもね。
元々、私はリチャードが嫌いではないものですから(n*´ω`*n)
あと一冊で終わりですか、寂しいなぁ。
壮大な改変
シェイクスピアの原作が好きで気になって手を出した作品でしたが、このような展開に持っていくとは、思っても見ませんでした。リッチモンド伯の含みのある描写はイアンマッケラン版映画のリチャード3世を彷彿とさせますね。
そしてリチャード3世の劇中劇、シェイクスピア作品の中ではよく使われる手ですが、本作もそれを使い、原作のセリフをそこで出してくるとは…鳥肌モノでした。テューダー王朝が悪役リチャードを作り上げたのは史実。それをこうして織り込んでくる作者の手腕が素晴らしいです。
とまらない
リチャードへの裏切りが止まらなくて読んでいて苦しい。
でも愛される人には深く愛される人、それがリチャード。
ラストがどうなるか怖いけれど知りたくてとても気になっていましたが、何と美しい終わり方か。
愛してくれる人たちに守られて戦場を去っていく事が出来て良かったです。
Posted by ブクログ
バッキンガム〜！！！切ない泣 引っ掻き回さないで、リチャードに幸せをくれ！！アンとエドワードとの家族愛もっと見たかった…一気に16巻まで読んで、リッチモンドのバカヤロー
可哀想すぎる！
愛した人を殺され、また殺すしかなくなる。なんて可哀想な。残酷な！この子幸せにはなれないのかな？クライマックスが気になる
いよいよラストに近づいてる..
リチャード三世の話的に、次がラストでしょうか。
この状況のリチャードはどんな思いで「馬をよこせ」というのか楽しみです。
でも今巻は感情移入しすぎてつらい.......
Posted by ブクログ
ここから最後まで怒涛の展開で一気読みしてしまった。
登場人物一人一人の顛末をちゃんと描いていて好感が持てる。
リチャードを愛する人はこれだけいるのに誰とも幸せになり切れないのがなんとも。
