【感想・ネタバレ】旅人 ある物理学者の回想のレビュー

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Posted by ブクログ

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日本人初のノーベル賞を取った湯川秀樹博士の随筆集。

名作の誉れの高い作品で、私は40年ほど前に中学生の頃学校で紹介されて知ってはいたものの、読む機会はありませんでした。

昨年、角川ソフィア文庫から改訂版が発行され書店に平積みになっているのを偶然見つけて買って読んで見ました。

とても読みやすく親しみやすい文章の中に、美しく整った格調の高さを感じる表現があります。

また古き良き日本の時代の様子が、湯川博士の生活や日々の思いや、また博士に関わりのあった家族、友人、恩師との思い出を通して、たいへんよく伝わってきます。

読み進めながら、自分自身の幼少の頃や少年時代の思い出がどんどん引き出されてきます。

若いころに読んでもきっと味わえなかったこの作品の良さを、今しみじみと味わっています。

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2012年03月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

湯川秀樹博士の自伝です。
中間子論の発見の物語を期待して読むと肩透かしを食らいます。最後の10ページくらいにならないと出てこない。
どちらかというと教科書に出てくる偉人が、幼少期からノーベル賞級の発見に至るまで、どんな人生を送っていたのか、どんな性格で、どんな人との関わりがあって、時代の空気はどんなものだったのか、その薫りを楽しむ本です。
「学問を尊重する気持が国民の間にあるのなら、学者はなるべく研究室に置いて、ことさら繁雑な世界に引き出さないようにしてほしいと思う」という、現在と同じような感覚を持っていたのだと思う。

”「ずいぶんまわり道をしたものだ」というのは、目的地を見つけた後の話である。後になって、真っすぐな道を見つけることはそんなに困難ではない。まわり道をしながら、そしてまた道を切り開きながら、とにかく目的地までたどり着くことが困難なのである。 ”
もうちょっと頑張ろう!と思えました。

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2020年12月29日

Posted by ブクログ

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文学賞を受賞した方だっけ?って思うぐらい、作家顔負けの教養溢れるとても美しい文章でした。そのまま文学の道に進んだとしても成功したんでしょうね。人柄が文章に出ているのか読んでてとても静かな空間にいるような不思議な感覚に包まれる。現時点で物静かなのか謙虚なのかわからないが、また日を置いて再読し直して理解を深めたい

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2012年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ことに私は生まれつき、自己を表現することに困難を感じる人間である。それにまた自意識過剰の人間でもある。自分を客観的に見よう努めながら、自分で
理論物理学と言う学問は、簡単に言えば、私たちが生きているこの世界の、根本に潜んでいるものを探そうとする学問である。本来は哲学に近い学問だ。
それを裏切ることになるかもしれない
私は孤独な散歩者があった。将来、無口な私は、研究室で手分けでも、1日中、誰とも話せず専門の論文だけを読んでいることも稀ではなかった
最後にぜひとも書いておかねば気のすまぬことが2つある。1つは、私をして、思う存分、物理学の勉強することを可能ならしめた人たちに対する、感謝の気持ちである。もう一つ書いておきたいのは、この回想録が終わった頃から以後、今日までの間に私の研究に協力し、その発展に貢献してくれた人々のことである。
2020.12.09
私は学者として生きている限り、見知らぬ土地の遍歴者であり、高野の開拓者でありたいと言う希望は、昔も今も持っている
私は運命論者ではないが、このことを考えると不思議な思いに誘われる。人間はどんなきっかけから、どんな変わり方をするかわからない
私が子供ながらに、なぜか孤独と親しんで行ったようだ。父に対する根強い反感があった。それが私の心を閉鎖的にした

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2016年11月14日

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