【感想・ネタバレ】旅人 ある物理学者の回想のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年12月05日

お父さんやお母さん、二人のお姉さんと1人のお兄さんと1人の弟さん。家庭環境や関わってくれた先生や友人など、大切に覚えていらっしゃって、がいこへ行かれたときも、ちゃあんと、会いたい方には会いに行かれて、(存命である限り)ちゃんと生きるってこういうことかなぁと素敵な人柄が存分に味わえました。ありがたい随...続きを読む筆でした。

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Posted by ブクログ 2022年06月10日

日本人で初めて物理学でノーベル賞を受賞した、湯川秀樹氏自身による回顧録。40代の頃書いたようだ。
少年の頃のことから、ネクラで引っ込み思案な中学時代、そして物理学と出会った高校時代、海外の物理学者の研究に刺激されて物理学にのめり込んでいく京都大学時代。
湯川氏は大学を卒業するまで一貫して京都に居住し...続きを読むていた。兄弟も多く、彼は7人きょうだいの5番目に生まれた。父親も兄たちも分野は違うがそれぞれ学者で、当然のように学問の道を志したようだ。そして物理学に出会ってから、いい教授たちに導かれ、次第に研究分野で第一人者になっていく。
物理学以外のことに関してはとても謙虚で、今でいうオタク的な青年だったようだ。でも文章からにじみ出る人柄や教養に好感が持てた。先日レビューを書いた岡潔教授にも京都大学で数学を習ったそうだ。岡教授の方が変わった人という印象だ。湯川氏は天才だが、ごく常識的な人という感じも十分にある。彼の研究を一般人になるべく平易に説明しようという努力もうかがえる(それでも難しくて理解できないが)。
昭和一けた年時代の自然豊かな京都の風景に、京都に行きたくなった。とても興味深い本で、読んでよかった。

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Posted by ブクログ 2014年08月16日

理論物理学と哲学の近親性について言及されていたが、この本を読む限りこの人は哲学者としてのイメージの方がよほどしっくりくる。やはり一昔前の人は学問の垣根を越えて博学、というか教養を持っていたのだと痛感する。また数年後、もう一度読みたい本

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Posted by ブクログ 2013年12月02日

日本人で初めてノーベル賞を受賞した物理学者、湯川秀樹が50歳の時に書いた自伝。彼が受賞する理由となった中間子理論を作り上げるまでの人生が書かれている。

勉強に捧げた人生。そしてそれを心から楽しんでいるように思えた。"おわりに" は何度読んでも震える

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Posted by ブクログ 2018年10月14日

湯川秀樹の、幼児期から中間子理論の考案に至るまでの回想記。実父の紹介なども織り交ぜつつ「私の履歴書」風に綴られていく。
随筆家としても評価の高い湯川であるが、ここでは低廻の様子がおぼつかなげに、行きつ戻りつ描かれる。心の内面をためらいがちに記し、家族との記憶、研究の道に入ったばかりのときの身を削って...続きを読む打ち込む苦しさが述べられる。

この静かな集中心、それを持てる湯川秀樹が眩しい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年03月14日

日本人初のノーベル賞を取った湯川秀樹博士の随筆集。

名作の誉れの高い作品で、私は40年ほど前に中学生の頃学校で紹介されて知ってはいたものの、読む機会はありませんでした。

昨年、角川ソフィア文庫から改訂版が発行され書店に平積みになっているのを偶然見つけて買って読んで見ました。

とても読みやすく親...続きを読むしみやすい文章の中に、美しく整った格調の高さを感じる表現があります。

また古き良き日本の時代の様子が、湯川博士の生活や日々の思いや、また博士に関わりのあった家族、友人、恩師との思い出を通して、たいへんよく伝わってきます。

読み進めながら、自分自身の幼少の頃や少年時代の思い出がどんどん引き出されてきます。

若いころに読んでもきっと味わえなかったこの作品の良さを、今しみじみと味わっています。

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Posted by ブクログ 2011年11月21日

日本人で初めてノーベル賞を受賞された湯川秀樹氏の青年期までの自伝。

学生時代の話が中心となっており、著者がどんなことを考え、どんなことをしていたかについて、家族や恩師、友人の話も交えながら述べられています。

高校の頃に読みたかったなぁと思いつつ、大学生の今読んでもとても刺激になりました。

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Posted by ブクログ 2023年04月21日

幼少期の思い出から研究での悩みまでが綴られており、内容が戦前から数十年前の事柄なのに理解しがたい点が無いくらい明解な文で読むのに快適な本だった

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Posted by ブクログ 2022年12月01日

伝記物をほとんど読んだことがないと思い、関心のあった湯川秀樹氏の著書を読んでみました。物理学者にして文章が普通におもしろく、最後までとても楽しんで読めました。アインシュタインや朝永氏について、近い距離感から書かれているあたりは、少年マンガの激アツ展開のようで、熱くなりました。他の著者が書くと強いエピ...続きを読むソードだけで盛った話になりそうですが、自伝だと等身大の視点で好感が持てます。同じ人の話を、自伝と他伝(?)で読み比べてみるのもおもしろそうです。

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Posted by ブクログ 2021年10月17日

ノーベル賞の発表シーズンに日本人初の受賞者である湯川先生の前半生を振り返った回想記があることを知り、手に取りました。

湯川先生の生い立ちや学生時代について詳しく振り返っていて、人格の形成を理解することができます。

特に印象的だったのが、下記二点でした。
・数学を得意としていた著者が、高校時代の教...続きを読む師によって進む方向を変えたこと
・量子力学の黎明期において、新しい発見に至るまでの不眠をはじめとする苦悩

これから量子力学を学ぼうとする理系の大学生に特におすすめで勇気をくれる一冊になると思います。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年12月29日

湯川秀樹博士の自伝です。
中間子論の発見の物語を期待して読むと肩透かしを食らいます。最後の10ページくらいにならないと出てこない。
どちらかというと教科書に出てくる偉人が、幼少期からノーベル賞級の発見に至るまで、どんな人生を送っていたのか、どんな性格で、どんな人との関わりがあって、時代の空気はどんな...続きを読むものだったのか、その薫りを楽しむ本です。
「学問を尊重する気持が国民の間にあるのなら、学者はなるべく研究室に置いて、ことさら繁雑な世界に引き出さないようにしてほしいと思う」という、現在と同じような感覚を持っていたのだと思う。

”「ずいぶんまわり道をしたものだ」というのは、目的地を見つけた後の話である。後になって、真っすぐな道を見つけることはそんなに困難ではない。まわり道をしながら、そしてまた道を切り開きながら、とにかく目的地までたどり着くことが困難なのである。 ”
もうちょっと頑張ろう!と思えました。

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Posted by ブクログ 2016年03月27日

なんだかんだと言っても、
ノーベル賞をとるぐらいの人は、昔から偉かったんだな。

自分との差を感じる。

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Posted by ブクログ 2016年02月06日

湯川秀樹の青年期の回想。勉強、大好きだか、この頃の人は、専門になる物理学だけでなく、数学、老荘思想など、幅広く本を読んでいるなあ、と感心する。

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Posted by ブクログ 2015年03月06日

湯川博士はこう言う。少年の意欲は固定されておらず、何に対しても敏感だ。あらゆるものを吸収して、それらが整理されてくる過程の中で、その人の人格とか個性といったものが形成されるのではないだろうか、と。

全くその通りだと思いますよね。最近は周囲にも「食わず嫌い」の人間が多すぎる。入試で使わないから勉強し...続きを読むない、とかいうのもザラにある。でもそれは自分の可能性を狭めているだけにすぎない。様々なものに触れるからこそ、本当に自分が好きなもの、得意なものが見えてくるはずだ。
多くのものに触れるほど、その人の総合的な人間力も増してくるように思われる。

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Posted by ブクログ 2014年08月24日

ノーベル物理学賞受賞者である理論物理学者 湯川秀樹の自伝。
生い立ちから幼少~青年期にかけて考えていたことや自分の進んできた道について記している。

この自伝を読んで、物理学会の天才は自然科学の領域においては明晰な頭脳を如何なく発揮したが、逆に対人関係においては子供のころから劣等感を感じているような...続きを読むのが意外だった。

それにしても彼のように自分の進むべき道がはっきり見えて、かつそれに全身全霊を打ち込めるのがとても羨ましく思えた。

また彼は少年時代から哲学や修身学に触れ、生き方を模索してきたように、もっと本に触れてこればよかったと後悔。

今からでも修身学や哲学は勉強すべきかなと思う。

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Posted by ブクログ 2012年09月16日

表紙のイラストの階段が、横から見ると数字になっているのが面白くて買ってみました。
湯川博士の回想録で、難しいかなと思いつつ読み始めましたが、意外とすんなり読めました☆
挫折しそうな気持ちが、もう少し粘ってみようという気持ちに変わりました。この道しかないという決心も大事ですね~☆

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年04月22日

文学賞を受賞した方だっけ?って思うぐらい、作家顔負けの教養溢れるとても美しい文章でした。そのまま文学の道に進んだとしても成功したんでしょうね。人柄が文章に出ているのか読んでてとても静かな空間にいるような不思議な感覚に包まれる。現時点で物静かなのか謙虚なのかわからないが、また日を置いて再読し直して理解...続きを読むを深めたい

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Posted by ブクログ 2011年12月29日

徴兵官は書類に目を通すとすぐに、
「丙種合格」
と言った。それからいくらか、表情をやわらげて、
「君たちは若い大学生だ。兵隊としては役に立たんが、学問の道にはげんで、その方面で、日本の存在を世界に知らせるようにしてほしい」
と言う。

未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅行者である。地図は探...続きを読む求の結果として、できるのである。目的地がどこにあるか、まだわからない。もちろん、目的地に到達できるのか、あるいは途中で、別方向へ枝道をつけねばならないのか。


自分が高校から現在にかけて興味を持って読んでいるような小説や哲学書、歴史、等を小学校から読み始めておられた。やはりレベルが違う。
それとは逆に外との接触を拒む性格があり、それを本人は悪い事だと言いながらも、やはり求めてしまっているようであった。

とはいうものの、ところどころに彼に影響を与えている他人はいて、その人達なしには成果はあげることができなかっただろう。それがたとえ海の向こうの、あるいは違う時代に生きる、本や論文、教科書であるとしても、それを読む事は立派な他者との対話であろう。

最近自分は思うが、勉強を行うのは一人で内に入り込んだ方がより浸かれるのだが、そうして得たものを他人と話すことで一人では得られない勉強ができるのだと思う。

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Posted by ブクログ 2011年06月03日

湯川秀樹が、若かりしころの自分とその周辺について記述したエッセイ。

読んでみると、彼はやはりすごい、という気持ちと、彼にもいろいろ悩みや欠点はあったのだ、とほっとする気持ちの両方が生まれた。

彼は自分の向き・不向きや性格をよく把握しており、将来の進路に悩む自分にとってはうらやましい限りである...続きを読む。見習わなくては。
読み物としてもおもしろく、また研究に向かう姿勢も学ぶことができる。
大学生、大学院生におすすめ。

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Posted by ブクログ 2023年02月05日

朝永振一郎の自伝を読んだので、湯川秀樹の自伝も読んでみた。文章は湯川先生の方が上手。

学者の一家に育ち、5歳の頃には祖父から漢籍の素読の手ほどきを受けたそうで、昔のインテリ層は格が違うなと思った。
研究や戦争についての回想はほぼなく、幼少から、青年時代、結婚してからの家庭生活などが内省的に淡々と語...続きを読むられる。孤独を好み、内面世界が豊かなタイプということがよく分かる。また、京大(三高)の自由な気風が彼の気質と才能を養ったらしく、その校風をずっと残していってほしいと部外者ながら思った。
これが書かれたのが1960年なので無理もないのかもしれないが、パグウォッシュ会議に対する思いなどが書かれているわけでもなく、特に感銘を受けるような本ではなかった。

湯川先生は太宰治あたりと同時代の人である。作家の小説や自伝以外でこの時代のことを書いたものを初めて読んだので、社会風俗の雰囲気が分かり、それなりに興味深く読んだ。

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Posted by ブクログ 2021年10月17日

日本人初のノーベル賞受賞者である湯川秀樹さんの中間子の発見までの前半生を綴った回想録。
幼少期からの学生生活と時代の空気感の記述がほとんどで、理路整然で淡々と読み進められました

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Posted by ブクログ 2019年05月03日

日本人初のノーベル賞受賞者である著者が、27歳になるまでの半生を語った本です。

地質学者である小川琢治の三男として生まれ、貝塚茂樹、小川環樹を兄弟にもつ学者一家のなかで育った著者の家庭環境や、物理学を志した三校時代のエピソードなどが、わかりやすい文章でつづられています。幼少時から幅広い教養に触れる...続きを読むことのできる来歴であることはいうまでもありませんが、その一方で、著者が育ってきた家庭においても、物理学の道をえらぶにあたっても、どこか自分の歩んできた道に対して距離を置き、冷静にそれを見つめている態度がうかがえるように感じられます。

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Posted by ブクログ 2018年12月30日


1.この本を一言で表すと?
・生い立ちから、学生時代のこと、物理学者を志し、中間子の理論を発見するまでの自伝。
2.よかった点を 3〜5 つ
・ある証明問題について、先生の方法と異なるやり方で証明したために零点とされた
→大人は知らないうちに、子どもの人生を大きく変えてしまうことがある。気をつけ...続きを読むたい。
・エピソード(p148)秀樹少年を大学に進学させるか否かについて、両親が話し合ったというもの
→親が判断を間違わないようにしたい。
・本を濫読した話
→子供の頃はとにかく興味の赴くままに読書するのがいいと思う。
・この時の私の気持ちは、坂路を上ってきた旅人が、峠の茶屋で重荷をおろして、一休みする気持にたとえることも
できよう。この時、私は前途にまだまだ山があるかどうかを、しばし考えずにいたのである(p289)
→このあとを振り返るのを躊躇するのに理由があったのだろうか?
3.参考にならなかった所(つっこみ所)
・とくになし
5.全体の感想・その他
・大科学者であれ、一人の少年や青年であったという当たり前の事実を、淡々とした文体で静かに語ったところが好
感を持てる

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Posted by ブクログ 2016年11月14日

ことに私は生まれつき、自己を表現することに困難を感じる人間である。それにまた自意識過剰の人間でもある。自分を客観的に見よう努めながら、自分で
理論物理学と言う学問は、簡単に言えば、私たちが生きているこの世界の、根本に潜んでいるものを探そうとする学問である。本来は哲学に近い学問だ。
それを裏切ることに...続きを読むなるかもしれない
私は孤独な散歩者があった。将来、無口な私は、研究室で手分けでも、1日中、誰とも話せず専門の論文だけを読んでいることも稀ではなかった
最後にぜひとも書いておかねば気のすまぬことが2つある。1つは、私をして、思う存分、物理学の勉強することを可能ならしめた人たちに対する、感謝の気持ちである。もう一つ書いておきたいのは、この回想録が終わった頃から以後、今日までの間に私の研究に協力し、その発展に貢献してくれた人々のことである。
2020.12.09
私は学者として生きている限り、見知らぬ土地の遍歴者であり、高野の開拓者でありたいと言う希望は、昔も今も持っている
私は運命論者ではないが、このことを考えると不思議な思いに誘われる。人間はどんなきっかけから、どんな変わり方をするかわからない
私が子供ながらに、なぜか孤独と親しんで行ったようだ。父に対する根強い反感があった。それが私の心を閉鎖的にした

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Posted by ブクログ 2016年09月10日

湯川秀樹さんが
自分の人生の前半を
新聞に書き綴った自伝
発明発見物語というかんじではなく
ただただ日記のように淡々とかかれる
でももともと文学に素養があるらしく
文学的というか、なんとも読み心地が良い文章
面白くて他人にお勧めできるかというと
そうでもないが
いい本だった

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Posted by ブクログ 2013年06月04日

湯川博士の自伝。
本当に頭のいい人なのだと思った。
そして同時に努力の人なのだと思った。
費やした時間の分だけ報われる。
インプットがあるからアウトプットがあるのだ。
決してないものねだりをしてはいけない。
まずは考えよう。

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Posted by ブクログ 2013年05月01日

 ポップな感じの表紙につられて読みました。物理学のことに関しては、ほとんど触れられていないので、私でもすらすら読めました。
 やはり、頭がいいのは家系なんだな、と思いました。

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Posted by ブクログ 2012年11月11日

若い頃に 一度 読んだのですが、改めて 読み返しました。
湯川秀樹の 自叙伝です。 関西人に 馴染みの 地名などが 記されているので 読み易いところが、いい感じです。
日本人初 ノーベル物理学賞受賞者を 少し 身近に感じる 一冊です。

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Posted by ブクログ 2012年04月08日

湯川秀樹博士の20代後半までの回顧録。前半はいかにも少年らしい生活が感じられる。後半はシュレーディンガーやボーアや相対性理論といった話が出てきて、場の話等が分からないと難しいかもしれない。
「遠回りしたものだというのはゴールにたどり着いてからわかる。道なき道を進むには遠回りかどうかも分からない」

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Posted by ブクログ 2011年06月03日

著者の若い頃を追憶して書き留めたものです。

少なからず世に名前が流布している方が

どんな人生を歩んできたのか

興味が尽きませんね。

自らの時代と重ね合わせてしまったりします。

読みながら

あの頃の自分や家族、友人たちのことを

思い出したり、

懐かしんだりしてしまいますね。

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