【感想・ネタバレ】猫と庄造と二人のおんなのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年04月27日

飼い猫を溺愛している庄造、気性の激しい若妻福子、元夫に未練たっぷりの先妻品子の三人が織りなす大谷崎中期の中編小説。物語の鍵となるのは雌猫のリリー。ペルシャ猫の血が入った彼女の愛らしさと主人公の溺愛っぷりが本書の読みどころの一つである。二人の女のそれぞれの思惑でリリーは品子に譲渡されることに。気風の良...続きを読むい母親おりんと嫉妬深い福子に頭が上がらない庄造は愛猫恋しさに懊悩する。
谷崎特有のマゾヒズムの影も見えつつユーモアに溢れ、猫好きは勿論、犬派やハムスター派にもお勧めの軽やかな一冊。

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Posted by ブクログ 2022年08月31日

akikobbさん、111108さんにおすすめしていただいて。

面白かった!
字が小さい文庫しかないんだよなあと敬遠していた作品だったけれど、文字サイズなんて読み始めてすぐ気にならなくなった。

とにかく猫のリリーが気まぐれさも含めて可愛く、いじらしく、翻弄されてしまうのも無理ないと思うほど。
...続きを読むュートでワガママな女(今回の場合は主に雌猫)に振り回されたいという谷崎先生のフェチが、本作でも詰め込まれている。

品子も庄造も、人間のごたごたのせいでリリーを振り回してしまっているのをかわいそうに思ううちに、「誰にもまして可哀そうなのは自分ではないか」という思いに駆られるように、猫と比べて人間の滑稽さが際立つ。 

特に庄造。ラストシーン、2人の女から逃げ回って、なんとか猫に遊んでもらおうとする姿は情けなすぎるけれど愛すべき腰抜けという感じで、おすすめいただいた時の「庄造はある意味可愛い」というセリフの意味がわかった(笑)
こういう男に執着しちゃう2人の女の気持ちも分かる。
情念に翻弄される卑俗な姿こそが、人間らしさなのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2019年09月24日

猫が一番!女房はそれ以下!!何という男よ。谷崎の短い長編だが、田辺聖子さんか?と思うくらい軽快でユーモア垣間見えるナイスな一冊。小心者でろくでなし男、庄造。策略家で我の強い元妻・品子。小金持ちの娘でふしだらな現妻・福子。こんな三角関係の絶対的トップに君臨するのはリリーちゃん。美しきメス猫。庄造は恋人...続きを読むのようにリリーを愛することから、不穏な元妻と現妻。そんなドタバタ話だが、とにかくリリーが可愛すぎ。猫を飼ったことがない私にも、猫の魅力が存分に伝わる描写が流石。で、ラスト、ここで終わるの!?という唐突さに驚き。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年10月07日

飼い主の心猫知らず。
周囲の人間が呆れる程、只ひたすらに飼い猫リリーに愛情を注ぐ、正に「猫可愛がり」。
本作のタイトルの順番通り、常に「猫」が一番上。
妻や愛人よりも、である。
リリーが一度哀愁に充ちた眼差しでじっと自分を見上げただけでもうメロメロ。
リリーの言いなり。
リリーは只、飼い主の顔を何の...続きを読む気なしに見ただけなんだろうけどね…それを言っちゃあ、おしまいよ。

谷崎潤一郎も相当の猫好きとみた。
猫の描写が具体的で細かすぎる。
これは猫を実際に飼って間近で見て可愛がっている人でなければここまでは描けまい。
谷崎潤一郎に対してぐっと親近感がわいた。

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Posted by ブクログ 2017年11月28日

私も猫溺愛しているので、庄造のリリーにベタ惚れなのがよく分かります。
リリーは雌猫の典型で、うちで飼っていた初代猫を思い出しました。
凛として、賢くて、人懐っこいようでそうでないような。
女より雌猫という描写がちょっぴり変態エロチックな感じがとても良かったです。
リリーちゃんが少し切なかった...。...続きを読む
夏目漱石の「吾輩は猫である」の逆をいって、人間のエゴイズムでムラムラしてる感じでした。

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Posted by ブクログ 2017年07月08日

猫と庄造と二人の女のそれぞれの心情が複雑にそれぞれでおもしろい。谷崎は猫と暮らしていたのか。犬と暮らしたことしかない者には猫の挙動もましてや心情もよくわからないが、さもありなんと思われる。

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Posted by ブクログ 2017年05月29日

谷崎ってこんなに面白かったのか。
猫と人の四角関係。
庄造も女たちもそれぞれが利己的で打算的なので「こいつらどうしようもねぇな」という感じがするが、リリーだけは猫なので責めようがない
義父が自分は猫と会話ができると言っていたことが思い出された。

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Posted by ブクログ 2024年02月25日

某所で紹介されてて興味を持ったので読みました。
出てくる人が皆、猫に翻弄されてて「猫飼いってこうなるよね〜」って思いながらの読書になりました。
庄造さんの可愛がりっぷりは読んでてちょっと引いたけど、猫ってかわいいから溺愛するのもわかる!

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Posted by ブクログ 2023年05月05日

谷崎の作品を読んだのはこれが初めてだと思うが、筆力にうならされた。ある読書会が課題本として挙げていたので読んでみたのだが、粗筋をみてそのストーリーの小ささに、果たして読み通せるだろうかと危惧していた。しかし、それぞれの登場人物にとっての道理、そして人情のゆれが描かれ、飽きさせない。現代人の生活に、同...続きを読むじような密な道理や人情が働いているのかは疑問としても、自分のなかにあるものを描いてくれていると思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年04月29日

別れた女房から請われて愛猫を引き渡した男が、居場所のなさのあまりに現妻と元妻の目を盗んで愛猫に会いに行くという物語。大きな事件は起きないけれど、それぞれの登場人物の思惑と心の動きが描かれていて読まされる作品だった。

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Posted by ブクログ 2021年07月29日

河合隼雄のねこだましいから入りました。
河合隼雄の考察が先行していたんですが、予想以上によかったです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年07月25日

猫、という題材一つで、ここまで男女の駆け引きを書けるのか。流石、文豪と言ったところ。
だけど、文章は読みやすく、初めて谷崎潤一郎を読むのには丁度いいかも知れない。
いつの時代も、人は可愛い猫に、弱いものなんだろう。

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Posted by ブクログ 2021年04月30日

ぱってページを見たときは、うわ…読めるかな…って気持ちになるのだけれど、この上なく読みやすい。
セレクトされてることば言葉が、これしかない気がする。
正直、登場する人物たちの心情とかは、ひとつも(わたしの経験と共感てきに)分からなかったのだけれど、それでもすいすいと言葉が入ってきた。
登場人物たちの...続きを読む、いろんなものにふりまわされて生きている感じがとても滑稽でおもしろかった。
あとは、出てくる今はほとんどお目にかからない大和言葉たちを知れるのが楽しい。

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Posted by ブクログ 2020年12月26日

 猫のリリーの、何と妖艶なこと。

 谷崎潤一郎は、女の魅力をテーマに据えることが多いが、今回の「女の魅力を持つ女」は、主人公の妻でもなく元妻でもなく、リリーただ一匹。

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Posted by ブクログ 2020年11月03日

品子の目線からの猫の描写がとにかく愛おしく、何度も読み返してしまった。福子と品子の庄造へのいらだちと隠しきれない愛情(や未練)の描写が、いい意味で"男性が描く女性"らしくて良かった

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年09月25日

猫と庄造と二人のおんな
(和書)2010年02月12日 19:23
1951 新潮社 谷崎 潤一郎


最近、谷崎潤一郎が好きになって猫も大好きなので楽しみにしていました。

猫との関係がとても面白い。

良かったです。

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Posted by ブクログ 2020年07月13日

深謀遠慮、権謀術策、邪推の果て。

ふたりの女という題名が生々しさを際立たせる。

およそ愛玩動物、ペットは飼い主をはじめとしたヒトの感情、無意識に抑圧された欲求・願望・葛藤を投影させる。

その意味では、現実と心性の中間領域たる存在だろうと思う。

正造とふたりの女、都合3名だがそれぞれ、猫のリリ...続きを読むーに自身の感情を投影させる。

嫉妬心、愛して欲しいという欲求、自由でいさせてほしいという葛藤がこの物語では投影される。

個人の感情を投影する対象として、リリーは機能しているようだ。

他方で、ある場合には愛玩動物は夫婦仲を取り持つ機能を果たす。

夫婦とはいえ、別々の個人、主観をもつヒトであるから真に一体化することはでき得ない。

愛玩動物を通して、どういう愛し方をするか、どんなお世話をするか、仕草や鳴き声などなにを愛しいと感じ、糞便や餌付け散歩その他なにが鬱陶しいと感じるかを知ることもできる。

従って、主観と主観の中間領域としても愛玩動物は機能しうる。

ところが、この3人(正造ママも含めれば3人)はそれぞれの願望、欲求、そして葛藤を投影させるのみで歩み寄りは叶わなかった。

ここがこの一家の、この4人の病理の深さだと感じる。

やがて互いの思惑、深謀遠慮、邪推の果てに、歩み寄りの要石となるであろうリリーも年老いてゆく。

この物語からなにを得られるだろうか。

ひとのこころの歩み寄ることの困難さだろうか。愛することの困難さだろうか。

いちばんの被害者はリリーだろうか。

それぞれがそれぞれ好きなように扱われ、揺れ動く他ない高貴な名を持つ猫こそ被害者か、或いはヒトを翻弄させた加害者か。

解説は、いわゆる保守本流正統派の谷崎潤一郎解釈だ。

およそこれに異論をぶつけるだけの高邁な読書力など露ほども持ち合わせないけれど、あえて自分の感想を残しても怒られない・・と思いたい。

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Posted by ブクログ 2020年06月28日

猫派ではないので、題名は知っていたものの読み残していた本書だが、〈愛猫家必読〉、「男に愛され女に憎まれたリリーの運命や如何に……?」等のオビが巻かれていたので、つい手に取ってしまい、読むことになった。

先ずは大阪弁のやり取りが読んでいてとても心地良く、さすがに大谷崎の文章と、改めて感じ入った次第。...続きを読む

そして、リリーを巡って繰り広げられる庄造と先妻、後妻との間の嫉妬や愛憎を混じえたやり取りが面白い。

何か底意があることを窺わせる、先妻から後妻宛ての猫を譲って欲しいとの手紙で読者の興味を引きつけると、庄造が飼い猫リリーに小鯵の二杯酢を与える描写が続くが、愛猫家でなくとも、可愛がるとはこういうことかと納得させられてしまう。

また、リリーを譲り受けた先妻品子とリリーとの関係が徐々に作られていくところも、人間に対して示す表情や動作の描写が実にうまいなあと感心してしまう。


ペットを家族の一員と思う現代だからこそ、身に沁みて読める一冊だと思う。

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Posted by ブクログ 2020年04月26日

題名の通り、主な登場人物は3人と1匹だが、この物語の主人公はリリー(猫)と言ってとよいかもしれない。読んでいると分かるが、リリーはただ平凡な毎日を過ごしたいだけなのに、周りがそれぞれの事情で色々騒ぎ立て、本来関係のないリリーも巻き込まれるのだから冗談じゃないと思う。
自分が猫を飼っているから、猫特有...続きを読むの描写についてはあるあるの内容が多く、何度もその可愛い姿が浮かんだものである。

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Posted by ブクログ 2019年01月07日

面白かった。リリーすごすぎ。みんな変な人だけど、人間味がありました。人ってこんなもんだよねみたいな。もしいつか猫と飼ったらリリーって名前付けたい。すごい色気のある猫になってほしい。

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Posted by ブクログ 2018年01月05日

なんだろ隣の家の揉め事を眺めている感じ、ゆるく読めます。猫好きなら、まぁ、仕方ないよねーだって相手猫だし、って思ってしまう。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月13日

昔の作家だし、難しいイメージを持っていたが、意外と文章自体は読みやすい。
解説によると、人間は何かに隷属したがるということだった。確かに登場人物たちは何かしらに執着していることが書かれている。
第三者視点での心理描写が読みやすいしわかりやすい。割と好き。井上靖も第三者視点だ。客観的に書かれる文章が好...続きを読むきなのかもしれない。
谷崎潤一郎の本はこれが初なのでまだ理解しきれてない部分が多い気がする。また機会があれば別の本も読んでみようと思った。

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Posted by ブクログ 2022年08月18日

飼い猫リリーをめぐって、猫を可愛がる庄造と、猫を利用して庄造の心を惹こうとする前妻と後妻。前妻の品子は庄造と復縁するときのための保険として好きでもない猫を引き取るが、次第に愛着を持ち、猫も品子に気を許すようになる。こっそり会いに来た庄造には一瞥をくれただけだった。

猫のために駆け回る庄造の姿は滑稽...続きを読むで風刺的。猫は人間の言葉を解さないだけにより崇高で、タイトルの順はそのまま価値の順で、そのまま崇拝、隷属の対象になっている、と解説より。

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Posted by ブクログ 2022年06月18日

一人の男の取り合いをする二人の女。でも男は全然幸せではない。むしろ食傷気味である。男は感情が純粋に思える猫に首ったけ。懐いている時は良かったが、ついには猫にとってどうでもいい存在になりあたふたしている。居場所の失った男はこれからどうするのだろう。2022.6.18

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Posted by ブクログ 2020年09月12日

いつの時代も猫は正義笑
本人達はいたって真面目だけど、側から見ると滑稽な様子が面白い。谷崎潤一郎の文章はやっぱり読みやすくて好きだ。

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Posted by ブクログ 2020年04月17日

最後、猫と庄造の立場が逆転してるのが怖かった。わたしたちが猫に飼われてるのはわかるな〜、猫ちゃんには勝てないよな〜、、

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Posted by ブクログ 2019年07月05日

猫は恋のキューピッドにも、忠実な下僕にもならない。ただ、なんとなく心が通じ合えるような、つい居ないと寂しくなってしまうような中毒性がある。

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Posted by ブクログ 2019年06月27日

一匹の猫を中心に、猫を溺愛している愚昧な男、猫に嫉妬し、追い出そうとする女、男への未練から猫を引取って男の心をつなぎとめようとする女の、三者三様の痴態を描く。人間の心に宿る“隷属への希求を反時代的なヴィジョンとして語り続けた著者が、この作品では、その“隷属"が拒否され、人間が猫のために破滅...続きを読むしてゆく姿をのびのびと捉え、ほとんど諷刺画に仕立て上げている。 "

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Posted by ブクログ 2017年10月14日

典型的な三角関係に猫が一匹紛れ込むだけで、どうしてここまで話がややこしくなってしまうのか?猫は嫉妬の対象となり精神安定剤となり、ヒトの欲望を映すスクリーンとなる。猫の代弁者 漱石に、猫視点でこの物語を書きなおしてもらったらどうなるだろうとふと思った
女性が猫を飼うと結婚出来なくなる理由も何となくわか...続きを読むる気がした。寧ろ男も飼ったら結婚出来なくなりそう。男と女の間で中々成立しない需要と供給の関係が、猫とヒトなら見事に成立してしまう皮肉。生殺与奪の権利を持ちながら、寧ろ持っているからこそ猫に媚びへつらってしまうヒトの哀しさ。

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Posted by ブクログ 2017年08月16日

当方、猫が嫌い(厳密には他人の猫の糞害に苦しめられた結果、大嫌いになったんですが)なので何ですが、結構楽しめました。
ここのところ谷崎を読んでますが、一番好みかな、今のところ。他愛もないと言えばそれまでですが、ドタバタ喜劇的でもありすっと心に入ってきます。

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