【感想・ネタバレ】キング牧師とマルコムXのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

この本が出版されたのは1994年である。
今から20年前の本だが、この当時、おそらく著者が抱いていたであろう「分離主義の危険」は今もより根深い問題として残っているのではないだろうか。
「キングが唱えた非暴力による公民権運動によって、今日の黒人の発展がもたらされたことは、だれも否定できない事実である。しかし、その発展の恩恵を受けていない貧困層が厳然として存在することも明らかである…貧困層の絶望が深まれば深まるほど、白人との統合を拒否し、分離主義が強まっていく危険性が高くなる。黒人の児童を白人の児童から切り離し、黒人だけの学校をつくろうとする動きもある。黒人の児童に劣等感を感じさせないようにするには、分離教育がよいのだという」(18頁)
 ここで筆者の述べる懸念は、この分離主義が経済格差の問題とリンクして、台頭してきていることだ。これは将来アメリカの分裂につながるのではと危機感を抱いている。
こうした点ではキング牧師もマルコムXもそれぞれの出自やその思想は当初異なっていたが、次第に重なる部分が現れてきたのだという本書の指摘は重要であり、興味深い。
 キングとマルコムの行動の重なりでいえば、両者とも人種的な誇りや自立への努力を訴えたことだろう。キングもマルコムも人種を超え、社会において恵まれない境遇の人たちに誇りを持たせ、自立を促し、その救済を指向していた。その中には白人の貧困者まで含まれるような運動を展開していた。そうした視点は今もなお重要だと思える。

0
2015年03月04日

Posted by ブクログ

キング牧師の掲げた目標は、非暴力、公民権、統合となり、マルコムXの目標は、人権、自尊心、自衛となる。二人の思想の軌跡から、学ぶことは、多くあります。

0
2012年11月19日

Posted by ブクログ

本書が刊行されてから20年以上経過しているのですこし古い記述もありますが、2人のバイオグラフィが短く纏まっていて、それを良く知ることができました。
人種差別は決して許容されてはならない!

0
2018年06月30日

Posted by ブクログ

授業のために読んだ。
読む前は、キング牧師すごい人、マルコムXってだれ?という感じだったが、読んだ後は、キング牧師意外と凡人だな、マルコムXけっこういいやつじゃん、となりました。

0
2013年07月16日

Posted by ブクログ

久しぶりに「読んだ」シリーズのアップです。アメリカ黒人の公民権運動で特に著名な2人にスポットライトを当てている本で、キング牧師とマルコム・Xの運動に対する両極端なアプローチはなかなか興味深かった。

0
2012年07月12日

Posted by ブクログ

題名の通り、キング牧師とマルコムX、両者の生い立ちや思想、そして比較研究など、かなりわかりやすく述べられた歴史書。

概してキングとマルコムは、非暴力思想と暴力思想との対比が強く、一般的には相いれないように思われているが、僕は個人的にはそうした対比より、彼らが最終的に何を目指していたかの方向性に注目すべきだと思う。

本書にもある通り、キングの人種統合はアメリカ国内の人種問題として限定的だったのに対し、マルコムXの場合は第三世界を中心としてインターナショナルな視点で統合を考えるという、世界的な意味を持っていた。厳密に彼らの目指す方向性にも微妙な差異があったのである。

とはいえ、生前彼らがもう少し共闘体制を結んでいれば、アメリカの黒人歴史はもう少し違っていたかもしれない。(実際、両者の接近を、黒人の人権拡大に反対していた勢力は阻んでいたという史実もある。)

0
2011年08月08日

Posted by ブクログ

ゼミのマルコムXプレゼンのため。
わかりやすくまとめてあって便利。
Nation of Islamの思想部分を担当したので、そこらへんをもう少し掘り下げてる本も探してみよう。

0
2009年11月22日

Posted by ブクログ

 キング牧師とマルコムXという対照的な2人の生い立ちや思想を解説し、両者を比較し、検討したもの。
 これまで何となくキング牧師と言えば公民権運動、「私には夢がある」のスピーチで、マルコムXと言えば暴力的な人、くらいのことしか知らなかったが、この本を読んで、ぐっと世界が深まった感じがする。特に高校の英語の教科書や、児童向けの伝記なんかでも、あの有名なスピーチの一節ばかりが取り上げられて、とにかくすごい人なんだ、というイメージだけはしっかり植えつけられたが、その中身については何も知らなかったということが分かった。キング牧師に関しては、モントゴメリーへのデモ行進が公民権運動の頂点であって、それ以後運動が分裂していったという事実や、権利は保障されても実態は良くならないという事実に直面し、晩年、社会主義的な過激な思想になってくるという状況の中にあって、多大な失意や苦労の最中に殺されてしまったのだという事実は、衝撃だった。また、マルコムXについては、決して暴力が思想の中心では全くなかったということ、国際的視野を持ち合わせていたことなど、知らなかった。両者とも晩年に思想が微妙に変化していき、ついには両者が交わりそうになる予感を秘めながらも、2人とも39歳で暗殺されてしまい、結局は交わることがなかった、というのも、歴史のいたずらというものを感じる。2人があと5年長く生きていれば、2人が後世でどう捉えられていたかということも変わってきたかもしれないと思った。さらに、2人を比較することで、それぞれがなぜそのような思想に至ったのか、という経緯がとてもよく分かって、興味深い。とても分かりやすい本だが、最後に2人の年表なんかがあれば、もっと良かったと思う。最後の第四章は、今となっては内容が古く、この部分についての現代の状況を知りたいと思った。(09/04/19)

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

今まで知らなかった部分がすごく見えた。
歴史の教科書でうわべだけ学んだものを深く追求する作業ってめちゃ?面白い。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

戦後すぐのアメリカにおいて、黒人の人権を守るために積極的に活動した2人の宗教家(?)を比較考察した本。
一方は、「アメリカの夢」とたとえられたマーチン・ルーサー・キング。
もう一方は、「アメリカの悪夢」とたとえられたマルコムX。
彼らの違いは明々白々。
キングは白人の罪を許し、黒人と白人が共存できるアメリカの建設をめざした。
マルコムは黒人と白人を分離し、黒人だけのアメリカを理想とした。
彼らは時期を同じくして活動し、生涯に一度だけ対面し、
そしてその直後にマルコムXは暗殺された。
今日でも黒人の英雄と謳われているキングと、
過激な活動家としての印象の強いマルコム・・・。
今日ではマルコムの思想が、暴力的な黒人の若者に浸透しているという事実もあるよう。これはマルコムの発言の一部分だけを狭く解釈したために起きているまったくの間違い。
マルコムは暴力を否定はしなかったが、教唆をしたこともなかった。

アメリカにおける人権問題の根の深さとその解消の難しさ、
そして、彼らが命を賭けてやってきたことが、はたして現在どこまで活きているのか・・・。そういうことを知りたくなりました。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

黒人の公民権運動について、思想を異にする部分もある2人をフィーチャーしており、時代がどう揺れ動きながらも前進していったかがよくわかった。ただし、筆者の考察が所々府に落ちない部分があり、読み進めにくいこともあった

0
2020年06月18日

Posted by ブクログ

この二人を対比させてみるのは興味深い。
宗教的なバックグラウンド、幼年生活などの違いから、
何故その思想に至ったかを辿る。

色々異なるところはあるのだが、
個人的に面白いのはアフリカに対する考え方の部分である。
キングはアフリカの独立運動を自らの運動と通ずるところがあるとしながらも、
あくまでアメリカの枠で考えていた。

それに対しマルコムはアフリカとの交流の中で人種間を超えた
平等な社会を模索し始めたという点である。
(キングも最終的にそういう方向に向かうのであるが)

0
2014年09月03日

Posted by ブクログ

題名とおりキング牧師とマルコムXのそれぞれの生い立ちや活動などが簡潔にまとめられていて、また2人に共通する思想とは何か(反対にどういう部分では相容れなかったのか)、などが書かれている。基本的には、数々の2人に関する書籍を筆者が分かりやすく編集して読者に伝えるというような構成。だから、初めて彼らに興味を持った人が読むのには適していると思う。ただ彼らのことについて、初歩の部分は知っておりもっと踏み込んで思想を理解したいと思っているような人には物足りない内容だと思う。そういう人は、巻末の筆者が引用した書物を読みすすめていくとよいと思う。2008-12-12

0
2009年10月04日

「学術・語学」ランキング