【感想・ネタバレ】チキタ★GUGU 1巻のレビュー

人喰い妖怪ラー・ラム・デラルに家族を殺された少年チキタ。あわや自分も殺されるかと思いきやあまりの不味さに難を逃れ、更に“不味い人間は百年大切に飼育するとたいそう美味になる”という噂を信じたラーの餌としてと一緒に暮らすことになり…
この始まりからして凄惨極まりないのですが、本作は軽いテンポで読ませてくれます。
最初はチキタを家畜としか見ていなかった無邪気で残酷なラーが、チキタやチキタを通じて出会う人間達によってだんだんと「愛情」を理解していく様は反面、過去に殺した人間達についての苦悩を生むことにもなり、読んでいて切ないです。
一見かわいらしい絵柄ですが、生と死、人間の欲深さ・愛情、誰もが持つ二面性、様々なテーマを内包していて、読み応えは抜群。
いつか食べられてしまうチキタとラー・ラム・デラルの暮らしはどんな終わりを迎えるのか。
涙なしには読めない名作です!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 全巻読破。ネタバレありです。
 さて、にちゃんまとめでも悪名高き『チキタ★GUGU』。
 トラウマ漫画・後味の悪い漫画でとてもとても有名な作品です。

 ……なのだが。
 まず一巻、ほわほわしたキャラクタが人間殺すだの美味いだの言ってるよオボア。
 ラー・ラム・デラルという存在は、ばけもので、主人公であるチキタを喰おうとしたところ、とてもとても苦くって不味くって手が出せず、ばけものたちのあいだで「どんなに不味い人間でも百年経てばとても美味しくなる」という噂を信じてチキタを育てることにしました。
 チキタの汗や涙はばけものたちにとっては猛毒で、ラー・ラム・デラルはいろいろな存在に変身できるばけものでした。あるときには男性、あるときには女性、あるときには子供、鳥やら魚やら。そしてそのからだは不死身であります。
 そんなチキタとラーのへんてこりんな日常。
 チキタの両親はとても有名なまじない師だか祓い師だもんで、チキタも羨望のまなざしを向けられるわけですが、当の両親はラーの胃袋の中で、なにも知らぬまま村の人々に助けを請われます。
 チキタはラーと相談しては解決する、ということを繰り返すのです。

 最終巻で涙腺が崩壊した。
 いやもう、なんか、ね。
 クリップやニッケルに関して、そこまで酷いようには見えなかったのは、きっとTONOさんのほんわかした絵柄のせいなのだと思う。
 オルグの、おなかがすいてないからまた明日、を繰り返し、繰り返し、でもとても幸せそうな冒頭は、嗚呼、いっしょにいたいのね、と。

 そしてまた、シャルボンヌ、水玉模様のくまは、無知だったがために自分を受け入れてくれた村の人々を死に至らしめてしまった。哀しい。

 ニッケルも、女性であることは彼女のせいでもなんでもないのに凌辱されてしまうとか、わけのわからない一族に生まれてしまったがためなのだろうけれども、まあむなくそ悪いわよね。

 キサス。彼はただただニッケルを愛おしんでいただけだのに、素直になれず、でも最期にはニッケルを救うために生きた。
 ただ、ニッケルは、死にに行くとき、キサスや、母親や、キサスの弟チグルと向かうことになった。
 そこが、とてもうれしくて、ほっとして、ほんとうに、つらい現実じゃ酷い目にあったけれど、みな、幸せになれるのだと、だから四巻は哀しくもありうれしくて、涙がとまらない。だから外では読めない。

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2014年07月14日

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