【感想・ネタバレ】下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たちのレビュー

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当座の報酬の期待値の低さ・不確定性に対し、経済合理性の下、消費者マインドで「こんなん何になるんだよ」と突っぱねちゃうのがニートと不登校、つまり労働や学びの拒否の始まり。

その曖昧さや不確定性に対して「きっとなにかになるはず」と、気長かつ楽観的・期待的に身を投じて、労苦を負って行くこと。そして自己の不確定な変化という性質を認め、受け入れ、期待し、勘定に入れた上で学びに向かうこと。それらの勇気ある殊勝な態度が知性。

また「自身の存立」時点で社会や周囲の人間から受けてきた恩義、つまりは贈与に負い目を認められ、その反対給付義務意識に駆られて積極的に労働という(返報)贈与を社会に行っていくこと。それこそ伝統的人間らしさ・文化人類学的知見に合致する労働者マインドであり、労働の倫理・哲学・美学である。

※ただこの倫理に関しては(薄給なだけならともかく)ハラスメントや長時間労働強制、肉体的・心理的安全性侵害が横行するような、日本に跋扈するブラック職場では成立しないと思うけど(2005年の本だししゃーなし?)。

含蓄が多い本だと感じました。
勇気と忍耐のある、道徳的な内発的動機づけに強く意志付けられた人間になりてぇ。

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2024年02月12日

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学ぶことができるという環境を放棄している日本の子どもたち。納得のいく内容でした。
生産と消費がかけ離れ、生産することへの尊敬と感謝が失われている日本社会。たくさん消費することが良いライフスタイルであることのように報じられるメディア。日本はどうなっていくのでしょう。

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2023年10月29日

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面白かった。
本人も書いておられるように「ずいぶん力んで書いている」力作であります。
消費者として全てを同時性の中で生き、世の中を等価交換で見る体質。
こういったことが学びを馬鹿にし、労働を無意味なものと見る価値観に結びつくと見る。
解明していく際の気押される程の勢いある文章に引き込まれて行く。

学校内の状況は改善はされてきているのだろうか。
ニートの数は減少しているのだろうか。
外からは見えない隠れた部分。実態を知る術が無いが、良くなってきていることを望む。

対談部分は文庫化に際して削っても良かった気がする。何か著者にもしがらみがあるのかも知れないが…

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2023年09月29日

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今まで読んだ中でベスト・オブ・ベスト。
ウチダイズムの原理というか、ベースを知れた=社会の構造。
如何にして社会的上層と下層の差が生まれているのかそしてその原因は何なのかを考えさせられる書籍である。個人主義がいかに恐ろしい思想であるか。
そしてすべて個々人に降りかかるという、良い意味でも悪い意味でも
勉強を放棄してもそれは将来の自分が連帯保証人として存在する。

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2023年08月20日

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まさに現代教育の核心をついている。過去のフォーマットにしがみついている場合ではない。評価で釣って、子供に勉強をさせる手法は限界だ。そもそも学問とはそういうものではない。損得勘定でしか人間が動かなくなる。生徒は消費者目線で学校にやってくる。まさに、この通りで、変えることは困難であり、どう折り合いをつけていくのか。

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2023年02月26日

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めちゃめちゃ面白かった。

幼年期から経済主体として成長している。

この視点から現代の問題、例えばクレームする親や教育に反抗する子供などを説明していた。

これがすごく新鮮で、25の自分にも当てはまるところが多分にあった。

懐古的に昭和時代の大きな家族ぐるみの付き合いを失ってしまったことを嘆いている。
一家の大黒柱が働けない家族を含めて支えていた時代を。

こんな友人や家族を築けたらいいなと思う。

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2022年11月14日

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当時勧めてくれた友達に、「読んだよ!なんか、哲学者なのに読みやすい語り口だね、堅くないし」と言ったら「わたしは内田樹の本のことはあるある本だと思ってるから」と返ってきたのを覚えてる

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2022年08月31日

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本書では、子どもが授業を真面目に聞かないこと、勉強をしないこと、すぐに転職する若者が増えていること、ニート問題など、人によっては近頃の若者はけしからんと根性論で片付けてしまいそうなテーマが扱われている。
しかし、実はこれらの背景には共通しているものがあり、それが消費者マインドだということがわかりやすく説明されていて、なるほどと大変感心した。
現代社会において、消費者マインドは、重要かつ不可欠な思考であるというイメージがあったので、教育などの場に持ち込まれることで弊害にもなり得るというのは新たな学びだった。

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2022年06月25日

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私は両親に、姉妹で私立の中高大と通わせてもらい、毎年のように夏は家族旅行に連れて行ってもらったりしていた。だが私自身は2人の子供達を公立でも大学までやることができるかも不安な財政状態で、家族旅行にもほとんど行けない。子供達はびっくりするくらい家庭学習をしない。なぜだろうと考えていたことに、ひとつの解答を得た気持ちだ。2007年に出版されていたとのことで現在の状況を鑑みても、非常に先見の明があったと思う。当時はまだ子供もいなかったし、読んでも同じように感じたかはわからないけど、もっと早くに読んでいたら、今が違ったのかなと思った。

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2021年08月19日

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学ばない子どもたちの一人として、ストンと胸に落ちるという訳ではないがかなり納得させられる論だった。学びは何の役にたつの?という質問に対して、"答えることのできない問いには答えなくてよいのです"という考えはかなり納得のいくものがあった。自己責任論の危険さの話もかなり良かった。

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2021年01月27日

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内田樹さんの著書1冊目
物々交換の話、文化資本の話、子どもの学力について。
内田さんにハマるきっかけとなった本

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2020年09月04日

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ネタバレ

なぜ学ばないといけないんですか?

納得できる答えがないなら 学ばないという宣言。

それはまさしく消費者が 価値のある商品なら購入するけれど、魅力をセールスしてみせろという問いかけと同じ。

学べる世界が当たり前な環境にいるからこその問いかけ。

学べない環境についての想像はなく、そこにあるのは問いかけた本人が、自身の価値観の正しさを疑うことがない。
歯切れはいい。
未来の自分に対して、投資する意味さえ想像もつかないし したくもない そんな状態。

面白くてすぐ役に立つ そんな性急な授業だけが 選ばれる。

なんの役にたつんですか?

この言葉には、楽しくなさそう、努力したくない、時間や費用をかけて 一体どれくらい 目に見える得があるのか?ないだろう、
あるなら してやってもいいよ という傲慢な感情をわたしは感じる。

説得して学ばせる意味はもうそこにはなく、
学びに喜びや満足を感じる人種と
全く感じない人種に二分化されていくのではないか。

また本書には、自分探し として次々と職を変えたり 誰も知らない土地へ行く若者 人々についても触れている。

自分を探したいなら、自分をよく知る人々のなかでじっくり探す 自分に対しての考えに耳を傾けてみるほうが
よほど探せる と。

全く同感。

レベルアップしているようで
レベルダウンしていることも多々あるのでは?

もちろん転職や 生きる世界を変えること全てが間違いだとは思わない。

しかし、学ばない若者 と同様、
実は問題は自らにあるのに
問題を外に求めているところを気づいたら、きっと
自分は 見つかるはず。


そしてまた、今日の教育システムのなかで素直に学んできたなかにも 二分化されつつある と著者はいう。

学ばない若者の項にも通じるが、
試験のためだけの勉強オンリー 合格に役立つ試験勉強以外を、意味のないもの としてきた人々の
合格以降の様子。
昔ながらの上流社会においてのリベラルアーツ
芸術や 他国の文化、文学なんかについて全く話題にできない学生の存在が 少なくないというはなし。

文化資本の欠如という言葉を使って。

自分が文化資本の欠如しているとわからないからこそ努力するモチベーションは上がらない。
そして 二分化は ますます顕著になる。

知らないことを 知ること。

わかっていない自分をはっきりわかること。
そこから学びにつながる。

何のために学ぶのですか?

この言葉は、まるで反抗期あたりの不良がかっこいいという程度の価値観に思えてならない。

そして 今後その問いかけを直接耳にしても、何にも言わないだろう。

だってそれは、あなたの人生だからと考えるから。

学びの先に広がる至福な世界を知らないまま、
井の中の蛙でいるのも
また選択の自由。

何度も読みたい本でした。

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2020年06月13日

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なぜ日本の子どもたちは勉強を、若者は仕事をしなくなったのか?

社会全体が豊かになったからというのは漠然として誰にでも思いつく原因なんだが、ここで著者はさらに踏み込んで、子供たちが「消費主体」として自己形成を完了させてしまったからと、読み解く。と、これだけ書いただけでは、何のこっちゃ?となるかもしれないが、詳しくは読んでもらうしかない。

義務教育の義務は親にとっての「義務」であって、子供にとっては「権利」であったはずなのに、子供が勝手に「義務」と読み違えてしまっている。

などなど、目からウロコがたくさんありました。

(2010/5/1)

2021/6/22 再読

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2021年08月03日

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自分も含めてですが、コスパよく結果がでることや収入が得れるというのが一般的な時代になっています。そんな時だからこそ本書で述べられている
教育という本質的な部分は忘れてはならないと感じました。親と子で学ぶ。なぜ勉強するか?そこは問わずに楽しいよね?学ぶって出来るってという変化をしっかりとみてあげること。子どもも含めて感謝をする。人間として大事な教育という土台をもう一回作り直して現行にも活かせる一冊だと感じました。

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2024年02月04日

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「どうして勉強しなくちゃいけないの?」
こういった子供の問いに、大人として最適なふるまいとは『絶句』してそのような問いは「ありえない」と斥けることだと著者は主張しています。

なぜなら、その答えを教師から引き出すという体験によって、子どもがあるゆることにおいて自分に有益そうならやるし、気に入らなければやらないという採否の基準を身体化した『等価交換する子ども』になってしまうからだと言います。

それは子どもたちが「家で労働する」という体験から自己形成をする機会がなくなり、その代わり早い時期から消費活動への参加を促されていることに原因があるとのことで、その説明は納得するところもあるのですが、平和で豊かな生活を送る日本の子どもが、勉強の意義を考えることがそんなに悪なのでしょうか?とも考えてしまいます。私もなんとなく考えたことあったと思うし。

そんな質問に教師として「答えがない問いに答える必要はない」と斥けるのは、「つべこべ言わずにやれ」という昭和の感覚をよっぽど引きずっているのではとも思ってしまいます。
「君は歴史で習った、戦時中の子どもの話を聞いてどう思った?これがその質問の答えになると思うから、一度自分で考えて、あとで先生に教えて」
みたいな子どもに気付きや考える力をサポートするのが最適なのでは。

ちょっと自分と意見が違うけど、子供をとりまく教育、家庭の構造がわかって面白かったし、色々考えるきっかけになりました。また読みたいです。
ちなみにこのあと『ドラゴン桜2』を読むと、なかなか味わい深くなります。「考えるな!動け!」

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2023年12月05日

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ネタバレ

本書は、筆者の娘の中学校での学級崩壊の様子から、話が始まります。

学ぶという行為をなぜ子供たちはやめ、あまつさえ努力してまで学ぶ・働くことから遠ざかるのか、という疑問です。

その原因を端的に言えば、幼年期からの消費者としての商取引の蔓延、と解しました。

・・・
筆者は労働と消費の二項を導入します。

かつては子どもは労働に従事させられた。それは家庭内の小さな手伝いであったり、兄弟の面倒などの家族のサポートであったりした。その結果、家庭内がよりうまく回ったり、時に小遣いがもらえることがあったりもしたと。その労働の世界では搾取されるのが当然の世界で、子どもはその世界で自らの社会化を始めた(その搾取された労働のおかげで家庭であったり社会であったりがうまく回り、再配分が行われるということのよう)。

対して、現在の子供たちは労働の世界に馴れ初める前から、消費者としてマーケットに参入していると。ここでは原則は等価交換・無時間性です。

つまり交換は受領するサービスとその対価は等価であり、かつ瞬時に交換されなくてはならない。もちろんマーケットメーカーですから、値段に納得がいかなければ交換しないし、交換するならば今すぐそのサービスやバリューが提供しなければ納得しません。値切ったり交渉があったりするかもしれません。

・・・
ところが、教育というものが、そうした消費という概念におそよ馴染まない世界であることから、教育という世界と消費者たる学生との間で齟齬をきたすことになります。

まずもって教育とは時間がかかる。今日受けた授業で、生徒が成長を明日にでも実感できるものではありません。また教育がそもそも功利のみで語られるものばかりでもありません。しかも教育を受けたとて、それで将来の成功が保証されるわけでもありません。

このような教育の本質は、消費者として等価交換を考える学生のメンタリティとは合致しないことになります。

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ここで、等価交換という消費の原則に、「不機嫌」という貨幣が導入されます。

交換される財とサービスは等価でなくてはならない。

では学校では何が交換されるか。そう、授業というサービスです。学生にとって意味を見出せない授業とは自分が交換している時間に大いに見合わない。そこで交換を等価にするために支払われるのが「不機嫌」です。

「不機嫌」という通貨。なんだそれ? ほら、振り返ってみてください。昭和世代の「父親」が歯を食いしばって宮仕えをし、給金を家庭へと持ち帰ってきた様子を。いやな仕事もお金の代償とばかりに、家出は不機嫌顔で録に家族と話もせず寝てしまう。子どもたちは、親のこの態度を学習したと。

授業という意味を見出せない(無時間的に価値ありげなものも提供してくれない)ものに対して時間を(強制的に)交換させられている。でもこれは子どもたちとって等価ではない。この交換を等価にするべ、生徒たちは「努力して」授業を妨害している、と。

つまり学級崩壊は、生徒の等価交換の実現であると言えます。

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しかも、「自分らしさ」「内発的動機」「自己決定」などを称揚する潮流が事態を悪化させたとしています。

例えば「自己決定」。これは、自分が価値を置くものを自ら選択・決定するってことですね。逆に言えば、他人や世間がこれをやりなさいって言っても、強制されないわけです。パターナリズムの否定です。
生徒の立場で「自己決定」を言われると、授業や教育とは、生徒が意味を見出すもので、先生が一方的に授与するものではない、ということになります。意にそぐわない授業を聞くことは「自分らしく」ない。

塾で習う方がコスパ・タイパよくね? てか歴史なんか勉強して意味なくね?俺達将来を生きるんだし。 暗記とか時間の無駄だし。ネットで検索でオッケーじゃね?…すべて等価交換を念頭に置いた自己実現・自己決定であります。

・・・
さて、この「自己決定」ですが、その決断の正しさを担保するのは何でしょうか。

もちろん、将来の自分です。でも将来の自分が正しくなかったとき、どうなるでしょうか。もちろん、将来の自分が毀損します。

しかし学ばない子、働かない子は、安全網を破棄していることが多いと言います。

基礎教育を得ていない(「俺的に授業はイけてなかった」「人からやらされることは嫌い」)、労働経験が少ない(「チョー面倒なことをやらされるんだったら、収入なしの方がマシ」(無労働と定収入の等価交換・自己実現))、などです。

もちろん、勉強なんて何の意味があるか分からないことも多いです。そして何に役に立つのかも分かりません。また、そうした努力が必ずしも実を結ぶとも限りません。

しかし、生きる力がない・生きられないというリスクをヘッジするという観点から言うと、たとえ努力が実を結ぶと信じなくても、こうした努力・勉学を続けることこそがリスクヘッジとなるのです。

そして「内発的動機」を重視しまくり「自己決定」した人がこうしたリスクヘッジをできず、ニートになり得る、と結論づけているように見えます。

・・・
ということで内田さんの著作でした。

問題は複合的であり、一概に原因を特定したり、断定できるものではないかもしれません。内田氏もニートの統計が少なく、状況について断言しかねる旨、仰っています。

なお、こうしたニート達については、特効薬もなく、労働や勉学にも価値があるということを少しずつ理解してもらう、彼らを受け入れるような共同体を回復させる、等々を簡便に仰っていました。このあたりは宮台真司氏の考えに似ているかもしれません。

とうことで、本作、日本の教育事情、日本現代文化、社会学、思想系に興味がある方には興味深く読んでいただける作品かと思います。

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2023年06月29日

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学ばない働かないを自己選択する若者たちの気質を読みといた一冊。示唆に富んでいて非常に興味深い。

背景として、日本社会が集団主義の護送船団社会から個人主義の自己責任社会に移行したこと、子どもであっても経済合理性(コスパ・タイパ)を判断軸にしていることがありそうだ。

教育のジレンマとして、ある程度修了しないとその効果を実感できないところがあり、即時的な効果を求めづらい。
「なんの役に立つの?なんのために学ぶの?」の質問はここから来ている。

学校教育を経済合理性で考えた場合、じっと座って授業を聴く苦役および時間を差し出すことで、教師から教育サービスを受けるモデルと考えられるが、現在の社会は学歴が将来の雇用や収入を保証しない。
周りが勉強しないなら、全体の没落により偏差値は下がらない。
結果として、学力の二極化が起こる。
高偏差値層の医歯薬系の人気も、高校生が投資回収の早さを理解しているからだろう。

労働についても、労働は本質的に等価交換ではない。利潤を得るためには賃金以上の働きが必要。その点が理解されていない。労働による承認は賃金や周囲からの評価だが、賃金は労働対価以下であり、承認は送れてやってくる。

即時的な効果を得られないことに対して、結果が不利だと分かっていても低い自己決定をする流れがありそうだ。

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2023年05月03日

Posted by ブクログ

p.31意味がわからないことにストレスを感じない
→生まれた時からデジタルな仕組み分からないものだらけ

p.57教室は不快と教育サービスの等価交換の場
→ 消費者の立場で社会参画するからクレーム(自己利益を少しでも増やす合理的判断)。
→売買は無時間モデル。教育は学んだ後でないと価値が分からないものであるのに。

・世の中がビジネル思考になった。
・師をもつことが師である条件。オビワン。

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2022年11月09日

Posted by ブクログ

●著書は人生上がりの学者かとちょっと偏見があったが、この本は良かった。
●なぜ最近の学生が学ばないのか、すっきり解説してくれている。腑に落ちた。同じくニートが働かないのも然り。
●たしかに、なぜ勉強しないといけないのかなどの質問にはまともに取り合う必要はないはず。
●ニートの解決策はほぼないという身の蓋も無い結論だが、その通りではないか。今後我々が税金で補うしか術がないのは悔しいが…

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2022年02月06日

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分かりやすくて非常に面白い。なるほどね、と頷きながらあっという間に読んでしまった。
君たちはどう生きるかを読んだ直後だったのだけれど、消費主体として自己確立をする子どもの話は両者に指摘されていて興味深い。
経済的合理性だけを目指す教育や社会、どうなんでしょう?

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2022年01月29日

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自由な生き方を自分自身で選んでるようで、実は選ばされているという視点が、今までの私にはなく新しい視点だった。

格差が広がる過程がよくわかる本。

格差が広がる。社会が助け合いを忘れギスギスする、自己責任を強く問われ弱者がどんどん追い詰められていく、一部の上流階級以外みんな弱者になっていく。じゃあそれをどう解決していくか、ということがあまり書かれていないが、著者的には自分で考えろってことなんだろうな。
でもどうしようもなくね?って思ってしまう。それも短絡的なのかな。
家族の絆や地域の絆を程よく保つみたいな取り組みはNPO法人でチラチラ行なっているのをみるから、そこに期待。
そして、私自身も、人との関わりがとっても億劫だけど、少しずつでも無理のない範囲で増やせていけたらなと思う。
自分の住む地域が、そして日本全体が、また総中流社会になれたらなと思う。

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2022年01月21日

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ネタバレ

封建制を否定し、地縁共同体を霧散させた近代日本の歪みを解決してくれるのは封建的要素かもしれないのかと考える。それはまた封建制の問題を浮かび上がらせるだけなのだけれど、良い中間は多分ない。
そういえば、外山滋比古といい内田樹といい、自分の子供時代の教えは良かったとよく言う。人の話は丸呑みせずに考えることも必要だけど、訳もわからず受け取って、後でこういうことだったのか。と気が付くには、現代の生き方は早すぎるかもしれない。

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2021年06月05日

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ある意味ホラーです。生まれついての消費者は、バザールの商人と同じ,儲かるか損するかが価値基準で有り、その行動原理は、幼き時より深く精神を支配していると師範はときます。

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2021年04月14日

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学ぶ意味、働く意味を考えることは重要じゃない。そんなのは学ぶ、働くうちに見つけるもの、或いは見つからなくても良いもので、学ぶ、働くというのは当たり前のこと。という理解は強引かな?
内田さんは子供のうちに労働主体として生きることを経験するべきと言っている。そうかもね。自分が生きている社会は誰かの労働の上に成り立つもので、生きているだけで恩恵を受けている。働かずに生きていくというのは難しいこと。

私が物心ついた時、労働というものは自分以外の他人が担うもので、その対価に自分の何かを差し出すという考えはなかった。親が子どもに「寝床と食事は与えるからその分働け」なんて言ったら虐待扱いされますもんね、今なら。でも昔は子どもも働き手とみなされてたんですよね。食べていくためには子どもも働く必要があった。そうしないと家族が生きていけなかった。

何のために働くのか、とか考えることもなかったんでしょう。働かなきゃ生きていけないから。
今は働かないでも生きていける人がいる。衣食住やそれに相当する金銭を他人が与えてくれれば。子どもが生きていくのに必要なものを、子どもの労働なしに親が与えることもできる。余裕があるんでしょうね、昔に比べたら。

働きたくない人が働かないで生きていけるようにはならないのかな?今は他人を養う余裕がある人がいるわけで、その余裕を機械に労働させたり仕事を効率化させることで大きくしていけばいいのではと思うんだけど。
でも賃金が安いから共働きじゃないと子育て、生活が厳しい人も増えてる。これから余裕はむしろ小さくなっていくのかな。

労働からの解放というのは実現されないかなぁ。星新一さんの世界みたいだけれど。働かないでも生きていける社会になったら、どれくらいの人が働いてどれくらいの人が働かなくなるんだろう。いっぺん見てみたい。
政府から半年分くらいの生活費が全国民に与えられて、その期間働く必要はないと宣告されたら。物が買えなくなるしサービスも提供されなくなる。電気も水も使えなくなるかもしれない。働く人がいないから。水が使えなくなったら死ぬから、水道局に出向いて仕事を教えてもらって実践するかもなぁ。水道局の人に教えてもらう対価には何を差し出したらいいだろう。めんどくさいからって拒否されたらそれまでだしな。

食べ物は?スーパーに出向いていっても営業してなかったら、無理矢理こじ開けて盗むかもしれない。警察だって働いていないかもしれないし。そうなったら法律が機能しないから誰かに危害を加えられる可能性もあるね。なんか殺伐としてきたな。

やっぱり労働がある世界の方がいいか。働く人が大勢いるからこそ毎日食べる物があってインフラがあって安全に眠れる家があるんだし。
でも1日2時間週2日労働くらいに短縮されないかな、なんて理想はまだ持ってます。皆がもうちょっと楽できたらいいのにね。

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2021年02月16日

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2005年夏に行われた講演の書籍化であるが、ここで取り上げられている問題は2020年現在でも未だ解決の道筋が見えていない(むしろより根深くなっている?)ことばかりである。
ここで論じられていることが過去の事になるのを願うとともに、我々よりも後の世代には負の遺産を残さないよう自分に何ができるかを改めて考えたい。

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2020年08月15日

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私自身が考察対象になっている世代であり、学校の授業に対する考え方や態度は、まさにそのとおりだった。自分が必要と思うところだけを聞いて、ダルそうにして、自分が求める結果にいかに効率的に到達するかが大切だった。大人になって仕事をしてみて初めて、後になってその意味が理解できるということがあると知った。
半の座談会の中では、おじいさんの懐古主義的な主張が多く、霊的だの何だのはちょっと引いちゃうが、本編は気付かされることが多かった。
それが何の役に立つのか?コストパフォーマンスは?と、何に対しても問いがちな現代において、このモノサシでは測れないものがあるということを忘れずに生きていたい。

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2020年08月04日

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ネタバレ

現代の子どもたちの話・・と思って読み始めてみたのだけど、どうやら「学び」から「逃走」する世代って、ぎりぎり私たちあたりまで含まれているらしい(?)ということに途中で気づいた。とすると、もしかして私も「逃走」してきた一人なのか・・と自分を顧みながら読んでみた部分もある。
ちなみに「学びからの逃走」という言葉は、東大の佐藤学先生が言い始められた言葉だそうで、この先生のほか何人かの方の著作を参考に、「すべての日本人が率直に議論の足場を作ることが本書の第一の目的」(まえがき)とのこと。講演されたものを本としてまとめられたのだそうだ。
家族も後で読むかもしれないと思って、書き込む代わりに、オレンジ系の広めの付箋に感想を書き込んで貼り付けながら読んだら、黄色の装丁に鮮やかなビラビラがいっぱいつくことになってしまった。途中「地域差」を感じる発言や、少々違和感を覚えた部分もあったのだ(特に第一章)。その一方で「リスクヘッジ」についての部分は、私自身がこの言葉についてあまり知らなかっただけに、非常に示唆に富む部分だと感じた。
それと若干、ステレオタイプかな・・と思える部分と、ちょっと矛盾してるんじゃないかと思う部分、定義があいまいじゃないかな・・と思える部分もあった。ただ、まあいろいろこうやって議論(思索)を重ねるというところで、この本の「目的」は果たせているのかもしれない。

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2020年06月18日

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経済原理が行き渡りすぎた結果、教育が「等価交換」サービスと誤認される、という考察は頷ける。
「統計的に言うと」と言及される個所がいくつかあるのだけれども、そこに出典が明記されていれば、そちらも辿って読むことができるのだが、その点惜しいと感じる。

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2021年04月07日

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ネタバレ

対価を支払う価値があるのかを確認する作業から学ばなくなり、働いたら負け、との理論が成立する。

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2020年12月25日

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現状として起きている問題、不勉強な若者や働かない若者を社会やイデオロギーの変化に基づいて分析している。著者の言語化能力の高さに驚嘆する一方で、主張の一貫性のために少々誇張されていると感じる部分もあった。ただ、それは私自身が現代日本の実状について勉強不足であるのかもしれない。

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2020年09月27日

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