【感想・ネタバレ】ヤバい経営学―世界のビジネスで行われている不都合な真実のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年01月29日

著名な経営学理論を斜に構えて冷静に論じている。

成功している会社は、社内の複数のビジネス活動や組織の個々の部分を、高い次元で調和させている。
それには、目に見えない特徴も関係する。
成功している組織の能力は育成し開花させるのに時間がかかる。
イギリス人の庭のように。

成功している会社の経営者...続きを読むに対して、賞賛を送り過ぎている。
同様に、失敗した経営者に対して、批判しすぎている。
組織の成功や没落はイベントの参加者すべての意思の集合。

ストックオプションを持っている経営者ほど、大きな賭けに出る。
マイナスの面はどうでもよくなる。
会社が100億、損しようが、ストックオプションは無価値になるだけ。

多くのビジネス書が引き出す理論のひとつが、
企業はいくつかのコアビジネスに集中すべきだというものだ。
低迷企業はもっと儲かるビジネスを探そうとして、多角化することが多い。
つまり、一つの事業に集中していないのは、業績低迷の原因ではなく、結果なのだ。

経営合理化、リストラのような施策はすぐに効果を生むが、
その副作用はしばらく後に現れてくる。
フォレ族が死者の脳みそまで食べるのは、飢餓を減らす即効薬であったが、長い潜伏期間のヤコブ病に掛かっていることに気づかなかったのと同じように。

無能な研究開発部門にも使い道がある。
他社が発明したものを理解し、吸収し、自社の製品やサービスによりよく生かせる能力の獲得だ。
準備している企業には幸運が訪れる。

戦略立案とは、深い霧の中で車を運転しているようなもの。
前の車にぴったりとくっついて走るとぶつかってしまったり、前の車が事故にあっても、ブレーキを踏めるかわからない。すぐに止まれるだけの車間距離をとり、リスキーな危険なスピードは出さない。
とはいえ、スピードを落とすとレースに巻ける。

成功したければ、成功している会社をそのままコピーする。
なんとか受け入れられるくらいにうまくやり、それから、ゆっくり変化を加えていけばよい。
そうすれば、ローマのバールをコピーしたスターバックスのように劇的に違うコーヒー屋が出来上がる。

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Posted by ブクログ 2013年12月14日

なかなかおもしろい本でした。経営でみんな何となく思っているが口にされないことなどが言語化され、分析された上で掲載されており、爽やかな読後感さえあります。

<メモ>
・戦略の中の数字は意思決定の材料にはなるが、真実の全てではない。数字は作ることができる。数字は脇におき、あなた自身の感覚と判断をうまく...続きを読む使わないといけない
・お金で買う事ができず、生み出すために多くの時間と労力が必要となり、数字として見えずらいものが、他社との違いを生み出すことが多い。従業員のモラルや評判、企業文化など。見ることも測ることもできないものこそ、育て管理していかなければならない。
・最善の戦略とは全く期待もしていないところから生まれてくることもある。
よりよいアイデアはどこからともなくやってくる。
・業績不振のとき、どんなビジネスであっても、それだけで会社を支えていくには不十分なことが多い。生き延びるために様々な小さな収入源をもっていることが重要になる。様々な収益源を持つことは特定のビジネスへの依存を減らし、リスクを軽減する。調子が悪い会社は大企業との契約を追いかけたり、全く新しい製品や顧客を開拓するべきではない。多くの小規模の会社を狙うべき。たくさんの小さな企業からの売上を重視する戦略は企業の将来に向けた基盤を作ることになる。
・トップに立つ可能性が高い人は激しさや野心のある人。しかしながら、トラブルに巻き込みがちになってしまう。
・経営者が表彰されると、瞬間的に株価はあがるが、その後すぐに株価は下がり、結果的に表彰される前よりも低くなってしまう。期待値を高め過ぎてしまうため、マイナスに働いてしまう。皮肉なものだ。
・優れたリスク管理者は平均リターンが高い正規分布をもっている。ダメな管理者は平均リターンは低いが、分布曲線両端のテール部分が長い正規分布を持っている。このため、最もリターンが高くなるのは、だめなリスク管理者となる。
・アナリストに理解してもらえないと、どんな優れた戦略であっても、評価されず、低い株価になってしまう。ビジネス的には問題があっても、アナリストの気まぐれにつきあい、事業を一つに集中し、単純にした方が株価は高くなる。
・経営者がアナリストに恩を売ることは効果があるだろうか。答えはイエス。アナリストは仕事がしにくくなるため、若干の便宜をはかるようになる。
・高い報酬をもらっている取締役を選ぶことで社長の給料もあがりやすくなる。安月給の取締役が多いと社長の給料も安くなる。
・社外取締役が多いほど嘘も公開しやすくなる
・社内ノウハウを使うと、金太郎飴のようにおもしろみがなくなる。若手の場合のみ有効に働く。
・研究開発部門があることにより、他社のノウハウを流用できるようになる力がつく。
・ビジネスは霧の中で行われている。スピードを落とせばレースに負けるし走りすぎると崖におちる。まわりを走る競合他社をみつつ、適切に勝負をすることが重要
・本当に革新的になりたければ、お客さんのことは忘れなきゃいけない。
本当のイノベーションは顧客の嗜好を変えること。
・どう価値を作りだすかはよく考えられているが、なぜそうした価値を作り出せるのかというところは考えられていないことが多い。
・二つの会社の違いを消してしまうと、統合が意味のないものになる、相乗効果が生まれない。有効な違いをしっかりと見出し生かすことが重要。
・組織再編を行い、あちこち動かすのはやるべきこと。はじめは大変だが、コミュニケーションの再構成があり、いろんなところでブレイクスルーがおこりやすくなる。非公式なネットワークをつくったりすることも大事
・組織再編を行う理由 手遅れになる前に過度な権力の集中をとめること、変化に対する適応能力を高めること。
・時間が経つと会社は次第に硬直し、活力がなくなってくる。
・給与格差はやる気をそいでいる。
・2008年の金融危機の原因は職務の細分化と組織の専門化。そして、成功による盲目。
・CSRは企業収益には影響しない。

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Posted by ブクログ 2013年11月30日

「ヤバい経済学」の二番煎じかと思ったら、意外や意外、おもしろかったです。

日々のビジネスにおける素朴な疑問に目を向け、アカデミックな研究を紐解いて、目からうろこを落とさせる―――といったところでしょうか。常識と思っていることを疑ってかかり、別の視点で見ることの大切さを学びました。

タイトルに「経...続きを読む営学」とついていますが、一般生活者の日々の行動にも役に立つヒントがたくさんありました。なので、敢えて私の本棚では「経営・ビジネススキル」にこの本を納めないことにします。

表層的なことに流されるのは危険だ、と説いています。まさにその通りだと思います。

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