【感想・ネタバレ】テスカトリポカのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年04月11日

この作品が直木賞を受賞した時は、正直驚きました。と、言うのは作品の出来云々ではなく、「戦争物(第二次大戦、戊辰戦争、関ヶ原、源平合戦、等)ならともかく、悪党共の殺し合いの話」が、これほどの評価を得るとは思いもしなかったからです。

(つづく)

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Posted by ブクログ 2024年03月10日

マフィアの物語でハードボイルド。長編で体力は必要だが、読み応えもあり、めちゃかっこいい。メスカルというお酒を飲んでみたいと思ったら、テキーラの最大公約数のお酒だった。

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Posted by ブクログ 2024年02月26日

佐藤究さん著「テスカトリポカ」自分にとって初読みの作家さん。
直木賞と山本周五郎賞のW受賞作品。

濃厚で重厚な作品だった。
そして読み進めにくかったが凄く面白い作品だった。

メキシコのアステカとコンキスタドール(征服者)との関係等の史学的な要素を軸に「血と信仰」の赤さと深さと濃さが伝わってくる。...続きを読む
スペイン語やアステカの言語のナワトル語も入り交じりそこに深い信仰心や民族性が感じられ、良い意味で格好良い作品だと感じた。

物語は麻薬、臓器売買、人身売買、殺人等、圧倒的なバイオレンスなのだがそこにはアステカの血の掟と信仰が絡んでいる為受け入れながら読み進められた。不謹慎だろうが面白いし勉強になる。
現代社会ではあり得ないし、不穏で危ない宗教組織団体になってしまう。
生身の人間の生け贄を捧げる事がアステカ民族の誇り高き美学、観点をずらせば闇深さを伴う儀式であり、その儀式自体が光と影を含んでいる。肯定と否定とも考えられる。
その光と影を上手く物語にのせて、様々な登場人物に人としての表の顔と裏の顔を投影している。その両極面の顔が重なった時その人の末路が見えていく。「裏切り」「後悔」「甘え」そして行きつく先にあるのは「死」。
それらを「テスカポリトカ」煙を吐き出す鏡に隠喩させている。人間の持つ光と影の表と裏の部分が重なる時の隠喩。
大元の光と影を信仰の対象である太陽と月に準え、それが交差し重なる黒い鏡「テスカトリポカ」の隠喩対象にしているとは格好よすぎる。そして素晴らしい。

そして最後が謎なのだがコシモの片割れの男が気になる。誰だ?
パブロだろうか?色んな解釈ができそうでそれによっては色んなアフターストーリーを考えられるのだが、自分はコシモとパブロの二人で新たな時代に突入したと読み取りたい。そして新たな52年周期の始まりであってほしい。
最後もバルミロの祖母の回想の語りで物語は終わる。それは今までのアステカの血の終焉を表し、新たな時代の意味を表しているのではないか?その時代の変革の一部の回想として受け止めたい。


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Posted by ブクログ 2024年02月13日

好きです。
好きすぎて何か言うと作品を損なってしまいそうで、言葉が出てきません。記憶をなくしてもう一回読みたいくらい興奮しました。

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Posted by ブクログ 2024年01月23日

とても面白かった。初見はあまりの分厚さに気後れしてしまったが、文章がとても読みやすく、展開もスピーディーで、楽しくてどんどん読み進めてしまった。
何よりすごいのが情報量。巻末の参考資料の多さからも膨大な下調べや取材を重ねて書かれた物語なのだなとわかったし、だからそこ各場面の描写も説得力が凄まじく、リ...続きを読むアリティに圧倒される。
金と血と暴力と無垢と夢と神の話。グロはちゃんとグロいので、苦手な方はきついかもです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月21日

作品の世界観が映像として目や耳、肌に伝わってくる作品であり、とことん作りこまれたドラマを見ているような気になる作品である。

景色や人物の外見、動作、内面などが具体的に描写されているからなのか、読みながら頭の中で映像が浮かぶ。

読みながら映像が浮かぶ作品は私の中では他に北方健三シリーズのみ。

...続きを読む画でなくドラマを見ているような気になるのは、ページを(映像でいえば時間を)たっぷり使って、世界観を作りこむための細かい記述があるから。

例えば、作品の本筋である臓器手術後に患者であり死体のブーツの靴底を、元ドラッグギャングであり、臓器ビジネスのボスである切れ者の男がカッターで切り、薬物を見つけるシーンがある。

これは以降のストーリーに関係ない描写だと個人的には思っている。

しかし、これがあることで、「ブーツの底に薬物を隠すことが薬物が出回っている地域では現実世界でもあるのだろうな」とか、「他の描写も本当に薬物の世界を忠実に描写しているのではなかろうか」と思わせてくれる。

また、アステカの神話や歴史も繰り返し記述されており、本当にそのような神話や歴史があるのかは調べずに読み進めたが、奇妙で理解しがたい話であっても本当の神話や歴史のように捉えさせてくれる記述であった。

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Posted by ブクログ 2024年01月20日

メキシコと日本を舞台にした壮大な映画を見た気分。
人身売買、臓器売買、殺人、麻薬、マフィア。全てのページが犯罪で埋め尽くされており、拷問の描写が生々しい。
それなのにベースにアステカの信仰があるので、拷問のグロさがアステカの儀式が執り行われてるかのような荘厳さに置き換わり、無表情で殺人を繰り返すサイ...続きを読むコパスな登場人物が、敬虔な信仰者かと錯覚してしまう。
最後の方でやっとテスカトリポカの正体が判明してスッキリ。コシモもスッキリと父親と決別できた。
‪✕‬煙を吐く鏡
○皆既日食

全ページ救いがないが、唯一コシモの師匠パブロの存在が光だったな。


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購入済み

想像を超えた面白さ

QM
2023年12月25日

薬物密売、臓器売買、もはや日常になりつつある暴力行為や殺人など、残酷な内容だったけど初めてこういうジャンルを読んだのもあって、ページをめくる手が止まらなかった。物語の舞台は日本だったりメキシコだったり、情報量もかなり膨大だったけど、すべてのディティールが繋がっていて個人的にはすごく面白かったし、満足...続きを読む度もかなり高い。

#ドロドロ #ダーク

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購入済み

流石

2023年01月10日

普段あまり本を読みませんが、流石は直木賞受賞作品
読み進めていくごとに作品の中に引き込まれあっという間に読み終えてしまいました。

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購入済み

タイトルを声に出したくない

2022年11月29日

人種 宗教 文化 が あたたかい血で混ざり合い浄化するかんじ

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ネタバレ購入済み

レビューというか感想

e3
2022年01月05日

ぐいぐい引き込まれて三日で一気読みしてしまった。

前半は群像劇風。
人物造形はキャッチーで分かりやすく、それぞれの主人公に感情移入しながら読めました。
特にジャカルタのあたりはワクワクしたなぁ。

パブロと出会うまでのコシモのパートは読んでて悲しかったけど、
調理師のビジネスにどうや...続きを読むって関わるのかを想像しながら読むのは面白かった。

後半の日本編からは、もう気が気じゃ無い状態で読んでましたね。

登場人物だいたい全員いかれてるしやべーことやってるけど、それなりに愛着もあって、
応援したいような、はやく報いを受けて欲しいような、不思議な気持ちで読んでました。

なお、シカリオの人たちは脳内では刃牙キャラの顔でした。
あんな人材がぞろぞろ集ってくるなんて川崎修羅の国すぎでしょ。

前半は『白夜行』ってこんな読み味だったかもなぁ(記憶が曖昧)みたいな気持ちで読んでたけど、
後半で宗教結社じみた側面が出てきてからは『煉獄の使徒』なんかを思い出してました。

宗教の絡み方がいいんですよね。
ファミリアの閉鎖した関係の中で醸成される狂気に納得感がある。
コシモが日食の気づきを得るところでは、静かな感動がありました。
ちなみに、初の儀式で蜘蛛先生がファミリアに冷めた目を向けてたときから
この人きっかけで崩壊だろうという想像をしてたので、正解できて嬉しい。

パブロは最後残念だったけど、正しいことをして、ちゃんと報われた方だと思う。
読んでる間ずっと、パブロの描写が全体的に薄いのが不満だったんだけど、
勇気を出してカヌーに誘って宗教戦争ふっかけるシーンはちょっと泣きそうになった。
描写が薄い=コシモに対して何もできていなかったことが効いてた。
最後に急に株を上げてきた男。パブロ・カタルシス。バランス感覚に脱帽でした。

矢鈴にも最後救いがあったのが意外だった。
読者に嫌われるタイプだろうけど、最後の頑張りで劇場版のび太君ぽさを醸し出してきたね。

こんなにのめりこんだ作品は久しぶりでした。

#切ない #感動する #ダーク

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2021年05月14日

かなりハードな内容だけれど文体が読みやすくあっという間に読み終えてしまった。麻薬、臓器売買という現実的な題材にアステカの神話が非常に丁寧に組み込まれて未知の世界を知るワクワク感でページをめくる手がとまらない。傑作。

#ドキドキハラハラ #アガる #ダーク

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Posted by ブクログ 2024年04月21日

分厚い本だけど、映像が浮かんできて、アメリカの連続ドラマの原作を読んでいるようなスリリング感があって、読みやすかった。

残酷で悲惨な描写が多く、怖かったが、忘れられない小説になった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月13日

表紙に惹かれて、あらすじを読んでなんか凄そうな話だな…と思いつつ一気読み。
普段読まないような、暴力!血液!薬!って内容だったけど登場人物が濃いのと、話に勢いがあってぐいぐい読めました。
保育士の先生が出てきた時はまともな人が出てきた!と思ったけど職場のトイレで吸引していて、まともじゃなかった…と笑...続きを読むってしまいました。でも、そうでもしないとやっていけないようなブラックな状況でもあったってことだよね。
読み終わってからもなんだかすごいものを読んだぞ…とやや放心しながらも面白い本でした。

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Posted by ブクログ 2024年04月13日

かなりの取材をされたうえで、このようなストーリーの厚みがあるのだろうと思います。展開も素晴らしく、最後まで止まらず読めました、

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年03月07日

主人公がコシモなのかバルミロなのか分かれると思うが、私の中ではバルミロが主人公。
終始物語の流れを作る行動を起こしてるのはバルミロであり、コシモは無知で無教養のせいかほとんどの場面で受け身であり、成り行き任せで感情に乏しいため感情移入がしづらい。
バルミロは生い立ちからして波瀾万丈であり、残虐性の元...続きを読むになったトラウマ級の出来事等も考慮すると、共感はせずとも一定の理解ができる。
一方コシモもネグレクト、両親殺害で少年院、というのはそれはそれで波瀾万丈と言えなくもないが、あくまで日本国内では、というレベルで、常に死を身近に感じて幼い頃から生きて来たバルミロと比べるとどうしても悲惨さが霞む。

バルミロは確かに悪の権化のような存在ではあるが、彼なりの「家族」という概念をずっと大事にしており、それがバルミロの折れない精神力の源になっている。
ただそれは一般常識とはかなりかけ離れており、コシモを「息子」と呼んでいるのも息子同様に親しい存在というわけではなく、
バルミロが本当の家族だと思っていたカサソラ兄弟や祖母リベルタの中に息づくアステカの神々の気配をコシモの中に感じ取ったからこそ、コシモを「息子」呼びしたのだろうと思う。

個人的にはバルミロの裏の世界での成功と復活、復讐と故郷への凱旋が見たかった。
生き抜くために故郷では麻薬組織でのしあがり、家族全滅からの用意周到な逃亡と密入国、異国で単身小さな足掛かりから徐々に既存のマフィアやヤクザ組織に喰い込んでいく様は、大義名分こそ全くないものの、ある種の成り上がり物語とも言え、かなり読み応えがあった。

もう一人の主人公コシモだが、終盤ようやく主体性のある行動が見られる。
だが、その主体的になる原因となった順太との交流がちょっと物足りない。これぐらいのやり取りであのバルミロと対決になる??という感じだった。もう少し決定的なエピソードが欲しかった。

物語は最初から最後までどんどこ人が死に、かつ普通の死に方ではないので(刺されてハイ終わりというのではない)、グロ系が苦手な人にはお薦めしない。

ただ、グロいとはいいつつ、どんなに残虐にしようとも古来から現在に至るまでの古今東西の拷問や処刑方法を一通り知っていれば、人間の殺し方というのはある程度バリエーションは決まっており、予想できるものではある(ただ、今回の液体窒素は私は初見だった)。

あと、物語のキーとなっているのがアステカの神々だが、そもそも日本人にとってあまり馴染み深いものではないためイメージしづらく、字面以上の不気味さや恐怖などを感じることができなかったのは残念。
そのせいで、うっかりするとバルミロがただの盲目的な狂信者に見えてしまう時も。
まぁ私の知識不足なだけかもしれませんが。

とはいえ、裏社会での弱肉強食や理不尽さといったものはうまく描かれていて面白かったです。

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Posted by ブクログ 2024年03月02日

いやー、すごい。こんなに長くて重厚なストーリーなのに、没頭して読めてしまった。
一文一文が短かったり、体言止めの文があったりでリズムで読めるからかな?
あとは展開がすごいのと視点が頻繁に切り替わるので飽きないですね。

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Posted by ブクログ 2024年02月25日

550ページを超える大作ながらも、登場人物や出来事、企み、闇のもつエネルギーにひかれた。
アステカ神話と闇の住人の融合は見事だし、綿密な下調べがよりリアリティを感じる。怖いもの見たさも手伝ってどんどん読み進めてしまう。ちょうど日本の反社が核兵器に転用できる物質を取引してたというニュースが舞い込んでい...続きを読むたので余計そう感じたのかもしれない。
神話における儀式は神聖なものとして扱われるが、それを現代にあてはめたときに‥‥境目について考えさせられたりもした。

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Posted by ブクログ 2024年02月24日

臓器売買とアステカのお話。
前から気になっていたのと、『税金で買った本』の石平少年が読んだと書いてて、読んでみました。
麻薬と暴力が中心で、現実だったら絶対に関わりたくないけれど、フィクションとして楽しめました。
メキシコのバルミロと日本のコシモ、二人の視点で進んでいくお話がどんな風に着地するのかほ...続きを読むとんど最後まで分からなくてページをめくる手が止まらなかったです。
アステカの話は、小学生とかに世界の歴史とかの本で心臓を捧げてるシーンの絵を見たことがあったくらいでしたが、いろんな祝祭についても書かれていて、また少し知識の解像度が上がった気がしました。

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Posted by ブクログ 2024年02月18日

この世の一番暗いところをずっと見せられてる感じ。麻薬中毒者のガチでやばい人たちに何も悪くないのに巻き込まれていく人達を見ているのがガチで辛い。とくにコシモは終始運が悪くて可哀想。でもその分ストーリーはめちゃめちゃ重厚だし直木賞取るだけあるなとも思う。表紙が気になって読んでみたいなって思った人にはめち...続きを読むゃめちゃオススメ!

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Posted by ブクログ 2024年02月14日

とにかくラストシーンがめちゃくちゃカッコいい。ラストシーンの美しさを余すことなく享受するために、複雑に絡まり合う人々の人生とアステカの信仰を読み解いていくといって過言でないし、その価値がある。
読む前に感じていた「テスカトリポカ」という言葉の神秘性は、読み終わった後、重くのしかかる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月05日

感想
読んでいて、アステカ文明に関する内容も深そうだし、話の流れに無理がない。作者は相当の文献調査と文脈構成力を駆使して作品を作ったのかが伝わる。

あらすじ
メキシコの麻薬カルテルで幹部をしていたバルミロは、他のカルテルとの抗争に敗れて命からガラジャカルタに逃げる。

バルミロはそこで再起をかける...続きを読むべく、細々と麻薬密売をしていたが、ある時、日本人の臓器ブローカーの末永と出会う。彼は元心臓外科医で、日本で轢き逃げ事故を起こし、インドネシアに逃げていた。

末永は、揉め事をキッカケにバルミロに自分のビジネスの展望を話す。それは日本から子供を連れてきて心臓移植するブローカー業だった。

バルミロと末永は日本で心臓ブローカーの事業を始める。バルミロは、人材を集めて、殺し屋集団を作り出し、末永は心臓移植手術を進めていった。

しかし、終わりは仲間割れという形で突然訪れる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月28日

すごい話。視点がコロコロ変わり、序盤は誰が主人公なのか、展開が全くわからなかった。
麻薬、医療、刑務所、銃火器、南米、マフィア、アステカ、とにかくいろんな知識がないとこんな小説書けない、すごい。
無戸籍孤児を育てて心臓売買するという発想がすごい。
序盤で語られるキャラ設定ももちろん、登場人物の背景が...続きを読むきちんと説明されるのも良い。
最後に、末永の裏切りは予想外。その後の矢鈴は急に頭が悪くなったように見えるが、パニックだからか。
パブロは冷静で矛盾ない。
バルミロがコシモに殺されるシーンは映像化すると矛盾しそう、どう考えてもバルミロが有利。
コシモがパブロの娘にペンダント渡すのは良かった。
とにかくすごいスケールで圧倒された。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月21日

すげぇ〜〜〜〜〜〜〜〜が最初に来る本だった。最後のページの3ページにも渡る参考資料を見て、心の底から作者を尊敬した。すごい、偉業だこれはもう。
話は結構あっちこっちに行ってるので 具体的なあらすじを説明するのが非常に難しい。端的に言えば麻薬の話だし、アステカ文明の話でもあった。
麻薬と言うと、地に落...続きを読むちた人々が……みたいな語り口が多いような気もするが、この話の登場人物は全員イカれているので もはやコカインをやってるごときでは驚かない。ブラックな保育園に務める可哀想な女性の視点にたったかと思えば、その女はおもむろにコカインを吸い始める。日常風景からシームレスにクスリへと話が繋がるので変な笑いが出てしまった。章の区切りが全くないので途中まで気づかなかったが、この話は群像劇の形をとっているらしかった。
兄弟とつくりあげた麻薬組織を再建させ、憎き敵をうとうとしているエルボロと、彼が集めてくる仲間たち。これほど脳内に「イカれたメンバーを紹介するぜ!」のセリフが浮かんでくることは無かった。そして最後のピースとして現れるのが、冒頭で父親をとんでもねぇ腕力でぶっ殺して以降、まるで出番のなかったコシモだった。
正直コシモにはまっとうな人生を生きて欲しかったと思う。なぜなら彼はバスケが好きだったからだ。身長2mでバスケが好きならそれはもうバスケやるべきだろ!!!!おめぇのでっけぇ手は人を殴るためじゃなくバスケットボールを持つためにあるだろう!!などなど……不良時代のミッチーに思ったことと同じことを考えてしまった。ミッチーは喧嘩鬼弱かったけどね。あと何の因果か、こないだ宇都宮ブレックス(推しチーム)が戦った相手の川崎ブレイブサンダースがしれっと登場したのでびっくりしてしまった。しかも作中で実業団からBリーグのプロチームになっていた。なんでコシモとバスケが繋がったのか、そもそもこの血なまぐさい麻薬組織の話に突如バスケが登場したのか。これだけは本気で分からない。コシモは飾り細工的なものも得意だったという話もあるが、これはしっかり話の根幹に結びついていたので、マジでなんでバスケが登場したのか分からない。なぜ………ファンサ……?誰に対して……?
先日、闇の子供たちを読んでしまってからのテスカトリポカだったので、すっかり心が荒んでしまった気がする。そら売春に児童臓器売買に麻薬とアンダーグラウンドのオンパレードなんだからそうなるが。次はもう少し明るいものを読みたい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月20日

暴力描写が半端なくエグい。
登場人物ほぼ全員倫理観が終わってる。
犠牲になる人がとにかく可哀想。と、とにかく内容がハードでキツかった。

物語の背景にあるアステカ信仰の説明も、正直想像するだけで眉を顰めてしまうくらい残酷で生々しかった。
でも不思議とそれをスイスイ受け入れて読めてしまうのがまたこの本...続きを読むの恐ろしい所。


最終章のバルミロとパウロの対峙はとても好きだった。
一見して主人公をトロフィーにしたキリスト教とアステカ信仰の対決の様にも見えるけど、実際はどちらも「無垢なる主人公」の中にそれぞれの信仰を見出し、それぞれの信仰に殉教していった様にも思える。

キリスト教をよすがにしたパウロは、主人公の中の無垢さに善性を認め、これを自己犠牲で守る事で主の教えに殉じた。
アステカの神を信仰するバルミロは、最後主人公の中に主神の姿を認め、神に認められる為の儀として主人公に向かっていった。

「本当に無垢な存在」と、そこに信仰を見出す人達の対比があった様に見えて美しかった。

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Posted by ブクログ 2023年11月19日

「いくら用意周到に計画したところで、どこかで賭けに巻き込まれるのは避けられない。人生っていうのはそういうものだろう。」
救うつもりだった人を、殺すまでの犯罪に巻き込んだ事実を知った時、自分はどんな行動を起こすだろうと思った。

第165回直木賞、第34回山本周五郎賞、受賞ほか。
20年以上直木賞の選...続きを読む考をしてきた林真理子さんが悩んだ「文学としてこの残酷描写を受け入れて良いのか」という葛藤。「直木賞の長い歴史の中に燦然と輝く黒い太陽」という宮部みゆきさんの言葉は作品を表してると思う。

あらすじ
まとめるのが難しい…ネタバレが多いので未読の方はご注意ください。
バルミロが、組織復活のため祖母のアステカ信仰に沿って生贄を捧げるために、末永医師と一緒に臓器売買に手を出す。
そこに、パブロから美術品としての武器作成技術を教わりつつバルミロとも関わりながら、体は屈強だが心は少年の主人公・土方コシモが自分にとっての信仰に出会う話、かもしれない。

ビジネスで使っていた豪華客船で新型の感染症発生、勤務していた保育園で起きる不祥事、心をやられて薬に手を出すなど、
人に希望と喜びを与える = 文学を提唱する直木賞選考で物議を醸した「目を背けてはいけない現実の問題」の取り入れ方が上手い。
無垢な少年が、無垢な青年に気づきを与える。主人公に自我のようなものが芽生える瞬間にはゾクゾクした。
最後まで誰かのためにを貫いた宇野さんが好きでした。彼女が薬を買う事について、非難覚悟で言いますが、独身・一人暮らしの彼女は特に迷惑をかける相手もいない点で許せてしまいました。
末永さん、最初は好きだったんだけどな。欲が出て「自分の」ビジネスにしようと遠巻きに児童○゜ルノに加担した時点でナシ。

ここからマイナスも。
マフィア、医者、元ネグレクト児童など、感情的になりづらい人物がメインなのは理解しつつ、もう少し感情描写が欲しかった。
特に中盤までは事実を淡々と綴ることが多くて読み疲れ。
とはいえアステカ文明を調べ、一般の人にも分かる & 受け入れやすいように書き、メイン人物の人となりを表現するために数世代ぶんの説明をした上で、このページ数にまとめたのは凄い。
末永が少し好きだっただけに、どの時点で裏切りまがいのことを思いつき・実行したのかの説明があったらもっと良かった。
「こういう嫌な人っているよね」的な胸糞はほぼないので、長さを気にしなければメンタルの状態を気にせず読める。

宗教に付随するオカルト?神話?要素と、現実の社会問題を融合させたお話。
まったく関係ないが、コミカライズに向かないと分かりつつ、漫画で読んでみたいと思った。

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Posted by ブクログ 2023年11月10日

アステカ神話のモチーフが魅力的で、ファミリアの非道、悪行、滅茶苦茶な暴力にすら ある種 神々しさを感じます(感じません)。

徹頭徹尾バイオレンス。ピカレスク。
クライマックスに至り、ここまで溜め込んだエネルギーが爆発する瞬間が堪らない。

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Posted by ブクログ 2024年04月17日

圧倒的な暴力

利権だったり、復讐だったり、恩義だったり、無知だったり、野望だったり、理由は様々だが、結局は武器と力だけが生き残る術の世界

そもそもの育った価値観や状況や倫理観が違いすぎて、勝てるわけがない。分かり合えるわけがない。フィクションだとしても日本が舞台だとは思えない想像を超える暴力の数...続きを読む

そこにアステカ王国の儀式の話が混ざり、残虐性が増し増し。

怖いしグロいし痛々しいし、分厚い本が重いし、私は一体何を読まされているんだ?なんて思いながらも、最後が気になり止める事なんかできず夢中で読み切った

消化にはまだまだもうしばらくかかりそう

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Posted by ブクログ 2024年03月14日

新人作家が受賞する芥川賞と違い、脂の乗った作家が受ける直木賞の受賞作はこれまでの実績を加味しているのか「これが?」って感じる作品がある。正に「これが?」的な作品。祖母から刷り込まれたアステカ神話がカルテル再興のモチベーションになっているが、宗教心の厚い人は共感できるのだろうか?自分には動機が理解でき...続きを読むず、表面的なストーリーをなぞるだけだった。

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Posted by ブクログ 2024年03月12日

兄弟で麻薬売買に関わっていたバルミロ。
その兄弟が殺され、色々とあって日本へ。

一方で、日本でメキシコ人と日本人のハーフで生まれ、ネグレクトを受けて育ったコシモ。

この2人が出会った時に何が起こるか?

と言うより、もう闇という感じで。生体心移植で大儲けを企み実行するバルミロですが、脳死じゃな...続きを読むい生体心移植=1人命が犠牲になる。ということで、犠牲になる命を集めて育てたり。

まあ、テスカトリポカがアステカ神話で闇をつかさどる神なので、この本が本格的に闇なのは仕方ないのかなぁと。

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Posted by ブクログ 2024年03月05日

Audibleで聴いた。

アステカの神々の話は、聴き流してしまったけれど、最後この心臓密売組織がどうなるのか、話の展開が気になってそこは面白かった。
生贄とか、心臓を取り出すとか、アステカの文化だとしても残酷すぎる…。それを現代で行なっているっていうのが怖い。グロい描写もあって怖かった。

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Posted by ブクログ 2024年02月29日

重厚。すぎてちょっと読み進めるのが億劫になるところもあったが、なんというか面白いと言わないとセンスがないと思われるような。
綿密に計算されておりバイオレンスな描写がエンタメ性が高く、ありえないのだけどリアリティを感じる。

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Posted by ブクログ 2024年02月19日

麻薬密売、マフィア、抗争…
全く興味が無かったジャンルだが読んでみた

読んでもなかなか面白いとは思えなかった。

アステカにも馴染みが無いため入り込めない

終盤あたりから面白いと思えてきたが、序盤はかなりしんどかった。

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Posted by ブクログ 2024年01月21日

メキシコの麻薬密売組織、東アジアでの臓器売買など、裏社会を描いたフィクション。このような内容と知らずに読み始め、描写が生々しく怖くて中断しようかと思ったが、ここで止めると引きずりそうで何とか読み終えた。長い物語だがどんどん引き込まれる筆致で飽きることなかった。暴力には更なる暴力で対抗する麻薬戦争や裏...続きを読む社会の戦争、それとヨーロッパやガザ地区で起きている戦争、どちらも同じように見えて暴力や武力では憎しみが増すばかりのような気がする。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月08日

初読の作家さん。
残酷な描写と馴染みのない宗教・価値観にも関わらず、さくさく読み進められる作品。読ませる力のある文章力。面白かった。

ただ物語の転換になるコシモの覚醒といえる部分
「パドレは何もわかっていない」
ここから始まるコシモの心変わりというか流れについていけなかったのが自分の宗教に対する造...続きを読む詣の浅さだと思う。

バルミロと末永がすれ違って「ビジネス」が崩壊していく部分をもう少し掘り下げて描写して欲しかった気もする。まあ突然だからこそスピード感が出ていいのかも。

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