【感想・ネタバレ】アーモンドのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

最初は韓国ってそんなに治安悪いのかということにショックを受けて読み進めれなかったけど、2人が仲良くなり始めてから一気に読み終わった。

戦争のニュースを見ながら笑いかけてくるシム博士に驚いていたユンジェの視点が新鮮だったがそうなのかもしれない。"共感の喪失"がテーマとして挙げられていたけど自身を守るためだとも思う。

最後のユンジェのように自分も、人生が自分に向かってくる分だけちょうど自分が受け取れる分だけぶつかっていきたい。

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2024年05月19日

Posted by ブクログ

ユンジェは確かに感情を持たないけれど、決して冷たい人ではない。
荒れた母親の頬と手の甲にそっとローションを塗ってあげる慈しみを持っているから。

それにしても、ゴニのまっすぐな不器用さが苦しくて愛おしい。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

感情がわからない少年が人との交流によって成長してゆく話。
人と心を通わせるということを考えさせられる本だった。

人を理解することって難しい。
本当の気持ちを隠していることも多いし、ひとつの表現でもたくさんの意味をもつ。表情の変化や口調を読み取るのだって難しい。

でも、だから諦めるのかというと、そうではない。
人と交わることで世界は自分を越えて無限に広がるから。新たな気持ちを知り、新たな喜びを知る。
時には辛いことや嫌なこともあるけれども。


人に興味をもつことや恋心の瑞々しさ、普段意識しないと流れていってしまう気持ちが丁寧に描かれていて、はっとした。


読み終わったとき、明るい光が差し込むようなあたたかさに包まれた本だった。
読んでよかった。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

紹介されている本はみんな外れのない、読んでよかったと思えるSNSの方が「誰が読んでも間違いなく面白いおすすめ小説100選」で紹介していた本。

感情のない主人公の物語は気づけば手が止まらず、1日で読みきってしまいました。不思議な読後感とあたたかさの残る本でした。

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2024年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本屋さんでたまたま手に取って軽く読んで興味が湧いたので購入した『アーモンド』、読み始めたら止まらなくて2日間で読み終わった。

感情を感じることもできず他人の感情も読み取れないユンジェがゴニとの関わりの中で成長・変化していく様子がとても自然に描かれていて読みやすく、次々とページをめくってしまった。
ゴニは不良少年だけど本当は弱くて優しくてかわいい男の子だということを、ユンジェの目を通して読者の私は感じることができた。
何も感じられなかったユンジェは、ゴニのことを知りたいと思ったのをきっかけに少しずつ変わり始めた。ゴニは、自分のことを決めつけないユンジェと友だちになりたいと思うようになった。感情が乏しいユンジェと激しい感情を持つゴニ、客観的に見るとユンジェが一方的にゴニから感情とは何かを学ぶ図のように見える。でも実際はそうではなくて、ゴニもユンジェから学んだり、ユンジェに救われたりしていた。
針金のところへ向かったユンジェは「友だちを助けるために恐怖に打ち勝って」その場へ来たわけではないけれど、「友だちだからゴニを探す」という自分だけで決めた固い意思と、「ゴニに申し訳ないと伝えなければいけない」という、"申し訳なく思う気持ち"を持ってきた。
ドラのことを好きと思う気持ちも、ゴニとの関わりがなければ生まれなかったのだろうな。印象に残る女の子だな、程度で終わってしまっていたのかもしれない。

嘘や忖度のない物言いだから信じられるということ、たしかにたくさんある。ゴニがユンジェに告白した本音のように、「何も感じなくなればいいのに」と思うことは生きていると結構ある。こんなこと言ったら嫌がられるかな、あの人の機嫌が悪いのは自分のせいかな、他人の感情を気にしすぎたり共感しすぎたりして疲弊することもある。淡々とこなしたい場面もたくさんある。でも感情がなかったら物事がただの結果でしかなくて、流れる景色のように次々と出来事だけが通り過ぎていって、自分の中には何も残らなくなってしまうのかもしれないな。
うまくまとめられない.....。

ユンジェのお母さんとおばあちゃんが通り魔に襲われた場面はすごくつらかったけど、だからこそお母さんが生きていてくれてよかったと心から思う。眠っていたユンジェの心が活動を始めたとき、お母さんがこの世界にいてくれてよかった。
ロボットだとかサイコパスだとか、「心がない」と言われてきたユンジェがゴニの心を動かした、こんなにすてきなこと無いなあ。

※過去に別のところへ載せていた感想をコピペ。

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2024年04月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ネットでおすすめされていて手に取った。人の感情が理解できないという主人公、という設定が、その前に読んだ、「コンビニ人間」と少し似ている。でもこちらはいわば青春小説で、主人公は成長の途中にある。
韓国語の翻訳なので、作者本人の文体とはまた少し違うんだろうけど、本当にものすごく読みやすい。ぐっとくる表現がたくさんあって何箇所もメモした。ここで自分がお伝えしてしまうのがもったいないくらい素敵なので、ぜひ読んで確かめていただきたい。
辛いことがあったとき、「感情のスイッチを切って、楽になりたい」と思うこともあるけれど、感情や情緒というものは、本当に不思議だ。それがなければ得られない喜びもあるし、それがあることで過剰なダメージを受けてしまうこともある。
感情がわからず、でも愛を受けて育ってきた主人公ユンジェと、愛を知らないまま育ってきて感情むき出しのゴニが、少しずつ関係を深めていく過程が、とてもよくて、ずっと心の中に残っている。
あまり本を読み返すことはないけど、これはまたいずれ読むことになるだろうなと思うし、子どもがこれを読める年齢になったら薦めたいと思う。

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2024年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりに小説を読んだ。
そして、久しぶりに感じたこの気持ち。
私の表現したい気持ちをこの本は文章として表現してくれている。読んでよかった。

内容は、
人の頭の中にアーモンドみたいな形をした扁桃体と呼ばれるものが、耳の裏側から頭の奥深くにかけて埋め込まれている。
外部から刺激を受けるとアーモンドが反応し、恐怖・気持ち悪さを感じ、好き・嫌いの感情が生まれる。
主人公ソ・ユンジェは生まれつき扁桃体が小さく、大脳辺緑系と前頭葉の間の連絡がうまく行かない
周りがどうして泣くのか笑うのか、喜び・悲しみ・愛・恐怖・共感がわからない=表現できない

そんな主人公と、
突然親と離れてしまい不良少年になってしまったゴニとの成長物語。

表現がシンプルゆえに突き刺さる言葉。
どんどん物語に引き込まれる。
人の気持ちを知りたいと思った少年と愛を知りたいと願った少年。
2人の物語。
友情、愛、共感、競争、たくさんのことが詰め込まれている。
なんか、すごく心が動かされた。

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2024年02月18日

Posted by ブクログ

愛について。
感情や共感について。

読んで本当に良かった。

感情(特に恐怖)を司る扁桃体(アーモンド)が小さく、普通の人の「感情」が分からない。だけど誰よりも感情について敏感で、興味を持っている少年。

感情を「怒り」という方法でしか吐き出せない。自分の感情をうまくコントロールできない。
けれど、本当は誰よりも優しい心を持った少年。

衝突しながらも、徐々に2人が心を通わせていく姿に胸を打たれた。
ラストの残虐なシーンでは、情景が目に浮かび、本当に怖かった。ハラハラした。涙が出た。
ページを捲りたい気持ちと、捲りたくないという気持ちで葛藤しながらも、一気に読み終えた。


パン屋のおじさんが何気なく見ていたテレビに、少年が疑念を抱くシーンが、非常に心に残った。
「普通の」人々が、遠い世界の惨事に抱く感情は、結局、「他人事」であり、「無関心」なんだと改めて気付かされた。
そんな世界を変えたいと思ってたのに、「普通の」人になってる自分に嫌気がさした。


終始考えさせられる、良い本と出会えたなぁ。


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2024年03月21日

Posted by ブクログ

以前読み始めた時はなかなか前に進まなくて途中で止まっていたところ、2年ぶりくらいに読み始めたら面白くて、読むのが止まりませんでした…。
感情がないユンジェが、お母さんとおばあちゃんから自分の知らないうちにたくさん愛をもらい、みんなが見えない本質を気づかないうちに感じていたところに胸がギュっとなった。
周りから見たら荒れているゴニは繊細で人に共感をしていて、本当はいい子なんだと感じていたのは、ユンジェがたくさん愛をもらっていたからだと思う。

淡々と進みながらもぐっとくる箇所が多くて、他の作品も読んでみたいなと感じた!
またユンジェが感じる本の世界がとっても素敵だった!

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2024年01月30日

Posted by ブクログ

もっと早く読むべきだった、と思うくらい良かった。
“感情”が分からないユンジェと激しい感情を持つゴニ。
水と油のような二人が互いに影響し合って徐々に変わっていく。
微笑ましい過程のはずなのに、どこか切ない気持ちにさせる。
ユンジェ目線で語られる文章には一切の無駄がない。
感情を排した分だけ読みやすく、誰とも共感できない彼の感覚を表現しているようだった。
でも、彼が本の魅力を語る場面は好きだった。
ホントそのとおりだと思ったから。

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2024年01月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても気になっていた作品。

本に関する描写でとても素敵な箇所がたくさんあった。主人公の母が開いた、夢の古本屋、そこで出会ったたくさんの物語、違う人生。
本の魅力、心から共感。映画やドラマ、漫画とは違って、自分が読みたい速度で、その世界に入りたい時に、好きな分量だけ入ることができる世界。自分の生きてきた、経験してきた人生によって感じ方が変化し、何度でも読み返したくなる本。恐ろしい人間たちや汚い人間社会への皮肉、スリル、SF、ありえない世界、外国の街中、違う時代の中、どこへでも飛べる、どこへでも旅立てる、本の中に入り込める。
親に一番感謝していることの一つは本を与えてくれたこと。読書の楽しみを邪魔せずにいてくれたこと。


本書のストーリーは、救いと、ものすごい残酷な出来事、身を切るような辛さが交互に来て、著者はさすが映画の作り手というだけある。

最後に生き延びたことは奇跡だが、『一度死んだ』のは、それまでの『感情』を感じられなかった主人公であり、本当に死んだのかと思ったが、助かっていた。

ただ、彼の行動を賞賛はできない、ゴニのような不良と関わらなければ、彼を探しにいかなければ、命の危険には遭わなかった。危険を察知できない彼だからこその行動。祖母と母が存命であれば起こらなかっただろう出来事。両手をつないで離さないでいてくれていた肉親に起きた惨事に対しても淡々とした感情。目覚めた彼に、苦しみが一気に来るのではないか。それも含めての人間ということなのだろう。

ゴニと出逢わなければ主人公の成長や生まれ変わりとも言える体験はなかった、少なくともこのお話の中では。彼の父も病床の妻のところへ不良息子の代わりに主人公を連れて行って、たいがい自己満足の塊では?その後息子がその子をいじめるというところまで考えが及ばなかったのか。その後の接し方も全く間違っていて、怪物を生み出すという、体面重視が招いた愚かな物語。主人公のあたたかい家庭との対比。最後にもう一度向き合ってみると言っているが、根本的に合わない親子は離れた方がいいのではと思った。

肉親ではなく、友人や出会っていく人たち、恋人、そして自分がつかみ取り新しく築いた家族の方が大切になっていく。彼らのおかげで日々が豊かになり、悩みも頻出するが、心の支えを増やしていく。
それが成長であり、親離れ。本作は極端すぎるけれど、大切な人たちのことを思う。いずれわが子がその段階まで成長した時、この本を紹介したいと思った。

短めながら、心をかき乱された作品。

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2024年01月14日

Posted by ブクログ

良かった。ユンジェの特異な体質が、まったく普通に感じた。彼と彼の家族の努力によるものかもしれないが。

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2024年04月19日

Posted by ブクログ

今回はなおなおさんに教えて頂いたK文学です。
本屋大賞とってるのも全く知りませんでしたが、
韓国文学はやはり日本よりもあっさりとした文体なのがいつも印象的です。日本の良い所でもあるのですが情緒感が強いのが日本文学の象徴な気がしてます。
本作をもし日本の作家さんが書かれたとしたら主人公ユンジェを取り巻く様々な事件や感情などがよりエモーショナルになっている気がしますが、題材的に淡々と書かれている方が感情を持てないユンジェの臨場感が増して良かった気もします。

表紙で分かるように、ユンジェは生まれ付き脳の扁桃体が小さく、人間の持つ喜怒哀楽どころか恐怖心までもが抜け落ちています。家族への愛や友人への愛、恐れすら分かりません。
熱い鍋の恐怖が分からず火傷をしそうになる程。
父親はおらず、母と祖母がユンジェが普通の人達の中に入っても苦労を少なくする為に、愛情を持って検診的に教育してくれます。
外に出る時は必ず手を強く握って歩いてくれる母。この手を繋ぐと言う行為の意味も彼は分かっていません。
母親が営む古本屋で仲良く暮らしていましたが、ユンジェの誕生日に3人で外食をしに行った際にとある事件が…。

この後に母の手を握るユンジェの姿を見て、確かに母の愛は伝わっていたのではと感動したものですが、その後の出会いがユンジェの運命を劇的に変えて行きます。

感情が分からない彼は周りの普通の人からは「怪物」のように見えてしまいます。陰口を言われても平気、殴られても動じない、そんな彼に勿論友達はいません。別にそれに対して何の感慨も湧きません。
一見、羨ましい事にも思えますがやはり喜怒哀楽が人生のスパイスですし、悲しいから嬉しい事もより有難く思えますし、何より恐怖心が無いという事は身の危険にも関わります。

ユンジェ自体は悩みも持てないので葛藤したりなどはしないのですが、逆に早や15歳位で人生に失望してもがいている少年が出てきます。
このゴニとの出会いが彼の運命を揺り動かします。

ユンジェも確かに大変なのですが家族含めて周りの助けてくれる人達に恵まれており本当に良い人なので、むしろゴニの方が大問題に見えました。

韓国文学は割と社会問題を風刺したものが多いとなおなおさんに教えて頂きましたが、確かに冒頭の方で貧富の差が激しい韓国社会の問題を提起したエピソードが出ては来ますが、本作は単純に愛の物語に感じました。
家族愛、友情、恋愛、全ての愛についてです。

最後の方でユンジェがゴニの為にとった行動は、例え恐れを知らぬ身であったとしても間違いなく愛です。怪物のユンジェだからこそ見返りを求めないその行動に感動しました。
実際に巻末の作者の言葉でソンさんが「人間を人間にするのも、怪物にするのも愛だと思うようになった。そんな話が書きたくなった」と子育てをきっかけに思ったことを仰っていました。

久々に爽やかな世界観に入り込んだので上手く感想が書けませんね。いや、普通の基準で言うとこれも爽やかではない気がするなあ…。
でも読後感は非常にスッキリ!三ツ矢サイダーを一気飲みした後のような気持ちになれます。
(一気飲みは拷問の類か…)

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2024年04月18日

Posted by ブクログ

愛が人間を育てる物語。
あんまり文字数が多くない割に、しっかり感動できたし、ユンジェを濃密に味わえた。
主人公のユンジェは初めお母さんとおばあちゃんに言われたように、目立たないようあまり喋らずに生きていた。でも物語が進むにつれてたくさんの愛のある人たちと関わり、自分の言葉で話したり自分の意思で行動することで、心が育っていくのが読んでいて感動した。
そして、結末はもちろんのこと私は作者の言葉に大号泣。読む人は最後の1行まで見逃さないで欲しい。

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2024年04月11日

Posted by ブクログ

扁桃体が他の人よりも極端に小さく、他の人の感情、自分の感情がわからない1人の少年が感情豊かで自分を強く見せようとする少年と出会い成長していくお話。感情がわからない人の気持ちを客観的に読めて面白かった。大切な人と真摯に向き合うことの大切さを教えてもらった。

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

感情を表に出せない少年。彼は周囲の無理解の中成長していくが。
本書の出来事が対岸の火事に思えなかった。
疑問に思った事を考え続けるのか、それとも放棄してしまうのか。ここに本書の問いかけがある。理解できない人間には偏見と差別の目を向け続ける。それで良いのか。
考えること、疑問に思い、問い続ける事。大切なのはそこなのだ。
悲しく切ない。けれど読後にはささやかな爽やかさが残った。

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2024年02月29日

Posted by ブクログ

感情とは⁡
⁡⁡
⁡ってな事で、ソン・ウォンピョンの『アーモンド』⁡
⁡⁡
⁡何を書いたらええんじゃろ。⁡
⁡⁡
⁡感情の無い感覚とはどんな感じなんじゃろう。⁡
⁡⁡
⁡自分の感情もちゃんと分かって無いのに、人の感情を知りたいと思うのは何でじゃろ。⁡
⁡⁡
⁡結局、人の感情なんて分かりきれるものじゃないのにね。⁡
⁡⁡
分かりやすい人より、解り難い人の方に興味が湧くのはなんでじゃろ
⁡⁡
⁡そんな人の感覚を知りたいとよく思うんよ。⁡
⁡⁡
⁡結局は分からんけど
⁡⁡
⁡本の内容はグッときたとしか言えんかな。⁡
⁡⁡
⁡ユンジェ、ゴニ、ドラ、みんな好きなキャラじゃった。⁡
⁡⁡
感情の無いストレートな言葉には恐怖や不安も無い分、心に刺さりやすいのかなっと。⁡
⁡⁡
⁡ソンさんの他の本『三十の反撃』も読んでみたいな。⁡
⁡⁡
⁡2022年25冊目

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2024年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感情の無い主人公が、周りの人たちとの関わりの中で、成長して行く姿にとても感動しました。
感情の無い主人公の視点で、世界がどのように見えるのかが細かく描かれており、より主人公への理解を深めることができました。
感情とは何かが全くわからないのに、感情を得ようと努力を続ける姿は、本人には理解できなくても、人の心を動かしている、自分にはわからなくても伝わる物があるだなと感じました。

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2024年01月26日

Posted by ブクログ

悲劇を受けたユンジェがゴニやドラ達と出会い、友情や愛を知り、傷つきながらも、成長していく姿に引き込まれました。今後の人生をより良いものにしてほしいと心から思います。

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2024年01月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ソン・ユンジェは、感情がわからない、でも感情がないわけではなく、優しさも初めから持っていたのだと思った。
そして、周りの人達のおかげで、ユンジェは成長していく。知識や技術は1人でも成長させることはできるかもしれないけど、感情は、決して1人では成長できない。周囲の人たちや環境が、とても大切だと思った。


印象に残った場面

“担任の先生が、皆の前で事件について話し、なにをしてあげたらいいかと聞かれた時に大丈夫ですと答えたのは間違えだった。「放っておいてもらえると助かります」と言うべきだった”

この先生のようなことは意外としてしまいがち。そして、それに対して放っておいてほしい、と思うこと(人)もたくさんあると思う。真の優しさとは…を考える。



“ドラの髪がユンジェの顔を打った。「ごめん」とドラが言い「いや」と僕が答えた。胸がつかえて声が裏返って出てきた。”

ユンジェが恋をしたことが、とても嬉しかった。
自分の症状を、国語辞典で調べようとするところがかわいかった。
そして、シム博士が、話を聞いてくれる場面がとても良かった。恋だと気づいても、それを恋だと博士が言いきらなかったところや、ユンジェに心を教えてくれたとこ。

“「僕はその子のことが好きなのでしょうか」
「さぁな。それは君の心だけが知っていることだよ。」
「心じゃなくて、頭ですよね?何でも、頭の指示に従っているだけなんですよね」
「それはそうだけど、私たちは心って言うんだ」”

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2024年01月21日

Posted by ブクログ

ユンジェは死んだっぽいんだけど、実際のとこどうなのかは分かってないし、分かんなくていい

酷く虚しく残酷に描かれるようなシーンも、ユンジェ目線で描かれてるから、残ったのが「恐怖心」よりも「そこにあった事実」ってとこが良かった。恐怖心が残るものは、私にとってあまりにも主張が強すぎるから

とにかく比喩とか例え話がすごく上手で、難しい言葉もあんまり出てこないから読みやすい文章だった

二人の怪物が友達になれて本当に良かった

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2024年06月06日

購入済み

「コンビニ人間」を想起させる

「共感能力の低い主人公」と「"普通"を理解しつつ、そうは振る舞えない社会不適合者」との交流は村田沙耶香著「コンビニ人間」を想起させる。作者のソンウォンピョンが「コンビニ人間」の作者と同世代の同性であることも興味を引く。

 日本の「コンビニ人間」は、ああいった結末で芥川龍之介賞を受賞したわけだが、韓国の「アーモンド」はどういう結末を用意しているのか?

 純文学と、エンタメ小説との違いがあるから、どちらがどうとは言えないが、私はコンビニ人間の終わり方が好きだった。ただ、この本のような終わり方を好む人も多いだろうなとは思う。

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2020年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わったあと、自分に残ったその感情がなんなのかうまく言語化できずに気がつけば数日経っていた。自分自身がユンジェになってしまったような感覚。つまり自分は、「感情を理解できない少年」に感情移入してしまっていたのだろう。
物語の中には常に登場人物たちの感情がぐるぐると渦巻いていて、暴力と愛と虚しさが激しく入れ替わる。そのたび読者の心は揺さぶられるのに、ユンジェの視点で描かれるそれには感情が入り込む隙間がない。
「感情」という概念に対して私は、ゴニと同じようにやきもきしながら、ユンジェと同じようになぜ?と問いかけながら、それでも物語は「愛」に終結する。
最後のシーンはきっと感動すべき場面なのだろうけど、素直に感動することができなかった自分がすこし悔しくもあり、しかしその感情に納得感もある。自分自身、他人の感情を論理的に捉えている部分があるし、でも多分みんな多かれ少なかれそういう部分があるはずだ。想像と知識と経験の「感情」で世界は回っている。
ただ、家族3人が描かれる場面だけは読むのが少々苦しかった。読者目線では痛いほどに感じる愛を、主人公は理解できず、ただそれを受け流してしまう(もちろんそれでも、彼の中にはやっぱりそれらは蓄積されていたわけで、そういう意味ではただ受け流していたという表現にはすこし語弊がある)。が、その構図は個人的にはすこし、辛かった。祖母が書く「喜怒哀楽愛悪欲」はユンジェを通して我々読者の心にも愛としてたしかに刻まれていたのだろう。
淡々としていて読みやすく、すきま時間に読むのにちょうどいい小説だった。他の人が言うほどに心揺さぶられなかったことは唯一残念だったが、ぜひ知人にも勧めてみたい(そして感想を聞いてみたくなる)一作だった。

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2024年05月01日

Posted by ブクログ

少年が感情を手に入れていくまでが描かれた作品。
人の成長には他者との関わりが必要なんだと改めて感じた。思春期特有の自我同一性の確立と大人になりたい願望が垣間見えて主人公を含む登場人物の今後の成長も応援したい気持ちになった。

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2024年04月29日

Posted by ブクログ

感想
感情がわからない。でもそれは誰でもそう。相手がなにを考えてるかわからなくなる時がある。人間なんて不器用。支え合って生きるしかない。

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

扁桃体が生まれつき小さい
主人公の視点から物語が始まり、
淡々とストーリーが進んでいくので読みやすさを感じた。また他者を理解しようとする姿勢や、心境の変化などや成長過程も興味深く読めた。

訳者あとがきで、著者が語っていた
【人間を救うのは結局は愛なのではないか】
内容も含めて昔読んだ【アルジャーノンに花束を】を少し連想させた。

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2024年04月01日

Posted by ブクログ

ユンジェとゴニは対極にあるようで実は似ている。 2人とも愛を知らない。

だからこそ余計に愛という概念へのあこがれや要求度が高いのではないか?
そして周囲の軽く無責任な愛や共感が許せないのではないか?

そんな2人を純粋だとも思うし危ういとも思う。

終わって始まった物語が喜劇ではなくとも悲劇でないことを願う。

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2024年03月21日

Posted by ブクログ

スピード感はあったけど、終わり方がしっくりこないかも。
とにかく2人の化け物の心・感情の細かい移り変わりが、美しかった。

優しすぎる弱い化け物
心に鈍感だけど誰よりも心に関心を持つ化け物
そして、それ以外の人間が心にもつ化け物

2人の物語は正解なのか?
その問いの答えは出なかった。
でも、2人の人生が互いに出会ったことで大きく変わったから、人間っていいなと思った。

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2024年02月12日

Posted by ブクログ

初めての韓国作品。目の前にある現実から目を背けず、自分なりに考えて、向き合って成長していく少年の姿はかっこいいなと思いました。

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2024年01月30日

Posted by ブクログ

『実際の話、どんな物語でも、本当のところそれが悲劇なのか喜劇なのかは、あなたにも僕にも、誰にも永遠にわからないことだから。そんなにすっぱり分けることなんて、初めから不可能なのかもしれない。人生は、そのときそのとき、いろんな味を味わわせてくれながら、ただ流れていく。』

感情が豊かなゴニと感情が分からないユンジェ2人の成長していく過程に心打たれた。共感しようとすること、相手の気持ちを考えること=愛というメッセージがすごく伝わってきた。

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2024年01月25日

Posted by ブクログ

ずっと気になっていた本。やっと読めて嬉しい。
ハッピーエンドですごく良かった。
遠ければ遠いで共感できずに近すぎても怖くて何もできないってのがすごく心に残った。
とても読みやすくてサラサラ読めた。けど蝶々のシーンとかすごく酷く感じた。あとがきにもあったけど、ユンジェが物事を客観的に捉えすぎて婉曲的な表現が少ないからかーってとても納得した。
むかしは作者の後書とか読まずに飛ばしてたけど最近は作者の人柄とかを知った方が楽しめるなぁって思うようになった。

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2024年01月24日

購入済み

読むべき

読み終わった後に、考えさせられるずっと余韻が残りました。

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2021年04月26日

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