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昭和34年から雑誌に連載された作品で、その後、何度も映画やTVドラマ化されている。冤罪事件で獄中自殺した兄をもつ妹の復讐。その復讐相手は、兄の弁護を断った有名弁護士。
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この年末年始、たくさんの松本清張を読み返した。
この本もそうだが、松本清張のよさは、凡庸に結論を導き出す犯罪ものが多い中、奥深い人間心理、感情を「突き詰める」ところにある。なんでも、受け取る側の人数の数だけ受け取り方というのはあるものだが、松本清張の場合、特に顕著に現れる気がする。私はそういう中でも年配者の人の読後を聞いてみたい。そこからその人の人生も半分くらいは正しく伝わってくるような気がするからだ。
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おもしろくない松本清張なんてあるのかな
随分前の作品で映画化、ドラマ化も多くされていますが
今回、海老蔵様が主演されたということで
初めて読みました。
内容は、やはり清張作品と思わせる内容で
すばらしい、そうだったのかと感嘆符付きです。
桐子さんは頭がいい子ですね。
きっと自分ならそこまで頭が回らないと思いました。
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昔ドラマで見て、幼なながらにものすごい衝撃を覚えたものです。きちんと読み直してみようと思って読んでみたのですが、やっぱりすごい。一気に読破。すぐに物語りにのめり込めます。
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たまにはこういう古い社会派小説が読みたくなる。殺人の冤罪で死刑となった兄を救うべく、高名な弁護士に依頼するが、費用が払えないことと、この弁護士が浮気相手の密会に急ぐために断られる。その後、この兄は獄中死し、妹は弁護士に復讐を誓う。この弁護士は、依頼を断った罪悪感から、裁判記録を取り寄せ独自の調査を行おい、この兄が無実であることを確信する。一方、弁護士の愛人が思わぬ事件に巻き込まれ、殺人者の容疑をかけられる。彼女の無実を証明する鍵を持っているのは、この妹。真犯人の存在を知りつつ、復讐を優先し、愛人と弁護士を破滅に追い込む。結局、真犯人は明るみに出ず、無実の人間が二人死刑となり、一人は社会的地位を失う。元々の殺人事件も社会の不条理からのものであり、なんとも言えない複雑な読後感。令和の今でも、こういうことはあるんだろうか。
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冤罪により死刑判決を受けた兄がその後獄中死。弁護を断った弁護士に対する妹の復讐劇の話。
少し話が出来過ぎな感もあるが、それを差し引いても十分な面白さだった。妹、桐子のキャラクターが素晴らしい。やっぱり松本清張はいいなあ。
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後味は悪い。誰も、そう誰も幸せになってない。というか不幸だ・・・。
でも桐子の生き方が潔過ぎて、なぜか共感してしまう。
ちょうど「検察側の罪人」読んだ後だけど、「検察側」の後味に悪さには憤りを覚えるのに、全くこの作品には憤りを覚えなかった。
なんだろう・・・本来は憎むべき犯人なんだろうけど、犯人の人となりがほとんど出てこないから、なのかな・・・。
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「先生が弁護料を理由に断ったせいで、私の兄は、無実の罪を着せられたまま獄中死しました。」
彼女の復讐は、お門違いで、何も正しくはないけれど、凛とした佇まいと意志の強さ、眼差しが目の前に見えるように伝わってきて、美しいと感じてしまう何かがある。
芸術性さえ感じる、この復讐劇。サスペンス好きは必読だ。
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世間的には普通の弁護士のごくありきたりに思える行為が恨みを買い、陥穽に嵌る。金持ちが有利という裁判制度の問題を個人の怨念に託けて批判する。13.5.2
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兄の身の潔白を証明してもらうために、東京で高名な弁護士・大塚鉄三に弁護を依頼した柳田桐子。高額な弁護料を支払えないことを理由に断られ、兄も死刑囚として獄死ししてしまったことから、大塚への復讐を決意する。大塚の社会的地位を陥れるため私生活を暴き、文字通り身を呈して完全に社会から抹殺しようとする桐子の執念はすさまじい。この原作の映画版では、たしか倍賞千恵子さんが主演を演じていたような気がする。原作ではラストに描かれている桐子の体を張った作戦のシーンだけが妙に生々しく記憶に残っている。
阿刀田氏のあとがきによれば、松本清張は「眼には眼を」(1957年)という名の映画をを思い出の一本にあげており、この映画にヒントを得たのではないか、という推論を展開している。
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清張らしい作品で大満足。日常の中に事件があり、事件の中に社会問題がある。今回は法曹界。弁護士と庶民のかけ離れた生活や考え方が浮き彫りになっている。主人公の女性の顔や声を想像しながら読むと楽しい。
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この作品は、何度か映画化されている。
主演も賠償千恵子から安田成美、堀北真希など有名な女優が演じている。
無実の罪で投獄されたした兄(弟)を助けようと、東京の有名弁護士に弁護を依頼するが、無残にも断られた主人公の復讐を描いている。
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兄の冤罪事件の弁護を断った弁護士への復讐譚。
話の内容よりも女の執念の恐ろしさに震える。いきなりアポ無しで来て格安弁護してくれと頼み断られ兄が獄死したら復讐というのは筋が通らないと思うが。こういう他責思考の人間とは絶対関わってはならないし良心を信じてはいけないという教科書。
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【虐げられし者が反旗を翻す】
動機について読んだもの、みんなが「なにそんなことで」と思うだろう。だけど、ここには常識や凡庸の正義はありはしない。テロはいつだって捨て身で、失うものがないからこそ、それに全てを没頭することができるのだから。
最後主人公の純潔が手折られる時に、ああ。彼女はただの少女だったのだと思い出す。初恋を儚く散らした少女の行く末が、少しでも凪ぐようにと願いたくなった。
短い作品ながら、松本清張を存分に味わった。
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偶然と執拗な女性の執念が絡み合って…の結末。
高名な弁護士でもひとりの若い女性に翻弄されてしまうのか…。
恐ろしい。
描かれている時代が古く、今の事件捜査から見ればずさんなんだろうとは思うけど、それでも楽しめる。
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殺人容疑で捕えられ、死刑の判決を受けた兄の無罪を信じて、柳田桐子は九州から上京した。彼女は高名な弁護士大塚欽三に調査を懇願するが、すげなく断わられる。兄は汚名を着たまま獄死し、桐子の大塚弁護士に対する執拗な復讐が始まる……。それぞれに影の部分を持ち、孤絶化した状況に生きる現代人にとって、法と裁判制度は何か?を問い、その限界を鋭く指摘した野心作である。
映画やドラマ化されたものは観ていない。後味悪し。
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桐子の気持ちはわかるけども、弁護士松本を責めるのはお門違いであろうに。 と感じてしまったならばまんまと作者の思惑に乗ってしまっている。それこそが現代の裁判制度の矛盾点なのだ。お門違いな人間が平気で冤罪にかけられて、社会的地位を失う世の中なのだ。まさに本文引用の通り。
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古屋一行・星野真里のドラマを見ました。星野真里って美人なのに、こういう不幸な役いっちゃった系の役多いね。。。おそろしい。それにしても古屋一行のラストの脇の甘さ!!!さすがに馬鹿としか言えない。笑
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えん罪の兄を救うために東京の有名な弁護士大塚だけを頼りにしていた桐子。弁護士費用が払えないがために弁護を断られ、兄は死刑判決を受けたまま、獄中で病死する。
桐子は、無念の死を遂げた兄に汚名を着せた真犯人ではなく、兄弟を見捨てた弁護士への憎しみを募らせ、弁護士の大切なものを奪うことでその復讐を果たす。
弁護士にも仕事を選ぶ自由はあるはずだが、弁護士費用が払えないという理由だけで、汚名をきせられたまま死んでも何も言えない現代社会における無情さが、桐子の歪んだ執念を通じて描かれている。