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「二階」「拐帯行」「黒地の絵」「装飾評伝」「真贋の森」
「紙の牙」「空白の意匠」「草笛」「確証」の9つの短編が収録。表題にもなっている「黒地の絵」は、朝鮮戦争中に九州は小倉にあった米軍基地での黒人兵士脱走と小倉市民への危害や被害の実話が素材になっている。他の作品も、アカデミズム、白い巨塔に対する鬱積や企み、虐げられた仕返しをしたつもりが逆に嵌められて、組織防衛のために犠牲になる人間など、読み応えのある作品ばかり。
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読んでいて心が暗くなる話が多い。特に表題作は実話という事もあって居た堪れないし似たような事件は他の国でもあったと推察される。
評論家的ポジションになってしまった芸術家の「復讐」話(タイトルは敢えて挙げない)は犯罪でない犯罪トリックみたいな感じでリアリティがあって良かった。『紙の牙』などマスコミの暗部を描いたり幅広いが個人的には他の本でも読んだ『真贋の森』が白眉。アートミステリーというジャンルになるだろうが登場人物や準備の仕方が面白かった。
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清張の短編集2冊目。
こないだの『黒い画集』ほどの衝撃は無かったが、それでも印象の強い作品はいくつかあったし、どれも興味をぐいぐいと引きつけられ一気に読まされてしまう、優れた語り口が見られた。
「紙の刃」などはサラリーマンが苦境に陥り困惑を極める話なのだが、実際の自分の仕事とはえらく違う領域であってもこの仕事上の困窮は身に迫る感じがして、読んでいて辛くなった。
どうやら松本清張は現代日本人が普遍的に日常的にすれ違うような「イヤな感じ」を見事に抉り出す点で実に傑出しているようだ。
松本清張は、「イヤな感じ」大魔王である。
現実生活にもありがちな「イヤな感じ」を、フィクションを読んでわざわざ反芻させられ強調されることに喜びを感じるという傾向は、「ホラー映画/小説」に何故か惹かれてしまう人の心の闇に通底するのかもしれない。
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人間の悪意に焦点を当てた作品が多い。戦時中の闇を引きずるような内容が多いが、人の心の弱い部分をリアルに描いており今日でも色あせない。少し人間不信になるかもしれない。
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松本清張の短篇集はいろんなテーマの作品があり読む者を楽しませる。タイトル作でもある、「黒地の絵」読んでいて気持ちのよいものではなかった。そしてなんとも言えない人間の悲しさが伝わってきた。戦争のもたらす異常差とはかなさが充分にせまってくるのである。
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9つからなる短編集。
後味悪くてなんだか読むの辛く感じた作品でしたが、ある意味人間の嫌な部分が露わになったストーリーに感じました。
『二階』『拐帯行』『黒地の絵』『空白の意匠』
『草笛』『確証』
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本のタイトルは黒地の絵だが、内容は「真贋の森」が出色。
清張のアカデミズムに対する見方が色濃く作品に反映されている様に感じる。
「装飾評伝」「草笛」がこれに次ぐ。虚実ない交ぜとなったリアリティー溢れる佳品。
他の作品も読みごたえはあるが、話の結末はことごとく悲しい。清張の現代小説は人が死なない(殺されない)方がよい。推理小説はまた別。
「真贋の森」は特にオススメ。
くまざわ書店阿倍野店にて購入。
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「真贋の森」は面白かった。
「紙の牙」は気分が滅入った。
「空白の意匠」「確証」はそれに追い討ちをかけるかのようにさらに気分が滅入らされた。いずれも特に結末に。
(2015.1.22)