【感想・ネタバレ】ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪のレビュー

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Posted by ブクログ

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もはや市民権を得ている「ブラック企業」という言葉。その企業の実態を事例とともに紹介したうえで、原因や対策にも言及している良書。新書にありがちな事例紹介や著者の思いだけにとどまらず、客観的な分析と俯瞰的な対策についても述べられている。
フリーターやニートは若者の問題とされがちだが、本書を読めば、決して若者だけの責任だけではなく、企業や社会にも原因があることがうかがえる。特に私が共感したのは、今の若者の就職活動の問題点である。就職活動はネットによるエントリー方式であるため、若者の多くは(大学生の大半は)気軽に企業に応募できる。そのため、若者は多くの企業にエントリーし、そして面接を受ける。その活動を通じて、どうしたら企業に受け入れられていくのか、「自己分析」という名の「自己変革」がもたらされる。その結果、企業に献身的に働くことを誓う、企業にとって都合の良い人材へと変革する。こうした人材は、たとえ就職先の企業から無理難題を押し付けられても、それを疑問に感じない。もはや感覚が麻痺しており、気が付けばうつ病を発病するなど、心身ともに深刻な打撃を受けている。さらに、「そう簡単に他の就職先が見つからない」という思い込みが、若者を視野狭窄に陥らせ、ひたすら今の職場で耐えるという選択に結び付いてしまう。
私は、こうした要因分析について非常によく共感できた。実際、本書においても、就職活動の経過とともに学生のワークライフバランスや離職率へのこだわりが低下傾向にあることがデータでもって示されている。
本書にも触れられているように、若者の離職率や失業率の増加はわが国の社会保障問題にも直結する。企業への厳罰化や若者の職業意識の改革など、早急に手を打つ必要があるだろう。

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2018年01月14日

Posted by ブクログ

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自分の勤めていた会社がやっと倒産手続きに入ったとのことで振り返って感想と愚痴を(笑)
もう少し早くこの本に出会えていたらもっといい解決ができたのかな。
読み終えた時点ではあまり役に立たなかったが参考になった。
私の勤めていた会社は賃金が○年未払いな上に過労死ラインを超えるサービス残業を平気で強制するところだった。
労基の是正勧告も悉く無視。
今冷静になって考えると心筋梗塞などを発症するリスクがぐんと上がるし怖いことしていたと思う。
私は見なし倒産の申請が通り立替制度を使うことができたけど、退職のタイミングで適用されなかった人もいる。
社長が頑なに倒産を拒むし、残った社員も従順に仕事をこなしていたようで、長引いてしまった。
半年という期間は短すぎるのでもう少し長くするか何か対策が欲しいなと思う。
早い段階で協力者を募り、労働組合に加入するなり弁護士に相談するなりしていれば情況は変わっていたのかなと激しく後悔。
今後はこんなことがないように何かあれば早めに考え、動けるようにしたい。

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2016年05月17日

Posted by ブクログ

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新卒を雇用の調整弁と考えるブラック企業と言う存在は怖いと思いました。新卒社員にに対する人格否定のカウンセリングや、労働基準法を無視した長時間労働。それによって、優秀な人までも、鬱に追い込まれて社会から投げ出される。

需要と供給のバランスで買い手市場の企業にとって、選別が起きてしまうのは仕方がない部分があるかもしれません。だからと言って、人を大事にする必要はないと言う理由にはならないのですが。

正社員だからと言って暗澹としていられない時代。ブラック企業と言う言葉は聞いていたけどここまで、ひどい実態だと言う事は知らなかったです。確かに、無垢な新卒社員にとっては、辛い時代ですね。

社会自体が、柔軟なローコストの雇用環境を望んでいる部分もある。そんな社会の一部である企業は、どんなに健全でも将来はブラック企業になりうる可能性がある。だからこそ、監視の目をそのような企業に向けると言う事は必要なのですね。無知であることは決して、自分を守ることにならないのですね。しかし、今の時代を松下幸之助なんかが見たらなんというのかな。

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2015年04月02日

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