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Posted by ブクログ
乾ルカさんを読んだことがない人に一冊薦めるなら間違いなくこの作品。「プロメテウスの涙」「蜜姫村」も面白いけど、怖いのが苦手な人にはハードル高そうなので…。
10年ちょっと前にNHKでドラマ化されていたそうで(知らなかった…)、出演者のお顔を思い浮かべながら読むと没頭できた。
二号室 遠藤さんの「〜〜だよぅ」という話し方、おじさんなのになぜかかわいく見える。おじさんなのに。
三号室 石黒さん 生前タレントだった女性だけど、関わった仕事が次々ダメになりつくづく運がない。同居する長久保さんとの掛け合いが、長年連れ添った夫婦のようで楽しい。長久保さんが道を外れそうになったときは真剣に怒るし、資格取得の勉強中には一緒に勉強して伴走してくれる人。
(以下、石黒さんの出演作)
「こぶ茶牛乳ラーメン」CMの昆布の役→異物混入で製造中止(いやいや、どんなラーメンかよ。味の想像がつかんわ)
長久保さんの(あいつ、あの昆布だったのか)という口から出ないツッコミも最高。笑
「T銀行」のポスター→破綻
映画「君の愛に☆KANPAI」→観客動員がなく、配給会社が潰れる寸前
「ラッキーパンチは当たると痛い」→月9初の二回短縮打ち切りドラマ
その他「朝まで五時間」「午前零時の牛丼特盛り」「俺の股の下をくぐれ!」など…細かい設定に乾先生の遊びを感じて面白かった。
五号室 事故で亡くなった兄の百日参りをするため、短期で入居した真由美さん。
この本の中では、ある意味逆に特異体質の人。最後に兄の存在を感じて目的を成就したシーンでは、通勤中のバスの車内なのに泣きそうになった。
このエピソードから、大家さんが何者かも徐々にわかりはじめる。大家さんも最後まで住民を思いやれるとても素敵な人。
読後、心が温まるような爽やかな気分になれた。
Posted by ブクログ
評価は5.
内容(BOOKデーターベース)
ある街の高台に佇む木造アパート「てふてふ荘」。敷金・礼金なし、2Kの間取りで家賃はわずか13,000円、しかも最初の1ヶ月は支払う必要なし…破格の条件に不審を抱きつつ1号室に入居したフリーターの高橋真一。翌朝目を覚ますと、見たことのない若い女の子が笑顔で座っていた。「これからよろしくね」。特異な事情を抱えた住人たちが出逢った、謎の“同居人”の秘密。切なくもほっこり心が温かくなる、おんぼろアパート物語。
ファンタジーなのに良かった・・・一気読みしてしまった。ファンタジーだからか、誰にでも起こりうる死への恐怖を少し緩めてくれるいい話だった。
Posted by ブクログ
次の貸し出し予定までのつなぎに適当に本棚から選び出した本だったけど大当たり
自己啓発本のあとで軽い物語を読みたいなぁと思っていたところに軽くふっと和ませる6つの物語
そして6つをまとめる総仕上げとエピローグ
気が付けば一気に読み終わってた
テフテフ荘とはうまく名付けたものだw
Posted by ブクログ
家賃は格安、敷金礼金管理費なし、最初の月の家賃はただ。
そんなオイシイ条件の、昔ながらの佇まい「てふてふ荘」。
しかし安いには安いだけの理由がある…他所のアパートとは決定的に異なる、あるオプション付きだった。
悩みや事情を抱える6人の住人達。
読み始めはコメディタッチの物語だと思っていたのに、6人のそれぞれのエピソードに涙してしまった。
各人の重石を自ら取り去り、入居する前とは確実に変わることができた6人。
それぞれの道を笑顔で進めて良かった。
切ない想いの後に爽やかな気持ちになれた温かい物語だった。
Posted by ブクログ
「訳アリ物件」と聞くとちょっとおどろおどろしい雰囲気を感じるけど、アパート丸ごと「訳アリ物件・各室幽霊がいます」となるともうなにがなんだか(笑)居住者と幽霊それぞれ事情を抱えていて、一緒に暮らすうちに心が触れ合って・・・。2号室の話は読んでるうちは悲しくてつらかったけど、でも最後はいい話でよかった。5号室の裕太郎さんはちょっと趣向が違っててこれはこれで面白いけど、裕太郎さんにももう少し出てきてほしかったな。でも管理人さんに一番びっくり、素敵な管理人さんでした。
Posted by ブクログ
高橋真一
一号室の住人。極度の緊張症で就職活動では本来の力の半分も出せず。大学卒業後、短期のアルバイトや日雇い労働で暮らしている。破格の家賃に惹かれ「てふてふ荘」に入居する。小学五年生の時の初恋相手、中学一年生の同級生、高校二年の時に思いを寄せた彼女、大学四年の冬に公務員試験予備校で共に合格しようと励ましてくれた女子大生の四人が女の子が皆亡くなっていることがトラウマになっている。幽霊であるさやかのことを好きになる。
大家
「てふてふ荘」の大家。四十代後半。外見的にはどうという特徴のない、いたって平凡な男だったが、声は柔和で心地よく、一言一句はっきりと発音する。不動産業を営みながらビリヤードの講師をしていた。
白崎さやか
一号室に住む地縛霊。肩よりちょっと短めのボブカットで、顔形をランク向けするのであれば中の上。交際男性に絞殺された。
井田美月
二号室の住人。三十歳ほどの小太りな女性。地元資本のスーパーの鮮魚係を務める。子どものころから丸く、細い一重の目、分厚い唇、鼻だけは少しいかつく、男っぽい。スーパーの借り上げの独身者用アパートを追い出され、「てふてふ荘」へ行き着いく。ラッキーナンバーというか、「二」という数字に縁がある。勤務先のスーパーに研修に来た正社員の二瓶昭夫に好意を抱く。
遠藤富治
二号室の幽霊。初老の男性。幽霊なのに、お酒に関係するものなら触れ、飲むこともできる。六十四歳の冬の夜、泥酔状態で帰宅途中に転倒し、頭を氷の路面にしたたかに打ちくけ死亡した。死亡当時に着ていた青のアノラック姿をしている。
長久保啓介
三号室の住人。八年間の刑期を務め上げた、詐欺師の前科者。四十代男性。再就職にこぎつけないのは、ツキのない早智子のせいでもあると思っている。服役中に三年間同じ房で暮らした男と再会し、手っ取り早く稼げる方法として大麻栽培を持ちかけられた。
石黒早智子
三号室の幽霊。赤のウェットスーツが全身を包んでいる。背も高く、スタイルは申し分ない。長い髪は後ろで一つにまとめられ、額をすっきりと出し。輪郭もあらわ。世間一般の基準からすれば、十二分に『美人』と評して問題ないレベルにある。生前はタレントとして活動。CM出演した『こぶ茶牛乳ラーメン』は異物混入ですぐに商販売休止、ポスターに起用されたT銀行は破綻、出演したドラマは短縮打ち切りなど、数々の不名誉な実績を残した。『ザ・潜入霊場』という心霊番組のロケで事故死する。
平原明憲
かつての四号室の住人で、「てふてふ荘」の最初の入居者。高橋とは大学に入学してから一年と少し共に学んだ同期だった。二年生の五月に急性骨髄性白血病で入院することになり、大学は休学を経て退学、アパートも入院時に退去した。大学に復学し、パイロットになるため航空大学を受験する。
湊谷薫
四号室の幽霊。もともと人を入れたがらない子。性格も悪いし生意気。極寒のオーラを出す。くっきりとした二重まぶたに、切れ長の目をした色白の美少年。学生服を着ている。アパートの空気を冷やすのが得意。好き嫌いが激しく、平原以後は四号室に同居者はいない。検察官を目指していたが親の病院で違法診療がばれ、十五歳の誕生日に一家心中で真冬の海に沈んだ。
槇真由美
五号室の住人。『ザ・潜入霊場』で事故死した兄が成仏していないと言われた。両親と共に訪れた居酒屋の店主に「現場に百日休まずに花を供えなければ・・・」と言われ、母の願いで兄の死亡現場に百日欠かさず花を供えるため、近くのてふてふ荘へ期間限定で入居する。兄の槇裕太郎の知人である米倉にアパートを紹介してもらう。霊感は皆無。部屋にいる兄も他の部屋の幽霊の姿も見えない。
槇裕太郎
五号室の幽霊。看護師。真由美の兄。バイクに乗っていた時に事故を起こし死亡したため、ライダースーツ姿。生前、幽霊を信じない真由美に対して、もし自分が先に死んで幽霊になったら真由美のところに行ってやると約束した。
米倉道則
六号室の住人。売れないイラストレーター。入居時は翔太の存在に驚いたが、お互い適切な距離を保って生活していこうと提案し、いないものとして生活している。
山崎翔太
六号室の幽霊。十一歳。市民プールで溺死。八畳の隅で膝を抱え黙って米倉を睨んでいる。アパート内の水を操ることができ、入浴中や就寝中の米倉を事あるごとに襲う。
Posted by ブクログ
美月さんのお話、一緒に大泣きしてしまいました…
最後、取り壊されると思っていなかったので、少し残念でしたけど、みんなが新しい人生に向かえてよかったです。
Posted by ブクログ
おんぼろアパートに住む住人たちと大家、それぞれの部屋をめぐる話。3号室の話が印象に残るけど、どれも読みやすくて入りやすい話ばかりだった。またこの作者の話を読んでみたい。
Posted by ブクログ
てふてふ荘に住む各部屋の住人と、
その部屋に憑いている幽霊たちのエピソード。
ホラーではなくて、のんびり穏やかな雰囲気。
でもどの話にも"別れ"があって、切ない。
ひとつずつ増えていくビリヤードの球。
大家さんの秘密。
Posted by ブクログ
のんびりふんわりした話が読みたいな、と思って買ったのですが、初めの話から予想外の切なさでした。二号室と四号室が好きでした。二号室はなんというか、はじめての恋に舞い上がってしまう美月の痛さがつらくて、でもそれを包んでくれる遠藤さんがいい。四号室は、薫が海を見ていて、平原も病室から海を見ていて、だから苦しみながらも立ち向かえた、っていうのがすごくいいな、と思えて。どちらの話もふたりの気持ちが本当に通じ合っている瞬間が感じられて、それがすごくよかったです。
Posted by ブクログ
乾ルカさんの本なので読んでみました。
とある訳ありマンションの入居者たちのお話しで、全体的にほんわかするよいお話でした。
仕方のないことですが、ラスト、皆さんそれぞれ新しい一歩を踏み出す希望あふれる前向きになれるものなんでしょうけども、私は寂しがりなので、私には星3。でも、元気をもらえる本の一つだと思います。
ドラマにもなっていたようですね(2012年に!)ドラマも見れるものなら少し見たいかな。
Posted by ブクログ
家賃1万3千円のアパート「てふてふ荘」には秘密があって……。全部で6室。それぞれの部屋様々な事情と出会いが待っていた。
入居者は各部屋に住む幽霊たちと、二人暮らしが始まる。彼ら彼女らと暮らす内、面白くも心あたたまる変化が待っていた。ちょっぴり怖い?けれどほっこりする物語(^-^)