感情タグBEST3
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舞城王太郎スタイル健在。
破綻しそうな危うさを常にちらつかせつつ、勢いに乗ってなんとか崩れることなく最後まで突っ走った感じ。それでいてクライマックスの盛り上がりにはすっかり心を持っていかれ、終わればやっぱり☆5つ付けてしまう。
人生はこんなふうに、キレイにまとまらずに疾風怒濤と流れていくものかもしれない。
ルンババこと番場潤二郎とユキオこと西村友紀夫の12歳から19歳までの物語。基本、ユキオ目線でルンババが観察される。
ユキオが暴力的な子じゃないおかげで、今回の話はいくぶん暴力に怯えることなく読めた。まぁ、周囲の人間にぶっ飛んだヤツが多すぎるけど。
それなりにミステリ調の事件はいくつか起きて、名探偵に成長したルンババが惜しげもなく謎解きするけど、総括すると本作品はミステリじゃない。
死体にカツラを被せて着替えさせて変なポーズ取らせた連続殺人は実は絵画作品の見立てだったとか、死体が執拗に動かされた跡が実は死体を出演者にコマ撮り動画を制作したからとか、トリック(?)のアイデアはめちゃ秀逸(?)だけど、ミステリに仕立てるにはストーリーの組み立てのセンスも大事なんだな、と、多分舞城王太郎はそこを目指してないのにミステリ脳な自分は勝手にそんなふうに考察した。
大切な人を不慮の事故で失った人は、多かれ少なかれ自分を責めるんだろう。何故あの時自分は助けられなかったのかと。ずっと苦しんでたルンババにずっと寄り添ってきたユキオは、ルンババが弾けてしまった時に諦めずに勇気を出して救えて良かった。ルンババは救われたし、ユキオも、責める側になりかけてた自分を救ったのだ。
友達って、イイね。(←陳腐な表現にしかならない語彙力を呪いたい)
ハーケンクロイツの回転箱家で、菅原悠のオリジナル作品の見立てを4コマ漫画に仕立てて菅原を閉じ込めたのは奈津川家の誰なんだろう。センス的には明らかに二郎だけど、ルンババは多分三郎と同じ歳だから(うろ覚え)、もう二郎は蒸発した後だし、一郎や三郎や四郎の仕業とも思えないし、丸雄なのかな。
で、ルンババが三郎と懇意になるのは、もしかしたらこの事件の未解決の部分を明らかにしたかったからなのかな。
で、で、『煙か土か食い物』のルンババの壮絶な最期を思うと、ちょっとやるせないよね。
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青春小説?そんなこと全く思わなかった。
密室というミステリーにおける鉄板ネタを、あれやこれやと否定否定。バカなトリック。だけど愛おしい。しかも家族とかけて再生の物語なんて、舞城天才かよ。
名探偵ルンババといいキャラの破天荒。ストーリーのはじっけっぷり。そこにドライブ文体。
井上姉妹の心情は、西加奈子や川上未映子っぽさがあり、女性作家?いやいや、友紀夫とルンババの笑いのセンスは男性作家?相変わらず不思議な作家だ。
久しぶりな舞城作品は愛も変わらず、愛の話。そこにミステリーのエッセンスがあるのだから、楽しいに決まっている。
おススメマラソンその④
杏仁さんより紹介いただきました。感謝。
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完全にやられた。面白い!
青春ミステリーチックだけど、文章のポップさとたまにかっこいい言い回しはクセになる。
ふざけっぱなしだったのに、最後はほろっとお涙頂戴。確かに世界は密室でできている。とんでもない鉄格子に囲まれ囚われても、乗り越えて生きていく。
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『何とかと煙は高いところが好きと人は言うようだし父も母もルンババも僕に向かってそう言うのでどうやら僕は煙であるようだった。』
『でも僕までここで一緒に泣いていたら、誰が明るい明日を運んでくるんだ?』
『ポテトチップスさえあれば全てがOK。』
『頭働かせよう、何かちゃんと考えようと思って考えるのが最近習ったばかりの受動態の構文で、ビーサプラチズドアット、ビープリーズドウィズ、ビーボーンインとか一生懸命唱えちゃって訳が判らない。ビーパンチトバイやげ俺。』
「ふざけんなって、ねー?奥さん妊娠させといてこっちも妊娠させようって、それは虫が良すぎるってもんでしょ。こっちの子宮は甘くないっつの」
『くそ、こうなりゃ踊るか?ヴィッツのボンネットの上に登ってシャバダバデュワップデュビデュバとやってやるか?それとも得意のロボットダンスか?それとも後部座席でいきなり漫談でも始めるか?泣いてる女の子の背後で必殺の一人漫談。』
『「その愛のハンカチ、私に頂戴」。え。「いいですよ」。何?「ありがと」。それから僕は埼玉のどこかの国道の脇で、初対面の女の子に、出会って二時間でキスを奪われるという、唐突過ぎて素敵なんだかどうだか判らない経験をする。それは短いキスだったが、でも唇と唇は乱暴なくらいにブッチュ〜とぶつかり合って離れた。僕の凄いところは、その瞬間咄嗟に手を出して彼女の胸をばっちり触っておいたところだ。あらゆるチャンスを逃さない男・西村友紀夫。』
『何しろ僕は修学旅行中の中学生で、場所は旅行のルートを大きく外れた埼玉で、相手はそこに住んでいる、僕より二つ年上の、何度も言うけどまだ出会って二時間しか経っていない、それもその内一緒にいたのはまだ一時間ほどの、色々複雑なものを抱えていそうな女の子だった。謎の理由でワーンと泣いて涙も拭かず、一言「愛」を口にしただけでキスを求めてくるような情緒不安定な女の子だった。』
『「はい、西村です」「う、もしもし。うう、ヒノウエですけ、ど」。エノキは最初からもう涙声でグジグジだった。僕の全身に結構たくさんある普段は寝ていていいはずの細胞がザーッと起こされる気配があった。うわわわわわわエノキさん泣いてるよ!』
『何事も一つ一つ順番に片付けなくてはならないのだ。もし何かを本当にちゃんと片付けたいのなら。』
『女の子の肩は、見た目よりずっと小さい。
お風呂で熱いと思うお湯の温度が、口に入れてみると全然ぬるいのと同じだ。何かを適切に計る器官は、対象によってそれぞれ決まっているのだ。女の子の肩の大きさは、抱いてみなけりゃ判らない。』
『人生皆、それぞれにいろんな楽しみ方がある。どんな楽しみ方をしようと、それは人の勝手である。』
『どうして泣いちゃいけないの?→エノキが泣くと、僕まで悲しくなるじゃないか。だからエノキ、泣くな。僕まで泣いちゃうからエノキ、泣くなよ。頼むから。』
『「俺の父親と母親、どうやって殺してやるかなと思って考えたやつやで」
うーんそりゃ燃えて良かったね。』
「思い出したわボケ。おめえ何してるんじゃこんなところで。涼ちゃんの命日なら、こんなところで自殺なんて図ってんと、墓参り行け、墓参り」
『それからごめんごめんと繰り返し謝った。助けられなくてごめん。あの時助けられなくてごめん。本当はどうにかして助けたかったのに、弱くてそれができなくて、助けられなくてごめん。ごめん。ごめん。ごめん。』
『「私先帰ってるね。友紀夫、今日これからどうする?」
「まず布団の洗濯手伝って、ほやな…」
「デートしよか」
それいいですね。』
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どうして舞城節の虜になっちゃうかっていうと、例えが抜群に気持ちいいからだと思う。って書いたけどぱっと思いつかないからパラっとめくってみたけどそれでも見つからなかった。前どっかで見たのが「大人だってトトロにガバっと抱きついてがおーってしたい時もある」ってのがあって、単に「ストレスを発散させたい時もある」って書くのと比べたら感覚に訴える土着力がトトロのほうが高いのは歴然でそれが持続して読書中飛びっぱなしだから読んでいる間は一種のアッパーになってる。リーディングハイ。あと発見したのが限りなく映画的な動きが見えたりする。椿の抱いている赤ちゃんに近づくシーンでは”ゆっくり近づいたが、しかしそれはもう走る必要が無いため、ツバキさんが赤ちゃんに注いでいる親密なる視線を壊さないようにわずかながらでも猶予を与えてあげる配慮のような気がする。本能的にここで追い付くことは決定的に何かを壊してしまう気が僕はした”
ありありと情景が浮かぶし、映像を見てこの感覚を得るようにもありえそう。これは説明の過多ともとられそうで、文章と文章の行間を読みたい派であれば拒絶対象でおれもそのきらいはあるんだけど、舞城王太郎のは屈服したくなる。それはより感覚を味わいたいってのがあると思う。物語のフルスロットルはいわずもがな「プギャーイッヒ」なんて赤ちゃんの鳴き声を表すのはこの人しかいない。
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舞城王太郎作品をおすすめしてもらったので読んでみました。
序盤からどぎつくグロテスクな表現が続き、顔をしかめながら読み進めると、軽快な一人称の語り口に気づけば引き込まれています。
ぶっ飛んでいながらも友情、恋愛、青春の機微が切なく描かれています。
中毒性が高いと思います。
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また大江健三郎かもしれません
冒頭の、肌を搔きむしって全身が乳首のやうになるシーンは、なかなか想像するとグロテスクです。下品でくだらなくて気色悪いのですが、最後まで読むと、まあめちゃくちゃでヘンテコリンな小説だけど、アリかなといふ気がしてくる。
登場人物はみんなどこかをかしいけれど、まあツバキエノキ魅力的だしアリかな。連続殺人もバカミスすぎてアホらしいけど、ここまで飛ばしてると、全体と調和してるしまあアリかな。で、最後もよく書けてると思ふ。
たとへばツバキさんが屍体を使ってしてしまったことが、たいへん狂ってゐる。度肝を抜きました。しかしそのイメージがいつまでも頭から離れない。鮮烈なイメージです。
笠井潔氏は、かつて日本推理作家協会賞の短篇部門に舞城氏の「ピコーン!」が候補になった時(2003年)、かう評しました。《ミステリとしての歪みや撞着にかんして作者は確信犯であ》る。つまり、わざとこのやうなバカバカしい書き方をしてゐるといふことです。舞城氏の作品が一貫してこの傾向にあることは、作品を読めば明らかです。
さて、氏は小説にモチーフやパロディを用ゐる人です。たとへば、デビュー作の『煙か土か食い物』は、尾崎真理子氏の指摘の通り、大江健三郎の『万延元年のフットボール』でした。また、短篇「熊の場所」と『阿修羅ガール』は、神戸連続児童殺傷事件がモチーフです。『ディスコ探偵水曜日』はさまざまなパロディが仕込まれてをり、西尾維新やそのほかに留まりません。
さう考へると、この『世界は密室でできている。』もなにかしらのものが根底にありさうな気がするのです。
どうも私はまた大江健三郎の『万延元年のフットボール』なんぢゃないかと、根拠薄弱ながら思ひました。なんたって『万延元年のフットボール』は、《この夏の終りに僕の友人は朱色の塗料で頭と顔をぬりつぶし、素裸で肛門に胡瓜をさしこみ、縊死したのである。》といふ、度肝を抜くある種のミステリですから。
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例によってミステリーとしても小説としてもメチャクチャ( ´ ▽ ` )ノ
ミラーやフォークナー、ジョイス系列の「意識の流れ」小説を、一人ノリツッコミ満載の漫談仕立てにしたところがミソ( ´ ▽ ` )ノ
ちゃんと書けば普通(以上)のミステリーを書く腕を持ってる作家であるからこそできる「お遊び」だね( ´ ▽ ` )ノ
改行の回数増減で文章のテンポを表現してるところが面白い( ´ ▽ ` )ノ
「時効警察」なんかのバカドラマっぽくもあるけど、ぶっ飛びさ加減はそれ以上( ´ ▽ ` )ノ
落語「らくだ」の現代版アレンジ(?)「ピングー」には笑った( ´ ▽ ` )ノ
まあ、ペヤング焼きそばチョコソースみたいなもんで、常食には到底向かないけど、ネタとしてたまに食べてみるには最適だね、O太郎( ´ ▽ ` )ノ
ゴキブリが入ってるかもしれないし( ´ ▽ ` )ノ
2019/04/07
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ミステリもさることながら心情、キャラの成長。密室というガジェットを使いながら様々なことを書いていて好印象。いやあ、感服。文体は独特だがそれが癖になってしまった。良いなあ。あとエノキ可愛い。
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10代男子の青春ミステリはやっぱりいいなぁ!
と思えた一冊。
涼ちゃんの話は、つい最近あった密室に15年間閉じ込められ亡くなった女の子の事件を思い出して、胸が苦しくなった。
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いいなぁ舞城作品。大好きだ。そう思うお話だった。
ミステリー的な部分は、はっきり言ってどうでもいい。この年頃の男の子の生き生きしたかんじ、女の子のわけわかんないかんじ、親との葛藤。いろんな気持ちをわーって叫びたくなったり、でも閉じ込めちゃったり。
読み終わると「ああ、ルンババ~」と思う。ああ~。この本が舞城さんの著作で一番好き、という人がいるのもわかる。青春。
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【本の内容】
十五歳の僕と十四歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。
中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。
僕らの冒険はそこから始まる。
地元の高校に進学し大学受験―そんな十代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。
[ 目次 ]
[ POP ]
「煙か土か食い物」「暗闇の中で子供」に続く三作目のこの作品は、前二作の”奈津川一族物語”の番外編といってよいと思う。
二作目の作品中で奈津川三郎が執筆する推理小説が「ルンババ12」であり、そのルンババの実体(?)が活躍する青春小説といったところか。
ほんのわずか「奈津川」の名も登場して、一筋縄ではいかない奈津川の謎をちょっぴりのぞかせる。
おなじみの場所が舞台で、おなじみの文体と福井弁で、常識もムチャも乗り越えてスイスイと話は進む。
あまりに軽いノリで殺人が出てきて、凄惨さはない。
密室も大安売りされている。
事件の解決がメインでなく、悲しみをのりこえてゆく二人プラス一人の深い友情物語だ。
私見だが、独特の舞城テイストを強く感じられる最後の作品だ。
この後、作者は奈津川三郎の逆をたどり、純文学の方へ傾いてゆき、賞もとって、本質的なユニークさは変わらないが、小気味よい、暴力的ともいえるリズムから遠くなっていくようだ。
二人の強い絆とさわやかな読後感に乾杯。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
ミステリと青春の熱。トリックそのものにはそんなに惹かれないけどそれを取り巻く狂気と人間模様が「煙か土か食い物」と同様面白い。でも「煙」のほうが好き。ナチュラルに他作品リンクされてるのも舞城らしいのかな。
とにかくタイトルは秀逸。
Posted by ブクログ
この疾走感は舞城さん以外ではなかなか味わえない。好き嫌いははっきり別れるだろうが、他の作品よりはわかりやすい内容だと思う。密室トリックをルンババが解決したりと、ミステリー的要素はあるが、その辺は結局のところは割とどうでも良くて、由紀夫とルンババの新青春エンタだった。
「言うな言うな。言うな地蔵」にうけた。素晴らしき意味判らない言葉のチョイス。
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密室、大量殺人、不倫、死体編集、めちゃくちゃつぎこんだ異常な展開と、流れるような冗長文に圧倒されるけど、当たり前の愛みたいなものが底にあるから、最後に力技で感動させられてしまう。
当たり前のこと言うのに、わざわざ悪趣味な描写は不要ですって人には受け入れられないかもしれない。
生理的な気持ち悪い描写や無慈悲な展開が、ただサディスティックに登場人物を陵辱するだけのものでないから、うへって思っても最後まで読んでしまう。
んだけど、白いツブツブのくだりはさすがにうべえっと思った。気持ち悪いってば。
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次々に続く会話や激しい出来事の後にやってくる
短くゆっくりとした終わりにちょっと感動できる。
そのスピード感覚や連続する率直な表現は、作者特有の
楽しめるところと思う。
『王』の字を裏返した屋根の図が間違ってるんじゃ…(汗)
Posted by ブクログ
出てくる人々は(実は主人公も含め)みんな発想がぶっ飛んでるし、起こる密室事件もわけの分からないシチュエーションのものばっかりで、読んでる途中はずっと頭の中を嵐がかき乱してるような感覚だった。でも読み終わるとなんか頭の中にひっかかってるものがあるのが舞城王太郎。それは、まあ他の方々が書いてるように、愛だろう。めちゃくちゃな文体でめちゃくちゃなストーリーの上に愛を描く舞城作品には、陳腐な恋愛小説なんかよりずっと説得力がある。(しかし舞城は本当にハズレが無い...)
Posted by ブクログ
これは青春小説、なのか?それにしては死体が多すぎないか(ざっと30人くらい)?でもきっと、主題は青春小説なんだろう、たぶん。何しろ殺人事件が起こり密室が解かれるごとに、主人公たちは成長し仲を深めていくのだから。
とにかく殺人事件にリアリティがないし動機も解せない。事件のための事件と言える。そして、だいたい密室で、その解法も突飛すぎる。なのに何故か面白い。これはキャラ造作と文体の妙を感じる。
ある種の荒唐無稽さを受け入れた上で、この密室だらけの世界を楽しむのがこの本の面白さだな、と思う。
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メフィスト系がラノベと呼ばれるのはセリフの多さと感じるけど、改行せず言葉の応酬に驚かされました。ミステリーなんて言うから敬遠してたけど良い意味でサラッと読めた。
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名探偵ルンババ12と僕の密室に関する話し。主人公が中学生というのも無理筋だし、密室がたくさん出てきて、猟奇的な殺人事件が続き人が死にまくるのだが、謎解きの部分はあっさりしていて、たぶん、そこがモチーフではなくて、どうして密室が作られたのかが重要だったのだと思う。井上えのきという2つ年上の女の子と僕とルンババの三角関係が少し微笑ましい。
Posted by ブクログ
デビュー作よりはミステリの体裁が整ってる…ような気がする。
そして相変わらずべらぼうに面白い。
もうやだ。気づいたら『九十九十九』買ってた。
怖いからしばらく舞城はお休み。
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ここに言う密室とは、家庭のメタファーみたいなもんである
核家族化の進んだ現代において
それは確かに、世間の目から遮断された、密室内の営みと言えるんだ
そしてそれゆえに、しばしば不健康なものとして
立場の弱い子供たちを束縛する
家庭の束縛と、タテマエ社会の自由とのあいだで板挟みにされ
精神のつじつまが合わせられなくなってくると彼らは
密室という茶番に反抗して無軌道に走ったり
あまりにちっぽけな世界の支配者をわざと無視したり
自分自身が別のところにつくった密室で、暴君になってしまったりする
甚だしきに至っては
家族関係にまつわる鬱屈を誰かにわかってほしいあまりに
自己表現として、密室殺人を演出してしまったりするわけだ
だけど俺らはそうはならずに、理想の愛を追い求めていこうな、ってのが
まあこの作者のいつものアレなんだが
もちろん僕だってその見解には大賛成なのさ
しかしそれでもやはり
母の死の巻き添えにされ、間一髪助け出された胎児の「今」が
いちばん不幸であったとは、本人以外の誰にも断定できないのである
誰もがルンババ12のような天才ではありえないし
そのルンババだって
奈津川一族にはまったく手も足も出ないまま敗れてしまうのだから
Posted by ブクログ
舞城王太郎さんは、覆面作家ということで、正体不詳の謎の人物でありますが、年齢は1973年生まれということみたいですが、ということは、平たく言いますと、ええ歳になったオジサン、という事ですよね。男性だったならば。
そう考えますと、何故にこう、年齢を重ねても、こうも瑞々しい文章を書けるんかなあ?と思うのですよね。
この小説の主人公は、中学生くらいの少年であり、その彼の一人称の形で話は進んでいくのですが、はあ、まるで自分が、中学生の少年であったかのように、あるかのように、舞城王太郎さんが、この地の文章を書く事ができるという心の若さ。それはどこから来るのだろう?どうして生み出せるのだろう。
いやあ、言葉を綴るというのは、不思議だなあ。そう思いつつ、読み進めたのでした。
Posted by ブクログ
ミステリーだが、出てくる密室殺人はもちろん舞城王太郎独特のスピードでザクザク解かれていく。青春と言われればそうだろうし、そこそこ感激もしたのだが、それは僕が舞城のノリが好きだからなだけだろう。おそらく、普通の文章で読んでもそこまで感情は揺さぶられなかったと思う。
Posted by ブクログ
視覚的な情報が多く、アニメを見ているようだった。
ぶっ飛んだ人物や事件からも、そういう印象を抱いたのかも。
それにしても、このコテコテの福井弁はちゃんと読者が理解できるのか…?笑
Posted by ブクログ
ちょっと舞城王太郎を続けて読みすぎたかも。
でもこの人の文章はすごく魅力的。
なんだろ。
言葉一つ一つが嘘ないんよね。
登場人物の心情がすごい共感できるというか、身近に思うというか。
でもぶっ飛んでて気持ちいい
死体が4コマて。
Posted by ブクログ
☆3.5
舞城王太郎って、よくわかんないんだよねー。純文学の人?
『好き好き大好き超愛してる』も、うーん、って感じだったし。
なんか生理的に無理な描写がちょくちょくと。
白いぶつぶつをざらざら飲み込んだりとか。おえー。
でも全体的にミステリーだったので、とっつきやすいっちゃとっつきやすい本だったかも。そして何回読んでもあらすじを忘れる『阿修羅ガール』。装丁だけ覚えてるんだなー。もう一回読もうかな。ちなみにこの本も、読んでる途中に「あれ、読んだことあるわこれ・・」って気づいたり。