感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2023年10月20日
まさに激動。
青春時代に戦争を生き延びて、一般企業の広報をやっていたことには驚いた。
サンリオの前の会社や手塚治虫などが出てきて昭和をタイムスリップしているような感覚になった。
アンパンマンのアニメが放送されたのが69歳。そこから90代まで仕事をし続けてアンパンマンを広めていくなんて、人生100年時...続きを読む代そのものだなと。
アンパンマンに込められた正義感や奥様への思いの文量の多さからやなせさんの人の良さが滲み出ていて好きにならざるを得ない。
Posted by ブクログ 2023年07月10日
やなせたかし氏が、アンパンマンという代表作を生み出すまでに、様々な業界の人々とともに、多彩な仕事を成してきたことがわかる。
その一方で、人生の後半までなかなか代表作が出なかったことを気にかける人間的な一面もある。
アンパンマンが幼児向けになったことを口惜しく思っているような節があるのは驚いた。
Posted by ブクログ 2022年11月16日
本書は一言で言えばやなせたかし史だ。
語る人によって人生は悲劇にも喜劇にもなるが、このストーリーテラーの軽妙洒脱さには恐れ入る。
父を亡くし、母と生き別れ、従軍し、三越からサンリオから舞台から、様々な世界を変遷し、そして詩とメルヘンという今までのアニメにないルートからアンパンマンが生まれる。
終始...続きを読むのんびりと外から自分を眺めておかしがってるような軽やかさがあって、そんなシチュエーションではないのにこちらもふふふっと笑いが漏れてしまう。
幼児期を脱して子どもになった時、ふと染みついたアンパンマンのテーマソングがあまりにも重すぎると疑問に思っていたが、それもそのはず。やなせたかしの人生哲学がしっかりと刻まれているからだった。
当初全く評価されなかったアンパンマンが、空気を読むなんてことを知らないこの世で1番正直で残酷な批評家の幼児に絶大な支持を受けるに至るまで。彼の人生に刻まれた哲学がふわっと広がる優しくて面白い軽やかな口溶けの本格派スイーツ。そんな本。
(引用)本当の正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そして、そのためにかならず自分も深く傷つくものです。
あんぱんまんは、やけこげだらけのボロボロの、こげ茶色のマントを着て、ひっそりと、はずかしそうに登場します。
Posted by ブクログ 2022年05月29日
最後、追加の後書きまで含めていい本だったなあと。
"なんのために生まれて
なにをして生きるのか
分からないまま終わる
そんなのはいやだ!"
この歌詞の深さにふと気づき、自分の人生を振り返り愕然としたのは20代も半ばだった。
これからも問い続けながら生きていくんだろうな。
奥...続きを読む様と二人三脚で生きてきたんだろうな。
面白かったです。
Posted by ブクログ 2023年10月15日
やなせさんの「正義」の定義がわかる本。
不偏の正義とは、傷つく覚悟をした献身と愛。
捨身、献身の心なくしては正義は行えない。
正義とはかっこいいものではない、
そして必ず自分も傷つく。
そういう思いがあって
アンパンマンは生まれた。
正義は信じ難い。
「日本は負けた」その日から
好戦的な武闘派は...続きを読む影が薄くなり、
文化的な兵隊が脚光を浴びるようになる。
逆転しない正義は献身と愛。
アンパンマンの歌詞
何のために生まれて
何をして生きるのか
こたえられないなんて
そんなのはイヤだ
ものすごく深い歌詞であることに
改めて気づく。
信念とは、経験と考え抜いた先に形成されるものだと
わかった。
Posted by ブクログ 2021年02月16日
尾田栄一郎さんが、自分の正義を尋ねられた時、ぼくは、やなせたかしさんファンでアンパンマン大好きだと、答えを濁していたけど、本書でそれが、献身と愛であることが分かってスッキリした。
挫折どころか、出発すらしていなかったという言葉が胸に響いた。
やなせさんですら、不遇な時代があったのだから自分も頑張ろう...続きを読むと思えた。
Posted by ブクログ 2019年06月16日
アンパンマンの生みの親、やなせたかしさんの自伝的エッセイ。そもそもの原版は25年前に出されているが、5年前に再度文庫本としてリメイクされているものだ。
たまたま五月病に近しい気持ちの時に手に取りたくなるようなタイトルなのかもしれない。
やなせさんは戦争を経験している。暗号解読をしていたようだが、徴兵...続きを読むされる前はデザイナーだったそうだ。
そこで色々なデザインやイベントのいろはを学んで後世に生かしている。
また、アンパンマンそのものについての記述は実はそれほど多くない。なぜならやなせさんの晩年に偶然のように生まれてきた産物だからだ。
彼はいつも大人向けの哲学的な作品を志向しているようだが、その実、作品が受けて行くのは子供達になっていくのであるのが非常に面白い。
大人はなかなか評価しないが、それがどんどんユーザーの中で広まっていく。まさにイノベーションの普及の具体例ではないか。
また、同書には奥さんの話が結構な割合で占めている。
新聞社の同僚で事故のような出会いから最後まで一緒にいるのはこれまたすごい話だ。
本書がリメイクで出た年にやなせさんはなくなっている。まさに遺書になり得たのだが、最初の出版時から20年後なのが凄まじいな。
`なんのために生まれて 何をして生きるのか`
子供の頃から刷り込まれている我々の脳裏には、この問いは永遠に投げかけられ続ける事だろう。
■目次
起の巻 マンパンマン以前史(故郷の空
貧乏坊ちゃん ほか)
承の巻 アンパンマン創成期(ツッパリ社員
三越の包装紙 ほか)
転の巻 アンパンマン盛期(三つの出発点
幼児という批評家 ほか)
結の巻 アンパンマン未来期(平成の夜明けと奇跡の出発
アンパンマンの勲章 ほか)
Posted by ブクログ 2017年05月15日
なんとなーーく手に取って、パラパラめくってみると 読みやすくスッと入ってくる文体。やなせさんにもアンパンマンにも 特別に思い入れがあるわけじゃないのだけど、大変興味深く読むことができました。
わたしが子どもの頃(平成初頭)にはもう アンパンマンは こどもの正義のヒーローとして確率されていたような記...続きを読む憶だけど、まだまだ軌道に乗ってきたところだったなんて!そんな事実や、やなせさんの生涯のおしごとや、おしごとにまつわるたくさんの方々とのエピソード、そしてご自身と奥様の病気のことなど、どのエピソードも読んでいてとても胸が熱くなりました。
とても とても、よい本。
Posted by ブクログ 2014年05月21日
アンパンマンは幼児が成長していく過程の中の通過儀礼のような物だと思う。自分の子どもたちをみていると常々そう思うのだが、他はどうなのだろう。アンパンマンは著者が70歳を超えてからアニメ化され有名になった。著者自身がアンパンマンがなぜ幼児にうけるかわからないと述べている。著者自身、漫画家になろうと思って...続きを読むきたが代表作がないために一流になれなかったと書いているが、若い頃からの活躍は今でいうマルチプレーヤーというもので、テレビ草創期のNHKでの活躍や手塚治虫、宮城まり子、永六輔、サンリオ社との関係や舞台を演出したり、シナリオを書いたり、あの有名な「手のひらを太陽に」の作詞など、多方面での仕事がある。この著者の経験が素直な目で見る幼児に受けるのだろうか?アンパンマンのテーマ曲はすごく深い。「なんのために生まれて、なにをして生きるのか、わからないままおわる、そんなのいやだ」何のために生まれて何のために生きるんですか?若い患者さんによく問われる言葉である。最後に「正義」が問われている今の世の中に、やなせさんの言葉は深い。「逆転しない正義とは献身と愛だ」
Posted by ブクログ 2014年02月21日
やなせさんの暖かい人柄に感動しました。
自分が思い描いた人生とは幾分それてしまったかもしれませんが、その時その時の人との出会いで、思わぬ方向へ展開していくところは、やはりやなせさんの人間性があったからこそだと思います。
きっと多くの人を惹きつける魅力があったのでしょう。
私もアンパンマンが大好きにな...続きを読むりました❗️
Posted by ブクログ 2013年12月27日
同著者の『わたしが正義について語るなら』よりも,深い内容の伝記になっています。わたしは,こちらの方が,読み応えがありました。大人向けですからね。
しばらく品切れになっていたのですが,こうして岩波現代文庫の1冊として,再度,世に出て来てくれました。あきらめていたのですが,よかったです。
構成とし...続きを読むては,自分の歩んできた人生を,起承転結の4つの章に分けて書かれてます。特に,転の章では,売れていくアンパンマンと反比例するように病魔に蝕まれていく愛妻の姿は,本当に,かわいそうです。
文庫には,「94歳のごあいさつ」という,文庫本のためのあとがきも載っています。自分の終末を見据えて文章を書いているんですから,すごいです。
柳瀬さんが,自分らしいキャラクター(アンパンマン)を発見する前に出会ってきた人たち…それもまた,柳瀬さんの大切な人生の同士。だからこそ,彼は,決して「遅咲き」じゃないと思います。
そのときそのときに一生懸命生きてきた彼の人間性が伝わってくる話でした。
久しぶりに,いい自伝を読みました。
Posted by ブクログ 2024年03月17日
大好きなやなせたかし先生の、遺書というより自伝に近い本。
三越の包装紙のデザインに関わった事や、
え!あの仕事にも関わってたの?!みたいなエピソード、名だたる著名人との交流が綴られている。
一貫して先生のスタンスは「どうして僕なんかにこんな大きな仕事の声がかかるんだろう」ですが、先生だからですよ。先...続きを読む生。
たまたま入った古本屋で手にしたサンリオ(山梨シルクセンター!)の幸福の詩集に出会えたから、私は今こうして生きています。死と限りなく近かった私を呼び戻して温かく包んでくれた、優しい詩集をありがとうございました。
来年の朝ドラ「あんぱん」が心から楽しみです。
Posted by ブクログ 2024年01月03日
この本を読んだ後、アンパンマンマーチをじっくり聴きました。
やなせたかしさんの思う正義、献身と愛。
アンパンマンを通してこれからの子どもたちにも伝わっていって欲しいと思いました。
Posted by ブクログ 2023年03月31日
アンパンマン原作って全然子供向けじゃない。
怪傑アンパンマンが読みたいので再販求む
言葉が素直で変に斜に構えてなくってスッと頭に入ってくる。どのエピソードももっと深掘って聞いてみたくなるくらい気になった。戦後の復興期独特のパワーとその時代を生きる若い頃のやなせさんの情熱がマッチしていて、当時の日本...続きを読む人の希望や夢を思い描く雰囲気が文章に乗って伝わってきた。多くの人が美しいもの、文化に飢えていた。
戦争に行かされた体験やその時の心情についても未知の領域で興味深かった。軍事演習に適さないからという理由で学校の制服が画一化されてしまった話が印象的。戦前の日本にあったある種の鷹揚さはこの時期から消えてしまったんだな。
Posted by ブクログ 2020年09月14日
アンパンマンの作者として有名なやなせたかしさんの自伝。
アンパンマンの印象が強いが本書でアンパンマンの話が出てくるのはだいぶ後半になってからになる。
生い立ちから学生時代、戦争があったりと様々な経験をされている。
アンパンマンの歌の歌詞やアンパンマンのメッセージ性など多くの方がすでに知っているかも知...続きを読むれないが、本書を読むことでその意味がより理解できるような気がする。
初めから絵本を書いていたものとかってに思い込んでいたが、そうではない事を知って意外に思った。しかも40歳ごろに自身がなにをしていたかというと、多種雑多いろいろやっていたというのだから、驚いた。仕事はさまざまこなしていた中で、自身の方向性がなかなか決まらなかった。読んでいてそんな印象だった。
自分のやりたいこと、方向性が早く定まるならそれに越したことはないが、そんなに焦らなくてもいいのだ、本書を読んで感じたことである。
アンパンマンを見て育った世代も今では多い。自分もその世代の人間である。アンパンマンを見なくなって、しばらくしたらぜひ読んでみてほしい。一冊だ。
Posted by ブクログ 2020年08月04日
♫
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
答えられないなんて
そんなのは嫌だ!
♫アンパンマンのマーチ♫
この歌を聴くたび、私は「みんなは答えられるんだろうか?作詞をしたやなせさんは答えられたんだろうか?」と思っていた。
本書には「これはアンパンマンのテーマソングであり、僕の...続きを読む人生のテーマソングでもある。」とある。
やなせさんがアンパンマンの最初の絵本を出版したのが53歳の時。テレビアニメが売れて、大ヒットとなったのは70歳を目前にしてからだという。それまでは、自分自身がどういう方向に進んでいるかもわからず、来た仕事はなんでも引き受けたという。
三越に入社しデザイナーとして働いた。現在でも使われている三越の包装紙。洋画家の猪熊弦一郎画伯がデザインした斬新なデザインにMitsukoshiの文字を書き入れたのはやなせさんの直筆だそうだ。
詩人として詩集を出したり、「手のひらを太陽に」の作詞をしたのもやなせさんだ。
なぜ自分に白羽の矢が立ったのかよくわからないという仕事がどんどん舞い込んできて、ことごとく成功させている。
困った時のやなせさんとも言われていたそうだが、でも本人は満足していない。漫画家として成功したいという思いが強く、”自分のやりたい事はこれじゃない”ということをはっきりわかっていたんだろうと思う。
そういう意味では、"何をして生きるのか"の答えを持っていたのだろう。
この本の構成は、やなせさんご自身の人生を、起承転結に分けて書いてある。”転”の章が54歳、”結”が70歳の時だ。無名時代が長かったと本人は言うが、それぞれのエピソードが短編小説のように続いている。
同い年の奥さんが75歳で亡くなり、すっかり気力がなくなってしまっているが、一方でアンパンマンが大ヒットし数々の賞を取っている。自身は65歳までしかライフプランを想定していなかったと言っているが、「作家は人生で作品を書くべきだ、というのがぼくの主張だ。だから自分自身の人生も、自分できちんと書かなくてはいけないと思う。」「今までに過去をふりかえってみたことはほとんどない。いつも、現在と未来だけを見ていた。」と常に前を見て前進している。この本自体が、76歳の時に執筆した本であり、奥さんと二人三脚で生きてきた人生を振り返り、今後は一人で生きていくという決意の表れだったのではないかと思う。
"初心忘るべからず"を地で行く人だ。無名時代のエピソードが晩年の布石に思えるのは、積み上げた経験値をフルに使って前進していたからだろう。
「ほんとうの正義というものは、けっしてかっこうのいいものではないし、そして、そのためにかならず自分も深く傷つくものです。そしてそういう捨身、献身の心なくしては正義は行えません」これがアンパンマンに託されたやなせさんの思いだ。アンパンマンは最初は大人向けの話だった。だが、大人よりもこどもにうけた。こどもにこどもだましは通用しないと本人は言う。だからやなせさんはそのままの思いをこどもにぶつけた。
これが、こども向けのアニメと思っていたら、思わず主題歌にドキッとさせられる所以だ。
アンパンマンを描くために生まれて
アンパンマンにたどり着くためにこれじゃないこれじゃないと色々な事をして生きてきた
そう答えられるようになった時に『アンパンマンの遺書』を書いたのではないだろうか。
さて、私は何のために生まれて、何をして生きるのだろう?よくわからない。やなせさんも自分と同じ年頃はよくわからなかったそうだから、まぁいいか。
現在にもがいていれば未来に道が開けるんですよね?やなせさん。
Posted by ブクログ 2020年07月03日
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
こたえられないなんて
そんなのはいやだ
なにが君のしあわせ
なにをしてよろこぶ
わからないままなんて
そんなのはいやだ
この本を読んで
幼児向けアニメにも関わらず、歌詞が妙に深いわけが分かった。
やなせたかしさん。
ハートフォーマーで、ひたすら優し...続きを読むいおじいちゃんというイメージ。
けれど本書の中では、掴みどころのない飄々とした自由人。
名だたる企業や人とすごい仕事をしているのに、まるでたいしたことのないように、自虐を添えてさらりと書くから騙されそうになる。
きっと、才能あふれたとても優秀な人だったのだろう。
晩年までヒット作に恵まれなかった。
それは事実だが、事実ではない。
せっかく生まれてきたのだから
何をしたら喜び、幸せを感じるのか
何のために生きるのか
あらためて省察したい。
Posted by ブクログ 2016年03月07日
やなせ先生の自叙伝。
といっても偉人の伝記にありがち(?)な重々しい感じはなく、人生を一つの4コマ漫画に見立てて語るという構成に、やなせ先生らしさが表れている気がします*
印象的だったのは、奥様とのエピソード。
先生の著書は他にも何冊か読んだけれど、奥様との思い出をこれだけ丁寧に書いた作品はなかっ...続きを読むたので、心にじんわり沁みるものがありました。
お二人の夫婦愛がとても素敵でしたv(´ω`〃)
未来のことは解らないけれど、きっとこれからもアンパンマンは子どもも大人も魅了する正義のヒーローであり続けるんだろうなと思います☆
Posted by ブクログ 2015年01月12日
アンパンマン、手のひらに太陽を。
69歳でアンパンマンがブレイク。その後も二十年以上忙しく働き続ける。
絵本も幼児におもねった内容ではなく、結果としてのブレイク。叙勲。
好きな分野に居続けて、合わないと思っても仕事を受ける。
山梨シルクセンターがサンリオの前身。音読みに変えた。詩集を出した。
「詩と...続きを読むメルヘン」で自分の城を持つことが出来た。
Posted by ブクログ 2014年01月29日
なぜボクのようなものに・・・・・という語りが多い。
読み進むにつれて、マンガの巧さとか、そういうものではなく、人間からあふれ出る「なにか」が魅力なのだということがわかった。
初期のアンパンマンもへたくそ。
でも、何かがあったんでしょうね。
やさしさとか、忘れかけている何か・・・とか。
70歳の時の遺...続きを読む言で、昨年、94歳で亡くなられました。
お子様がおられなかったのが残念です。
その寂しさが少し感じられた。