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Posted by ブクログ
自殺について知った気分になれる本
気分がすごく落ち込んで、とにかく死にたい、逃げたいと考えていた時にこの本に出会いました。その時はただ死に近づきたい一心で購入し、活字が読めるぐらい余裕ができた頃に読み始めましたが、この本を購入できて本当に良かったと思います。
著者自身が出会った自殺遂行者だけでなく、過去の事件や文学からの引用もあり、自殺の考察が幅広く、とても面白いと感じました。
読んでいる中で、著者の心情がちらちら出てきているのがとても楽しかったです。ただ考察するのではなく、著者の心情が入っているから読み物として面白くなっているのではないかと感じました。
Posted by ブクログ
すごく面白かったです。
自分に対して、また周りに対して「なんで自殺したの?自殺できたの?」と不思議に思う人、例えば急に死んだようにしか見えない芸能人のことを度々考えてしまうとか、そんな自殺という行動に興味がある人にオススメ。不謹慎かもしれないが楽しく読めると思います。
医学的研究に基づいた論考!のような小難しい内容ではなくて、文学や過去の事件からの引用も多く、そこに著者自身の臨床の経験を交えたエッセイのような感じ。教養ある方なんだなと感心します。淡々と、でも小気味よく、押し付けがましくなく、時折著者の想いが透けて見えて、文章が好きでした。こんな精神科のお医者様いるんだなあと感動しました。
この本を読んで何か疑問が晴れるといったことはないのだが、人間の奥深さ、怖さ、死との距離感、そういうものを自分とは違う視点で垣間見れた気がします。何より読み物として単純に面白いです。
Posted by ブクログ
精神科医としてさまざまな自殺者と関わった作者が、過去の患者の自殺例や文学などを通して自殺について考察しているエッセイ本でした。
自殺の決定的な原因のようなものや自殺を止める方法とかは載ってなく、人々が抱く自殺に対するイメージに輪郭をつけようとしているのが本書の特徴かなと感じました。
自殺に対して普段抱くイメージって結構パターン化されてるなと読んでいて感じたし、自殺した人たちもこのパターンにあてはめると理解しやすいなと思いました。本書だとそのパターンによって自分たちが勝手に自殺者を物語化していることを思い知らされ、改めて自殺のわけのわからなさ、不可解さに打ちのめされました。
死にたいなと思うけどどっかでストッパーがかかるのが普通だとは思うけど、そのストッパーがどこかで壊れて自死へまっしぐらになる。その壊れる瞬間ってわかりやすいのだと事業に失敗したとか失恋したとか何かしらの決定的な失敗が挙げられると思う。けれど、そうした決定的なわかりやすくストーリーにできる部分の以前に当事者にしか理解できない物語にならない何かしらのショックがある。
そんなことを本書を読みながらより深く考えていると改めて自殺に対してどう向かい合うべきか悩んでしまう。まさに不条理って感じを味わいました。