自殺帳

自殺帳

1,980円 (税込)

9pt

4.0

人はなぜ自殺するのか? 人はなぜ自殺しないのか?
そのあわいをみつめつづけてきた精神科医、春日武彦による
不穏で不謹慎な自殺論考。

自殺は私たちに特別な感情をいだかせる。もちろん、近親者が死を選んだならば、なぜ止められなかったのかと、深い後悔に苛まれ、悲しむことだろう。だが一方、どこかで覗き見的な欲求があることも否定できない。「自殺はよろしくない」「でも自殺せざるを得なかった人の辛さに思い巡らせるのも大切」「あなたの命は決してあなただけのものではない」など、さまざまな意見を持つ人に読んでもらいたい、自殺についての深掘りエッセイ。自殺されたクライアントとの体験や、さまざまな文学作品、遺書、新聞報道記事などを下敷きにした、自らも自殺に近い位置にいる精神科医による、自殺をめぐる集大成。

「強引に言い切ってしまうなら、人間そのものに対する「分からなさ」が身も蓋もない突飛な形で現出しているのがすなわち自殺ということになろう。その突飛さを前にして、動揺した我々は、(情けないことに)つい「ゲスの勘ぐり」やら下品な好奇心至上主義を全開にせねばいられなくことが稀ではない。悼んだり悲しむと同時に、無意識のうちにそんな方向に走ってしまう。だから「その不可解さがもはや珍味と化している事案」と表現してみても、あながち的外れではあるまい。
そんな次第で自殺に関して思うこと、感じること、精神科医としての意見、文学的関心などをだらだらと書き連ねていきたい。もっとも、それが正鵠を射た内容であるのか否かは、自殺を遂げた当人ですらはっきりとはしないであろうけれど。」
(「はじめに」別バージョンより)

目次

はじめに
第1章 胃の粘膜
第2章 石鹸体験
第3章 登場人物を自殺させる
第4章 遺書のリアル
第5章 自殺の七つの型 ①美学・哲学に殉じた自殺。
第6章 自殺の七つの型 ②虚無感の果てに生ずる自殺。
第7章 自殺の七つの型 ③気の迷いや衝動としての自殺。
第8章 自殺の七つの型 ④懊悩の究極としての自殺。
第9章 自殺の七つの型 ⑤命と引き換えのメッセージとしての自殺。
第10章 自殺の七つの型 ⑥完璧な逃亡としての自殺。
第11章 自殺の七つの型 ⑦精神疾患ないしは異常な精神状態による自殺。
第12章 漆黒のコアラ
おわりに

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自殺帳 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2024年03月13日

    自殺について知った気分になれる本

    気分がすごく落ち込んで、とにかく死にたい、逃げたいと考えていた時にこの本に出会いました。その時はただ死に近づきたい一心で購入し、活字が読めるぐらい余裕ができた頃に読み始めましたが、この本を購入できて本当に良かったと思います。

    著者自身が出会った自殺遂行者だけでな...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2024年03月05日

    すごく面白かったです。
    自分に対して、また周りに対して「なんで自殺したの?自殺できたの?」と不思議に思う人、例えば急に死んだようにしか見えない芸能人のことを度々考えてしまうとか、そんな自殺という行動に興味がある人にオススメ。不謹慎かもしれないが楽しく読めると思います。

    医学的研究に基づいた論考!の...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2023年10月30日

    精神科医としてさまざまな自殺者と関わった作者が、過去の患者の自殺例や文学などを通して自殺について考察しているエッセイ本でした。
    自殺の決定的な原因のようなものや自殺を止める方法とかは載ってなく、人々が抱く自殺に対するイメージに輪郭をつけようとしているのが本書の特徴かなと感じました。
    自殺に対して普段...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2024年01月03日

    自殺きついてここまで考えたことがなかったので目から鱗だった。群発自殺についても記載がありとても勉強になった。

    0

    Posted by ブクログ 2023年12月14日

    これを手に取った5日後
    小学中学仲良かった子が飛び降り自殺をしていたことを知った。
    彼女はどのパターンだったんだろう。
    重いテーマだが、たくさんの事例が淡々と進んでいく。
    深く刺さることはなかった。
    ただ、心のどこかにずっと残る本だった。

    0

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