【感想・ネタバレ】うるうの朝顔のレビュー

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Posted by ブクログ

思い込みというズレを正すことが、
前に踏み出す勇気につながる物語。

映画化してほしい!

▶︎読んでほしい人
なんでも考えすぎてしまう人。
後悔した過去がある人。

▶︎きっかけ

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2024年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

特別な朝顔の花が咲いた時、現実とは違う「一秒」が挿入(または削除)された過去を追体験できる、というお話(?)。

読みはじめは1人の人物の過去が少しずつ変わっていくのかなと思っていたら、複数人のエピソードが重なり、最終的にひとつにまとまる形。

たった一秒で何が変わるのかとも思われたが、たった一秒でたしかに何かが変わっていてステキだった。ズレ。

うるうの朝顔が咲く秘密(条件)を途中で気づけてもよかったはずなのに、最後のほうまで気づけなかったのもやられたぁ、と。

最後の最後に明かされる事の真相になんともはや。

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2024年05月18日

Posted by ブクログ

──〝うるう〟とは、大きなズレを正すために作られた余り物──

〝うるうの朝顔〟と呼ばれる花の種は、花を咲かせた人のズレを正す不思議な種だという
その人の過去に〝一秒間〟が挿入または削除される

人の中にある何らかの矛盾や不調和
噛み合わないまま空回りしている歯車
そんな過去に立ち止まったまま苦しむ人たちは
その一秒間によってどんな変化が起きるのか



ほんの少しきっかけを与えられる事で、人は前へ動き出せるものかもしれない。
なぜあの時…という後悔。
何度も思い出しては、目を背ける出来事。
そして苦しむ…
それでも、もがきながらでも、前を向こう。
そんなふうに思える一冊だった。

物語の舞台は〝かわたれ霊園〟
この霊園を訪れた人たちが、〝うるうの朝顔〟を咲かせるのだが…
その〝一秒間〟は、死者から生者へのメッセージなのかな。
優しさに溢れた再生の物語です。


読み終えて、表紙のイラストを改めて見るとそこには、
色とりどりの朝顔・青い蝶・青い傘・渦……

あぁ、この色はあの人の、こっちの色はあの子かな。
って、再び物語の世界へ入り込む。
素敵なイラストだなぁ。

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2024年03月20日

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 表紙に惹かれて読み始めました。
死者と生者のズレを1秒で埋めてくれるうるうの朝顔。そのおかげで、逃げるのでなく前を向いて、向き合って生きていけるようになった人たち。
そして、最後に、うるうの朝顔の種を持っていたけどうまく使えなかった凪にも…
素敵な小説でした。

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2024年01月18日

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旅立つ者が置いていかぬ様にうるうを刻む。
残されたものが進める様にうるうが刻む。
刻のリズムが調和し未来を吹き上げるホルンのあさがお

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2023年11月20日

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第4章は主人公の女の子の気持ちを具体的に書かないことがより一層寂しさを感じさせる文章でした。
そうだ、全部書かなくても伝えることはできるんだって気づけた小説でした。

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2023年10月26日

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ちゃんと良いんだよな。

私にとって瞬間風速があったのは4章のいろみずの種かな。そもそもストーリーが良いとは思うんだけど、私も過去に先生に「後で〇〇室に来なさい」で行かなくて、その後その先生が退職されてもうそれきり、それが性質は違うのにオーバーラップしてブワッと強い風が来た。

それ以外だと、1章程の種を含めた構成力は感じさせないから退屈に思う人の気持ちも解らんでもないけど、書きたい気持ちが伝わってくる良い文章だった。

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2023年10月19日

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 ちょっと前に、子供の眼科受診の付き添いをして待合室で観たテレビで紹介されていたこの作品…。第17回小説現代長編新人賞受賞作で、水庭れんさんは出版社に勤務されているそうです。このキレイな表紙に惹かれていつか読みたいと思っていた作品です。

 チョコレートの種、ルビーの種、汐の種、いろみずの種、雨粒の種の5章からなる連作短編集。日置凪は、かわたれ霊園に勤務する青年…様々な思いを抱えてこの場を訪れる人々にそっと寄り添いつつ、「うるうの朝顔」の種を提供する…「うるうの朝顔」はその花を咲かせるとき1秒のズレを修正することができるのだと話す。シングルマザーの千晶、年上の女性に好意を寄せる頼、友人のマサの遺骨を引き取った三多介、亡き教師の霊が見えるというひまり…そして、日置凪…。

 とっても優しい、きれいな読後を得られる作品です。1秒は短いけれど、されど1秒でその後の人生が変わることもある…。それぞれの登場人物が、この「うるうの朝顔」の存在を契機に止まっていた自分の時計を自身の意志で進めることができたのかなって感じました。

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2023年08月02日

H

購入済み

「うるうの朝顔」という特殊な朝顔が咲くことで、過去の時間にうるう年ではありませんが「うるう秒」という事象(1秒追加)を起こすことでで、過去の蟠り(?)が解けるということが大きな流れです。

しっとりとさせる良い内容なのですが、私にはしっくりとしないことがあり、☆4つとなりました。

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2023年08月05日

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突然だが、あなたは「朝顔」を育てたことはあるだろうか。私は確か小学生の時、真っ青な鉢の栽培キッドを使って各自一つずつ育てていたような。夏休みに入って毎日の観察 を遂行していた人はどれだけいただろうか。

本書に、「朝顔の蔓は全て左巻きに伸びるらしい。…一方、つぼみは全て右巻き…朝顔 は、常に矛盾を内包している花なのだ。」という一文がある。果たして、この矛盾に気づ けた小学生は何人いたのだろうか。つぼみの巻き方、蔓はどのようになっているのか。それらに気づく為には毎日の細かな観察が必要になるのだが。

人々の中には多かれ少なかれ「後悔」という感情を持つ人が存在しているだろう。あの 時こうしていればよかったんじゃないか。あの時何をしなければ…。過去というものは不変の事実だ。どうあがいたって、一度固まってしまった過去を溶かし、修正することはできない。「うるうの朝顔」とは、過去から今を生きる人へのメッセージである。夢の中で過去が映し出され、その中で「うるう(ズレの修正)」が加わる。それを見ることによって今を生きる人々の未来を動かす原動力となっていく。

私の庭には、あの夏休みに育てていたはずの朝顔が植わっていた真っ青な鉢が転がっている。当時の私にはまだ早かったのだろうか。一つの物を観察し続けるということは簡単に思えて実は難しい。観察するということは「知る」ということだからだ。誰だって知りたくないものはあるし、それと向き合うことは辛いことである。

あの真っ青な鉢の中から青い蝶が飛び出してくる。 そういえばあの鉢の中では、よく蝶が翅を休めていた。

あの青い蝶は今どこを飛んでいるのだろうか。

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2023年07月15日

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うるうの朝顔でズレを正した結果、後悔の念がより強まった気がした。悔やむことのない人生を生きられたら幸せだけれど、むずかしい。

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2023年07月08日

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「チョコレートの種」
「ルビーの種」
「汐の種」
「いろみずの種」
「雨粒の種」
5話収録の連作短編集で、第17回小説現代長編新人賞受賞作品。

デビュー作とは思えないクオリティでとても良かった。

『うるうの朝顔』の種を蒔くと、現実とは1秒だけ違う過去を再体験し、心の不調和が直るという不思議な物語

設定はファンタジーだが、描かれているのは現実の世界で思い悩む人々。

人の心に潜む悪意や、常識から逸脱した行動に目を背けたくなる場面もあるが、誰しもが陥りかねないズレの存在に気付かせてもくれる。

瑞々しい筆致で紡がれた再生の物語。

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2023年07月05日

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タイトルの「うるうの朝顔」ってどういう意味なのか?と読み始めたけど、うるう=時間のズレを朝顔の花が調整してくれることからのネーミングだった。
そのズレはたったの1秒なんだけど、それだけで物の見え方が変わってくる。
それぞれの登場人物の心情変化がうまく描かれていて、引きこまれた。
設定が今まで読んだことのないもので、新鮮な気分で読めた。装丁も内容にマッチしていて好き。

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2023年07月03日

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ネタバレ

過去のその人と死者にとっての『ズレ』を修正することができる不思議な朝顔の種がある。それを使用した人達のお話し。
二度と会えないはずの大事な人との誤解を解くことができたり前向きな気持ちになって一歩を踏み出したり…。
不思議な不思議なお話しでした。

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2023年06月27日

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お墓の管理人さん。お墓に立ち寄る心に悩みを抱えて生きてる人へ「うるうの種」を分け与える。様々な人のうるう時間から新たな人生が始まる。何故管理人さんは「うるうの種」を自分では使えなかったのか。最後の答え合わせは…本を読み勧めていくうちに

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2024年05月06日

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理屈が婉曲すぎて(あくまで私にとって)解釈するのがなかなか難儀でありました。いきなり第一章の綿来さんの『うるう』から躓いた。読み終えていまだに彼女の亡き母が何を伝えたかったのか分かってない。ま、難しくとらえなくてもリドルストーリーだと思えば楽しめた。凪くんの度重なる講釈にいくぶん呆れつつも、学ぶことは多かったし。『いい人』『悪い人』の定義、いい悪いなんて本当はない、聞かせてくれました。パフェの語源はパーフェクトとか、トリビアも散りばめられてたし。それでもやはり著者が本流として伝えたいこととは『ズレ』てる。

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2024年05月04日

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第17回小説現代長編新人賞受賞作にして水庭れんさんのデビュー作。かわたれ霊園で墓守として働く日置凪を狂言回しに展開する、ちょっとファンタジックで心温まる作品だった。……のだけれど、4篇で展開されるのは既視感バリバリのお話だ。
死者に関係することで心を乱している来訪者に、凪は“うるうの朝顔”の種を渡す。その花はある瞬間に1秒の“うるう秒”を挿入または削除することで、心の“ズレ”を正してくれるというのだが……。
ほら、あの本やこの本、似たような内容のがあったでしょ? なんでこれが新人賞? と疑問に思ったが、最終章ですべてが明らかになると、その巧みな設定に唸った。文章も読みやすかった。ただ、もう少しオリジナリティがほしいなとは思う。

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2024年03月30日

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悪くなかった。けど、この設定でなければならなかったのか? というところが正直弱かった気がして(設定にこだわったゆえに生じた無理がなかったか?)最後までちょっと気になっちゃったな。いやほんと、ひとつひとつのエピソード含め悪くなかったのだけれども。

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2024年02月18日

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ネタバレ

長編新人賞受賞作って帯に書いてあったので、1作の小説かと思ったら連作短編みたいな1作だった。
章タイトルに英文字のサブタイトルがついてる。
チョコレートの種は、毒素かな。
ルビーの種は、観察。
汐の種は、螺旋。
いろみずの種は、カラフル。多彩かな。
雨粒の種は、え?エイリアン? 外国人か。。。

わたれ霊園でバイトしてる凪。
(毎回ついつい、かたわれ、と読んでしまう)
各章で、カンジさんや、お天気お姉さんの二葉や、青い傘などが散りばめられていて、最終章でそれが誰なのか、種はなんだったのかが明かされる。
ベージュの猫(ギンナン)は、頼を連れてくる役割だけだったみたい。
種を植える器、土、水。常識的なものでなくていいと書いてあっても、それをチョコレートや、線香の灰にする柔軟な発想力がすごいと思った。
私がその場に立ったら、器ぐらいは選べても土と水はそこから離れられない気がした。

凪が千晶に言った「人が亡くなった誰かのことを話す時に、どうでもいいことって、ない」という言葉が心に残った。
母の呪縛でチョコレートを食べたことがない千晶。
父が姉をたたいたと思う場面がトラウマになってて、息子をたたいた夫が許せずに離婚した。
元夫、元姑に、頑なな態度しかとれなかった。
うるうが見せた1秒は、姉をたたいたのは母だったこと。

映画配給会社に勤める頼(より)が、プレイリストに加えておきながら、毎回スキップしてしまう曲のことを考える。むやみやたらに聴きたいのじゃなくて、そこに入れておきたいって曲だってある。
ああ、そうだわ、そういうのってある。積んである本、付けないネックレス、友達登録してるけど会話がないLINE。。。
いらないわけじゃない。持っていたいものがある。そこに、あってくれればいい。そんなものもある。
会社で気になる存在の香椎さん。夫を事故で亡くしていた。。。愛があるなら幸せだと言う頼に凪が言う。愛って幸せを保証してくれるのか?
愛してるから幸せになれないことだって山ほどある。愛から離れることが幸せってこともある。
愛は相対的なもので、幸せは絶対的なもの。
愛は対象との間でしか成立しない。幸せはその人の中でしか形作られない。
誰かの幸せが自分の幸せ、ってのは、共有してるのは幸せじゃなくて愛。幸せは切り分けられないけど、愛は他者との間を行き来できる。
頼と凪の、これらの会話がいいなって思った。
頼がみた1秒は、映画のエンドロールの「ただいまに代えて」という言葉だった。

三多介(みたすけ=サンタ)がマサの遺骨を引き取った。
中学の頃、雪枝が螺旋階段のある屋敷に越してきた。三多介とマサは雪枝と仲良くなる。いつも一緒。3人で東京に行ったあと、雪枝は姿をみせなくなった。家に忍び込んだ三多介とマサは雪枝の裸を撮影する叔父を目撃、大量の写真を見つける。写真を燃やそうと火をつけ屋敷に燃え広がってしまう。
罪はマサひとりが背負った。
三多介の1秒は削除された。螺旋階段で振り返って何かを言ったはずのマサが、何も言わなかった。

小学生のひまり。霊園でみかげ先生の幽霊に出会う。ひまりだけに見える。
子供は純粋で無邪気で天使。そんなことはない。
学校にはチカラ関係が存在してるから、攻撃されないように常に言動に注意しないといけない。
クラスという国は独裁政権だ。子供の頃からこんな状況下で、どうやったら伸び伸びと育つなんて出来るんだろう。家でも親が好む子どもを演じる。
「いい絵」ってなに?「いい人」ってなに?
凪が言う。悪い人はいない。悪いことを考える人がいるだけ。
ひまりの止まった1秒には、風鈴の音色だけ聞こえた。

凪と二葉と藍原さん。仲良かった3人。
藍原さんがハーフで、その見た目から差別と偏見の被害にあっていた。それに凪は気づかなかった。
いつも細かいことに気づき理詰めで話すめんどくさい凪。なのに、隣にいた藍原さんをちゃんと見ていなかった。
外国人だと差別する視線を、ありのままに想像してくれる二葉。
そんな視線が存在すると思いつきもしない凪。
どっちも、「優しさ」だ。
どっちが嬉しいかは、人によって違うんだろうけど、どっちも友達にいたら耐えていける気がする。
差別される可能性がある人(たとえば黒人とか)に対して、全く差別意識がなかったら、差別には気づかないんじゃないかと私は思う。
自分が何とも思ってないことは、誰かが何とか思ってるとは想像出来ないと思う。
それを別の言葉で、「にぶい」って言うとしてもね。(笑)

最後の種がなくなってしまい、凪の分はもうなくなった、と思ったら、最後の種を使うと次の種が落ちるんだね。てことは永久になくならないんだ。
そして、死者に対して思いを残してる人は、たくさんいるんだね。私もそうだけど。。。
ちょっと寂しいファンタジーでした。
相手が亡くなってるんだから、どうしたって寂しさは残るよね。

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2024年01月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今まで生きてきた中で、死者と生存者のちょっとした後悔(本文ではズレと言う)を墓守の少年からもらった種から開花した朝顔がなくす物語だった。
朝顔が死者と生存者の2者の意見を尊重した上で
色んなズレをなくすってすごいなと思った。

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2023年12月03日

Posted by ブクログ

連作短編5篇
お墓の番人凪さんの持つうるうの朝顔の種。朝顔の花が咲く一瞬が見せるズレの1秒の奇跡が夢見た人の心の重荷を解き放つ。ハッピーエンドではないほろ苦さの残る解決だが、それでも前に進む力があってあかりが灯ったような読後感。

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2023年11月30日

Posted by ブクログ

誰と会話をしたり、時を過ごしたりするとちょっとした「ズレ」が生じることがある。それは思い違いだったり、相手との解釈が違っていたりすると起きるもので、それを見直すきっかけになる物語だった。自分の解釈やものの見方が必ずしも正しいとは限らないからこそ、常に自分の言動や行動に一呼吸置きたいなと思った。

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2023年11月06日

Posted by ブクログ

「レッサーパンダ 威嚇」につられ、ついつい検索してしまい、あまりの恐怖にしばらく釘付けになり読む手がとまってしまいました。
凪くんの「どうして、、、」が始まると何故か菅田将暉に変換されます。整くん~

さておき、不思議な朝顔の種ですが、大切な人を亡くした事により残された人が生きていく上で、なにかしらのズレが生じた場合にだけ、この朝顔の種がそのズレを解消する1秒を見せてくれる、もしくは削除してくれる様子。
うるうとはそういう事かぁ。

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2023年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 6月末の日経新聞書評で見かけた一冊。

 登場人物のそれぞれが悩みを抱えていて、その後悔の原因が、どうやら過去にある。
 タイトルにある「うるうの朝顔」、その種は、過去を追体験させてくれて、しかも、実際の過去とは1秒だけ違った過去を見せてくれる。わずか1秒、されど1秒。

 1秒でもズレた時計は、二度と本来の時間を指し示さない。なので、そのズレた1秒が重要で、過去を追体験することで、そのズレた1秒を追加、あるいは削除することで、これまでの人生で引きずってきた違和感の原因に気づかせてくれる、という仕掛けだ。

 この仕掛け、うるうの朝顔の「種」を、主人公の墓守の日置凪が出会った人に手渡していく。
 離婚し息子と暮らすシングル―マザー、既婚者の先輩に恋心を抱く若手社員、幼馴染の訃報に接した定年を迎えたオヤジ、担任教師の霊が見える小学生。 日置凪との出会いは共通しているが、それぞれは独立したお話。
 オムニバス的に、いくつでも話が作れるドラマか漫画の原作のような、お手軽、お気軽なファンジーかと思いきや(いや、もちろん映像化もあり得るとは思うが)、その「うるうの朝顔」の種を持つ日置凪にも、過去に大きな喪失の物語があり、1~4章の他人の実例を経た上で、凪自身が、うるうの朝顔の存在、過去との向き合い方を学ぶ最終章となっているところが、お見事だった。

 ちゃんと種を使い切って、ベタにダラダラと物語は続かないのがいいね、と思ったら・・・。あらら、使い切ったら、種はまた増えるんだ(苦笑)。
 その設定は、要らなかったかなあ。まぁ、作り手としては、そうしておいたほうが、続編の可能性が残って良いのだろう。

 人は、なかなか過去と手を切るのは難しいのだ。

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2023年07月30日

Posted by ブクログ

 人生に後悔・悩みを持つ人たち。彼らの想いが、「うるうの朝顔」によって解決されていく。うるうの朝顔には、“ずれ”を正す力がある。彼らの後悔や悩みはそのずれが正されることによって、ひとつ解決に近づくのである。彼らに朝顔の種を渡す青年もまた、悩みを抱えるうちの独りであり、彼の悩みは解決するのか。人間小説。。


“人生のずれ”

私の好きな、小説現代長編新人賞受賞作。
「晴れ、時々くらげを呼ぶ」「檸檬先生」に続いての選書。
作品間のつながりはとても好きなもので、
一方、全体としてのボリュームに物足りなさを感じた。
凪のストーリに厚みがあると満足感高めだったのかもしれない。

うわ、短編集か?と思った時は気持ちが沈んだが、
作品間のつながりを見つけた時は、ニヤけてしまった。

挿入・消去される1秒が、その場では全く意味不明なものなのにきちんと彼らのためになっている面白さ。

どう考えても仲良し4人組・幼馴染の存在は羨ましくて、
自分にはいない。


本を読んでいる時だけは、難解で煩雑で悩ましい現実世界を忘れられる。
考えちゃうと集中できない。

通勤時間に読むのは、いったんやめようか。。

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2023年07月12日

Posted by ブクログ

連作短編集。
うるう→大きなズレを正すために作られた余り物。
ズレを正す。
それは、モヤっとした時に誰もが必要とすることだと思う。
うるうの朝顔は、南米で突然変異で生まれた不思議な種。
人のズレをカチッと正してくれる。
まるで魔法の種。
私もうるうの種、欲しいと思った。
急に、朝顔の種を土に埋めて育てたいと思い
朝顔の種って、いつ蒔けばよいのか調べたら、もう遅かった。
モヤっとすることを「ボタンを掛け違える」と表現することがあるけれど、ズレてるからだよね。
ズレを正すことは、勇気を出して一歩を踏み出すことだと思った。
うるうの種を土に蒔いて、1秒の夢?画像?ヒントをもらい、一歩を踏み出す。
ズレを正すのは、結局は自分自身だと思う。
面倒くさいことかもしれないけど、そのズレに向き合って、考えて、ズレたらすぐに治したい。
それができる人間になりたい。
この本を読んでそう思った。

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2023年07月09日

Posted by ブクログ

朝顔の種が奇跡の幻想的体験を呼ぶ著者デビュー作をぜひあなたも読んで堪能して下さい。
各お話の人物はそれぞれの悩みを抱えているけれど、凪のおかげで立ち直って行くところが感動的です。いまだかつてない新鮮なお話を読んで味わってください。

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2023年05月31日

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