感情タグBEST3
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共感がたくさん
自殺しようと思いつめている主人公、でも文章は軽やかさがあって重苦しい気持ちにはならずスラスラと読めました。会社に行きたくない主人公のこれまでの日常生活、感情、疲れ果ててしまった背景が描かれていましたが、言葉は簡潔であっさりとしているのに、疲れ果ててしまうまでの過程にとても共感してしまいました。わかるわかる、そうそうって思いながら泣きそうになりました。
死にたくなったり、自然の中でのんびりすることで人の心が回復していくというのは自分の経験とも重なる部分があり、さあこれから自分の足で歩いていかなくちゃ、と踏み出そうとしている主人公に自分を重ねて読み終えました。
根拠はないけれど何となく、何かがうまくいきそうな気がします。今このタイミングでこの本を読んだのも何かのご縁だなと思いました。
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瀬尾まいこさんはいつも前向きにさせてくれる。
ただこの本は前向きになる気持ちの反面、何だか切なくなった。
思い立ったら吉日。主人公は後ろ向きな言葉を使ったりネガティブな一面があるように見えて、実はいつも前に進んでいる。今抱えている安定した生活を手放す勇気がある。村を出たのはきっと正解だった。
でも何となく選ばなかった方の未来が気になって、田村さんと過ごす日常の延長を期待してしまう自分もいた。
多分それはどちらも正解だったし、人生って何を選ぶかよりもどこでどう過ごすかだと思う。
主人公があの死にたくて仕方なかったはずの夜を乗り越えられてよかった。その先に明るい未来が待ってて、自分の人生にも期待せざるを得なくなった。
Posted by ブクログ
自己再生の物語。
「駅前のにぎやかな通りが見えてくると、本当に出口につれてこられたんだなと思った」
千鶴にとって木屋谷は、結果今までの自分を捨てる入口でもあり新しい自分への出口でもあった。
Posted by ブクログ
はじまりこそ深刻だけれど、辿り着いた場所での日々は、月日の感覚も曖昧なほど、ゆったりと過ぎていく。海や山や命を間近に感じながら、自然に癒やされ、受け入れてられていると感じる。ただ一方で、そこに自分の居場所があるわけではない、と気づき、帰る選択をする冷静さが良かった。
沢山の荷物を持ち帰れたこと、またきっといつか訪れる予感もあって、爽やかな余韻のある良い終わり方だった。
Posted by ブクログ
全部捨ててどこか遠くに行きたい、気持ちはすっごい分かる。けど実行する勇気はない、そんな時に出会えた本でした。自分で思ってる自分の姿と、他人から見える自分の姿は違っている。
田舎町の表現が好き。瀬尾さんが教員時代赴任した地域での生活をもとにしているからか、読んでいてわかりやすかった。自然いっぱいの場所でゆっくり休むことは大事だなあと思った。次の長い休みで実行したいなあ。
Posted by ブクログ
「生きる」ことがテーマ。人生に行き詰った主人公が田舎で心洗われて復活する系の話はベタだけど、この作品は、復活した後に自分がいた元の居場所に戻ろうと気づいて、再スタートを切る展開。それが結構新鮮だった。
Posted by ブクログ
はじめの動機が『自殺する場所を探す』という
何とも仄暗いものなのに対して、
読み終わると空気の綺麗な場所から帰ってきたような、
そんな爽やかな気持ちになった。
居心地の良い場所が、必ずしも自分のいるべき場所ではない。
そのことに気が付いていたとしても
前に進んで行ける人はどのくらいいるんだろう。
あのまま住み着くことも可能だけど、
それを選ばない。
そのこと自体が彼女が強い証だと思う。
田村さんの本心は正直良くわからないけど、
自分自身成り行きであの地に住んでいるわけで、
強制するようなことはしたくなかったんだろうな。
でもマッチを頼りに会いに行けば、
変わらずそこにいてくれそう。
田村さんに限らず、パン屋さんもお隣のおばさんも
一緒に飲んだおじさんたちも。
あの場所そのものが、自然なのかもしれない。