【感想・ネタバレ】斜陽のレビュー

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太宰治の代表作は人間失格だか
斜陽は同じ人生没落のストーリーでも
万人受けする物語である
太宰治を読み始めるのなら
斜陽を読むのをおすすめする

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2024年05月04日

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いくつかの言葉が刺さってくる。

「他の生きものになくて、人間がもっているもの
それは秘め事」

秘め事があるから、世の中は成り立っている
そう思いたい。

「不良でない人間があろうか.不良とは優しさのこと」
弱さを見せるためには、優しさがなければ
見せることは出来ない

「人間は恋と革命のために生まれてきた」
何か成し遂げたいものが、必ずあるはず

人間は、
みな同じものという言葉に救われてきた
この本を読んで、その胡散臭さがわかった。
同じであるはずがない。




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2024年04月05日

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気持ち悪い気もするが読後感は悪くない。むしろ良い。しっかり全てを提示してもらっているので、あとはどう受け取るか、受けとめるか、だけ。いい作品を読んだ、という感じ。
上原は貴族の清さを嫌っている。かずこと関係を持つが妻の純真さを愛している。非常に気持ち悪い。人間失格の主人公に共通するものを感じた。
し上原の心理に共感してしまい、あーあとなった。でも自分に若干引く自分もあっさりしていて、そういうお話。

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2024年04月03日

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ネタバレ

美しい。もっとぐちゃぐちゃしたものを想像していたのだけれど、太宰は文学に昇華させるにあたって、内省とか不満とかを論理に整理するらしい。

テーマが交錯しており、矛盾を孕むようにすら見えるが、それら全てが太宰にとっての真実なのだろう。私小説のようでありながら、こんなにも精緻で美しい。

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2024年03月28日

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再読。太宰を読むたびに思う。現代の生き辛さが度々話題になるが、いつの時代も人間は生きにくいもの、そしてその原因となるものも本質的にはいつの時代も変わらない。登場人物たちが苦しみ悲しみささやかな幸せを感じ、そして崩壊していく描写がとても人間らしく美しい。

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2024年02月18日

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ネタバレ

本気で面白かった。一瞬で読み切ってしまった。
美しいのに、醜い。これが人間というものか。いつまでも心に残りそうな作品。
戦後すぐという激動を生きる貴族。もちろん今回のように落ちぶれてしまう貴族も存在する。これまでの生活とは変わる、一般市民とはどこか交われない、そんな窮屈で苦しい世界の中でも、何か一つ活路を見出し、盲目のようにその道を行く。
生きがいとはなんなのか、死に様とはなんなのか、人間とはこうも難しい生き物なのか。今でもその答えは何も出ていない。
とても美しい作品だった。これが人間の魅せる光だと感じた。

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2023年12月10日

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久しぶりに。
やはり文章がとても読みやすいとおもう。

それとラストがすごくいい。
いろんなものは失われていくけれど、生き残ったかず子だけは女という一つの立場を手に入れて、子を宿して生きていく。
直治の秘密をどのように受け取ったのかが示唆される"お願い“が、とても嫌味ったらしくて好きだ。
貴族という爵位は戻らない、母も死に、弟も死に、恋する人もいつかは死ぬ。
そんな中、一つの生命を得て、世間擦れしていても大胆に生きて「革命」を起こそうとするかず子がいじらしい。

前回読んだときは、力強いかず子の言葉が印象的だったのだけど、今回は直治の遺書が心に残った。
下品になりたかった、という直治の心の叫びが響く。
常に他人から見える自分を意識して、改革してきた直治。
美しく本物の貴族の母が、貴族らしく死ねないこと。
私たちとは生きている世界の違う人々ではあるけれど、その最期が痛ましい。

かず子の恋は地に足がついていなくて、とても観念的。一度キスされた男性へ恋焦がれ、革命を起こすと決め込んでいる。
母と娘の会話もどこかふわふわしていて、村の人たちと比べると差し迫ったところが感じられない。
生活力がないだけじゃなくて、この人たち、何を目指して生きるの?という人間的な軸が感じられない。
今ここにあるものを生きるリアリティ」が欠けている感じ。

そこを同情的に描くわけではなく、どちらかというとちょっと皮肉も込めて描いているように思えた。
そんなに劇的な展開があるわけではないのに、不思議と面白く惹かれてしまう。
とくに会話が軽快で美しく、魅力的だと思う。

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2023年11月26日

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すらすら読めてしまう。
おもしろすぎる。
ダメ男のはずなのに女性を次々と虜にしてしまう主人公の魅力がすごい。
これが実話なのも興味深い。
彼は天才だ!

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2023年09月07日

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有閑階級の没落が退廃的に描かれている。
物語としてのアップダウンはあまりないが、ただの食事シーンにすら厭世的な雰囲気を持たせてしまう高い表現力。
泥濘のような妙な重たい雰囲気が癖になる。

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2023年08月24日

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直治の遺書が良かった。
「僕は、貴族です。」

直治は聡明だった。自分たちが貴族のままでは今後の日本社会に生き残れないことを分かっていた。
生前は貴族とは思えないような口調で下品に喋っていたが、遺書の文体からは彼に染みついた知性と育ちの良さが痛いほど伝わる。
本人が述べている通り、彼が貴族を脱しようといかに必死で足掻いていたか、そしてそれがいかに無理なことだったかを感じさせる。
遺書が美しいほどに、それを捨てたかった彼の生きづらさが浮き彫りになって切ない。

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2023年05月14日

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この問題で一ばん苦しんでいるのは私なのです。
この問題に就いて、何も、ちっとも苦しんでいない傍観者が、帆を醜くだらりと休ませながら、この問題を批判するのは、ナンセンスです。

人間の生活には、喜んだり怒ったり悲しんだり憎んだり、いろいろの感情があるけれども、けれどもそれは人間の生活のほんの一パーセントを占めているだけの感情で、あとの九十九パーセントは、ただ待って暮しているのではないでしょうか。
幸福の足音が、廊下に聞こえるのを今か今かと胸のつぶれる思いで待って、からっぽ。

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2023年05月10日

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この世界観が好き。読後、没落貴族の喋り方がうつりそうになった。
「おうどんの湯気に顔をつっ込み、するするとおうどんを啜って、私は、いまこそ生きている事の侘びしさの、極限を味わっているような気がした」
この一文光ってる。食べ物の湯気って幸せの象徴だと思ってたけど、こんなに淋しい気持ちも託せるんや。湯気が染みるようにしみじみと、この時のかず子の侘しい気持ちがわかった。
うちのママのことを思った。

2023.4.13
5年ぶりに再読。太宰やばいな。こんなに美しい小説だったとは。1ページ目から、没落貴族の儚さをそこかしこに漂わせることに成功している。
そこから、最後の貴族・母の美しさと儚さの描写はとても優美で、かず子と上原の絡みもとてもいいし、最後の直治の遺書はもう圧巻。
生きていることはなんてつらいことなんだろう!それでも生きていくってなんてつらいことなんだろう!と書かれているのがひしひしと伝わった。
多分学生時代はここまで心打たれなかったんじゃないか?私も大人になったのか。
思うに、すばらしい文章というのは行間から匂い立つものがある。ただ上手なだけの文章とは決定的に違う。太宰、本当にすごいな。

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2023年04月14日

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斜陽というタイトルに、衰退する暗さをイメージしていると、気持ちよく裏切られる。そこがいい。
陰鬱な雰囲気をかもし出す太宰作品の中でも、けな気に明るく生きていこうとする、かず子というヒロインに不思議な力強さを感じる。かず子は太宰が託した‘希望の星’なのではないか。
最後の貴族である母親を亡くし、悲嘆にくれながらも、私生児を産む決心をするかず子の生き方の大胆さと、そこにたどり着くまでの繊細さや心のひだがつぶさに表現されている。
かず子がどんなに大胆なふるまいをしても、どこか上品さが漂うのは、作者自身の育ちの良さからくる品格だろうか?
美しい日本語に触れる心地よさ。そこにも注目を。レビューを書くために再読。

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2023年10月14日

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ネタバレ

始まり:戦後のある母と娘の日常描写からはじまる。描写を交えて人物説明を付け足していく。会話を挟みながら。

終わり:自分たちの状況を主観的に振り返りつつ、望みや野望をつづって終わる。犠牲(滅亡)、革命、執着(恋、麻薬、酒、親、家柄)がキーワードに思える。

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2024年04月24日

Posted by ブクログ

最後の貴婦人
母が斜陽のように光陰併せ持つ姿
寂しさ、奥ゆかしさ、艶めかしさが好き

上原の妻も似た者かも知れないが、それは貴族という家柄ではなく自然とそういう人なのかも

戦争によって没落する貴族、
生活力の差はリアルに苦しく厳しい

泡の中のような暮らしは弾けて地面に堕ちた

社会背景を知らないとちゃんと理解は出来ない

母 カズ子 直治 上原

4者別ベクトルで糸で張られて繋がれてるような
タイプの違う人間達の苦悩やコンプレックス

斜陽のような人には簡単に惹かれる

明らかな陰を覆う柔らかさ、懐かしくて静かな悦び

自分が母親をどう捉えているのか分からない
みんな母親をどういう感覚で認識してるの?


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2024年03月17日

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最初は正直あんまり掴めなかった。グッと入り込んでいって面白くなってきたところで終わってしまった。自分の読む力が浅くて悔しい。

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2024年02月28日

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15年ぶりぐらいに再読。当時の自分がどう感じたか、覚えてないな。でも、その時はとにかく読み終えるのが目的で、あまり記憶に残る読み方ができてなかったなと実感。もちろん僕は貴族じゃないけれど、比較的恵まれてこれまで生きてきて、上原や直治にも、かず子にも自分を重ねてこれまで信じてきた物を壊したくなる、壊れてくれないと生きていけなくなる…(もちろん命に関わる物じゃないですが)。きっと定期的に読み返して自分の壊した物壊せてない物を振り返りたいと思います。

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2023年10月19日

Posted by ブクログ


1.おすすめする人
→日本文学に興味がある、太宰治を知りたい

2.内容
→読み終わった後に何とも言えない
 空虚感を感じる作品。
 没落していく貴族が、社会に抗うこともできず、
 人生を終えていく。
 悲しくて、なんだか辛い。

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2023年10月09日

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最初のスウプを飲むシーンに象徴される、母の貴婦人具合。しかし全体に纏われる、死と滅びの匂い。母も弟も離れてしまうなか、愛し方も分からぬまま惚れた男の精子を求め、醜さを選び生きていこうと誓う主人公に涙腺が緩む。

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2023年09月14日

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かず子は、どこか危うい。母親や弟、恋しい男のために身をつくして、自分を形成するけど、周りにいる人たちは徐々にいなくなってしまう。自分のバランスを保とうとするほど、微妙に不安定になっていくから、悲しくて、同時に少し恐ろしくもあった。

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2023年09月05日

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道徳革命。
平等主義へのアンチテーゼ。
斜陽の明るさ。

【引用メモ】
不良とは、優しさのことではないかしら
片端から旧来の思想を破壊していくがむしゃらな勇気である。破壊思想。破壊は、哀れで悲しくて、そうして美しいものだ。
死んでいくひとは美しい。生き残るということ。それはたいへん醜くて、血の匂いのする、きたならしいことのような気もする。
生きている事。ああ、それは、何というやりきれない息もたえだえの大事業であろうか。
人間は、みな、同じものだ。なぜ同じだというのか。優れている、と言えないのか。奴隷根性の復讐。

斜陽には陰影があり、あるいは陰影の気配があって、それが一層明るさをきわ立たせる。
斜陽のような明るさ。自分が滅びることを避け難いものとして受けいれており、最後の光の中で輝いているからである。

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2023年08月26日

Posted by ブクログ

微妙なのか凄いのかどちらなのかよくわからなかった。
斜陽は明るいが陰影があり、それによって一層明るさが際立たせてる。明るさが暗さを喚起し、暗さが明るさを喚起する。意味があるから無意味なものも存在する。生きる者がいれば死に行く者もいる。
この世界は何事も二つの意味が表裏一体となっていることを太宰は伝えたかったのかもしれない。
もしかしたらこの作品は、微妙だから凄いのかもしれないし、凄いから微妙なのかもしれない。

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2023年07月02日

Posted by ブクログ

今更太宰をクソ真面目に語る厚顔無恥加減を晒せる程、剛毛な心臓はしていない。
太宰作品は人間失格、短編の実写ドラマくらいしか知らなかったし、厨二っぽいなぁという表層をなぞるくらいの認識しかしていなかった。

とはいえやはり、彼の熾烈過激な生き様の結晶とも言うべき作品群は、日本文学に燦然と煌めき、時代を超えて魅了し続けている。

もしかすると、
僕たちの遺伝子情報の奥すみには、
皆一様にダザイズムが組み込まれているのかもしれない。

と思うほど、太宰作品は日本人の根幹にある精神性に訴えかけるものがあるように思う。

そしてそれは同時に、
自分のひた隠しにしている恥部の露出にも似た面映さを覚え、共振し、落ちる。

デカダンの狂気、享楽の浅ましさの跋扈する世界に白面でいられるほど、強くない。

だからショットを煽り、前後不覚となるまで煽り倒して、阿呆のフリをしていくほうが処世術として正しい。

ただし、そこには特権階級的貴族精神、
自分を優位に位置付けし、世を見下し、
そこから降りるという傲慢さが露呈する。

その傲慢不遜さを客観し自覚してしまうからこそ、尚の事羞恥に耐えられない事態になる。

というここまでワンセット。
これは自分のことだと思ったことが、
自分だけでないことにまた余計羞恥に拍車がかかる。。。

えぇ、まったく、
恥の多い生涯を送ってきました。

にどれだけの人間が首肯したことだろうか。

太宰今更語るとかハズすぎ!
とか言っておきながら、
ペラペラとペラい事語る自分に嫌気がさします。
もう穴があったら入れたい。

とか軽薄に言っちゃうとこがもうね。ダメね。
と、自己卑下、自己破壊とダザイズム満載。
結局こういうこと言うてる自分カコイイなんだよなぁ。

と斜に構えてるのを斜に構えて直角。

最近はそんな青臭さも居直り、
平気で言えるようにもなってきました。

やっぱり、厚顔無恥なのかもしれません。

長々と失礼。
そろそろ斜陽の感想おば。

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太宰晩年の傑作。

登場人物それぞれに過去の自分のペルソナをはめ込み、陰惨な自己否定、自己破壊を投げ込み、その奥に逞しい一縷の希望を託す。

太宰治の語り口は青森特有のコミュニケーション法に由来しているのかもしれないと解説であった。(詳しくは奥野健男の解説を参照されたし。ちな新潮文庫)

覗き窓から他人の情事を盗み見するような、
秘密の暴露を見さされているような二人称は、
自分だけは彼を理解しているのだ。
と錯覚させる人たらしなきらいがある。

没落していく貴族。
些細な出来事、繊細な心情の揺れ動き、
他人には小さくも本人たちには大事な進行。

高貴、高潔さ、育ちの良さの描写、心理描写がとにかく素晴らしい。
し、阿片中毒の弟の心理描写、独白の描き方もいい。

太宰は女性を描くのが上手いと言われてるが、
所以は文体と語り口なのだと思う。

直裁で、簡素なひらいた文体が柔らかく、
感象の機微を感じ取りやすい。

反対に男性の場合は粗野でぶっきらぼうな台詞が多く、難解さも増した語り口になっている。

文章の老練さは晩年故かもしれないし、
読点のひとつひとつにも円熟味を感じられる。

なんっちゃない話を、一級の文学にまで押し広げているだけで、浅学の輩が言うに及ばず、
優れているには違いないのだが、
それでも言わずにいられないのは何故か。

それが名作たる所以なのかもしれない。

ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュ、、、

かゆうま。

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2023年06月14日

Posted by ブクログ


太宰治の本は、読みやすい。
今作品も読み易いけれど、だからこそ堕ちていく家族の気持ちがダイレクトに伝わってきてしんどかった。

特に好きなのが、直治の遺書の部分。
直治は貴族である自分を否定したかったけれど本質的なところは貴族であり、それを苦にして自殺したのだと思うが、文章がうま過ぎる。
最後に「僕は貴族です。」という言葉で締めているところが痺れました。

全体的に鬱々としていて読んでいて気持ちのいい作品ではありませんが、なぜか惹き込まれる。
もっと太宰作品を読みたいと思いました。

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2023年03月21日

匿名

購入済み

良くも悪くも丁寧に繊細に人間が描かれていると感じました。太宰治の小説は初めて読みましたが、明るい話ではないのに、文章が美しくて何だか不思議な魅力を感じました。

#深い

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2022年11月11日

Posted by ブクログ

 主な登場人物4人の四者四様の没落の様子を描く作者の代表作。「人間失格」といい、この「斜陽」といい、こうした暗い感じの作品は作者らしい印象を受ける。
 戦後という大きな節目に、今までとは大きく異なる価値観が生まれ、生活も大きく変化した。そんな中で生きていく元華族の一家を中心に物語は展開される。視点は、その華族の長女かず子。彼女の視点から、時代の流れにのまれ落ちぶれていく自身・母・弟、そして思いを寄せた作家上原の様子を時系列で述べられている。淡々と述べられているからこそ、没落の様相が一際強調されているようにも感じる。

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2024年04月15日

Posted by ブクログ

この小説の最大のキーワードは「革命」だろう。革命とは、現状を壊して、全く新しいものにしていくことだが、「私」ことかず子は、一体なにを壊して新しくしたかったのか。かず子は二つのことに縛られている。一つは、その母である。かず子の母は貴族としての誇 りと善良さを豊かに備えていて、それが言葉や振る舞いに現れる。かず子は彼女を尊敬を越 え崇拝しているといってよい。かず子はその母の子でありながら、そのような姿に近づくことができない、そう考えている。もう一つは、世間が貼る 「貴族」というレッテル。下々にかしずかれて、世俗から離れ、悠々と暮らす人たち、というレッテル。これにつぶされたのがかず子の弟の直治だろう。かず子は、一家が落ちぶれていく中、母を助け暮らしをやりくりするため、それなりに生活力を身につけていく。そんな中で出会った上原に、かず子は母 /貴族と真逆のものを見たのだと思う。血統に裏付けられたステイタスとそれがそれを持つ人に要求する好ましい姿。上原にはそのような血統やステイタスはなく、世間から誹謗されながらも、この才能、能力だけで生きている。かず子は、母/貴族の継承者としての自分に上原の血を入れ、血統を汚し、ステイタスを捨て、代わりに己の才だけで生きていく力を得、 自分や自分が生み出す子孫を全く別のものにしたかったのではないか。かず子が、貴族から普通の人に変わっていく過程は、「私」の語り口の変化として、太宰が分かりやすく示してくれている。

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2024年02月22日

Posted by ブクログ

なんかすごいものを読んだという気はしつつ、あんまり何にも出てこない…。
現代では、階級とか貴族とかそういう意識が実感を伴わないし、ふわふわっと生活しているように見える、母とかず子にはあんまり共感できないけど、かず子や直治の切実さは胸に迫るものがあるように思う。
直治の遺書の中の「人間は、みな、同じものだ」の部分が1番印象に残った。

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2024年01月19日

Posted by ブクログ

貴族とは何だったのだろう。
道徳とは。斜陽という言葉に没落していくものという意味をあたえた作品、カタカナ表記も現代と異なるが、それが当時を感じさせてくれました。

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2023年12月17日

Posted by ブクログ

初めてちゃんと太宰治読んだ
文学的で昔の本は読みにくいと思ってたけどすごい読みやすかった!
他の本も読みたい気持ちになった、太宰治好きになれて嬉しい

貴族の母と娘のかず子、息子の直治、直治の師匠の上原が主な登場人物
かず子が6年前に一度だけ少しの時間会っただけの上原に送るラブレターが怖すぎた
私の気持ちがわかる?、、、わからなかったら殴るわよとか
私は今まで人から嫌われた経験が無いんです。だからあなたも私をお嫌いのはずが決してないと思うのです。とかすごい
直治の遺書もいいし、日記的に書いてた
味気ない思い
金が欲しい
さもなくば、眠りながらの自然死!とかいいね

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2023年08月29日

Posted by ブクログ

びっくりするくらいどの人物にも感情移入できない。
時代が違うからなのか、私の性格なのか。
生きるのが今よりかなり大変というのがこの作品の要になっているのかなと思った。
でも、ところどころ「あ、この感情知ってる」というのが出てくるのが、太宰治先生の魅力だと思う。

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2023年06月11日

Posted by 読むコレ

恐らく初読。
女性として(当時の時代背景から鑑みる)通り一遍の幸福を得ることが出来なかった30歳直前の主人公が、最後の貴族と評される母親の時代の移り変わりや病に翻弄される姿を目の当たりにし、型通りの女性像から脱却の為の「最後の戦い」を決意し挑むまでの心の流れが描かれています。
氏の後期の作品と知っているだけに、登場人物がすぐに死にたくなるのと、新しい女性の価値観がダメダメ作家を赦すという展開についつい穿った見方をしてしまって反省しきり。
素直に読めば古いしきたりからの脱却は年代不変のテーマで大変面白かったです。

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2014年04月14日

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