【感想・ネタバレ】ボーダー 移民と難民(集英社インターナショナル)のレビュー

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Posted by ブクログ

ノンフィクションとは不都合な真実を暴く
告発書です。

2021年3月に発生した名古屋出入国在留管
理局に収容中のウィシュマさんが死亡した
事件を覚えていますでしょうか。

これによりやっと出入国在留管理局の施設
通称「入管」の実態が世に知られるように
なりました。

日本は難民条約に加入して40年経ちます。

しかしその間に難民として認められたのは
わずか900人弱です。

国連から人権条約違反、国連憲章違反との
批判に耳を貸さず、今も難民を長期収容し、
強制送還し続けているニッポン。

その真実に迫るのが本書です。

しかし「技能実習生として多くの外国人を
受け入れているではないか」という意見も
あると思います。

日本は都合の悪い難民を排除している一方
で、都合の良い難民は受け入れています。
これが「技能実習生」です。

「技能実習生」の実態は安い労働力であり、
もはや「技能実習生」の存在なくしては日
本の製造業は成り立たないとまで言われて
います。

母国より賃金の良い国で働けば豊かになり
ます。

そんな動機から日本へと来ますが、期間は
3年間だけです。それでも3年間で十分な
お金を稼げるのであればまだいいです。

いずれ母国も豊かになり、日本へ行く必要
がなくなったり、別のアジアの国の方が賃
金が良いとわかると日本は選ばれなくなり
ます。

そんなもう一つの不都合な真実にも焦点を
当てます。

今、全ての日本人が「自分ごと」として知
っておくべき真実が満載の一冊です。

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2024年06月09日

Posted by ブクログ

これが「おもてなし」の国、日本で起きている現実だと思うと戦慄する。

日本での難民申請者の弁護を長年続けている児玉弁護士の活動は、まさに地獄に仏。
しかし、国際難民条約に加入している国でこんなひどいことがまかり通っていることが事態が異常だと言えよう。
日本が難民条約に加入しているからこそ、そこに望みをつないでくる難民も多いはず。

経済や政治的事情によって、弱い立場の人の命が左右されることがあってはならないと、強く感じると共に、一人でも多くの人にこの現状を知ってもらいたいと感じた。
2024.1

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2024年05月18日

Posted by ブクログ

日本の難民入国についてのルポタージュ

自分の無知無関心について思い知らされる。
現代の日本で、信じられない位の酷いことが、今も本当に近くで起きていることについて愕然とさせられた。

酷い事実である事柄を、読み易すくわかりやすく、感情的にならない調子で書かれていて、また、希望のある部分についても同様に書かれていて、文章や構成の凄さにも感動。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

毎回、佐々さんの著書には深く考えさせられます。

入管で死んだスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん。確かにこの報道で劣悪な環境の入管施設を知った。

佐々さんは「異様な状態だが、私には既視感があった。長崎の大村入管で餓死をしたナイジェリア人のサニー、そして絶叫しながら死んでいったカメルーンのWもいる。彼らの死についてきちんと原因が究明されていればウィシュマは今も生きていただろう」「誰も口にしないが、痩せた黒人男性より、若くて健気な女性には同情を抱きやすいのだ。そして伝える側は、彼女の物語の方がはるかに共感を得やすいことを、よく心得ている。」
と記す。

入管施設雑居房は男女別、子供でさえ男の子は母親と一緒は許されない。
運動場はない。窓はあるけど開けることもできない。曇りガラスで外も見られない。シャワーは週2回15分だけ。部屋の片隅のトイレは壁がない。

2019年以降、「円安は止まらない。日本は外国人労働者にとっていよいよ魅力のない国になってしまった。さして高い賃金が得られなくなってしまった今、外国人が日本に働きに来るメリットは少ない。」
「働きたいのに働けない難民がいるのに、働いてほしいのに日本から逃げていく外国人労働者がいる。どこまで探っても日本の政策は、人に対する敬意がなく、ただちぐはくなたけだった。」

刑務所まがいの入管施設の実態と、難民に関わってきた弁護士や支援者、国へ強制送還されたら死ぬしかないと申告し続ける難民申請者、日本の難民認定法と政治。一冊にギッシリと詰め込まれている。

「日本が難民条約に、加入して40年間で、難民として認められたのは、わずか900人弱。国連から人権条約違反、国連憲章違反との批判に耳を貸さず、今も難民を長期収容し、強制送還し続けているニッポン。国際社会から日本人の人権感覚が問われている。20年以上も難民認定を待ち続けている人々がいる。迫害から逃れて希望をもって来日した難民を友人として受け入れる用意は、市民社会はできている。次は、政治が変わる時だ」ドキュメンタリー映画『牛久』トーマス・アッシュ監督 有川憲治さんの紹介文

表紙も秀悦、多くの人に読んでほしい本でした。

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2024年02月17日

Posted by ブクログ

移民、難民問題。

佐々涼子のノンフィクションという理由で読んだが、ものすごく勉強になった。

日本ではこんなことがまかり通ているのかと、驚きと怒りを禁じえない。

外国人の技術研修生の実態も記されているが、これからの将来、当たり前のように外国人が日本に来てくれるとは思わない方がいい。

インバウンドを6,000万人とする目標もいいが、足元の一緒に生活をする外国から来た人のことも考えたほうがいい。

どんな人も一度読んで絶対損はしない本

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2024年01月19日

Posted by ブクログ

自分自身が全く知らなかった日本における難民の現実…なんて酷いのだろう。そして自分自身の無知を思い知らされた。
たくさんの人にこの本を読んでもらいたい…そう思った。

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2024年01月07日

Posted by ブクログ

読んでいて本当に日本のことなのか?と疑いたくなった。
自分の無知を恥ずかしく思った。
何が自分にできるのか。
まずはこのことを忘れないことが第一歩だろうか。

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2023年10月02日

Posted by ブクログ

難民の受け入れ、入管の改善のために四半世紀に渡り闘い続ける「難民弁護士」の奮闘の日々を、現在入管に収監されている在留外国人の取材と共に綴られています。

先日、中島京子著「やさしい猫」で日本の信じがたい人権侵害・悪法について知り、かなり衝撃を受けたところ。
ウクライナ難民で始まった話ではない。日本でも受け入れられていますが、日本の難民認定率は1%にも満たない低さ!!
果たして受け入れたその後は…?
ウクライナ以外の国からの難民希望者の対応は…?
本書は、日本であまり知られていないその現実について綴られています。

無知・無関心は大きな罪を作り出す。
入管では、もし家庭や介護施設であれば犯罪になるようなことが罷り通っている。司法手続きなしで非正規滞在者を自由に捕らえることができ、無制限に収容できる。
入管法改正法案は更にひどい…。
助けを求め、希望を持って日本という国に渡ってきた人たちに申し訳なさすぎて言葉にならない。

いつか自分達が外国に助けを求めたとして、まるで犯罪人のように扱われ自由もなく、同じように扱われることをどう考えるのか。
人権侵害も甚だしい。
かつての「ハンセン病患者隔離」のように、ひっそりと人生を狂わされている人がいる。

『私たちを助けてくれるの?』

少女の声が頭から離れない。
本書は是非多くの人に読んで知って頂きたいと思います。

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2023年06月07日

Posted by ブクログ

まだ読んでる途中だが、ウシュマさんの事件意外にも入管内での人権無視の体制
日本でこんなことが起きてるのか?!と悲しくなる。
また弁護士の児玉さんのTwitterに多数の「即帰れ」などのコメント
一部とはわかっていても同じ日本人なのかと悲しくなる。
自分自身も今まで無関心でいたことも同様に情けなく思う
自分がもし海外に行って、このような待遇を受けたらと思うといたたまれないし、その国を憎むだろう。日本はすごいだろ?良い国だろ?と心から言える国になってほしい。

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2023年05月21日

Posted by ブクログ

心が痛い。
読んでいてこんなに心が痛むノンフィクションは、他にない。
罪悪感といたたまれなさに、何度も読むのを止めようと思った。

日本には「入国管理局」の名の下に、平然と人権を蹂躙して「正義」を標榜する機関がある。どんなに証拠を積み上げても、難民として認定することを拒んでいるという事実がある。難民認定にも人種・国籍の差別がある。そしてそのことを、日本人のほとんどが知らない。知ろうとしていない。ウクライナ避難民受け入れの美談に酔って、「日本は良い国だ」という偏向報道の歪みのままに、日本礼賛に旗振りをしている。

吐き気がする。
自分自身の無知と無関心の罪深さに狼狽えるばかりだ。
本書の終わり近くでは、鎌倉市の方々や市行政の方々の、温かい支援や難民支援に向けた国への働きかけのことが紹介されている。けれど、結局はそれも「善意」のレベルで止まっていて、国を変えるための「政治」には繋げられていない。子ども食堂に感じるのと同質のものを、ここにも感じる。

ささやかな善意の積み重ねは不可欠だ。それを否定するつもりは微塵ない。自分自身もそうして動いている人間の1人だ。
けれど、それは結局、隙間埋めにしかならない。大きく壁がくずれているところにいくらパテを塗ったって、風は入るし水は漏れるし、いつかは建物自体が崩れ落ちる。

佐々さんの本を読むと、いつも、何かしなければという責め立てられるような思いに駆られる。
何ができるのか?どこから始めればいいのか?
答えはないけれど、まずは動こうと思う。
読者の責任はそこにある。

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2023年04月27日

Posted by ブクログ

日本への移民と難民について、徹底した取材に基づいて詳細に描かれている作品…。移民と言えば、技能実習生…技能実習生がどんな経緯を辿って日本に来ているのか、今まで深く考えることはなかったなぁ…私の職場にも技能実習生はいるけれど、彼らがいなくなったら…今の仕事成り立たないだろうなって思うとこの作品を読んで大反省しました!!

そして、ウィシュマさん死亡事件で日本の入管・難民問題をほんの少しだけ知っていた程度だったんだと愕然としました。ウィシュマさん死亡事件は明らかになった事件であって、こういった悲しいことは過去にも起きていたんだと…本当に怖くなりました。

「国籍や在留資格に関係なく、すべての人が家族と一緒に暮らす、
迫害の恐怖から逃れる、不当な身体拘束から解放される、
あるいは、収容されていても適切な医療を受け、命を維持できる。
いわば当たり前の世界が私の夢です。」と語る、児玉弁護士の言葉が胸に残っています。この社会にある、目に見えない「ボーダー」を取り払うため、私には何ができるだろうか…考えさせられる一冊になりました。佐々涼子さんの作品は、どれも心を打つものですが、この作品も読めて良かったと思いました。

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2023年04月04日

Posted by ブクログ

日本人の人権感覚が問われている。女性、LGBTQ、高齢、障害、子ども、、、そして移民難民への対応。心優しい人もたくさんいる中、この問題が起きている原因は日本人の国民性なのか?閉鎖的、人見知り遺伝子?鎖国日本が生きやすいのか?それは正当化されることなのか?
日本人は多様性を受け入れ難いのか?
どうしたらいいのか考えさせられる。

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2023年03月23日

Posted by ブクログ

自分が暮らす国で起きている現実。
治安を、自国民を守ると言うある種の正義の遂行が善意の人々さえも追い詰め時に命をも奪う。
これは正義なのか。

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2023年03月15日

Posted by ブクログ

2023年9冊目。
佐々さんの本は必ず読んでいます。
イギリスがEUを離脱するというニュースが話題になっていた頃から、移民・難民の支援について関心がありました。
JICAから教材を取り寄せて、教科書的な情報以外のことも、自分なりには教えてきたつもりでした。

が。
この本を読んで、日本の移民・難民に関する政策や、入管の実態を知り、言葉を失いました。
また、何となく知っているつもりでいた技能実習制度についても、詳しく学ぶことができました。
日本が値踏みされる状況になっていることに気づかされた時、驚いてしまいましたが、驚いた自分に嫌悪を感じました。
この本曰く、一面では、日本は経済大国でも人権国家でもないのだから…

この問題は、関心ごとの一つになりました。
勉強していきたいと思います。

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2023年03月05日

あなたが日本人ならば
この本を読む義務がある

テレビでもてはやされる
アニメや漫画、伝統芸能、日本文化
きれいで便利、平和でいい国
日本に好んでやってきて
大金を消費する観光客
ばかりを優遇する日本ではなく

身近に暮らして
日本人がやりたがらない労働をしている外国人を隣人として
差別せず尊重して大事にしてほしい

その輪が広がって
理解のない国をも動かす一助となりますように
まずは読んで知って欲しい
教科書にも載せるべき
そんな一冊です

されど現実は国の政策よりも
先に進んでいる
(というか国の政策が的外れで遅すぎる)
日本はもはや技能実習生には
選ばれない国となりつつある
少子化で労働力が減り
円安に物価高で給料は上がらず
日本人の若者はすでに
日本を見限って海外に働きに行く
悪循環から抜けられない未来は
すぐそこ
現実を何も知らないのは政治家ばかり

中島京子さんの「やさしい猫」を
読んで興味を持って選んだ本だか
「エンジェルフライト国際霊柩送還士」も
「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生 日本製紙石巻工場」も読んでた
佐々涼子さんのノンフィクションの幅広さと
取材の行動力に驚く
今後も注目したい

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2023年02月12日

Posted by ブクログ

2022年11月大雨の中開催された移民難民フェスの、テントの外はびしょびしょで本を売るには最悪の環境の中、出店されていたポルベニールブックストアさんで購入した。
読まないといけない本と直感した。
映画牛久、を見ないといけない映画と直感したのと同じ。ウィシュマさんの不幸な死(日本という国の全体の、法や行政やそこで雇われてる人らの悪意による、不可避出なかった、回避できたがしなかった悪意の死)と、あからさまにこれまでの難民認定、施策とは真逆でおかしいウクライナからの難民への対応、
もやもやしすぎているのできちんと知らなければならないと思って拝読。
冒頭の鎌倉のアルペなんみんセンター。 
この様な場所があることを知り希望と安堵。
難民支援闘士である児玉晃一弁護士。
2001年アフガニスタン難民を解放する判決を出した東京地裁民事三部の藤山雅行裁判長(身柄拘束自体が個人の人権に対する重大な侵害であると明言、、、しかしそれから20年以上経っても何も変わらず、こりもせず改悪入管法再提出とかしてる)

強制送還されれば宗教独裁イランで死刑になるイラン人送還拒否で血まみれ、流血している人を無理矢理押さえつけ搭乗させようとする入管職員、イラン人機長への呼びかけで機長が搭乗拒否、送還をなんとか免れたという話など、壮絶な、しかし、一人ひとりの普通に生活する権利、それを人権というが、そんな人たちのありえない物語の数々。
日本は法治国家でもなんでもない、人権国家と嘯いて独裁政権を非難しあり、日本と違うなんてイメージをマスコミも政府もあおるがしらじらしいこと、甚だしい。
そのイラン人の言葉、
日本は難民条約に入っていると、先進国で法治国家だと信じていた。もしこれからも難民を受け入れる気がないなら、建前だけ掲げている人権国家の看板を下ろして難民条約から脱退してほしい。
全くその通りだと思う。
どんなに大変でも間違えて日本にだけは来ない様に!どうか他の国へ行き難民認定されて祖国にいるより良い生活と安全を手に入れてください、と逆説的に自虐的に思ってしまう。
劣等民族による選別と差別。
映画牛久を見て、この本を読むとよりよく実態、事実、現実を理解できるし、より読んでいて生々しい痛みと日本人としての恥ずかしさを実感し、息苦しくなる。

ウクライナ難民のことを書いてしまったが、本書でも、そのことの控えめにではあるが違和感として述べられており、ウィシュマさんについても、そもそも彼女が先に入管施設で死亡したアフリカの男性より、若くて美しい女性であったことも比較において報道や興味の対象となっただろうし、そもそも、全く同じ条件、留学生として来日、DV被害に遭いビザなしとして収容され体調が悪くという全ての条件が同じだがウクライナ人とか欧米系の女性であったならそもそもあんな酷い虐待にあっただろうか。虐待=犯罪レベル。そのことも著者の佐々さんは、きれいごとだけいうつもりてはない、と書かれている。
このことはとても大事。ウクライナ難民と、クルドやミャンマーやスリランカやアフガンやイランやさまざまな地域や国から来た難民との違いすぎる違いをいうことははしたなくもあり、ウクライナ難民の方を貶める意図は毛頭ないが劣等民族劣等国家である我々はそのことも
自戒を込め恥ずかしながらも言わねばならないだろう。

後半の実習生、研修生に関する調査と考察は、知らないことが多く、大変貴重な資料と感じた。佐々さんは、実習生は日本社会にとっての、こびとのくつや、とおっしゃっている。我々が知らないところで働いて経済を回してくれている、と。私も毎日、やすい食品やタオルなどが日本産であるのを見ると、ドキュメンタリーで見た制度の中で来日し毎日技能を学べずタオルばかりを縫製しそのことを隠す様に言われているアジア人の女性を思い出すし、食べながらも複雑な思いにかわれる。

こういう本を課題図書にしたら良いのではないですか。知らないことを知ることは、特に子ども、学生、若い人がこういうことを知理、おかしいことに気づくことは大事。

私たちを助けてくれるの?助けられるの?と最初の出会いのときに12歳の少女ナディアに問われた児玉弁護士。日本という偏屈で狭量な社会に生きる私たち一人ひとりに対して問われている言葉だと思う。

まずは、違法行為をしない法務大臣さんになってほしい
(入管法改「正」案のもとになったのは当時の法務大臣河井克行の私的懇談会である第7次出入国管理政策懇談会だそうだし。死刑執行のハンコつくだけの暇で目立たない大臣職などと嘯いた統一協会関係者とかですね、
下々のものは悪いことしてなくてもしよっぴかれますが、真の法治国家ではない適当国家人権侵害国家ではかなり悪いこと、違法行為してもお咎めなしです)

メモ
衆議院 2021年04月21日 法務委員会 での、難民審査参与員柳瀬房子(特定非営利活動法人難民を助ける会会長)の参考人としての話。難民として認定すべき人があまりに少ない、偽造難民が多い、入管法改正法案に賛成と述べていて、著書が驚きガッカリしている記述あり。106ページ。難民を助ける会ではないのか?疑問。

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2023年01月14日

Posted by ブクログ

すごいと読むたびに思うノンフィクションの書き手(ご自分の身を削りながらお書きになっているのだろう)佐々涼子さんが、日本の難民、移民、技能実習生について取材されたもの。
この問題についてはいつも自分に何ができるのだろうかと考えさせられる。児玉晃一弁護士、お名前はよく拝見していたが、この本を通じて身近に感じられたので、ご活躍を今後も追っていきたい(この問題での「ご活躍」の場があるのが良いのか悪いのかは別にして)。

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2024年03月30日

Posted by ブクログ

入管でのウィシュマさん死亡事件、ひどい事件とは感じつつ、難民制度、難民と移民の違いについて無知だったことを思い知らされました。日本の難民制度の問題と、入管での人権を無視した対応とは全く別問題だと思っています。恥ずべきことだと思います。一方で鎌倉アルペなんみんセンターの取り組みを知り、希望を見た気もします。自分として何ができるか、考えたいです。

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2024年03月16日

Posted by ブクログ

佐々さんの本は3冊目。他2冊よりもよりノンフィクション要素の濃い本だった。深く厳しい現実を表している。学ぶのを、知るのをやめてはならない。恐れてはならない。全ての日本人に問われている。

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2024年02月05日

Posted by ブクログ

自分のまわりの平安にしか目を向けない日々を送っているとこぼれてしまう問題を
ちょっと視野を広げるだけで
不思議に思ったり疑問をもったりすることが出来る。

その問題についてネット検索はすぐに答えを出せそうに思うけれど
じっくり考えながら答えを出すのは良書に出合うことである。
この本はまさにひとつの問題を提起してさらに考える機会を与えてくれる良書である


今の日本ががっかりする国とならないように考えていきたいと思う。

佐々さんは今、闘病中とのこと。
早くお元気になられますように。
次の作品を待っています。

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2023年05月24日

Posted by ブクログ

予想していたより読み進めやすかった。そして、かなり酷い想像をしていたにも関わらず、入管の収監者への扱いが酷かった。治安維持法と同列(より悪い)に述べられるなんて。ウィシュマさんのようなことが特別ではなく、恒常的な状態だなんて、おかしい。集団ですごす部屋のトイレに壁がない、ほぼ室内だけで過ごす、痛くて叫び続けたり血を貯められるほど吐くのに医療が受けられない…。四年収監されて仮放免になったナイジェリア人のエースがアルペなんみんセンターのクリスマスコンサートで脂汗を流してうずくまるように身体を曲げている(普通なら感情が揺さぶられるような合唱)のが、収容で極端に刺激がなかったための拘禁反応だと書かれていて、これが命からがら日本へ逃れてきた人に対する国の対応なのかと、恥ずかしくなる。
おかしいのは日本の社会構造も。みんなが嫌がる労働を「海外」からの技能実習制度に頼る。円安でどんどん日本離れが進んでいるのはむしろ自らを見つめ直す良い機会。安いカット野菜も、骨とり魚も、きれいにさばかれた肉も、もっと必要に応じて高くなればいいのだ。大学進学率が50%超えるのがおかしい。どんな仕事についても、一生懸命働けばそれなりの福祉や、仕事への尊敬を受けられるような社会構造を築くべき。
とまあ、色々なことを考えさせられた。★4にしたのは、収監される人たちがどういう事由でそれぞれそこにいるのか比率が分かりにくかったから。
これを読んで、少し知った私にできることは何だろう?難しい。

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2023年05月20日

Posted by ブクログ

佐々さんの新作は表紙の写真を見て「トランプ政権で始まった移民規制の話」と思い込んでいた。とんでもない勘違いだった。
本書は、ここ日本で、今現在実際に起きている、 出入国在留管理庁(入管)による難民排除を取り上げたノンフィクションだ。
日本に来たのに難民と認定されない人達の苦しみ、技能実習制度を利用して期間限定で日本に来た(来ようとする)人達を追う。さらに1ヶ月間難民センターに滞在し、そこに身を寄せる人々と触れ合う。
新聞報道等で目にすることはあったが、ここまで酷いとは想像もしなかった。何度も書くが、この国はおかしい。

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2023年01月27日

Posted by ブクログ

P49
〈入管とは、2019年に入国管理局から改称した
『出入国在留管理庁』のことをいうが、狭義では、外国人を収容する施設を指す〉

佐々涼子さんは「入管という施設がどのようなものかよく知らなかったし、
ましてや何が問題なのかわからなかった」と書いている。

私自身、入管で起こった事件も、新聞やニュースで目にしていたが
佐々さんと同じようにわかっていなかった。
P202
弁護士の児玉晃一さんの言葉
「たぶん政治家は何も知らないと思いますよ」
歪みは修正されるだろうか。
児玉さんの夢は叶うかな。
いろいろなことも知ろうと思わなければ見えてこない。
今回も佐々涼子さんがそのきっかけをくれた。

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2023年01月26日

Posted by ブクログ

これだけ難民認定絡みの悲惨なニュースが世に知られたのに国が変わる様子は見えてこない
だけど難民認定絡みの悲惨なニュースか世に知られたことで国民の認識変化は確実に見えた

もう以前のように世界の多くの人達に憧れ、目指す国ではなくなったのに同じ態度でこれからも接するのか

主権者と対話する気はあるのだろうか

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2023年01月26日

Posted by ブクログ

温かい物語はある。
しかし、日本の難民認定をめぐる状況は、悲惨だ。
それは約20年前から牛久の入管で面談をした私の実感だ。

この問題を知らない人に。是非、本書を手に取って欲しい。

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2023年01月23日

Posted by ブクログ

偏見は拭えない。時々、庭の草を採るように自分自身で点検する。印象深いエピローグに載った言葉。
自分にも当てはまる。現実は、知らない事が多く、情報は黙っても入ってくる。ただし、正しい情報ばかりじゃない。自分で考えて、取捨選択して行動しよう。と思わせてくれる一冊。また1つ、出会えて良かった著書。

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2023年01月18日

Posted by ブクログ

難民や入管については、中島京子「やさしい猫」で小説として、現状を初めて知ったが、今度は本当の現実を知ることとなる。

あまりにも悲惨で残酷で、読むのが辛くなりながらも、そこには温度を持った人間がいることが救いとなる。

もちろん、これからもっと現実を受け止め、他人事ではないこととして考えなければならないと強く思う。
ただ、根本的な見直しをしなければ、なかなか一筋縄ではいかない問題だ。

Twitterで知った著者の病気も心配だ。
ノンフィクション作家としてまだまだ精力的に発信して欲しい。

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2023年01月01日

Posted by ブクログ

日本への移民と難民の話。難民と言われたら今のウクライナ難民のイメージ。また、不法残留となれば入国管理センターで亡くなった女性のニュース、中島京子さんの「やさしい猫」で読んだ話が思い浮かんだ。それだけしか知らない。そしてどこか遠い世界の話と感じていた。だが。そこから外国人技能実習生の話となり、それは近所のコンビニにいる方、近所の工場にいる方、よく見るそれらしき方たち。少し身近だと感じた。日本は難民に優しくない国、外国人労働者に優しくない国。だけど、それは多くの人にその事実が知られていないからだと思う。どんな扱いを受けてどんな生活を強いられているか知らないから。学校でも習った記憶、ほとんど聞いたこともない。まずはこのような本やニュースを通して一人でも多くの日本の人に知ってもらうこと、それが支援の輪が広がったり国を動かすことに繋がるのではないかと思った。

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2023年01月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

知らない世界だった

人はどこに生まれてくるかは選べない

日本人は純血であること、完全であることが好きで、少しでも違っていると仲間に入れない。

日本が買い手市場だった時代は終わりつつある、今は、彼らの方が日本を値踏みしているのだ。

いまだに昭和時代の栄光にすがって、外国人を怖がり、時に見下し、鎖国政策を取り続け、いろいろなことが悪くなっている

今後、少子高齢化多死社会を迎え、外国人を受け入れない選択枝はない。ならば、どうやって共に暮らしていくのか、未来は私たちの手にかかっている。

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2024年02月12日

Posted by ブクログ

エンジェルフライト、エンドオブライフに続く本著者今年3冊目。期待して読むが、期待感が高いが故の落差を感じてしまう。

入国在留管理局の施設で亡くなった女性のニュースが記憶に新しい。入管在留管理局、難民の問題を描く。

「今や外国人労働者なくして地方経済は回らない、彼らは今の日本人と比べ物にならない程よく働く
やすい労働者が欲しいが、純血を重んじる日本は、定住されては困るの思想から、外国人労働者受入の体制が出来ている」

そう思う、おもてなし日本も労働力不足でサービスが低下しているのも実感している。人が確保できなければロボで行く道を探るかみたいな話を先日友人ともした。

在留管理局の施設で亡くなった女性のニュースでは女性の方にも否が有るような書込みもyahooニュースでされており、また多くのいいねマーク付いている事に残念に思う。
現代にまだこんな酷い状況の問題があり、認知されていないことに憤る。そういった意味では本書はこの問題を多くの人に広めた素晴らしい本と言える。

けれども、前作を読み期待していた私としては残念感が先行してしまった。著者の熱量を感じない、話を進める主人公に熱を入れられていない様に感じる。

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2023年10月03日

Posted by ブクログ

 中島京子さん著『やさしい猫』を読んで、入管問題に興味を持った。興味を持って日々過ごしていたら、テレビや新聞、本など、入国問題を扱っているものが目につきはじめ、改めて自分が今までどれほど無関心だったかを日々感じている。

 著者もあとがきでこう書いている。
 
 ○「日本に難民は来ていない、ほとんどが偽装難民だ」といわれれば、そんなものかと聞き流し、思い返すこともなかった。つまり入管問題を作り出し、放置していたのは、他ならない、無関心な私自身だったのだ。今私たちは平和を享受している。しかし、これからも戦火に巻き込まれないと言い切れるだろうか。その時、私たちに手を出し差し伸べてくれる国が果たしてあるだろうか。

 日本は1981年に難民条約に加入している。しかし、難民として受け入れることはかなり珍しく、自国に帰すか、それを拒否する人は、入管収容所に長期に渡り閉じ込める。収容所では人権などなく、本当に日本人がそんなことをしているのか?と直ぐには信じられないような残酷な対応をしているという。

(日本に助けを求めにきた外国人の話・本文より)
 ○俺は、日本は難民条約に入っていると信じていた。日本は先進国で法治国家だろうと。もしこれからも難民を受け入れる気がないなら、建前だけ掲げている人権国家の看板をおろし、難民条約から脱退してほしい。だって実際、この国は人権国家じゃないんだから。そうすれば間違って日本に助けを求める外国人も減るだろう。お互いハッピーじゃないか。俺も他国に助けを求められる。

 こんな状況を看過している国のトップを私はとてもじゃないが信用できない。現在、歴代の総理大臣を思い浮かべて、え?あの人もあの人も、何もしてこなかったのかと愕然とする。日本人であることが、恥ずかしく、罪深く感じた。

 佐々さんはもともと日本語教師をしていて、その関係で、第二章は、日本語教師の視点で外国人技能実習制度について詳しく書かれている。個人的にはこの章が一番よく書かれていると感じた。

 この章で、衝撃を受けた。日本の国力は下がっており、近い将来、日本に出稼ぎに来るメリットがなくなり、実習生が来なくなるだろう。そして後々、日本人が外国に出稼ぎに行くことになるかもしれない。というのだ。日本に実習に来ている、または行こうと用意してくれている外国人に日本語を教えている人達がそう見ているのだ。生の感想だろう。

 入管問題をもっと知りたいとこの本を手に取ったが、取材した個々の案件の事が主だったので、全体像はまだよく掴めなかった。これからも関心を持ちつづけていきたい。

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2023年01月18日

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