【感想・ネタバレ】コイコワレのレビュー

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〈螺旋プロジェクト〉の一冊と知らずに読み始めました。明治後期〜昭和初期の話が個人的に好きなので、今回の設定もとても楽しかったです。

自分では環境を選べず、しんどいなかでもどうやって生きていくかを主人公のお母様の言葉から学びました!

後半にかけて主人公が自分なりに変わろうとし、行動に移す姿が印象的でした。次は、『蒼色の大地』を読んでみようと思います。

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2024年01月28日

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海と山で始まりやっぱり海と山で終わるんだ。何か経緯とか歴史が出るのかと身構えたが、それはもう理屈じゃない大昔からあるもの そういう事なんだって事。お互いが嫌悪感に気付きそこにいるのが分かる理解したって凄い でもあってもいい筈。どれもこれも不思議だけど、老木を見つけて掘るのと光のと邪念で割れるのと興味大、清子母が亡くなったのが残念 電車に乗らず命を守るリツと教師になって会いに行く清子 あー良い話だな ちゃんとしてるな 不思議だけで終わらせないなあーって乾ルカさんの守備範囲の広さ。順番付けれんけど、心音 花が咲くとき あの日に帰りたい メグル
わたしの忘れ物 明日の僕に風が吹く 良い凄くいい みんな違うから、思えばてふてふ荘へようこそがスタートだったがよくも見つけて貰えた。

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2023年11月19日

購入済み

読後、タイトルにハッとした

螺旋プロジェクト7作目。
乾ルカの作品は初めてだったが、とにかく文体や表現方法が綺麗、と言うより最早“美しい”といった印象。ストーリーも然る事ながら、まず描写力に感銘を受けた。特に重要な人物の台詞は訛りが激つよの言い回しだが、何故だか読み易くスッと入ってくるのは、著者が言葉の響きや一文字一文字にかなり気を遣って言葉選びをしているからなのだろうと思う。
それに話の大筋から細かな部分にまで、螺旋プロジェクトのルールが巧みに落とし込まれていて、というかむしろ、一瞬その企画性みたいな部分を忘れさせる程の馴染ませ方が凄まじいと感じるほどだった。
現在、螺旋プロジェクトを通して読んでいる中で、TOP1、2くらいに刺さった。
このシリーズの他作品との間で伏線回収がなされる感じが読んでいて気持ち良かった。
著者の他作品も読んでみたいと思った。

請う者と請われる者。

#切ない #深い

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2023年04月18日

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ネタバレ

螺旋プロジェクト
第二次世界大戦末期の話のため、悲しさは避けられないけど、二人の少女の成長を感じた。

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2023年04月03日

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螺旋プロジェクト(私の中で)6冊目。

今まで読んだ中で一番海族と山族の対立に対する心の葛藤に焦点を当てた作品だと思う。先が気になり一気読みした。
対立する2人の少女が、それぞれ互いへの憎悪に苦しみながらも、それを乗り越えて自分を律していく様がとても丁寧に描かれていて感動的だった。螺旋プロジェクトの設定に一番ガッツリと向き合っている小説ではないだろうか(これまで読んだ中では)。哀しさの中に力強さを感じる作品だった。
乾ルカの他の著書も読んでみたくなった。

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2023年03月19日

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ネタバレ

螺旋プロジェクト第5弾。

昭和初期の戦時下の物語。

海族の個人と山族の個人がぶつかる話でした。螺旋プロジェクトのこの作品より前の時代を描いた作品はどちらかと言えば、一族としての海族vs山族であったり、血統としての海族vs山族であったりしていたので、これまでの時代の話とはちょっと違うな、と感じました。

この作品での、海族は清子、山族はリツ。二人は敵意をお互いに抱いていてそれをストレートに表現する。これは大人じゃなくて、まだ少女だからかな?実際、清子のお母さんも、海族の身体的特徴があるけど、その山族に対する敵意をコントロールすることができていたので。

この物語は渦巻模様の首飾りのお守りがとても重要なアイテムになっていました。この首飾りのお守りが、壊れるとき・・・。で、この首飾りが壊れてから、清子もリツの成長していく。二人とも強くなるんです。

この物語での「超越した存在」源助爺さん。「ウナノハテノガタ」のウェレカセリと同じような風貌のイメージ。この源助爺さんが「超越した存在」になったと実感したことを語るところはビックリ。リツの存在がそうさせたんですね。

清子のお母さんは、海族の一員として、誇り高い存在だと思いましたが、同時に山族の人たちと出会っても、その敵意をうまくコントロールして無益なムダな争いはしないようにしていたのも、凛としていてステキだな、と思いました。嫌いあっていても争わずにやり過ごすことが大切って。

エンディングは個人的にはショッキングでした。同時に力強い希望も感じましたが。

また、エピローグ的な書き下ろしの短編があって、本編のエンディングから15年ぐらい?経った後の話がありましたが、この書き下ろし短編が追加されたのも良かった。清子もリツも戦禍を生き抜いて良かったな、としみじみ思いました。

物語の直接的なテーマではないと思いますが、戦争ではだれも幸せになれないな、と思いました。

ラムネが出てきたり。螺旋プロジェクトの年表にあった「絵本」の元ネタっぽいものが出てきたり。また、ある天皇の名前が語られていたり。リツにクジラっていう生き物がいることを説明していたり。この作品でも螺旋プロジェクトのつながりを感じながら楽しむことが出来ました。

悲しいエピソードもありましたが、楽しく読めました。面白かったです!

引き続き、螺旋プロジェクトを読んでいきます。

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2023年03月04日

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ネタバレ

螺旋シリーズ4冊目。

裏表紙とかのネタバレあらすじは極力読まないようにしてるけど、帯にある「相剋するふたりの美しい少女が目覚め、祈るとき、新しい世界の物語が始まるーー」だけは目が行ってしまったので、そこから女の子たちのあら〜、な展開かと思いきや、普通に山と海の対立バチバチで憎しみ合う上に、舞台は大戦末期という、だいぶ救われない話だった。

ただ、主人公二人の描写がとても良く、特に野生児のリツを応援したくなってしまう。
しかし、この山の海の一族の身体的特徴、別作品だと「よく見ると目の色が違うように思える」程度だった気がしたが、今作ではもうはっきりと青。子供同士のいじめに使われるレベル。誰がいつ見ても青というわけではなく、条件によるとか、少なくとも普通はそこまで気づかないくらいのものだと思ってたが… まあ、あくまでも同じコンセプトから派生しただけでどう表現するかは作者次第だからこういうこともあるか。特に大戦中で目が青いという要素があれば、そりゃ鬼畜米英の血が入ってるとかに使いやすいよな。

あと、首飾りも明らかに命を救うという超常能力が備わっててそこも他の作品と違う気がしたが、前回のもののふの国でも山と海の両属性持つ人達が神の使いみたいな感じになってたし、まあ似たようなもんか。

後半からは、どうにも馬の合わない相手でも自分の憎しみを制御することが肝心という、人生の教科書みたいな内容になってきて、道徳の教科書かな?みたいな感想をちょっと持ちながらも、ちゃんと成長していく二人をもはや親目線で見守ることに。どうか幸せになってくれ〜。

リツの兄ちゃんが山越えようとして顔潰されて死んだのだけがよくわからなかったな…

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2023年02月05日

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私にとっての螺旋プロジェクト第一弾最後の作品!!!

長かった、実に長かった・・・

伊坂幸太郎さんや朝井リョウさんの作品はサクッといけたのにその後少しテンポが悪くなり、今に至ります。(全部私の不徳の致すところです)

第二弾もあるようですが、もちろん其方も読みたいと思います!!!

実に、8巻は長かった!!!



時代は大戦末期!
東京から宮城の田舎へ疎開する事になった浜野清子は運命の相手、那須野りつと出会う・・・

螺旋プロジェクト既読の人はわかると思いますが,この二人が今回の海と山!

今回はこの二人が物語のダブル主人公!!
そんで、螺旋プロジェクト屈指の対立度合い!!!

偶々ですが、本作を螺旋プロジェクトの最後に読んで良かったと思えました!!!

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2024年04月10日

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螺旋プロジェクト、いよいよ昭和に入ってきた。年代順にいくと、次が伊坂幸太郎さんの『シーソーモンスタ』になる。再読してから、次の『死にがいを求めて生きているの』を読もうかと思案中。
本作も物語に引き込まれ、楽しめた。海族と山族の因縁の対決が、どのように昇華していくのかを示唆しているような作品だと感じた

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2023年08月19日

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ちょっとずつ、頑張って変わっていこうとする清子とリツに心打たれました。
その関係性や関係性の変化は、理性ではなく本能によるものだから、さらに魅力を感じたのだと思います。

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2023年07月27日

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面白かった。
螺旋プロジェクトの内の1冊。読むのは本作で4冊目ですが、読めば読むほど繋がりが見えてきて面白くなってきました!

本作は昭和前期の戦時を描いた作品。
高源寺で暮らす山の民のリツ。そこに東京から疎開してきた海の民の清子。
出会う前、相手の存在を知る前から、お互い得体の知れないピリピリした嫌悪感を敏感に感じ取っていた2人。
もうこの時点で何かが起きる気配がして期待感でドキドキ…。

反発し合う孤独な2人に、ある日起きた決定的な出来事。その後、自分を律することで起きる周囲の変化や自身の気持ちの変化。
まだ幼い二人の少女が自分と向き合い変わろうとする姿が印象的でした。
清子のお母さんの言葉も深い。

あっという間に物語に引き込まれ、ほぼ一気読み。
作品を通して改めて「戦争」について考えさせられたし、大きな不安や奪われる日常、大切な人のことを想像した。
分かりやすいハッピーエンドじゃないけど、きっとこの先も彼女たちの未来は続いていく…。
そんなふうに思えるラストが結構好きでした。

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2023年07月24日

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「みんなで一斉に書きませんか?」
伊坂幸太郎さんのひと言から始まった螺旋プロジェクトの第五弾。

螺旋プロジェクトとは
◇「山族」と「海族」の対立を描く
◇共通のキャラクターを登場させる
◇共通シーンや象徴モチーフを出す
という、共通ルールを決めて8人の作家さんにより書かれた原始から未来までの物語

山族、海族という独特で何だか難しいテーマを、それぞれの作家さんがどういう風に物語に落とし込んでいくのかが見どころ。こういうの楽しい〜♬

螺旋プロジェクトの作品を読むのはこれで3作目だけど、読んだ3作の中では1番このテーマが自然に馴染んで描かれていた気がした。


戦争により疎開してきた清子と、疎開先に住むリツはひと目合った瞬間から気配だけで、理由も分からずお互いを忌み嫌い合っていた。
血が騒ぐというか、そこにはルーツの違いによる先祖からの深い因縁があった。
世の中、相容れない相手とも関わっていかなければならない事もたくさんある。
そりの合わない2人の少女が、自分自身の心と対峙し成長していく姿がとても良かった。
好きにはなれなくても、相手を尊重する気持ちって大切だな〜と思わせてくれる話だった。

清子がまだ6年生だというのに立派すぎたな〜。
この時代と清子の境遇がそうさせたんだろうな。
結末はなんとなく察しはついたけど、ショック
戦争の残酷さと人の命の脆さを痛感しました。

巻末の清子とリツの後日譚がとても好きだった〜
この終わり方だからこそ良かった♡

中央公倫新社さんのご厚意で読ませて頂きました♡
とても良かったです!!
ありがとうございました✌︎(๑˃̶͈̀◡︎˂̶͈́๑)✌︎


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2023年04月25日

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ネタバレ

【収録作品】コイコワレ/九月、急行はつかり車内にて-書き下ろし特別収録短篇-

競作企画「螺旋プロジェクト」の昭和前期編。書き下ろし短篇が読みたくて再読。清子のその後と、リツとの後日譚。

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2023年04月24日

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螺旋プロジェクト7作目。
乾ルカの作品は初めてだったが、とにかく文体や表現方法が綺麗、と言うより最早“美しい”といった印象。ストーリーも然る事ながら、まず描写力に感銘を受けた。特に重要な人物の台詞は訛りが激つよの言い回しだが、何故だか読み易くスッと入ってくるのは、著者が言葉の響きや一文字一文字にかなり気を遣って言葉選びをしているからなのだろうと思う。
それに話の大筋から細かな部分にまで、螺旋プロジェクトのルールが巧みに落とし込まれていて、というかむしろ、一瞬その企画性みたいな部分を忘れさせる程の馴染ませ方が凄まじいと感じるほどだった。
現在、螺旋プロジェクトを通して読んでいる中で、TOP1、2くらいに刺さった。
このシリーズの他作品との間で伏線回収がなされる感じが読んでいて気持ち良かった。
著者の他作品も読んでみたいと思った。

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2023年04月18日

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ネタバレ

螺旋プロジェクト 7作品目
乾ルカさん初作品

山育ちのリツと東京から疎開してきた清子。
2人の対立関係が明確でありながら、お互い嫌いあっている?など共通点もあり、読みやすくスイスイ読めました。
嫌いな相手にこそ、より丁寧に接する という私達の普段の生活でも大切な事を改めて教えてもらった感じです。
憎いという心を相手に向けるのではなく、自分を律して自分に勝つ。そんなすごいことが出来る人間に憧れます。
私はやっぱり人の心の動きが分かりやすく書かれている作品が好きだなあ。

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2023年04月15日

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『蒼色の大地』(螺旋プロジェクトで、この作品よりも前の時代の話)よりも個人との関係に特化した話だと思った。
私は(読者)から見てみると、種族が違うという理由で交われない二人がもどかしくも悲しい。
最後、リツが誰と結婚したのか、どんな人生を送ったのか、大人になっても山を歩いているのかとか気になりすぎた
でももう次の時代(本)に行かないと…。

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2023年03月02日

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螺旋プロジェクト最後に作品。

この作品のテーマが丁寧に描かれていて、全作品の中でも1、2を争う良作。

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2023年02月15日

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面白そうな企画だなと思い8作品を時代順に読みました。
細かくメモしながら読み進めましたが、思ったより伏線や回収などは無く企画としては微妙でしたね。
8作品の中で「コイコワレ」が1番良かったです。

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2023年02月12日

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文庫が出た順番の関係もあり、螺旋シリーズの最後がこの本になりました。時代順に読んで、「天使も怪物も眠る夜」で終わるのも良い選択だと思いますが、この本で終わるのも私は良かったと思います。良い作家に出会えて幸せです。

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2023年02月02日

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螺旋プロジェクト8冊目。昭和前半編(戦時中)。
海族と山族の対立する人物は小学校高学年のふたりの少女。都会と田舎、利発と直情、勉強好きと運動好き、と対照的な設定。そして、出会いが二人を変えていく。

小学校高学年は背伸びをしだす年頃だったように思う。よく分からないまま洋楽を聴いたり、ゲームセンターに行ってみたり、異性を意識したり、着飾ってみたり、人と違うことをやってみたり、やらなくなったり。そして、友だちがただ遊ぶだけの対象じゃなくなって、相談したり、趣味の話をしたりっていう対象に変わっていく。家族といる自分と、外にいる自分とを使い分けられるようになっていく。

この作品のテーマの一つは「勇気を出して自らが変わる」こと。憎くても自制する、人を思いやることを形や態度にする、拙くてもコミュニケーションを取る・・・そうやってちゃんとした大人になってく。自分がその大事さに気づいたのは、もういい歳になってから。変わらなくたって僕が僕であれば平気だなんて強がってた。「僕が僕であるために」勝ち続けるのじゃなく、変わり続けなきゃいけない。二人の少女のように、ピュアな心で変わることはできないと思うけど、自分を諦めずに変われるように生きていこう。ブレてもいいから。
そんな勇気をくれた作品でした。

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2023年01月21日

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螺旋プロジェクトの自分の中での最後の一冊。

子供が主人公だからか、他の作品よりも憎しみが強烈で、抑えきれない様も凄かった。
清子は強いなぁ

見守り役が他の作品よりも、ちゃんと見守り役だった気がする。

第二弾始動、楽しみ

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2023年01月14日

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太平洋戦争中、東京に食堂を営む父、母と暮らす蒼い目を持つ清子。
父は突然不慮の事故で死んでしまう。

食堂は母が一人で切り盛りする中、戦争が激化し清子の小学校は宮城に疎開する。

疎開先の寺で地元のリツという少女と出会う。リツは存在自体が清子をざわつかせる。リツも同様に清子の存在を明らかに意識してしまう。

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2024年04月15日

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螺旋プロジェクトは2冊めだが、海族山族にはやはりどうしてもなじめなくて、なじめないまま終わった感じ。

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2023年11月18日

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本質的な部分で分かり合えない相手と出会ったり、関わったりする場面は誰にでもあると思う。
「嫌いだ」「苦手だ」というネガティブな感情を制御するには、とにかく相手のことを考えて、分からなくても分かろうとすることが大事なんだと思った。

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2023年08月13日

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螺旋プロジェクトから、初めて著者の作品を読んでみて。
螺旋プロジェクトを知らずに、これを単作として読んだ場合、違和感を感じると思いました。
まず、顔を見る前から(出会う前から)、近づいてきただけで空気が刺してくるように不快になる人物、という設定に感情移入しにくい。
これは、螺旋プロジェクトの海と山の対立を知っていなければ、ただ不思議な設定に感じられます。

螺旋プロジェクトは、好きな作家から読み始めたことで、未来から逆に時代を遡る順で読み進め、本作で4冊目でしたが、プロジェクトの背景をなぞるだけの構造で、作者なりの内容や伝えたかったであろうことは、ただ表面をスルスルと滑っていくだけで、深くまでは浸透しませんでした。

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2023年07月14日

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「螺旋」プロジェクトの6冊目。初読みの作者さん。今度は昭和初期、戦時中の児童疎開によって出会った二人の少女の物語。

蒼い目の清子ととがった耳のリツ。血の呪縛の宿命に理由も知らず互いを嫌悪するふたりの対立と微妙な心の変化が描かれる。
『螺旋プロジェクト』ではなく単品で読んだとしたらこの対立の背景が分かりにくい気がするが、訳もなくがっつり忌み嫌いあうふたりが螺旋のお守りをキーにして距離を縮めていく様にはこのプロジェクトの底流にあるものがしっかり描かれていたように思えた。
素直な筋立てにはちょっと物足りないところもあったが、言いたいことが言えない戦時下の状況や、それでも自分を律して生きることの美しさや、敵対する相手であっても自分の気持ちをそのままぶつけることなく自制することの大事さなども描かれて、佳い話になったようにも思う。なんとなく青少年向けという感じだったけどね。

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2023年06月25日

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ネタバレ

清子がえらすぎる。この年で、理屈ではなく嫌悪してしまう相手に対し、自分から挨拶し声をかけるとは。
リツもやったことはとんでもないけど、お詫びであれ感謝のためであれ、憎む相手のため自分を律して効き目のあるお守りを作れるとは。
二人ともえらいよ。
リツのお守りの効果ってそういう効き方なのね…ツラい。

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2023年02月04日

Posted by ブクログ

※評価はすべて3にしています

螺旋プロジェクト。私が読んだ中では4冊目。

身分制度が形式的になくなった後、強調されるのは差別。そこにさらに集団心理が強調された。
物語の構図が対立から学びに変わる過程はあまりに見事。

ストーリーではないが、方言を文字ですんなりと読める表現にも驚く。
特に宮城や山形あたりに縁があるからかもしれないが。


もちろん螺旋プロジェクトの次の時代を読まなければならない。

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2023年01月29日

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螺旋プロジェクト、昭和前期編。
太平洋戦争末期、舞台は東京と仙台。
蒼い目を持つ聡明な小学生、清子は、その目の為に周囲から奇異な者として扱われ悲しい思いをしてきた。空襲を避け、仙台の山村に疎開。そこで、犬の様な耳を持つ、寺の養い子リツと出会ってしまう。
彼女らは、お互いの存在を認めた瞬間から憎悪か、それ以上の感情を持つ。二人は決して相入れないことを認識する。海族の清子、山族のリツ。今回は、お守りが螺旋アイテムとして描かれる。
古代から近世の対立が大きめだったので、戦争の中の少女達と随分身近になった感じ。
清子の母親の強い者は憎しみを相手ではなく、自分の憎しみと戦うという言葉に 二人の少女達はその相入れない関係を乗り越えようとしていく。
プロジェクトの一冊とはいえ、独立した小説として期待して読むので、大変だなぁと思います。

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2022年12月27日

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