感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
これは恐ろしい物語です。
疑心暗鬼。
疑いの目で見れば、何もないところに闇を作り、鬼を創りだすことができる。
結婚というのは、異なる環境で育ってきた者同士がひとつの同じ環境の中で生きていくことで、核家族ならばそれは1体1の違和感ですむ話。
けれど大家族に嫁ぐということは、ひとりの異物が入り込んでいくこと。
排除されたり、まるめこまれて一体化(同化)したりしながら家族になっていく。
そういう話だと思って読んでいた。
だって法子の視点で書かれた話はあくまで法子の主観であって、証拠はないのだもの。
そして、誰かに何かを言われるたびに揺らぐ法子の主張。
法子は怪しい怪しいと言うけれど、家族からしてみたら、気を使ってしたことをことごとく悪意と捉えられて、いったいどうすりゃいいのって感じで。
よくもまあ、何もないところに鬼を創りだしたもんだわね。
と言う読み方もできる。…できた。
残り20ページの怒涛の展開を読んだあとでは、この家族は鬼にしか見えない。
しかしそれすらも、作者の掌で踊らされているのではないと、どうして言えよう。
私の目が暗闇を見ているのではないと、なぜわかる。
なんとかして、家族から見たら法子の方が鬼だと読めないものだろうかと努力したけど、やっぱりこの家族は鬼だよね。
鬼っていうか…全員が同じ方向を向いて、個人の意思を持ち合わせていないところが何とも気持ち悪い。
仲の良い家族の持つ絆の深さは、違いを認めないことではないはずだ。
けれど生物学的に考えると、異物は排除するか同化するのが正しい行為。
志藤家の人々は細胞の擬人化?
だとしたら、それは正しい。
入り込んできて自己主張のはなはだしい法子の方が鬼だ。
でも、細胞は異物を闇で囲うことなんてしない。
やっぱり怖いのは人の心なのか。
いや、心以前に志藤家の人々がやってることは本当に怖いし気持ち悪いよ。
恩田陸が書きそうな話だなあと思いながら読んでいたけど、恩田陸を突き抜けてあっち側に行っちゃったみたい。
Posted by ブクログ
「嫁ぎ先の人々は異常なほど優しい。恵まれた生活。でも、殺される?!」と帯にありますが、ある意味殺されるより恐ろしい結末になってしまったかも……。途中からこれはホラー小説なんではないかと思い始めた
Posted by ブクログ
嫁ぎにいった1人の女性がそこの家族に洗脳、支配されるまでの話。
いつも明るく良心的な家族。9人もいる家族は誰一人としていじの悪い人がいない。そういう所から始まるが、氷屋家族の死亡と家族が関係あるかもしれないことを知った主人公が徐々にこの家族はおかしいと思いはじめる。
歩けないといっていたおおおばあちゃんが歩けていたり、話せないと言っていたおじいちゃんが話せていたり。家族同士が異常なほどに濃密すぎていたり。
結局は主人公も家族に飲み込まれて最後はとにかく気持ち悪い。
おじいちゃんおばあちゃんと思っていたのは兄弟でお母さんお父さんと思っていたのも兄弟で
とにかくこの一家の血を強く信じている一族。
あやのは氷屋の娘だったし、取り込まれたら最後。
もうこの家族から抜け出せない。
Posted by ブクログ
最後はやっぱり主人公も取り込まれたか〜。
友人にまで手を出すとは思わなかったけど。
洗脳ってこんなやってジワジワ追い詰めていくんだなと怖かった。褒めたかと思ったら蔑んでプライドずたずた。
ウシジマくんでも読んだけど、洗脳ってまず睡眠不足に陥らせるところからなんだな。怖。
そもそも何で主人公に白羽の矢が立ったんだろ。
最後の最後に家の中でみんなで狂ってた姿はゾッとした。
Posted by ブクログ
日本家族版のミッドサマーだ!!!!!!と思った。(こちらの方が先だけど多分こっちの方がわかりやすい人もいるはず)
薬物売買、近親交配と洗脳で出来た家族に外部から血を入れる為に嫁になる主人公法子。
彼女が洗脳されるまでの本です。
いや〜な感じもあり面白かった。
洗脳方法に関して、尊厳否定から甘やかすが多いと思っていたので薬物が使えれば逆の手法もあるのかと興味深く読めた。
乱交シーンは最悪で最高だったな。最悪が煮詰まってる。良かった。
Posted by ブクログ
両親、弟妹、祖父母に曾祖母のいる大家族に嫁いだ法子を待っていたのは何不自由ない暮らしと温かい家族の歓迎だったのだが、ある日、近所で起きた心中事件に彼らが関係しているのではないかと疑いを抱いた法子は、一見理想的な家族を前に疑心にとらわれていく……
っていう感じの話なんですが。
とりあえずいえるのはこの話怖いね。
すっごく怖い。
そして何よりも気持ち悪い。
得体の知れない気持ち悪さと薄ら寒さがして、すっごい嫌な小説。
でも、おもしろい……おもしろいという御幣があるのかもしれないけど、興味深い。読むのが辞められない程度には。
ホラーじゃないけど、ホラー小説のような気がした。
幽霊とかそういうものよりも、人間が一番怖い。と思わせる小説でした。