そうだ森見登美彦の京都、行こう。
過去を振り返って、あの時ああしていればあるいは…。と考えることは誰しもよくあることだと思います。
この小説ではそんなもしものルートで一体何が起きていたか、いや何も起きていなかったか…。そんな様子を覗き見ることができます。
たらればの道を歩むのもまた自分なのだとすると、実は何をしていても大して現状は変わらないのかもしれない…。
森見作品の京都っていいですよね。先生の作品を読んでいると京都に行きたくなります。
地図にしるしをつけて、作品に登場した聖地の巡礼を行ったこともあります。
そうしてから読み返すと、さらに良い読書体験をすることができますよ。おすすめです。
本作に登場する樋口氏は、別の森見作品『夜は短し歩けよ乙女』にも登場します。
私は、『四畳半神話大系』と『夜は短し歩けよ乙女』のどちらから読むかによって、読者が想像する彼のビジュアルは変化する説を提唱したい…!
紙版の『夜は短し歩けよ乙女』のあとがきにマンガ家・羽海野チカ先生のイラストが寄せられていたので、羽海野先生は『夜は短し歩けよ乙女』から読んだのではないだろうか…と思いました。
どちらも未読で、樋口氏のイメージがどう変化するのか気になる方は、『夜は短し歩けよ乙女』から読んでみるとよいかもしれません。
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ヒロイン明石さんが魅力的。
TVアニメ化もされた名作。文豪調の語り口がとにかく面白い。
平行世界のSFオムニバス集ともいえるが、全編でヒロイン明石さんのクールキャラと悪友小津のひょうきんさが光る。
続編?から先に読んだので、こちらのほうが倍くらい長くて驚いた。実質2巻分くらいあるかな。
Posted by ブクログ
一章を読み終わった時点ではこのあとどうやってアニメ化するほど面白い予想外の展開になっていくのか想像できなかったけど、二章、三章でなるほど並行世界の話かつところどころ並行世界同士交わってるなぁと気付かされてからは面白かった。
同じ展開(文章)が違和感なく散りばめられてて洒落た作者だなぁと思った。
Posted by ブクログ
大変面白かった。
もしもあの時、こうしていたら…ああしていたら…というパラレルワールドのお話だけど、着地点はみな同じ。
私には、全部「薔薇色のキャンパスライフ」に見える。
樋口師匠がいい。
「我々という存在を規定するのは、我々がもつ可能性ではなく、我々がもつ不可能性である」
一見すると意味不明な言葉が輝いている。
アニメも良いです。
Posted by ブクログ
森見さんの作品はいつも不思議な世界。
各章の内容が似通っていたため個人的には読んでいて退屈になってしまった。
少しの変化を楽しめる人にオススメできるのでは!
Posted by ブクログ
どのサークルに入るか、4つの選択肢の中から、選んだサークルによって分かれる4つの並行世界の話。
4つの章で、全く同じ文が沢山出てきて、読み飛ばしたりして途中、飽きてきてしまったが、文章が面白い。
特に、最後の章の、「八十日間四畳半一周」が面白かった。挫折せず最後まで読んで良かった。
カステラと魚肉ソーセージと大根のかけらを食べ続けてるところが面白かった。
蛾の大量発生がなぜ起きたか、この章でわかった。
Posted by ブクログ
昨年の丁度今頃、森見氏の作品「夜は短し歩けよ乙女」を読みました。
京都の学生譚でありますが、ややファンタジーチックな味のある作品でありました。
それに負けず劣らずおもろい作品でありました。
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そして本作。
主人公は、解説の佐藤哲也氏曰く「重厚かつ尊大」な「私」。かれが大学三回生として、無駄に過ごした日々を振り返りつつ、青春をばかばかしくもひねくれた形で親友かつ敵でもある「小津」とともに表現します。
四畳半という都会の貧乏学生の、アナクロニズムかというくらいの典型の住居を中心に、「そうであったかもしれない」別の学生生活のシナリオを、雄大・尊大でばかばかしい文語調で語ります。
四つあるどのシナリオ。結局どう転んでも時間を無駄に過ごすような大学生活にしかならないのはご愛敬笑
なお、「夜は~」の黒髪の乙女は、本作でも「明石さん」として頻繁に登場。というか樋口先輩など関連するキャラ多数。
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あ、因みに「ツボ」的なのはやはり酔っ払った羽貫さんを前にした「ジョニー」との対話ですね笑
男性ならではの「残念?」なシーンですね。散々道徳とか人に悪くしないなんて教育を受けていくと、狼に変身する仕方やそのタイミングが分からなかったりしますよねえ。
ジョニー、何であそこ脳みそを乗っ取らなかった! まあでも主人公の気持ちも分かります。君は要するにヘタレなのだ。そして君は昔の私である。
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でねえ。こういうアホな学生の話を読んでいると自分の時代も思い出すんですよ。
私が学生であった1990年代でもこういう風呂なしトイレ共同みたいなボロアパート、絶滅寸前でしたが、ありました。バンカラ的生き方への憧れの象徴でありました。
そこで私も東京で風呂なしのボロアパートで独り暮らしをしてみました。が、当時の彼女(今の嫁さん)に、「可哀そう!」と情けをかけられ、ほどなくして同棲へと格上げ頂いたのも懐かしい思い出。そんなかつてを想起させます。
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そして舞台。京都ですよ、京都。
四条とか下鴨とか白川とか、私はうっすらとしか分かりませんが、京都にご縁のある方はかなり楽しく読めることでしょう。また京都という街が、文語で語られることが実に似合う街じゃあありませんか。
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ということで森見氏の作品、二作目でした。
青春小説、学生モノ、京都を舞台にしたものが読みたい、そんな方にはお勧めできると思います。
読後に学生に戻りたくなる、そんな作品です。