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Posted by ブクログ
遅ればせながら、宇江佐真理さんのデビュー作に着手します。「幻の声」、髪結い伊三次捕物余話№1、1997.4刊行、2000.4文庫。幻の声、暁の雲、赤い闇、備後表、星の降る夜の連作5話。伊三次25歳を中心に、両サイドを芸者のお文25歳と同心不破友之進30歳が固めています。
しみじみと….….
色々な事件、犯人と、それに纏わる哀しみや喜び何かを、
なんだか、しみじみと感じてしまった。中でも「備後表」の話が良かった。
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宇江佐真理作品。2作品目。
髪結い伊三次と同心不破の捕り物こぼれ話?、連作短編5話。
ミステリーでも人情話でもない。ただ、考えさせられる話
Posted by ブクログ
目次より
・幻の声
・暁の雲
・赤い闇
・備後表
・星の降る夜
デビュー作だし、髪結いだし、短編だし、これは読み終わった後ほっこりとよい気持ちになれる人情ものなんだろうと思って読み始めたのだけど、違った。
表題作の「幻の声」は、ろくでもない男にたぶらかされた女が、男の罪を全て被って刑に服す(死罪)のは、なぜかという話なのだが、最後まで読んでも男は改心しないし、女も罪をかぶったままだ。
何故かというと、それは幻の声のためなのだけど。
二作目は、伊佐治の恋人のお文が事件の謎を解くのだが、これもまた切ない幕切れで。
伊佐治もお文も家族との縁が薄い。
だから余計に安っぽい人情ではなく、もっと芯の通った生き様を通して人と繋がろうとするのかもしれない。
己を貫くことで自分が不利になる女がいる。
真っ当に生きてきた自分の人生を、ようやく振り返ることができる女がいる。
人生の転機にしようと貯めていた金を盗まれた伊佐治は、犯人を獄門送りにしなければ気がすまないくらい怒っているのだが、結局は許すのである。
大金の重みを知ったうえで、「たかが金」と許さざるを得なかった裏には、上司である不破の奥方のこれまた重い人生の矜持があるのだった。
人生はおおむね大変なものかもしれないけれど、考えようによってはいい人生になり得ると、満足して本を置くことができたのだった。
Posted by ブクログ
この本が受賞作で、デビュー作でもある。
北海道に居ながら江戸の時代物を書く作家。宇江佐真理の文章は、湖のさざ波のように、穏やかだ。小さな波が繰り返すうちに、登場人物の像は深くくっきりと生き生きと動き出す。江戸の市井の人情と粋とやせ我慢。
みんなみんな一生懸命生きている。
ワクワクするようなドラマティックなストーリー展開ではないが、しみじみと読むうちに、ハマる宇江佐ワールド!
連作はまだまだ続くが、この作家さん、今はもう生きては居ない。新作ができないことが悲しくなる。
この本からシリーズ化されるのは、『髪結伊三次捕物余話シリーズ』文庫本サイズで読みたいシリーズ。
Posted by ブクログ
2017/11/1
おもしろかった。
最初はなんかヤな奴と思った不破さんだけど、妻いなみさんの話で見直しておばあちゃんの畳の話で「大好き!」となった。
単純な私。
初めに印象悪かった人のほうがひとたび「好き!」となったときにすごく好きになるのはいつものこと。
今では不破さんが一番好き。奥さんも好き。
続きがいっぱいあるようでうれしい。
そして散髪してもらいながら髪結いの話を読むシチュエーションに一人ほくそ笑んだ。