【感想・ネタバレ】N/Aのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

最後のまどかの言葉を成長と捉えるかどうかは
読む人次第なのかなと思った。

何かの枠に当てはめてマニュアル通りの対応は嫌だけど相手のことを想いやりつつ自分の言葉で気持ちを伝えることはとても難しいことだからジレンマを感じる。

ただただ自分をちゃんと見て欲しいって誰もが持ってる感情を生々しく描いた作品

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2023年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

N/Aってどういう意味か知らなかったのでググってみたら、「非該当」という意味らしい。
どの属性にも該当しない、記入なしの意味。

主人公のまどかは、周囲の人から様々な属性に当てはめられる。生理が来るのが嫌で炭水化物を抜くから「拒食症の子」、同性同士で付き合ってることがバレると「LGBTQの人」、付き合ってる人に別れ話をすると「同性愛者に向けられる世間の目に耐えられなくなったパートナー」、外見的に女子校では「王子役」。

その属性のどれもがまどか自身ではない。
まどかは、属性に当てはめられたまどかではなく、ただのまどかを知って、関わってくれて、「かけがえのない他人」になってくれる人を欲している。


勝手に相手をカテゴライズしてしまう事ってあるよなぁと思いながら読み進めた。
人から「女性だから○○」とか「ゆとり世代は○○」とか言われると、「は?勝手に一括りにしないでくれます?」って思うくせに、自分だって他人に対して同じようにカテゴライズして接してしまうこと、あるある。

印象的だったのは相手への配慮のためのカテゴライズについて。
自分と違う価値観だけど大切な相手を傷つけたくない時、当たり障りのない発言でやり過ごしてしまった経験は誰にでもあるんじゃないだろうか。


「どこかで聞いたことのある定型文のような言葉ばかりだった。全て『家族が病に伏せっている人』に向けた言葉で、オジロのためだけに生まれた言葉はどこにもなかった。文字を画面に打ち込むたびに自己検閲で消していく。
浮かんでは消える定型文は、状況を後退させずには済むけれど、それ以上前進させることもないように思えた。『おはよう』に『おはよう』と返すように、定型文ができるのは保守だけで、何の革命も起こせない。状況を変えられない。変えなくてはいけないのに。」(P103)


カテゴライズすると楽だし、効率的だし、不用意に人を傷つけるようなことも減るのかもしれない。
その結果当たり障りの無い上辺ばかりの人付き合いになって、孤独を感じる事もあるだろう。

先日読んだ金原ひとみのミーツ・ザ・ワールドを思い出しながら読んだ。
漠然と死にたい感情を持って生きているライに対して、ライを取り巻く歌舞伎町の面々の姿勢は、ライを「自殺願望のある人間」としてではなく、ただの「ライ」として関わっていたのかな。

N/Aは「現代の人間関係におけるカテゴライズのメリットとデメリットを描いた小説」だと感じた、なんて簡単に一言でまとめる事自体がカテゴライズなんだよなぁ。
人間関係って優しくて大変で面倒だ。

0
2024年01月07日

Posted by ブクログ

翼沙の言葉のおおよそは空気で膨らんでいた。誰にも受け取られなかった言葉はヒーターの風に押し上げられて、広告のくぼみにひっかかって帰ってこなかった。(P.13)
これからはあの絵本の二人組みたいに、もっと仲良くなってどこにでも行けて何にでもなれるかもしれないんだ、と胸を弾ませて始まった交際は、桜が芽吹くころに始まって、濁った水たまりに花びらが沈むのと同時に終わった。(P.27)
そういえば話す途中に顔のパーツが、あちこちに分裂したり、かと思いきや急に中心に集まって、目の中で温泉卵の臭いが発酵し出すところは、見覚えがある、恋をしている人の様子だった。(P.29)
どうせ今日も帰る頃には話の大半を忘れている。忘れてしまうような時間が過ぎていく。覚えていられないくらい楽しく過ごしていらならよかったのに。まどかはうみちゃんのことをほとんど知らず、ただうみちゃんを形作る輪郭の、じっさいどうだか分からないおぼろげな線をたよりに付き合っているだけだった。(P.32)
いっそ犬になりたかった。オスとメスの判別もつかない落書きみたいな絵柄の、本当に犬なのかも判断できない毛むくじゃらの生物として人々の間を行き交って暮らしたかった。(P.40-41)
祖母の光線を浴びたそばから、まどかは自分から身体が離れていくような気がした。ピーラーで皮剥いたみたいに皮膚が剥がれ、肉がふわふわにほどけて、血管と神経の糸が広がって風に飛ばされて行ってしまう。吹きさらしになった大腿骨には片栗粉のダマに似た冷たくて透明なものが山ほどまとわりついて、そこから胴体へと色んなリボンが巻き付いて、祖母に流れる血を絶やさぬための、女の子型工場が組みあがる。煙突からはあたためたミルクのにおいが立ちのぼった。まどかの身体は、まどかとは関係なく大切にされる何かになった。(P.42-43)
押し付けない、詮索しない、寄り添う、尊重する、そういう決まりごとが翼沙を操縦してして、生身の翼沙はどこにもいなかった。翼沙から出た言葉は何一つ無く、全てを置き去りにして、マニュアルを順守するプログラムだけが動いていた。(P.61)
痩せることは生理を止めるための手段であって目的ではなかったのに、拒食症の女の子と見なされたので、拒食症の女の子用の言葉だけが与えられた。
まどかは当事者性なんて一つも持っていなかった。身体的特徴と食生活以外に、その属性の枠組みの中にいる人とまどかが共有できることはほとんどなく、世の中が想像する属性のイメージとも適合しないのに、まどかへ向けられる態度は、その属性の対応として推奨されるものばかりだった。翼沙とも。今まで、ただの友だちとして、押し付けたり、詮索したり、寄り添わなかったり、放棄したり、そんなことを繰り返すたびに距離を測って、お互いに近づいたり離れたりしながら関係性をつなげてきたはずなのに。かけがえのない他人ほしさにうみちゃんと付き合ってみただけだった、それでLGBTの人で固定されてしまった。同性との恋愛関係を望む人になってしまった。
保健室の先生の後ろの壁に貼られた、日に焼けて赤色が薄くなった人権週間のポスター。多様性を認めてみんなで助け合いましょう。地球の上で手をつないで綺麗な円を描いて等間隔に点在する人たちの絵。決まった場所で手をつないだまま一歩も動かない人たち。
まどかもこの中の一人になった。踏み出したら輪っかの形が崩れてしまうから、この属性から出てはいけない。やさしく手をつないでくれた人をがっかりさせないように、黙って笑顔で収まっている。
本当はどんな属性にもふさわしくないのに。(P.60-67)
自分の言葉で人の心を揺らしてしまうのか怖くて、自分の言葉の責任を担保してくれる何かが欲しくて、他人のお墨付きの言葉を借りたくて仕方がなかった。多くの人に使われてきた言葉を使用すれば、まどかがオジロとの今後の関係を安全に保っていられることは間違いなかった。(P.103)

生理が嫌で必死にその止め方を調べて痩せようとしてた主人公と中学生の私が重なった。私は、痩せたい気持ちもあったが、生理を止めたくて痩せたのもあった。拒食症の女の子として見られ、距離を置かれるような対応をされ、行き場のない苦しみを抱えていた当時の自分のようだと思った。主人公は男になりたい訳では無いし、女性と付き合っているものの、女性が好きな訳では無い。現在ある、「枠」のどこにもカテゴライズされない自分は何者なのだろう…。自分は自分として生きられたらどんなに楽なのだろうか。「かけがえのない他人」が欲しいのに、好きになろうとすると恋愛的な見方をされてしまう。ぐりとぐら、がまくんとかえるくんのような二人組という表現がどのような関係なのかを的確に表しているような気がして納得できる。
なんか、この世界に上手く溶け込めている感じがしなくて違和感があって、でも、違う自分を私は他の人とは違うんだって言える自信もなく、淡々と日々を生きている主人公。きっと世界がモノクロームのように見えているんだろうな。そんな救われない日々にうみちゃんのまどかだけに向けられた少しの優しさを含んだ言葉が染みる。きっと、同情とか違和感のある優しさより、そのままその人から出された言葉が主人公は欲しかったんだと思う。SNSなどで、簡単に文字で会話を出来てしまい、本物の言葉が分からなく、不安になるけれど、こんな風にその人に、その人が求めている言葉をあげられる人間になりたい。

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2023年11月03日

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『大丈夫とかつらいけど頑張ってとか絶対良くなるとか書こうとしたけれど全部意味ないからやめた あたしは黙って既読だけつけとく オジロが吐き出したいことあったらここで好きに書けばいいと思う』  2022年上期芥川賞候補作品

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2023年09月11日

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言葉をよくわかっている。
言葉の効果をよくわかっている。
と深く思った。

私と同じ感覚で言葉と接していたため、とても愛着の湧く文章だった。

まとわりつく生理。
若い感覚。
シンプルな行動要因。

好かれる本だと思った。

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2023年07月05日

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生理をなくすために体重を減らした。
教育実習に来た大学生の女の子と付き合ってみたけどこの人とはぐりとぐらみたいにはなれない。

大学生の子が鼻の先にハイライトを入れてるとか、女子校の同級生が推しのために生きてるけど若干冷めてるのとか、今の子の感じがすごくリアル。
大学生の子がTwitterで「パートナーさんとの日常」とか言ってLGBTについて発信してて、その相手は自分なんだけどこっち的にはなんか全然しっくりきてない感じの言語化がうまくてきもちよかった

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2023年07月05日

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ネタバレ

LGBTQなど、性的嗜好には様々な名前があって、名前を付ける必要性ってあるのだろうか?と、最近ふと感じていたことを思い出した。ただ、何かにカテゴライズされる苦しみもあれば、名前を付けることで得られる安堵もあるなと、そんなことを思った。

何かにカテゴライズされた自分への言葉ではなく、自分自身への言葉が欲しい。拒食症の自分ではなく、同性愛者の自分ではなく、何者でもない自分。そんな自分を見て欲しい。

この作者の方が書く文章が好きだなと、純粋に感じた。繊細なこの文章の中に、どれだけの感情があるのだろうかと、私には読み取り切れていない何かがある気がして、この本に囚われているような自分がいる。

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2024年05月03日

Posted by ブクログ

女性の生理について、
性差を超えたかけがえのない他人について、
女子校の人間関係について、
とってもリアルに描かれていて男性のわたしも分かったフリをしてしまいそうになるくらい分かりやすかったです。

生理の描写で股から垂れる血とかその時の対応方とかはどうやっても経験できないことなので驚きました(もちろん小説なことはさておき)

LGBTの方がLGBTとしてカテゴライズされて本人の輪郭をきちんと理解しようとしないもどかしさや、世間一般の論調に合わせたして接し方に対するモヤモヤも肌で感じました。

LGBTに限らず、サラリーマンはこう!主婦や高校生はこういう人!という無意識の決めうちがその人の個性を殺しかねない

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2024年03月08日

Posted by ブクログ

カテゴリーは人間です。⁡
⁡⁡
⁡ってな事で、年森瑛の『N/A エヌエー』⁡
⁡⁡
カテゴリーレス?または多岐に渡るカテゴリーの塊 ⁡ケイゾーやべじぃが読んでたのに感化され読んだよ。⁡
⁡⁡
⁡ 先ず思ったのが著者の年森瑛さんが男性なのか、女性なのか
⁡男性にしては女性の事をよく表しとるなぁと。⁡
⁡男には分からない事情をリアルに表現してて、ふと著者は女性なんかなっと思ったり。⁡
⁡⁡
⁡こんな事を思いながら読むと著者名は男性みたいじゃけど、内容は女性目線…⁡
⁡⁡
⁡ここから既に男女のカテゴライズが発生している。⁡
⁡⁡
⁡その思い込み(男性なのか女性なのか)の視線で読むと、全く違う感情が出てくると思うんよ。⁡
⁡⁡
見方の違いで人への感情は良くも悪くも、脆く危ういものへとなっていくんじゃろね。⁡
⁡⁡
⁡その危うさを敵に回すのか、はたまた理解しようと受け入れるのかどちらを選択するかは人それぞれ。⁡
⁡⁡
⁡人は色んな考え感情や、人に言えない悩みや苦悩は誰にだってあると思う。⁡
⁡⁡
⁡それを全ての人に理解してもらおうとは思わんし、わざわざ言う必要もないと思ってる。⁡
⁡⁡
⁡言いたい人、自分の事を知ってもらいたい人にだけ、伝えたい思いや悩みなんかを伝えればええかとわしは思ってる。⁡
⁡⁡
まあ、わしは殆ど悩みなんかは人には言わんし、相談もせんけど
⁡⁡
⁡人との出会いは必然とも思ってて、会うべく人は会うし、離れる人は離れて行くと思ってるので、余りくよくよせんかな。⁡
⁡考えても仕方ないし、それより明日を楽しむ事を考えた方がええかな
⁡⁡

⁡⁡
⁡何か、何書いとんかよく分からんが、本の内容の感想は単純に思春期じゃろって感想です
⁡⁡

⁡⁡
最近になってカテゴリーの多さが明確?増えてきたと思うけど、人の思いや悩みは今も昔も多種多様で変わらんと思うけどな
⁡⁡
⁡2022年41冊目

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2024年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生理を止めたくてご飯を抜く主人公、という冒頭文に惹かれて購入。
何かの枠に当てはめられるのではなく、まどかとして扱われたい、そしてそれを愛してくれる人を探している主人公の話。
終わり方があまりにもあっさりしていて、え!もうおわり!ってなった。

心に残ったのは勝手にまどかの写真をSNSにあげてポエムと一緒に投稿していたパートナーの話。
なんだか自分に酔っていて気持ち悪いなと思った。

あと、ロリコンと言われたのを聞いていて、当てつけに嫌味を言う先生の話。
ロリコン言うなや、と返せばいいのに、違うところを攻撃するなんて大人げないなあと思った。

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2023年08月29日

Posted by ブクログ

最初はちょっとわかりづらい、と思ったのだが、読み進めていくうちに主人公の持つ違和感とかはすごく理解できた。

人をカテゴライズするのは自分の理解の範疇におきたいから。人に見せるのは認めて欲しいから。

メインキャラの3人はとても思いやりと冷静さをもった大人だな、と思う。自分の非を認めたり、相手に対して上部の言葉を並べない、慮る気持ちがあってその点読んでいて気持ちが良かった。

先生と生徒のやりとり、双方の気持ちがわかる。あの先生の態度を責めきれないことを当人が理解しているシーンだったり、オジロの家族がコロナになった時の2人の反応だったり、翼沙がまどかにうみちゃんのSNSを伝えるシーンだったり、慮りが滲み出てるのが好きだ。

2023.8.20
134

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2023年08月20日

Posted by ブクログ

"LGBTQ"
(そもそもこの言葉で括れない多種多様な性があるが)
を肩書のように使っているときはないか?

みんなで認めましょう、尊重しましょう。
そうできている自分は前時代的な考えの人とは違って
時代に対応できている。そのポーズやアピールのためにいわゆるマイノリティとされる人を利用してないか。

多様性を「認める」とか「尊重する」とか。
そもそも認める、尊重する以前に
確かに存在しているのは事実であるのに
それを個性を誰かに認めてもらって
尊重してもらう必要なんてあるのだろうか。

LGBTQ+の他にもHSPとかADHDとか、
自称している人の中にどれくらい本当に悩んでいる人がいるのだろう。それを肩書きとして何者かになったような気になるために安易に使ってはいないだろうか。



かけがえのない他人同士の関係性になりたい。
恋愛になると一気にそこから離れてしまう気がする。
は自分もここ最近ずっと考えていたことであった。

今年公開されたコナンの映画を観た時、
かけがえのない他人同士だと思っていた
コナンと灰原が人工呼吸でキスすることが
物語の大きな山場になっているのを観てとても冷めた。
恋愛という安易で手前にある関係になってしまった。
観客もすぐカップリングしたがり
キスとか恋愛にすぐ結びつけたがる。

でもそう思う自分も何か特別な存在であると
思いたかっただけなのかもしれない。

これまで述べたものだけでなく、不幸があった友人や
なんて声をかけていいか分からない場面で
どう言ってあげるか。

その人、個人への言葉ではない、
その人の記号的な特徴や肩書に対する、
誰に言ってもいいような言葉をかけてないだろうか?

「お墨付きを貰える言葉」
多様な価値観において、確実に正しいものは揺らぎ
「正しい」「普通」という言葉すらバイアスがかかり
固定概念を押し付けるものになった今、
確実に「お墨付き」を貰える言葉はなくなりつつある。

前時代的な考えも、国への差別も、誰かが言っている
保守的な、右翼的な、古典的なものであって
誰かが言っているお墨付きの言葉だから言える。

まどか/オジロ/翼沙はお墨付きじゃない
3人の中でしか通じない言語で喋っているので
かけがえのない他人同士ではないか?


理由に勝手に原因を付けられる。
ご飯を食べないのは拒食症。
拒食症なのは生理が嫌だからで
生理が嫌なのは女性を押し付けられたくないからで
女性を押し付けられたくないのは世間のせい
都合の悪いことはすぐ世間/社会のせいにされる。

ラストのうみちゃんにまどかが助けられるシーン。
恋愛関係にないと優しくできないって
自分が一番嫌だと思ってた思考回路で
他人を評価してしまう。

結局、嫌っていた価値観こそ、それに縛られているのは自分だったりする。

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2023年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生理が嫌で、食べることを控えていたら「拒食症」と、
かけがいのない他人に出会いたくて女性と付き合ったら「LGBT」とカテゴライズされてしまい、
もやもやを抱えている主人公。

勝手にカテゴライズされて、慮られることを嫌がっていたのに、
友達に想定しなかった事態が起こると、何と声をかければいいか分からず、かけるべき言葉をネット検索したくなってしまう。

ただ、それは相手を傷つけたくない優しさも含まれていると思うのよね。
もちろん誰かのお墨付きが欲しいという、自己保身もあるだろうけど。

(話がずれちゃうけど、昔、食べることを強要するようなことを言われたり、
世界には食べられない人がいる云々説教された身としては
今回は的外れとはいえ、好ましい対応になってきている時代の変化が、本音では羨ましくもあった。)

カテゴリーにこだわると、当事者が見えなくなってしまうし、
同じ属性にいても望む対応は違うし、
相手のことをちゃんと知ろうとするのが良いのかな…?

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2023年07月24日

Posted by ブクログ

( ..)φメモメモ
踏み出したら輪っかの形が崩れてしまうから、この属性から出てはいけない。黙って笑顔で収まっている。

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2023年07月21日

Posted by ブクログ

なんとなく、朝井リョウの『正欲』を彷彿とさせるような内容でした。
「多様性」なんて世間は聞こえのいいことを言うけど、結局はいくつかの種類に人を無理矢理カテゴライズしてるだけなのかもしれないですね。

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2023年07月04日

Posted by ブクログ

N/A とは、not applicable (該当なし)っていう意味らしい。
100頁ちょっとの短い作品だったけど、これがなかなか深くて2回も読んでしまった。

主人公は女子高生のまどか。
共感するところもあったし、痛いとこついてくるな〜ってところもあった。
そして思春期の子って、まだまだ色んな意味で若いな〜とも感じた。

多様性と言いながら、何かとカテゴリーに分けがちな今の世の中。
上っ面の情報だけで分類分けされ、決めつけられる事に違和感を覚えるまどか。
定型文の様な言葉じゃなく、自分の言葉が欲しいまどか。
そして「かけがえのない他人」が欲しいまどか。

私もできるだけ自分の言葉でって思うけど、なかなか思いを言葉にするって難しい〜

うみちゃんとの最後のシーンがちょっと苦くて好き。

読む前は苦手な感じの作品かも、、と思ってたけど、この作品好きだったな〜!とても印象に残る作品でした✩︎⡱



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2023年05月21日

Posted by ブクログ

今までも、これからも、何者でもない私たちへ

現代を生きる少女たちの葛藤を描いた作品。
「〜な人」と簡単にカテゴライズされ、その属性から出ることはできない。
他者から枠組みに入れられることに苦しみながらも、こちらも他者を無意識にカテゴライズする。それほど私たちは周りを自分たちの見たいように見てしまうきらいがある。

「多様性を認める」ことに固執し、「多様性とは何か」を考えることに気が回らない。そんなことが自分にも起きてしまっているはず。

そんな現代を生きる少女たち。
本人に当事者性なんてないのに「属性への対応として推奨された(p.66)」で接してくる人たち。
周りに“与えられた“属性から「踏み出したら輪っかの形が崩れてしまう(p.67)」から、「優しく手をつないでくれた人をがっかりさせないように、黙って笑顔で収まっている(p.67)」しかない狭苦しさ。

好意は時に同情となり、時に人を孤独にさせる。

小さくて繊細な、それでいて途方もなく大きな生きづらさが、少女の目線で瑞々しく描かれている。「どこかで聞いたことのある定形文の言葉(p.103)」に辟易しながら、彼女たちはどこにも行かずただ寄り添う言葉を模索していく。何者としてでもなく、ただ「わたし」として。

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2023年05月21日

Posted by ブクログ

がまくんとかえるくんや、ぐりとぐらのような、お互いの中だけにある文脈を育んだ、2人だけの唯一の時間が流れる関係性を人間の世界で得るのは難しいということも、歳を重ねるにつれて理解しつつあった。別々の場所で暮らしながらも、一緒にごはんを食べたり、どこかに遊びに行ったり、見返りもなくやさしくしたり、それだけのことを続けるのには、人間なら恋愛感情が付随していないといけないようだ。

人と会う時は必ずと言ってもいいほど、食べ物を間に挟むことになるのが苦手だ。食べ物という緩衝材がなければ、うまく会話が続かないのかもしれない。

浮かんでは消える定型文は、状況を交代させずに済むけれど、それ以上前進させることもないように思えた。「おはよう」に「おはよう」と返すように、定型文ができるのは保守だけで、なんの革命も起こせない。状況を変えられない。変えなくてはいけないのに。

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2024年05月08日

Posted by ブクログ

Audibleにて。

身体を面倒くさいものと捉える傾向は「おいしいごはん…」で書かれていたことと同じだな。年取ってきた人の喪失の悩みとはまた違うものだ。身体を精神の容れ物として見るゆえだろうか。精神と身体が分離してしまっている。隠しておける精神と違い身体は常に最前線だ。戦場の兵士のような疲労感をさらされ続ける身体は、常に感じているのかもしれない。だからこそ切り離したい。

「額の15cmくらい手前で上澄みの言葉だけで跳ね返っていく会話。身体に浸透しない言葉」
 そうさせているのが何なのか?という話。待ってるだけというのは甘えだろう。理解しようとする動きの中でしか理解される体験はやって来ない。この場合の理解してくれる主体は他者ではない。自分だ。他者を理解しようとする動きの中で、人は自分と出会い、自分を理解していく。

 ばあちゃんとのやり取りのシーン、「これは自分の身体だ…」そう言わしめる傲慢さに気づかぬ内はいつまで経っても子どもだ。正しさを押し付けられているようにしか感じられず、相手の背後に個人として、どんな歴史があるかに目が向かないうちはやはり子どもなのだ。
 かけがえのない他者は、かけがえのない自分を受け入れた先にしか出会えない。それを受け入れるためには、自らに繋がるものをあまねく知ろうとする態度が必要だろう。我慢して受け入れようとするのではない。知ろうとすること、これはルーツの理解を含め自分との対話を必要とする行為であり、それを通してしか、かけがえない他者には出会えない。人の思いがどう繋がって「今、ここ」の私に向けられているのか?考えるべきはそこだ。

 何者でもない私を人に認めさせたいのであれば、私が何者かを知り、かつ他者が何者かに思いを馳せるしかない。それらを知ろうとするやり取りの中でしか、何者でもない私は浮かび上がってこないし、他者から認められることもない。経済論的なGive and Takeの話ではなく、自己理解、自己受容とは本来そういうものだと思う。自己受容と他者からの承認は常に切り離し難く「つがい」の関係にある。

 我思うゆえに我あり…この文脈から人は抜け出すことが難しい。が、「我ら思う故に我らあり」このパラダイムへの変換、このパラダイムシフトをそろそろ迎え入れる時だ。ただ生きることが、これ程までに苦しい時代になってしまったのだから。
 酸素ボンベは、常に隣の誰かが持っている。

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2024年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すぐ読み終わった。漫画みたいに絵があった方が表情や視覚的な見せ方でテーマがより伝わるんじゃないかと思った。作者の文体があまり得意じゃないからかも。かけがえのない相手や型に嵌まらない独自の関係性を求めてしまう気持ちは理解できたが、受け身の姿勢じゃそりゃ上手くいかないよなと思った。性自認というテーマを生理を使ってあのラストで描くのは凄いと思った。自分が欲しかったものをあっさりうみちゃんは手に入れてて、しっぺ返しのような展開になってしまったのはなんとも言えない気持ちになったが、時には型に嵌まる柔軟性も必要ではないかといい勉強になった。嵌った後に自分だけの型に作り変えた方が順番的には楽なのかも。主人公がまだ高校生で未熟な時期であることを考慮すると、その先の幸せを手に入れるために必要な経験だったのかもしれない。

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

タイトルが気になって手に取りました。純文学系はページ数が少なめで少し読みづらい印象があるのですが、本作は割と読みやすいほうなのかなと感じました。まさに今時の女子高生を描いているように思います。

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2023年11月23日

Posted by ブクログ

LGBTQというカテゴリーが一般化する事で、世の中が、わかるわかる知ってる知ってるとなってしまい、自分でも何が何だか分からない違和感の中で生きている人が、自動的にそのカテゴリのどこかに押し込められてしまう閉塞感。と言っても自分自身、分からない何かを自分の知っている箱の中にしまい込むと、それで安心してしまうんですよね。そしてレッテルを張って理解したつもりになる。なんとも難しい。
でも分かろうとしない事もまた悩ましい事でもありますので、理解しようとする事が普通となってきたこの世の中、前よりは前進しているのではないか。と思っています。

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2023年11月08日

Posted by ブクログ

このやろーっていう怒りとか不満とか不安とかで書かれた特有のエネルギーのある小説だった。
N/Aでいることは間違ってないし言ってしまえばみんなそうだし、わたしもかつてそうだと思ってた。
でも意外とぺらぺらの友達とかぺらぺらの恋人とかぺらぺらの親とかに話してみて絶望したり、ちょっとマシになったりするから
まどかが絶望しながらも、そうやって「なんとかして」欲しいし、どうにかしてほしいなって、強く思えて、同時に自分に言い聞かせてるみたいなところも読んでてあったかもしれない。
一気に読めるおもしろい小説だったけど、個人的に今の私に必要な物語ではない気がした。でも確実に今の時代には必要な物語。

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2023年09月24日

Posted by ブクログ

生きてゆく中では、その関係性の濃淡はあれど、何らかの形で他者と関わってゆかなければなりません。

自分をどのように表現するか、他者が期待する役割を演じる自分と本当の自分の間で揺れ動きながら、「当たり障りのない言葉」を使って日々を過ごしている、そんな現代の私たちの暮らしの中にある漠然とした「不安」「寂寥感」を言葉にした作品だと思います。

他者からどのようにラベリングされるか、という点は個人の努力で同行できるものではありませんし、そのラベルに違和感や居心地の悪さを感じる主人公・まどかの葛藤が緻密に描かれている作品だと思います。

読んでいて明るい気持ちになる作品ではありませんが、人間の「醜いところ」から目をそらさずに向き合っている作品だという印象を受けました。

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2023年09月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ


N/A = 該当なし

主人公のまどかは生理が嫌だ、
生理をとめたくてご飯を食べないところから始まる。
女性ならほとんどが“生理なんてなくなればいいのに”って思ったことあると思う。
でもそういう“普通”の感情さえ自分は異常なのではないかと思ってしまう。
本当にこの主人公は“普通”じゃないのか。
当なしなのか。

心に刺さる部分が多くありました。
LGBTQや女子高生、拒食症の娘をもつ母親の在り方、全部一般論に当てはめないと安心できない、その人個人を見ているわけではない言葉を一般的な言葉をかけたくないのにそれしか浮かばないもどかしさ、恋人ではないかけがえのない他人がほしい…

該当なしなんて人いないと私は思うけど。

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2023年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

その人にその人だけの言葉を与えるなんて難しすぎるけど、属性を孕んだ瞬間にそれは自分に向けられた言葉ではないと感じるのはよくわかる気がした。嫌なものは嫌だという簡単なことだけが伝わらずカテゴライズされて多くのうちの1人になるなんてそんなの寂しすぎる
かけがえのない他人から自分だけの言葉が欲しいまどか 幸せに生きてね

最後に会ったうみちゃんはSNSでパートナーの話を甘ったるく呟くうみちゃんとは雰囲気が違って驚いたのだけど、うみちゃんもまどか用のうみちゃんを用意していたのかもしれないそうした方が好かれて楽だから、知らないけど

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2023年08月16日

Posted by ブクログ

分かったふりをするのが、
理解してるふりをするのが、
正解のようでいて、
けど定型文を使っているだけで
生身の感じがしない

そう主人公は感じているように思った。

ほんとはただ受け止めるだけでいいのに
ただ読むだけ
ただ血が嫌いなだけ
そのままを受け止めるだけでいいのに
対応策を調べて
理解を示したように皆振る舞ってしまう


分かるよ〜
じゃなくて
ただそうなんだねと
受け止める人に私はなりたいなと思った。

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2023年08月15日

Posted by ブクログ

SNS時代、LGBTQへの関心、コロナ禍。
今の社会で生きる「普通」の若い人の生きづらさを知る貴重な機会となりました。

自分をありのままにみてほしい。
それを切なく強く願う人の気持ちが、若々しく素朴な表現でよく描かれていました。
また、多様性という力が抱えている、むしろ属性へ回収される大きな力を持つ矛盾も、部分的にですが鮮やかに指摘されています。

と思って無意識に読んでいると裏切られる意外なラスト。

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2023年08月06日

Posted by ブクログ

サラッと読めた。言い回しがおもしろい。
最後が唐突に終わったのがびっくりした。もうひと展開あったらよかったかも?

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2023年07月21日

Posted by ブクログ

これ学生時代に自分が感じていた違和感や悩みが描かれていてとても共感した。
それと同時に、根底にあるのは変わらないはずなのに、それを無視して普通に生きれている今の自分は鈍感になったなあとも思った。

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2023年05月14日

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